Web版の発行はしばらく休止します

「兵庫民報」編集部は2012年11月から専任1人で続けてきましたが、その1人も2020年末で退職し、2021年1月からは嘱託となりました。編集業務の整理のため、「兵庫民報Web版」はしばらく休止いたします。それにともないTwitterへの転送も休止します。 紙版の通常号のご購読をお願いします。

2022年7月31日日曜日

若者がふつうに暮らすには時給1600円以上が必要:最低賃金1500円以上を――兵庫労連が「最低生計費調査」結果発表


兵庫労連は二〇二〇年から取り組んできた「最低生計費調査」の結果を七月二十日に発表しました。
*
最低賃金は、中央最低賃金審議会で全国をA、B、C、Dの四つの段階に分け目安が示されます。
その目安をもとに都道府県の審議会で①労働者の生計費、②労働者の賃金の状況、③企業の賃金支払い能力を総合的に勘案して最低賃金の金額が決定されます。
兵庫県のいまの最低賃金は九百二十八円で、この金額未満で働かせることは違法となります。しかし、最低賃金で週四十時間働いても、月額十六万円、年収で百九十三万円にしかなりません。いわゆるワーキングプアの状態です。
*
今回、兵庫労連が調査した最低生計費は、「若者がふつうの暮らし」をするには最低でもいくらの時給額が必要かを統計的に調査したものです。その結果、男性で時間額千六百二十六円、月額二十四万三千九百三十二円、女性で時間額千五百八十二円、月額二十三万七千三百十一円が必要だと算出されました。
これまでに同様の調査が全国二十六都道府県で実施されていますが、都市でも地方でも、どの地域でも千五百円程度の時間額が必要だとの結果が出されています。いまの最低賃金では、普通の暮らしができないことが結果から得られました。
*
七月二十九日には、この調査結果をもとに最低賃金の大幅な引き上げを求めて、兵庫地方最低賃金審議会で意見陳述を行います。
また、兵庫労連は審議会と専門部会の全面公開と、審議委員の公平な任命と、女性の任命を求めて労働局との交渉を行っています。
*
七月二十日は土井直樹兵庫労連事務局長らが兵庫県庁で記者会見。調査について監修を行った静岡県立大学短期大学部の中澤秀一准教授が同席し、集計方法や得られた結果について説明しました。


記者からは、最低賃金と今回の最低生計費調査との関係や、モデルケースとした二十五歳の若者の統計について質問が出されました。
記者会見の様子の録画は兵庫労連Webチャンネルで視聴できます。
〔岡崎史典=兵庫労連事務局次長〕

兵庫最低生計費試算調査の結果について

――兵庫で若者がふつうに一人暮らしをするには時給1600円が必要

2022年7月20日 兵庫県労働組合総連合

○現在の兵庫県の最低賃金は928円である。この金額では、フルタイムで働いたとしても月額16万円程度である。年収200万円にも届かず、ワーキングプア状態である。

○兵庫県労働組合総連合(兵庫労連)では、兵庫で労働者がふつうに暮らすために必要な費用を科学的データにもとづいて明らかにするために、初めて最低生計費試算調査に取り組んだ。

○具体的には、主に兵庫労連に加盟する各単産の労働者を対象に、生活のパターンを調べる「生活実態調査」及び持ち物をどれくらい所有しているのかを調べる「手持ち財調査」を実施し、それらの結果をもとにふつうの暮らしに必要な費用を一つひとつ丁寧に積み上げる「マーケット・バスケット方式」により算定した。

〇調査には、約750名が回答をしている(回収率約10%)。今回は、その中から兵庫に住んでいる、もしくは兵庫で働いている一人暮らしの若者112名分(女性=41、男性=71)のデータの分析結果を報告するものである。

○兵庫県で若者がふつうに一人暮らしをするためには、男性=月額243,932円、女性=月額237,311円(ともに税・社会保険料込み)が必要である。これは年額に換算すると約300万円となる。ちなみに、2月に大阪府でも同様の調査結果が公表されているが、男性=月額244,951円、女性=月額242,110円であった(ともに税・社会保険料込み)。

