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2022年7月24日日曜日

7月末と8月の発行予定


7月31日付:第5日曜日ですが8月14日付の代わりに発行します。
8月 7日付:発行します。
8月14日付:『しんぶん赤旗日曜版』の配送がないため『兵庫民報』は発行しません。
8月21日付:発行します。
8月28日付:発行します。

(兵庫民報2022年7月24日付)14:30

論点知れば「憲法9条守るべき」:青年とシールアンケートで対話――民青県委員会


民青同盟兵庫県委員会はこの参院選で、「憲法九条についてどう思う?」と「気になるキーワード」の二つの項目で対話するシールアンケートに取り組みました。〔上園隆=民青兵庫県委員長〕

問1「憲法九条 どう思う?」

合計四百二十枚のシールが貼られ、「憲法九条は守るべき」が二百八十七枚(六八・三%)、「変えるべき」は六十六枚(一五・七%)、「わからない」が六十七枚(一六・〇%)という結果でした。
*
まず「憲法九条については何が論点になっているか知っていますか」と聞くと「知らない」と答える青年が多く、こちら側から個別的自衛権と集団的自衛権、敵基地攻撃能力など問題になっている論点を説明した上で問うと、大半の青年が「憲法九条守るべき」と答えました。
「守るべき」と答えた理由を聞くと「戦争になるから」「変えてしまうと取り返しのつかないことになってしまう」「先制攻撃はやりすぎ。専守防衛であるべき」などの声が相次ぎました。
*
一方、「変えるべき」にシールを貼る青年に理由を聞くと「アメリカ言いなりをやめるためにも、日米安保条約で守ってもらうのではなく自分で守れるようにした方がいい」と答える青年が各地で一定数いました。「どのあたりがアメリカ言いなりだと思う?」と尋ねると「辺野古の基地問題とか明らかにおかしいのにアメリカにものが言えないこと。大学の授業で勉強して沖縄の実態を知って、自分なりに色々考えると日米安保条約を無くすために憲法九条は変えるべきだと思った」と話します。
そこで「核兵器禁止条約に入るなどのように、アメリカ言いなりをやめる外交的アプローチも重要で、その方が現実的だと思いますがそれはどうですか」と問いかけると「それは賛成ですね」と答える青年もいました。
この意見はどの場所での宣伝でも一定数出された意見であり、「日米安保条約によるアメリカ言いなりを変えるべき」だと考えているという点で重要です。

問2「教えて! 気になるキーワード」

「学費」「長時間労働」「物価高」「ケア労働の低賃金」に多くの青年がシールを貼りました。
「学費が高すぎる。自分でやりくりしているので学費を下げてくれたら助かる」「教員を目指していて長時間労働は本当に深刻だからなんとかしてほしい」「保育士を目指して勉強しているけど、給料が低すぎるから本当にその職に就くかどうか悩んでいる」など現状を変えたいとの思いが次々と寄せられました。
これらの声には、日本共産党の「やさしく強い経済」の政策が非常によく噛み合って共感がその場でも表明されました。
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岸田政権は選挙後早々、改憲について「できる限り早く行う」と述べていますが、今回の対話で示されたように、青年は憲法九条改憲を許しません。

