兵庫県原水協は三日、神戸市内で「原水爆禁止二〇二二年世界大会報告・交流のつどい」を行いました。
今年の世界大会は三年ぶりの現地開催(オンライン参加と併用)で、コロナ禍を配慮して全国二千名規模での取り組みでした。兵庫県原水協は、「過去最大の代表団」をめざして「百人の代表、四百人のオンライン参加」を目標に取り組み、広島に七十九人、オンライン五十四カ所・約二百五十人の参加となりました。
兵庫県代表団の津川知久団長の講演
津川知久・世界大会兵庫県代表団団長(兵庫県原水協筆頭代表理事)が、「二〇二二年、時代は核兵器廃絶の新たなステージへ」と題する講演を行いました。津川さんは、「三年ぶりに対面実施の世界大会は〝胸のキュンとなる場面が続出〟」として、小学生が「ロシアで「市民の権利が剝奪されている」ってどういうことですか」と堂々と質問に出て、ロシア代表が真面目に真剣に回答したこと、中学生が、「非核三原則を学校で習ったが詳しく聞けなかった。この大会で米国から原爆を落とされたのに、今は媚びを売っているのはなぜかわかった。同級生にも話してみます」と発言した場面などを紹介しました。
核兵器禁止条約第一回締約国会議(六月)には、米国と軍事同盟を結ぶドイツやベルギー、オーストラリアなどもオブザーバー参加し、「禁止条約は法的拘束力を持ち不可逆的であり、核兵器廃絶の基本的土台である」「ウクライナ問題は核抑止論が幻想であることをこれまでになく浮き彫りにした」「一部の非核武装国(日本など)が核保有を奨励するのは遺憾」など重要な合意、前進があったことを明らかにしました。
さらに、広島平和記念式典での市長、県知事、グテレス国連事務総長の挨拶とくらべて、岸田首相の挨拶が「見苦しいほどの落差があった」ときびしく批判しました。
世界大会が採択した「広島宣言」が、締約国会議の成果を受けとめ、充実させ、同時開催中だったNPT(核不拡散条約)再検討会議に反映させられたことを示しました。そして、NPT再検討会議はロシアの反対で合意できなかったが、「失敗でなく、非人道的核兵器が国際法上違法とされ、いよいよ廃絶に動き出した、市民社会の運動が核兵器廃絶の国連議論の〝主役〟の位置にたったという「新しいステージ」の二大特徴を活かして、核兵器禁止条約に参加する日本を実現する原水協の奮闘が世界から注目されている」と訴えました。
世界大会参加者の報告
つどいでは、これまでの平和大行進、「平和の波」行動、世界大会の取り組みをスライドで紹介したあと、世界大会参加者からの発言、活動交流が行われました。「市民運動が世界に影響を与える前進をとげていることに感銘した」(芦屋市)
「四十年ぶりに世界大会に参加し、みんなの発言は鳥肌がたつほど素晴らしかった。世界中の運動をやさしい言葉で、自分の言葉で伝えられるようにがんばりたい」(西区)
「平和の波行動に三十二人参加し五十八筆の署名が集まった。大勢で楽しく活動するのが大事。署名を伸ばすために高校門前行動を計画。チラシでは反応が鈍いので、動画視聴につながりQRコード付きの栞を作る。青年が観て反応する動画がほしい」(須磨区)
「事務局体制の強化もめざして世界大会に複数で参加。オンライン視聴会には申し込まなかった人も来て八人が参加。少し明るい見通しができた」(但馬/その後、豊岡市議会が「平和都市宣言」を採択)
「核兵器、軍事費よりも国民を救済する方を優先するべきだと実感できた」(民青同盟)
「若い人のがんばりが見えた大会で希望が持てた。豪州が政権交代を実現して締約国会議にオブザーバー参加させた。核兵器は非人道的という見地から働きかけることの重要さを実感した。ジェンダーの視点が一貫して強調されたことに共感した」(AALA連帯委)
――など十人の報告はいずれも世界大会の感動を語り、次の運動の決意とアイデアを表明するものでした。
小村潤さん(さきの参院選兵庫選挙区候補)も長崎大会に参加し、現地でナガサキ・デー行動に加わって署名行動を行った経験を報告しました。
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兵庫県原水協は、県下各地で報告会と「広島宣言」の学習・具体的実践の話し合いを進めることにしています。〔梶本修史=県原水協事務局長〕
(兵庫民報2022年9月11日付)16:00