○この生計費で想定した「ふつうの暮らし」の内容は、以下のようなものである。
  • 神戸市須磨区板宿の25m2の1Kワンルームマンション・アパートに住み、家賃は管理料込みで46,000円(2階、エアコン付き)。通勤には公共交通機関を使い、月の交通費は約10,000円。
  • 冷蔵庫、炊飯器、洗濯機、掃除機などは、量販店で最低価格帯のものでそろえた。
  • 1か月の食費は、男性=約44,000円、女性=約36,000円。朝晩は家でしっかりと食べ、昼食について男性はコンビニなどでお弁当を購入し(1食あたり500円)、女性には週に2日は弁当持参の日もある。そのほか、月に2回、同僚や友人と飲み会・会食に行っている(1回当たりの費用=3,000円で、女性はこれにランチが1回追加される)。
  • 休日は家で休養していることが多い。1泊以上の旅行は帰省を含めて年に3回で、その費用は年間9万円。月に4回は、恋人や友人たちと郊外のショッピングモールに行って、映画・ショッピングを楽しんでいる(1回2,000円で月に8,000円)。
○試算の月額を賃金収入で得ようとすると、時給換算で男性=1,404円、女性=1,365円(中央最低賃金審議会で用いる労働時間=月173.8時間で除した場合)になるが、これはお盆もお正月もGWも想定されていない、きわめて非現実的な働き方である。ワーク・ライフ・バランスに配慮した労働時間で換算(月150労働時間)してみると、男性で1,626円、女性で1,582円となる。これまでに調査を行った全国26都道府県の結果には大きな差はない。つまり、最低賃金は全国一律で1,500円以上に引き上げなければならないという結論となる。

〇昨今の物価高騰の状況にあって、すべての労働者・国民の生活を守るためには、最低賃金は労働者の生計費の水準まで引き上げられなければならない。賃金の底上げこそが日本経済が再生するためのきっかけになる。今年の最低賃金審議会でのまっとうな議論に期待したい。
以上


(兵庫民報2022年7月31日付)11:30

兵庫革新懇と県憲法共同センターが全県交流会議:危険な「改憲・軍拡」翼賛の動きのなか、各地域から強固な共同めざそう

交流会議後の緊急デモ

危険な「改憲・軍拡」翼賛の動きのなか、〝各地域から強固な共同をめざす全県交流会議〟を七月二十四日高教組会館で開催。主催は兵庫革新懇と憲法改悪ストップ!兵庫県共同センター。学習しつつ、秋へのたたかいへ意思統一しました。
司会と進行は樫村庸一兵庫革新懇事務局長が担当。石川康宏神戸女学院大学名誉教授が「二二年参議院選挙結果とこれからの憲法闘争」のテーマで八十枚の画像を駆使し、九十分の講演をしました。