(兵庫民報2022年7月24日付)14:00

新型コロナウイルス関連の給付金は県営住宅家賃算定に含ませず:山添参院議員への政府答弁生かした日本共産党県議団の質問実る


兵庫県は、七月十三日、県営住宅各指定管理者に対し、新型コロナウイルスに関連する給付金等(持続化給付金、各種協力金等)について、県営住宅の家賃算定に含まないことができる旨を通知しました。県は、さらに「県住だより」で県営住宅の全居住者に周知するとしています。
これは、日本共産党の入江次郎県議が、六月十六日に建設常任委員会で質問したことに対する対応として、十四日、建設常任委員に報告されたものです。
入江県議は、日本共産党の山添拓参院議員の質問主意書への政府答弁書(四月二十二日付)を示し「持続化給付金などは一時的な収入として扱い、県営住宅の家賃算定に含まないようにすべきだ」と要求。このときは、「検討する」との答弁でした。
十四日の報告では、入居者から持続化給付金等が一時的な収入だと申請があり、確定申告書などで確認できる場合、家賃算定の収入としないこと、入江議員の発言も踏まえ入居者などへの周知が必要だとして、指定管理者へ通知、『県住だより』に掲載する――などとしました。
〔門屋史明〕
*
山添拓参院議員への政府答弁書(四月二十二日付)は――
「公営住宅の事業主体の判断により、公営住宅の入居者及び同居者が受給した持続化給付金等を、「公営住宅法施行令第一条第三号の収入の認定の特例について」(昭和三十六年三月六日付け住発第五十六号建設省住宅局長通知)における「退職所得、譲渡所得、一時所得、雑所得その他の所得のうち一時的な収入(おおむね一年以内の期間ごとに継続的に得る収入でないもの)」に該当するものと取り扱い、所得金額の認定に当たって当該持続化給付金等の額を除くこととすることは可能である」としています。
市営住宅・町営住宅についてもそれぞれの市町の判断で県営住宅と同様、持続化給付金を家賃算定に収入から除くことができます。

◎質問主意書と答弁書
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/208/meisai/m208035.htm

(兵庫民報2022年7月24日付)13:30

県の物価高騰対策:中小事業者への一時支援金、15日から申請受け付け

兵庫県が原油価格や原材料価格高騰等への対策として、売り上げの減少した中小法人・個人事業主などに支給する「兵庫県中小企業等一時支援金」の申請が七月十五日から始まりました。同支援金は、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用した事業。兵庫県の補助を受け、公益財団法人「ひょうご産業活性化センター」が実施しています。
支給対象となるのは、①国の事業復活支援金を受給している②県の経営円滑化貸付(原油価格高騰、原材料価格高騰)を借り受けており、県内に本店の所在地ある中小法人、県内に住所地がある個人事業主です。
支給は一事業者につき一回限り。申請受付期間は七月十五日から九月三十日までですが、「申請期限前であっても、予算額に達し次第終了となります」としています。
支給額は、国の事業復活支援金の受給者のうち売上高減少率が五〇%以上、または県の経営円滑化貸付の利用者は、中小法人等三十万円・個人事業主十五万円、事業復活支援金の受給者で売上高減少率が三〇%以上五〇%未満は、中小法人等二十万円、個人事業主十万円です。
申請は「原則、オンライン申請」としていますが、「オンライン申請が困難な方は、郵送による申請も可能」としています。
〔森勇治〕
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◎申請案内ページ
https://web.pref.hyogo.lg.jp/sr07/shienkin2207.html

(兵庫民報2022年7月24日付)13:00


高砂市議選8月28日告示・9月4日投票:さかべ・大西両市議の再選へ決起集会


高砂市議選(八月二十八日告示・九月四日投票)での日本共産党の、さかべ勝彦・大西ゆき両市議の再選をめざす決起集会が七月十七日、開催されました。
参院選について兵庫選挙区候補として奮闘した、こむら潤さんが挨拶し、選挙のなかでの無党派の方々の支援の広がりも紹介し、選挙結果にがっかりしてはいられない、選挙中に掲げた政策・公約の実現のために力をつくす、と決意を表明しました。
大西市議は、前回市議選で当選したらすぐに相談が次々とやってきたと語りながら、切実な市民要求実現のため二期目への決意を訴えました。さかべ市議は、市議会で果たす共産党議席の役割を語り、憲法九条を守りぬく議席を必ずと訴えました。
今回の市議選は定数十九に九人はみ出しの大激戦の様相です。市民病院守り、高い国保料・介護保険料の引き下げなどの切実な市民要求実現に何としても勝ち抜こうとガンバロー!と参加者一同、決意を固め合い、終了後には、暑い中、早速ビラ配布に出ていきました。
〔小林明男〕

(兵庫民報2022年7月24日付)12:00

原発をなくす兵庫の会 第21回恒常学習会:石炭火力発電問題についても運動強めよう

気候危機は待ったなしの課題です。原発をなくし自然エネルギーを推進する兵庫の会(以下「原発をなくす兵庫の会」)は七月十四日、第二十一回恒常学習会を開催し、神戸製鋼石炭火力発電所について、講師に神鋼石炭火力発電公害問題灘区連絡会から廣岡豊さんを講師に迎え、こうべまちづくり会館で学習を行いました。
*

