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2022年3月27日日曜日

兵庫県議会予算特別委員会:日本共産党きだ・庄本両議員が連日質疑(下):ジェンダー・環境・教育……誰もが安全に、豊かに暮らせる兵庫に

兵庫県議会予算特別委員会で、きだ結、庄本えつこ議員が、連日、部局審査質疑に立ちました。両議員の質疑、答弁などを紹介します。〔門屋史明〕

◇公安委員会

痴漢対策について

二〇二一年の兵庫県における痴漢認知件数を九十三件、検挙件数を三十件と確認したきだ結議員は、「実際は認知数の十倍と言われる「触られただけでしょ」と言われ、警察では何度も再現させられ、多くの女性は口を塞がれてきた。痴漢撲滅へ向け機運醸成を」と強調しました。
喜田議員

きだ議員は、今年の大学入試「共通テスト」受験生に痴漢加害をあおるSNS投稿があることをうけ、党県議団として県警に対策を求めたことに対する取り組みについて問いました。
県警は、事業者に働きかけを強め、例年より多い六事業者で駅及び列車内でのアナウンスを行うとともに、鉄道警察隊に加え、交番勤務員がホームや改札での巡回を行ったと答弁。
きだ議員は、「当初「放送を不快に思う男性のお客様もいる」と拒否する事業者もあったが県警の要請で一気に変わった。警察の働きかけは決定的」と指摘。その上で「痴漢撲滅へさらなる役割発揮を」と述べ、▽アナウンスは構内だけでなく車内で行い、三月末で終わりとせず四月以降も続けるよう事業者に要請を▽「被害者は何ら悪くない」「警察は痴漢加害を見逃さない」というメッセージを動画や音声、ポスターなどで発信を―と求めました。

尼崎南警察西分庁舎跡地への交番等の設置

庄本議員は、尼崎南警察西分庁舎跡地への交番等の設置を要請。県警は、「土地所有者の尼崎市と協議を行いながら検討したい」としました。

◇農政環境部

神戸製鋼の石炭火力発電所稼働中止を

庄本議員は、COP26での「排出削減対策のない石炭火力発電所の段階的削減」というグラスゴー合意を踏まえれば、神戸製鋼の新設石炭火力発電所は、稼働させるべきではないのではないかと当局をただしました。
担当者は、「県は、発電所の許認可を行う立場にないが、二〇五〇年のカーボンフリーをめざし、指導を強めていく」との答弁にとどまりました。
庄本議員は、新設石炭火力も含めた県内石炭火力発電所の全廃計画の策定を求めました。

再生可能エネルギーの抜本的促進を

庄本議員は、再エネ導入の主軸となる地域自立型の再エネ導入促進がカギと考えるが、推進の予算規模が少なすぎると指摘。予算規模をふやし、再エネの抜本的導入をすすめ、二〇三〇年には、五〇%の再エネ導入を行うべきだと求めました。

◇県土整備部

住宅・建物の耐震化施策について

庄本議員は、南海トラフが迫るなか、あらためて住宅、建物の耐震化について質疑。
庄本議員

庄本議員は、住宅の耐震化について、補助上限が、工事に係る費用の五分の四、百万円となっており、高額負担となる耐震化に踏み出せない住宅も残されていると指摘。補助率、補助額の引上げなどで、住宅耐震化を急ぐことを求めました。
また多数利用の建物のうち、耐震化の法的措置なくこれまで見過ごされている三階建千平方メートル以下の小さな多数利用建物の耐震化について、実態調査を行うなど、対応が必要ではないかと指摘。当局は、「これらの建築物の安全確保についても重要であることから、国の動向を注視しながら、県としても適切に対応したい」と答弁しました。

阪神住吉駅のバリアフリーについて

きだ議員は、阪神本線三十三駅のうち、唯一エレベーター等が設置されておらず、バリアフリー化がされていない阪神住吉駅のバリアフリー化について、改正バリアフリー法で示された「基本構想」に神戸市が位置づけ、国に採択されるよう県としても、強く後押ししてほしいと要望しました。
担当者は「県として、神戸市とともに国にも働きかけていきたい」と答えました。