石川さんの講演


石川さんは、まず二〇一三年以降の衆参選挙の推移を詳細なデータで示し、単なる議席数でなく投票率や得票率の変化、その背景にある国民生活の困難な状況と対比させつつ解説。参議院選挙結果としての議席数変化とともに投票率と得票数の推移を分析し、明らかに自公政権の支持が減少していることとその原因を多角的に検討しました。
しかし、改憲派は十三議席増となりました。石川さんは、二〇一三年以降、市民と野党の共闘が驀進することに恐れた自公政権と財界が「市民と野党の共闘を分断する」大きな〝しかけと圧力〟を行い、残念ながら一部の野党が屈服したり脱落したことが主因であることを様々な資料で解説しました。
こうした結果を受けて、岸田政権とその軍拡の状況を示し、敵基地攻撃能力の軍拡だけで数百倍の軍事力を持つ中ロと対決するような政治は日本列島が壊滅する道だと批判しました。
「なぜ安倍元首相が銃撃で死去したのに、ウルトラ右翼の安倍政治を引き継ぐ岸田政権になっているのか」について、「自民党内の保守派」とは統一協会・勝共連合・日本会議に毒された「右翼集団そのもの」だと指摘しました。
こういう事態に対し「では、我々はどうたたかうのか」について石川さんは、「侵略やめよ」の圧倒的な国際世論、その原動力となっているのが国連憲章であり、同時に世界戦争を二度と起こさない日本国憲法の「九条に象徴される平和への希求」だと強調しました。実際にニュージーランドの首相が世界の動きについて「民主対専制」との見方は間違いで、「中国もロシアを支持せず国連憲章の立場で私らの仲間に入ってほしい」と述べているように、世界各国は変わりつつあると述べました。
石川さんは私たちのいまからのたたかいについて、一つの例として「選挙に行かなかった人たちも含めた世論調査では、憲法九条は変える必要がないという人が多数。むしろコロナ第七波、すごい物価高騰でくらしが大変。大門実紀史さんが『やさしく強い経済学』でのべているとおり、給料アップ・最賃千五百円などまず国民のふところを温め内需拡大で日本経済を正道に戻す運動を強めよう」と訴えました。
そのためにも参院選の悔しさを沖縄知事選から立て直すことを最優先にしつつ、あらゆる地域で「市民と野党の共同」の再生・再建・強化が最重要だと結びました。

活動交流

  • 新婦人須磨支部 須磨共同センターの事務局も担当し、全国署名は千二百筆に到達。七月中に四百五十筆集めて目標を達成したい。新婦人の憲法リーフの人気は非常に高く、一つの班で八百部も使って成果を上げている。
  • 明石革新懇 長年、市内の様々な団体で共催している〝ピースフェスタ〟は改憲反対を明確にしているが、読売新聞も後援している。この歴史が基盤となって〝総がかり行動明石〟が統一行動できている。明石駅前で二百名、大久保駅では百名規模で宣伝。先日は女子高校生が飛び入りスピーチ、さらに男子高校生数人もビラをたくさん持ち帰った。改めて運動の狭さの克服が必要と感じている。
  • 北区・九条の会 「西鈴の会」は十三年間「九条を守れ」の一点で団結し、今も七千枚のニュースを発行し全戸に配布している。「戦争法に反対する北区の会」は各九条の会や各団体が総結集して頑張っている。
  • 長田区革新懇 戦争させない長田の会、「九条の会連絡会」、革新懇の三者でいつも行動を取り組み、その上で区内の各政党も参加してもらい、大きな宣伝もしている。「いま大事なのは沖縄知事選」ということを大きく打ち出し、街頭宣伝しつつ現地派遣も行う。
  • 元弁護士の深草徹さん 『9条とウクライナ問題』と題する書籍を発刊。憲法九条の文だけでなく世界平和を希求していることを強調した。

行動提起とまとめ

津川知久憲法共同センター代表は、石川さんの講演で「はっきり方向」が見え、交流発言の「長年の定時定点などの宣伝行動」の持続性によって、高校生までが飛び入りで参加してくる変化を確認しようと述べました。そして「黄金の三年間にさせない」ために当面の行動提起として①あらためて憲法全国署名を②コロナ禍第七波と熱中症に気をつけながら学習を③署名の数も大切だが、むしろその一筆をもらうための〝対話〟を重視しよう④各団体や地域は、それぞれの「諸要求実現」のため幅広く共同を拡げよう――と訴えました。
最後に、「安倍元首相の賛美・礼賛、国民への弔意の強制に繋がる「国葬」に強く反対し、撤回を求めます」との決議を参加者全員で確認しました。

緊急デモ

交流会議終了後、花隈公園に集まった三十五名が元町商店街から大丸前、三宮商店街を「ロシアは侵略戦争をやめよ」「大軍拡でなく、憲法九条と国連憲章で話し合い外交実現せよ」など訴え、行進しました。
〔速水二郎=憲法共同センター〕

(兵庫民報2022年7月31日付)11:00

神戸製鋼さん石炭火力発電所つくらないで――裁判日記(民事訴訟第16回):人間活動が温暖化を進めている、残されたCO 2排出量はわずか

原告・廣岡 豊(写真左端)