廣岡さんははじめに、ロシアによるウクライナ侵略について「人のいのちが失われることはもちろんだが、環境・自然破壊、貴重な動植物の絶滅、限りある資源の無駄遣い、気候危機をさらに加速させることにもつながり、核兵器まで使用されると数世代後まで甚大な影響を及ぼす。ロシア軍はウクライナから即刻、撤退するべきだ」と述べました。
次に、インドのバンダで気温が五十度近くまで上昇、シベリア、アラスカなどで大規模な山火事が発生、日本では二〇二〇年の球磨川氾濫、二〇二一年の九州・佐賀での大雨、そして二〇二二年は六月末に四十度越え、七月十二日の神戸での局地的大雨――など近年の世界各地での異常気象について事例を示し、気温・海水温度の上昇が影響していると説明。「その被害は、一九七〇年から二〇一九年までの五十年間で四百兆円に上り、二〇一〇年からの十年間では百五十四兆円と急激に被害額が増加していて、今後十年間で二百五十兆円も被害額が想定されている。世界一、気候リスクがあると言われているのが日本だ」と指摘しました。
近年の気候危機や温暖化は、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が「人間の影響が気候システムを温暖化させてきたのは疑う余地がない」と初めて指摘したことなど、さまざまな観測記録・資料などをスクリーンに映し、わかりやすく解説しました。
また、「気温の上昇を一・五度に抑えるためには残されたCO 2の排出量・カーボンバジェットは世界で四千億トン、人口比で日本が排出できるCO 2は六十五億トンになり、毎年十億トン余りを排出している現状を考えれば残された期間はあとわずかしかない」と示しました。
「日本政府のエネルギー計画ではアンモニア混焼などでCO 2を削減するとしているが、二〇%混焼の場合、神鋼石炭火力四基だけで国内生産量百八万トンを上回る百三十五万トンが必要であり、アンモニア一〇〇%燃焼にしてもCO 2を二割程度しか削減できない。神戸市が進める水素活用についても、褐炭という質の悪い石炭から生成される過程で大量のCO 2を排出し、なおかつ排出量については原産国に押し付ける形となり、まったく無責任な政策だ」としました。
最後に、神鋼石炭火力発電所ついて、国・関西電力・神戸製鋼を相手に起こしている裁判に対する支援を訴え、神戸市内で排出される大気汚染物質のほとんどが神戸製鋼からの排出で、石炭を燃やすことで水銀が大気に放出されていることや神鋼石炭火力発電所三・四号機の稼働で再び大気汚染が広がり、排出される温排水の影響で神戸港の水温が上昇し、神戸市民の生活と健康に影響が出ていることを語りました。
*
国を訴えた行政訴訟は、今年四月に大阪高裁が「CO 2排出による被害について原告不適格であり争う資格がない」と不当な判決を出し、原告は最高裁での審理を求めています。また関西電力、神戸製鋼所などを訴えた民事訴訟は神戸地裁で審理が進んでいて、七月十九日に原告・専門家の尋問がおこなわれ、二三年度中にも判決が出される見込みです。
原発問題とともに石炭火力発電についても運動を強め、裁判所に石炭火力発電の停止を求める判決を出すよう求めましょう。
〔岡崎史典=同会〕

(兵庫民報2022年7月24日付)11:30

論点詳論:気候危機回避と日本の水素エネルギー開発――後編――:西川榮一(神戸商船大学名誉教授)