◇教育委員会

但馬地域特別支援学校統廃合について

庄本議員は、県教育委員会が二月十七日に、突然発表した豊岡聴覚特別支援学校と寄宿舎の廃止、出石特別支援学校へ統合計画についてただしました。
庄本議員は、保護者や教職員などに事前の説明などもなく、一年で統合を行うことに、保護者らから大きな批判がひろがり、嘆願書まで出されていることを指摘。
嘆願書は「私の娘は、来年度から豊岡聴覚特別支援学校に入学する。この学校に決めるまで、何年もかけて悩みに悩みこの学校で勉強がしたい、そして寄宿舎で生活自立の力をしっかり身につけて、自信をもって高等部へ進みたいと決断した。その思いを教育委員会はいとも簡単に踏みにじり、出石へ行けという。なぜ、寄宿舎、運動場、プール・トイレ等が整っている豊岡聴覚特別支援学校から出なければならないのか」「令和五年四月の統合は断固として反対する」と訴えていることを紹介した庄本議員は、「一年後に統廃合というのは、あまりにも拙速すぎる。関係者の理解が得られていないこの段階で、統合の延期や撤回など、再検討が必要ではないか」と迫りました。
県教委担当者は、「理解や不安の解消への努力を行う」と述べるだけで、計画の再検討についての言及はありませんでした。

三十五人学級について

きだ議員は、二月中旬時点で九市七町二十八校が新年度から中学校一学年での三十五人学級を選択しているとの答弁をうけ、三十五人学級の選択制は一歩前進だが、一学年だけだと運用上の困難などもあるのではないかと指摘。「現在の加配教員を活用すれば、小学校五、六年、中学校全学年での三十五人学級の実施は可能。ぜひ県として決断するとともに、国に、基礎定数の見直しを早期に行い、中学三年までの三十五人学級の実施を行うよう求めるべき」と要望しました。

包括的性教育について

きだ議員は、コロナ禍でDVや性暴力、中高生からは望まない妊娠相談が増え、乳児を遺棄するといった痛ましいニュースもあるなか、日本の性教育の遅れについて言及。近年の性教育のグローバルスタンダードとなっている『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』で提唱された「包括的性教育」の必要性について述べ、とくにガイダンスの二〇一八年改定で、「ジェンダーの理解」「暴力と安全確保」という項目がたてられたことは日本の教育においても重要だと指摘し、県教委として「包括的性教育」に着手することを求めました。
県教委は、性暴力被害に対する対応は必要とし、管理職の研修などに盛り込んでいるなどと答弁しましたが、「包括的性教育」への着手について言及しませんでした。
きだ議員は、個室トイレに生理用品を設置すること、高校一年生全員へのタブレット端末の無償貸与なども求めました。
庄本議員は、学校へストレスフリートイレの設置を求めました。

(兵庫民報2022年3月27日付)15:30


県立高校統廃合15校減――統廃合ありきの計画は撤回を


県教育委員会は、十七日、県内に計百二十五校ある全日制県立高校のうち、二十八校を対象にし、十三校に再編、全体を百十校にする方針などを盛り込んだ「県立高等学校教育改革第三次実施計画」を発表しました。
統廃合の時期は、二〇二五年度と、二八年度の二回を予定。二五年の対象校は、二二年の夏休みまでに公表するとのこと。
県民にほとんど知らされないままの突然の統廃合計画。県民の理解や納得が得られないまま実施を強行することがあってはなりません。
〔門屋史明〕

(兵庫民報2022年3月27日付)


県立高校の統合計画(数字は学校数)

学区 地域 現在 統合計画 統合後
2025年度 2028年度
第1 神戸・芦屋 21 26 4→2 ―― 19 24
淡路 5 ―― 5
第2 阪神 24 34 2→1 2→1 22 30
丹有 10 ―― 4→2 8
第3 東播磨 17 29 ―― 2→1 16 26
北播磨 12 3→1 ―― 10
第4 中播磨 14 25 7→3 2→1 9 19
西播磨 11 ―― 2→1 10
第5 但馬 11 11 ―― 11 11
合計 125 28→13 110




「戦争をやめてください」:プーチン露大統領への抗議はがき続々


ウクライナ侵略に対するロシア大統領への抗議はがきが街頭宣伝などで続々寄せられています。

三月二十一日、元町駅東口で日本共産党中央区後援会と労働者後援会が共同で行った宣伝でも「戦争を止めてください。民を守ってください。みな同じ人間です」「せんそうをやめてほしい」「戦争反対」など、大人も子どもも次々と思いを記していました。
〔小林明男〕