神戸製鋼の石炭火力発電の建設・稼働の中止を求めた民事訴訟の十六回目の期日は七月十九日。原告側二人――専門家証人の東京大学教授の江守正多さんと原告証人の高田寿子さん――の証言が行われました。

江守さんは昨年発表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)第六次報告書の作成にかかわった科学者の一人として以下のように証言されました。
――IPCCの報告書は二百人の世界の科学者のチームで作成される。作成までには何回もレビュー(批評、論評)が行われ各国からコメントが寄せられ精度が高くて正確な報告書になる。第六次報告書では近年の気候変動(温暖化)の原因は「人間の影響が気候システムを温暖化させてきたことは疑う余地がない」と断定した。
――その根拠として過去二千年の気温の変化で近年ほどの上昇の時はない。特に産業革命以降に急速に上昇している。自然現象による要因では説明がつかない。
――その原因として産業革命以後二酸化炭素濃度が急上昇している。世界は一・一℃上昇した平均気温を一・五℃までに押さえることを決意した。そのためのカーボンバジェット(残り炭素排出量)は四千億㌧しか残っていない(現在の排出量で約十年分)。
――ティッピングポイント(元に戻せない)を超えると気温の上昇により①高温(熱中症)②大雨(水蒸気の増)③干ばつ④海面上昇⑤食糧や水、生態系が侵されるなど被害が増大して人権が侵害される。神戸でも二〇一八年のような浸水被害や大雨による土砂災害が多発する。

原告の高田さんは「娘が神鋼石炭火力発電所近くの幼稚園に通うようになってからぜん息になった。横になれば発作が激しいので二人で座ったまま一晩過ごしたこともある。娘も「コンコンが出る」ので幼稚園には行きたくないと言っていた。発電所から離れた山手の小学校に通うようになってからぜん息もかなり改善した」など深刻なぜん息の状況を証言しました。
また、「自宅が川に囲まれた土砂災害警戒区域なので温暖化による大雨や土砂災害の危険も心配」と訴えました。

次回の期日は十月十八日(火)十一時から。結審の予定です。

(兵庫民報2022年7月31日付)10:30

参院選結果からこれからの社会考える:民青県委員会が学習会

民青同盟兵庫県委員会は七月十八日、「選挙結果から見えるこれからの社会」と題して学習会を開きました。講師は日本共産党兵庫県委員会の松田隆彦委員長。
*

松田さんは今回の参院選を振り返り、論戦では日本共産党が外交でも暮らしの問題でも自民、公明、維新を追い詰めたと解説。とりわけ軍拡の問題でこれらの政党は堂々とその主張を兵庫県民の前でできなかったと紹介しました。
憲法改正についても自民党支持層の中ですら「憲法改正を急ぐべきでない」の声が多いことを示し、「改憲勢力三分の二というが、国民は白紙委任したわけではない。国民世論をさらに広げていくたたかいがこれから大事」と話しました。
そして最後に自身が民青同盟に加盟し入党した経緯とその後の活動家としての生き方を語りました。
*
感想交流では――「唯一政党の中でリアルな外交政策を掲げていることが重要だと思って今回応援したいと思った。対話や論戦で与党を追い詰めたという話が印象的。民青として希望が持てた」
「さっそく自民党議員が安倍元総理の意思を受け継いで九条改憲を達成すると訴えているのを見て、必ずこれを阻止しないといけないと思った」
「今回も投票率が低くて、自分の周りでも生活に関わる問題なのにそれが認知されていない問題があった。どこから情報を仕入れたらいいかわからない、どこに投票したらいいかわからない、という声がたくさんあり、だからこそ個々人が発信しないといけない。だからこそ食料支援での対話や、シールアンケート対話で知らせたり、地道だけどそれが大事だと思う」――など活発に意見が出されました。
〔上園隆=民青県委員長〕