■大量の水素利用を見込んでいる6次エネ基本計画

国の温暖化対策は、CO2排出量を2013年比で2030年までに46%削減(日本共産党は50~60%の削減必要と指摘しています)、50年までに排出実質ゼロにするという目標を立てています。そしてこの目標を視野に入れて6次エネ基本計画が作られ、エネ政策が進められています。水素・アンモニアについては以下の計画になっています。(水素を原料にしてアンモニアを作れば、化石燃料に替わる脱炭素燃料に使えるとして6次エネ計画は重視しています)
①供給量は、2030年で水素、アンモニアそれぞれ300万t、2050年で水素2000万t、アンモニア3000万t(水素換算500万t)。
②製造は、2030年までは現在の製造法によって調達し、その間クリーンな水素・アンモニア大量供給のために革新的技術を研究開発し、30年以降その技術を実用化してクリーンな水素・アンモニアを供給する。
③2030年、発電電力量9340憶kWh、その1%を、2050年は、参考値ですが、発電電力は30年比1.3~1.4倍程度、その10%を、水素・アンモニアで賄う。
現在、日本の水素生産は年200万t程度といわれますが、そのほとんどは自家消費で一般用途への供給量は数万t程度、アンモニア生産はおよそ100万tですが、そのほとんどは肥料用途です。この需給量の現状と比べると①の計画供給量は大変多く、水素もアンモニアも、製造、輸送・貯蔵、利用など全面にわたる大規模な供給体制を一から構築しなければならず、巨大な投資事業になります。この水素・アンモニア計画、ここでは2つ問題点を指摘しておきます。

□1つは、急迫している気候危機回避に役立たない

現在の水素、アンモニアの製造法ではその製造過程でCO2が排出されます。アンモニア製造では石炭を燃やした場合のCO2とほぼ同量が、水素製造では70%程度が排出されます。なので前者では削減効果ゼロ、後者では20%混焼とすると削減効果6%です。これでは2030年まではCO2削減はほとんど期待できません。50年以降はどうか。電解法による水素製造ならクリーン電力つまり再エネ電力が必要です。①にあるように、50年にはアンモニアの分も合わせると2500万tの水素供給が計画されています。これを水の電気分解で製造するとなると一兆数千億kWhもの再エネ電力が必要です。確かな再エネ電力生産の準備なくしては不可能でしょう。計画では、その頃になれば世界で安価な水素が製造されるようになっているだろうから、不足分は輸入すればよいとみています。日本は世界に先駆けて水素液化タンカーの開発も進めている、というのです。そんなに都合よくいくでしょうか、外国の水素依存、輸入依存では危うい。国産による再エネ主力電源化は6次エネ計画の柱の1つですが、それとも矛盾します。

□2つは、無駄の極み、火力発電の代替燃料という使い方

アンモニア3000万tはほとんどすべて石炭火力の代替燃料に利用されるのでしょう。クリーンなアンモニアであるためにはその原料となる水素500万tを作るのに2500億kWhの再エネ電力が必要です。一方、このアンモニアを燃料に使って発電できる電力は、発電効率43%、およびアンモニアの製造、輸送・貯蔵、発電プラント維持、送電などのためのロスを考えると、700億kWh程度でしょう。つまり2500億kWhの再エネ電力を使ってその30%にも満たない電力しか作れないのです。2500億kWhを送配電して直接需要側に届ければほとんどそのままの量利用できるでしょう。しかも石炭火力もアンモニア供給施設整備も不要です。2000万tの水素もかなりの部分は、化石燃料の代替燃料としてガスタービンなど在来熱機関に利用されるのでしょうが、アンモニアほどではないとしても、同じように大きな無駄を伴います。

■いま全力かけるべきは再エネ利用拡大の取り組み

再エネ利用拡大は、急迫の気候危機回避のために待ったなしの課題です。再エネ利用を拡大すれば拡大しただけCO2排出量は削減されます。再エネ利用の技術はすでに広く実用化され、その生産体制も整っており、コストも下がってきています。日本では再エネ利用が遅れているといわれています。これまで旧大手電気事業者は再エネ電力拡大に積極的ではありませんでした。政府の施策もそれに追随してきた面があります。そのような態度が反映しているのでしょう。いま日本で送配電網とその運用の仕組みが再エネ電力拡大のネックになっています。政府も旧大手電気事業者も、いかにして再エネ拡大を加速させるか、その方向に方針を転換すべきです。政府は再エネ拡大施策の強化を、大手電気事業者は送配電のしくみを再エネ電力拡大最優先に改善を急ぐべきでしょう。
水素は、在来熱機関の延命ではなく、化石燃料依存の熱機関からの脱却に向けて、その利活用が図られるべきです。そうしてこそ再エネ電力の拡大とともに、“水素社会”への展望も開けてくると思います。

