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長崎大会会場で海外代表らとともに(右から3人目が小村潤さん) |
古澤佑貴さん(兵庫民主医療機関連合会)
今回の原水爆禁止世界大会は、「衝撃」を感じる世界大会だった。三年ぶりのオンラインを交えたハイブリッドで開催され、三日間で現地では千六百名以上、オンラインでは千八百カ所以上と全世界から注目された大会だったと感じた。
そして私自身も核兵器・放射能の恐ろしさ、平和の大切さを再認識する大会になった。日本では、広島・長崎に落とされた核兵器による被ばくに苦しむ方の戦いが今でも続いていること。同じ放射能に苦しむ福島の原発事故。世界でもアメリカの水爆実験による被害に苦しむ人たち。だが核兵器・放射能に苦しんでいる人が救われない現状に虚しさと怒りを感じた。そして現在もロシアによるウクライナ侵略戦争で核兵器が使用されるかもしれない現状に恐怖を覚えた。
また「黒い雨被爆者の証言」「米国の原爆投下の責任を考える」分科会では、戦後七十七年経った今でも原爆症認定がされず、後遺症に苦しんでいる方が大勢いること。そして原爆投下の責任のある日本・アメリカの誠意のない対応が被爆者をより苦しめている状況に憤りを感じた。
日本の核兵器禁止条約・核不拡散条約の姿勢を聞いた中学生からは「どうして核兵器を使用された日本が核兵器禁止条約に賛成しないのか」と感想があり、若い世代が日本政府の姿勢に素直に疑問を感じたことは嬉しく感じた。
大量殺戮・地球破壊兵器である核兵器が一つでも世界にある限り、真の平和が訪れないこと。また核兵器がなくなっても原発がある限り放射能の恐怖はなくならないこと。そのことを日本の仲間と全世界の仲間と共有できたことは、今後の活動していく大きな力になったと思う。
KAさん(学生)
原水爆禁止世界大会で印象に残った発言を紹介します。ベルギー「平和」グループのルド・デ・ブラバンデル氏は、NATO(北大西洋条約機構)がTPNW(核兵器禁止条約)に反対するのは、核戦略での政治的結束を脅かすためであると述べ、続けて「NATOは軍備管理、軍縮、不拡散に取り組んでいるが、核兵器が存在する限りNATOは核同盟にとどまるであろう」というNATOの主張を紹介しました。
私にはこの主張が腑に落ちました。核の非人道性、残虐性は万人に共通の理解であるとしても、核抑止を唱える者たちがなお核と訣別できないのは、核をめぐる態度によって同盟がつくられ、そのもとで外交や経済が切り離せなくなっているためであり、為政者たちは核の善悪を論じる前に、核を議論に据えた国家間の協力関係を断ち切れない事情があると感じました。
個々人の為政者が腹のなかで核の抑止を本当に信じているか否かは私の存するところではありませんが、私には彼らは核以上に核同盟に甘んじているように見えます。被爆者の思いなど馬耳東風、国家間の利権が先行しています。
この軍事利権のもとでの団結を崩すには、軍事に代わる協力の枠組みが必要です。武器ではなく対話での外交の場として、OSCE(欧州安全保障協力機構)やASEAN(東南アジア諸国連合)をこそ発展させるべきです。
それをすすめるのは市民の声にほかなりません。当事者の思いが結集するこの大会に、核抑止を掲げる為政者たちは目を背けてはなりません。
小村潤さん(日本共産党兵庫県国政委員長)
原水爆禁止二〇二二年世界大会ナガサキデー集会に兵庫県原水協チームとして参加しました。
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長崎の原子爆弾落下中心碑を訪ねる小村さん |
九日の長崎会場で開会前に海外代表の皆さんと記念写真。海外の方との交流が久々でドキドキしました。こんな時のために英語の名刺も必要だな、とか、英会話が出てこなくてインドネシア語ばかり頭に浮かんできたり、と課題山積です。
海外代表の報告は「核兵器の非人道性と、核廃絶を地道に訴え続け、核兵器禁止条約実現の道を拓いてきたのは、ヒバクシャの皆さんと、平和を願う世界の市民である」ということを実感するものでした。「軍事拡大を優先し、人間のニーズを犠牲にする政策ばかり。その巨費があればどれだけの病人、赤ん坊、女性、貧困などを救えるか。政府の優先順位の転換を」との訴えは万国共通なんだと確信しました。
NPT再検討会議から帰国した笠井議員も報告にかけつけました。「フィジー代表がNPT第六条(すべての締約国に核軍備縮小撤廃の交渉を行なうよう義務付け)が肝心!と訴えた直後、岸田首相は六条にも核禁条約にも言及せず、後の米国ブリンケン国務長官は日本の岸田首相のスピーチは素晴らしかったと、もてはやす始末」という話が印象的でした。
集会後、商店街での署名運動にも参加。学生さんや女性達が「絶対に戦争はイヤ」と署名する様子を見て、戦争で犠牲となるのは若い人や女性であり、差別や破壊、暴力は絶対に嫌だと声を上げる中心的存在だと確信しました。貴重な体験をさせていただき、今後も平和実現のために頑張る力をもらいました。
(兵庫民報2022年8月21日付)14:00