(兵庫民報2022年7月31日付)10:00

「私たちの個人情報をわたさない 神戸市民の会」が学習会――改正「個人情報保護法」による後退許さず、自衛隊への個人情報提供を中止させる運動を全国的な運動に


神戸市が自衛隊に求められるまま、電子データとして十八歳、二十二歳の個人情報を提供し始めたのが二〇二〇年、今回の学習会のテーマである「個人情報保護法」が改正されたのが二〇二一年五月です。改正された個人情報保護法が自衛隊への個人情報の提供についてどのような影響を与えるか、「私たちの個人情報をわたさない 神戸市民の会」は七月二十二日、神戸学院大学の福嶋敏明教授を講師に迎えて学習会を開催しました。
「個人情報の保護」については、自治体が先行して国が追随してきたこれまでの経過があり、全国の自治体や公共団体ごとに「個人情報保護」の条例や制度が設けられていますが、これを国の一元的な管理のもとに集約しようとしているのが今回の改正の大きな目的です。個人情報の保護よりもいかに活用しやすくし、その情報で民間が利益を生み出せるか考え抜かれた法律となっています。
自衛隊への個人情報の提供については、神戸市のように何ら制限を加えることなく提供しているケースから、個人情報保護審議会に意見を求めて提供に制限を加えた福岡市や、自衛隊法などの法律では「提供を義務付けている」とまでは言えないと判断し提供を行っていない自治体も多くあります。今年五月には、市民・市民団体の運動により尼崎市が提供の事実をホームページで告知し、提供を望まない市民の情報については利用停止請求(オプトアウト)も認めるようになりました。兵庫県弁護士会も県内のすべての自治体に意見書を送り、自衛隊法と施行令は提供の根拠法にならないことを指摘しています。
改正では、このような自治体の独自判断をさせないように「個人情報保護委員会」が規制。自治体での個人情報保護の後退をもたらし、憲法九十二条、九十四条の地方自治体の本旨や条例制定権を侵害することにつながり、住民自治を脅かすものとなります。
福嶋教授は、宇賀克也最高裁判事の著書を引用し「個人情報保護法が定める共通ルールの遵守することのみに意を用いて、あるべき個人情報保護制度について検討する意思を放棄してしまうとしたら、それはわが国の個人情報保護制度の発展にとって望ましくない」との結果につながるとし、自衛隊への個人情報提供問題について全国的運動へと発展させることが課題になっていると結びました。
*
「私たちの個人情報をわたさない 神戸市民の会」では個人情報の提供中止を求めて署名に取り組んでいます。是非、多くの方に署名への協力をお願いします。
〔岡崎史典=同会〕

(兵庫民報2022年7月31日付)9:30

観感楽学


一九四五年八月十五日、無謀な戦争に敗北してから七十七年の歳月が流れた。戦後、戦争犯罪を暴く軍事裁判で多くの軍人や政治家たちが裁かれることになったが、安倍元首相の祖父・岸信介も最も責任の重いA級戦犯として同年十二月に巣鴨プリズン(監獄)に収監された。同じプリズンにいたのが児玉誉士夫であり笹川良一だった。彼らは戦時中から軍の中枢部に深くかかわり多くの隠匿物資と情報機関の実権を握って軍や政治家を操っていた。右翼である彼らは同じプリズンに収監された岸信介と親密になりいずれもA級戦犯ながら、三年後の一九四八年十二月に釈放されている▼戦後、右翼勢力が日本の政治に深くかかわるようになるのは巣鴨でつながったこの三人が源流といわれ、背景にはアメリカCIAの関与も指摘されている▼ところで、安倍元首相の殺害事件以降、統一協会と自民党などの関わりが追及されているが、そもそも、一九六〇年代、日本国内に統一協会・勝共連合の活動を広めようと画策したのは児玉、笹川ら右翼と岸信介だったとされる▼安倍元首相が尊敬してやまなかった祖父・岸信介が右翼とともに日本に持ち込み、その布教活動を支えた統一協会が孫の安倍元首相の命にかかわるとは、なんともおぞましくおそろしいものだ。(D)

(兵庫民報2022年7月31日付)9:00