(兵庫民報2022年7月24日付)11:00

日本共産党の元兵庫県委員長、元国会議員、元兵庫県議団長、元神戸市議団長のみなさんが連名で訴えを発表しました。:県委員会事務所大規模改修への募金を訴えます

党員、後援会員、支持者のみなさん。今回の参議院選挙と日本共産党への日ごろのご支援、ご協力に、私たちからも心をこめて感謝いたします。

さて、このたび、県委員会が党創立百周年記念事業として、県委員会事務所の大規模改修を決意し、募金への協力を呼びかけました。二〇二三年六月に着工し、工期一年、総事業費一億六千万円の大事業です。

私たちは、現役を引退していますが、いまの事務所は、ここを拠点に国政選挙、地方選挙、統一戦線活動をはじめ、政治革新の諸運動に取り組んできた者として、特別の思いが刻まれた事務所です。同じ思いの方も多いのではないでしょうか。私たちも、この事務所の大規模改修への募金活動を成功させる一助になりたい、と考えて連名の訴えを出させていただきました。

現在の事務所は、一九六五年に著名な建築家の設計で新開地商店街の一角に料理屋として建てられたものを、一九八〇年に買い取り、事務所にしました。
最近では、国政選挙事務所、東日本大震災救援バザー会場、商店街主催のお祭り時のステージなどにも活用され、近隣の皆さんにも親しんでいただいています。しかし、阪神・淡路大震災には耐えたものの、築後半世紀を超えており、基本部分の老朽化に加え、消防上も問題が生じるなど、抜本的な改修が必要となったものです。

日本共産党は、創立百周年を迎えました。戦前、戦後を通じて労働・農民運動、平和と民主主義、社会進歩をめざすたたかいで、兵庫県党が果たした役割は、私たちの誇りです。今の事務所で活動を始めてからも、参議院兵庫選挙区での勝利、阪神・淡路大震災での立党の精神を発揮した救援活動、県議会議員選挙での十四名当選、南光町、福崎町、市川町など一時は五町に及んだ共産党員町長の誕生など、紆余曲折があっても政治革新と社会進歩をめざす運動で果たしてきた活動は、大きなものです。
日本の政治革新は、日本共産党の前進と奮闘ぬきにありえません。県委員会は、大規模改修後の新しい事務所を、強く大きな党をつくり、市民と野党の共闘を発展させ、政治を変える拠点として環境にやさしく省エネ・再エネ、防災、バリアフリー、ジェンダー平等などを考慮した「安全・快適・県民に開かれた事務所」にすることを決めています。

党員、後援会員、支持者のみなさん。県委員会事務所の大規模改修募金に、お力をお貸し下さい。お知り合いにも声をかけていただき、大口、小口、工事期間中の積立募金、さまざまな方法でご協力下さい。心からお願いいたします。

二〇二二年七月十五日

永井 堯 (元県委員長)
西川 恭次(元県委員長)
岡  正信(元県委員長)
藤木 洋子(元衆議院議員)
大沢 辰美(元参議院議員)
筒井 基二(元県議団長)
森原 健一(元神戸市議団長)

(兵庫民報2022年7月24日付)10:30


論点詳論「今こそ食糧自給率の抜本引き上げを」日本共産党国会議員団兵庫事務所長 金田峰生


コロナ禍とロシアによるウクライナ侵略によって、穀物・原油・肥料などの価格が高騰し、国連が「戦後最大の食糧危機」と警告する事態になっています。
FAO(国連食糧農業機関)は、コロナ禍で世界人口七十九億人のうち二十三億七千万人(三〇・四%)が、飢餓・食糧不足に苦しんでいると報告(『食料不安の現状2021』より)、国連は今年五月、「急性飢餓人口」が三億二千三百万人に増えると警告しました。ロシアとウクライナが、世界の小麦輸出量の約三割を占めていることが、主な要因です。二〇二一年にWFP(世界食糧計画)などが報告した「急性飢餓人口」は一億九千三百万人でした。
日本でも食料品の値上げが続き、「食料が買えない・食べていけない」国民が増えています。
世界の食料価格(平均)は二〇二〇年に比べて一・五倍以上に跳ね上がっています。このままウクライナ危機・コロナ禍・異常な円安が続き、何も手立てを打たなければ、大変な事態になりかねません。
ところが岸田自公政権は、何ら手立てを講じないばかりか、逆行しています。
小麦や飼料への転作補助金(水田活用交付金)の大幅カット、小麦・大豆の保証価格引き下げなど、農家を疲弊させ、食糧自給率をさらに下げる政策を打ち出しています。
兵庫県内のいくつかの自治体では、米の買い取り価格上乗せや、肥・飼料代補助などの支援策を講じていますが、本来、国が行うべきであり、そうしないと農業を支えることはできません。
緊急対策として、水田活用交付金の打ち切りをやめ、余剰米を政府が買い上げるなど米価下落対策を講じること、燃油、肥・飼料、農業資材の高騰への十分な対策を講じること、消費税を五%に減税し、インボイス制度を中止することが必要です。

抜本的な食糧政策・農業政策の転換が必要

同時に、抜本的な食糧政策・農業政策の転換が必要です。
日本の食糧自給率(カロリーベース、以下同じ)は三七%しかありません。小麦の自給率は一五%、大豆はわずか六%です。農地は六十年間で、かつての三分の二に減少し、基幹的農業従事者も二〇〇〇年の二百四十万人から百三十六万人へと減少しています。
長年の自民党政治がわが国の農業を壊し、今日の食糧危機をもたらしました。
日本の食糧自給率は、農林水産省が統計公表を開始した一九六〇年が七九%でした。それが四十年後には四〇%へと半減しました。
食糧自給率の異常減少の原因は、歴代自民党政権が「アメリカいいなり・財界べったり」の政治を続けているからに他なりません。
日本政府も戦後暫くは、米、麦、大豆、砂糖などを主要な農産物として保護する方針を取っていました。しかし、アメリカから、当時まだアメリカが輸出できない米、精肉、牛乳、卵などを除く農産物を輸入するよう要求され、一九六一年には大豆、翌六二年には鶏肉、鶏卵、たまねぎ、七一年にはブドウ、リンゴなどと共に豚肉、九一年には牛肉、オレンジを自由化し、九五年に麦類と乳製品、九九年には主食の米まで明け渡してしまいました。さらにTPPに加入し、国民の命の源である食糧を外国に依存する、亡国路線を突き進んでいます。
一方、歴代自民党政権はそれら農産物輸入自由化を取引材料にして、自動車をはじめとする工業製品の輸出を拡大してきました。また、一九六一年に農業基本法を制定し、「機械化」「大規模化」を推進。酪農・畜産もアメリカ式に切り替えさせ、農家に輸入飼料の使用や施設・設備の「近代化」を押し付けるなど、アメリカの巨大農業企業、穀物メジャーと日本の大企業が儲かる仕組みをつくっていきました。

資本主義国でも異常な第一次産業軽視

わが国の第一次産業軽視は同じ資本主義国の中でも異常です。
アメリカ、カナダ、オーストラリア、フランスも食糧自給率は一〇〇%を超えています。ドイツ、イタリア、そして同じ島国のイギリスも一〇〇%は切っていますが、八六%~六〇%と、日本の倍はあります(農水省調べ)。
農業支援策では、水田の持つ水質浄化機能、生物多様性の維持、洪水防止機能を評価して、その対価を農家に直接支払う(イタリア)、高関税・価格支持・輸出補助金の三点セットで酪農を保護(アメリカやEU)、農業所得に占める政府からの直接支払いの割合が八割(フランス)などに対し、日本は稲作農家に対して政府からの直接支払いは所得の二割程度です。
食糧自給率一三二%のアメリカでは、かつてジョージ・H・W・ブッシュ大統領(当時)がしばしば、「食料自給は国家安全保障の問題であり、それが常に保証されているアメリカは有り難い」「食料自給できない国を想像できるか。それは国際的圧力と危険にさらされている国だ」と演説していたように、自国の食糧自給を国家安全保障の柱として重視し、食糧生産を手厚く保護しています。
その一方でアメリカは、余剰農産物処理と食料による世界戦略を進めるため、他国には、WTO(世界貿易機関)などを通じて農産物貿易自由化を求め、「非効率な」食料生産をやめてアメリカから食糧を買うよう推進、日本は真っ先にその戦略に呑み込まれ、今も追従しています。
日本は経済力にものを言わせて、世界から食料を輸入していますが、この稿の冒頭で述べたように、世界の食料価格(平均)は直近二年間で一・五倍以上に、二〇〇〇年からの二十年間では最大三倍以上に高騰し、日本が買入競争に負ける場面が増えています。
そもそも、気候変動による不作、コロナ禍、紛争などで世界的に食糧不足になった場合、自国民の食糧確保を最優先するのが当然でしょう。日本のように、自国で食糧自給が可能であるにもかかわらず、これを行わずに輸入に依存していては、食料価格高騰を誘引し、貧困に喘ぐ国々の国民から食料を奪うことになり、さらに自国民の命を支えることもできなくなります。

日本共産党の取り組み

日本共産党は兵庫でも、種子法・種苗法の改廃や漁業法の改悪に反対し、直ちに自治体に対策を取るよう申し入れました。
価格補償と所得保障を組み合わせた農業支援、燃油対策や安全確保、海洋環境保全や外国船籍対策などの漁業支援、林道整備推進と環境保全評価、国産材市場開拓などの林業支援を提案し政府と交渉するなど、尽力しています。
日本共産党は、第一次産業を国の基幹産業に位置付けることを綱領に明記している日本で唯一の政党です。食糧自給率の抜本引き上げ、豊かな国づくりを進めるために力を尽くします。

(兵庫民報2022年7月24日付)10:00

兵庫山河の会 〈七月〉

産直の買物タイム玉ねぎはとても背負へず加齢はかなし
 石井敏子

どかどかとカタログ届く無神経旅もお洒落も無縁のわれに
 古谷さだよ

完熟のトマトも葱もしがらみもスパッと切れよ砥石を当てる
 山下直子

一輪の紫陽花柵を抜け出して皆に撫でられ俯いており
 山下正弘

アガパンサスが咲いてるよあの笑顔も一度見せてよ夏がまた来る
 山下洋美

冷蔵庫梅にらっきょに紫蘇ジュースこの年ごろの暑さ対策
 塩谷凉子

ピカソ描く「貧しい食事」のスープ皿貧しい二人の青春の糧
 大中 肇

封鎖にて小麦届かず飢える子に大食い競うこの国を恥ず
 山下 勇

この地球を即破壊する危険物造るも人なら無くすも人なり
 西澤 愼

新設の産直売場にならびたる大玉トマトは陽の匂いもつ
 古賀悦子

(兵庫民報2022年7月24日付)9:30


亀井洋示「青年の貧困」

 


(兵庫民報2022年7月24日付)9:20

観感楽学「人口に膾炙」


「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」とは野村克也が発した名句として人口に膾炙されている。参院選の投票結果が出て少し時間がたち、なぜ改憲勢力三分の二を許したのかをこのコラムで考えようと思ったときこの句を思い出した。調べてみるともともとの出所は肥前平戸藩の第九代藩主・松浦静山の剣術書『剣談』にあるとわかった▼そこで止めればよかったが、こんどは自分がふと使った「人口に膾炙」が気になった。膾とはなますで炙とはあぶり肉、だれの口にもうまく感ぜられるところから広く人々の話題に上ってもてはやされること、と国語・漢和辞典が教えてくれた▼が、横道にそれてしまい肝心の考察をする字数が足りなくなった。とっかかりとして気になっていることを一つだけ。東京選挙区の山添拓候補は「憲法が、希望」というスローガンを掲げた。「改憲許すな」ではなく「憲法まもれ」でもなかった。しかも「が」のあとにわざわざ読点を入れている。押しつけことばでなく想像と対話を引き出せるようにと考え抜かれたのでは▼心をとらえることばは運動から生まれ、それが運動を励まし広げる反作用を果たす。九条改憲めぐる一段激しいステージを共同の力でたたかうためにもこのスローガンを深めなくては。(T)

(兵庫民報2022年7月24日付)9:00