(兵庫民報2022年3月27日付)15:00

03_ウクライナ侵略に抗議:日本共産党北区委員会が岡場・神戸北町・鈴蘭台で宣伝


プーチン政権による侵略で、小さな子どもを連れた女性避難者の姿が目立ちます。「ウクライナでどんなことが起こっているのかリアルに伝えて」「戦争は早くやめさせて!」共産党がんばって!」の声が日々党に寄せられています。
三月二十日には日本共産党北区委員会の呼びかけで、神戸市北区三カ所(岡場エコールリラ、鈴蘭台駅前、神戸北町)でロシアのウクライナ侵略に抗議する宣伝に取り組み、五十人が参加しました。
三カ所とも小学生の姉妹や中学生、男性も女性もウクライナ救援募金、プーチン露大統領への抗議葉書、憲法署名に応じていました。
「どこ(の団体)ですか? 共産党?」「はい、そうです。いただいたカンパは国連とユニセフに直接渡します」「はい分かりました」――などのやりとりもありました。
〔松浦勝〕

(兵庫民報2022年3月27日付)14:30

非核「神戸方式」決議47周年記念のつどい:ロシアはウクライナ侵略やめ、即時・無条件・完全撤退せよ!/コロナ禍乗り越え、核の脅威も気候危機もない日本と世界を!/憲法九条と非核「神戸方式」を守り、広げよう!


核兵器積載艦艇の入港を拒否する非核「神戸方式」決議四十七周年記念のつどいが三月十八日に行われ、会場・オンラインの集団視聴を含め約百五十人が参加しました。兵庫県原水協や神戸港湾共闘などでつくる実行委員会が主催し、非核の政府を求める兵庫の会が協賛しました。
神戸港湾共闘会議の谷口利之議長が開会の挨拶で、ロシアのウクライナ侵略の暴挙をきびしく糾弾し、ロシアの即時・無条件・完全撤退を要求しました。
神戸市原爆被害者の会の立川重則会長が来賓挨拶で、プーチン大統領の核脅迫、日本の政治家の「核共有」論を、「被爆者として許せない暴言だ」ときびしく批判しました。久元喜造・神戸市長からのメッセージが紹介されました。
海外からの連帯メッセージが動画で紹介されました。アメリカのプロポジション・ワンのエレン・トーマスさん、米平和・軍縮・共通安全保障キャンペーンのジョセフ・ガーソン議長、フランス平和運動のロラン・ニベ全国書記、フィリピンのコラソン・ファブロスさん、韓国・「平和と統一を開く人々」(SPARK)釜山のパク・ソクブンさんが、それぞれ非核「神戸方式」が日本にとどまらず、アジア・世界の平和に貢献している意義を強調し、ロシアの侵略戦争を止める国際連帯のたたかいを呼びかけました。
兵庫県原水協の梶本修史事務局長が基調報告を行い、ロシアのウクライナ侵略に乗じて、日本の政治家から「核共有」や非核三原則見直しの考えが出されていることを批判し、日本国憲法の平和主義と国是の非核三原則を根拠に誕生した非核「神戸方式」を守り、広げる取り組みを訴えました。
*
緒方靖夫さん(日本原水協常任理事、日本共産党国際委員会責任者)が、「非核・平和の日本・アジアを築く――核兵器禁止条約・非核『神戸方式』を力に――」と題して記念講演しました(オンライン)。緒方氏は、核兵器禁止条約第一条に、核兵器の「配置し、設置し、または配備すること」を禁止するということで非核「神戸方式」が位置づけられていることを明らかにし、国連NGOミレニアム・フォーラム(二〇〇〇年五月)の最終宣言で、「艦船が核兵器を積載していないことを証明しないならば入港を拒否する」ことを世界の政府がとるべき措置と提唱されたことなどを示し、「神戸市の運動が反映した成果であり、日本の宝と誇るべきことだ」と強調しました。
そして、ウクライナへのロシアの侵略が、国連憲章と国際法を侵犯する明白な侵略行為であることを解明し、「国連は機能していない」論の誤りを、自身の国際活動の体験を紹介しながら明らかにしました。そして、ロシア侵略を世界の世論と運動でやめさせることは、アジアでの「力の政治」を抑えることにつながることを強調し、岸田政権の改憲の動きとたたかい、開催が決まった核兵器禁止条約第一回締約国会議(六月二十一日~二十三日)、NPT再検討会議(八月一日~二十六日)に向けて日本政府に禁止条約参加を求める運動を強めることを訴えました。
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「つどい」は、「ウクライナを第二の戦争被爆国にしてはならない ただちに侵略戦争を中止し、ウクライナから即時・無条件・完全撤退を」とするプーチン大統領あての「特別決議」を提案、採択。さらに、「ロシアはウクライナ侵略やめ、即時・無条件・完全撤退せよ! コロナ禍乗り越え、核の脅威も気候危機もない日本と世界を! 憲法九条と非核「神戸方式」を守り、広げよう!」との「二〇二二年非核神戸港アピール」を採択しました。
兵庫県原水協の津川知久・筆頭代表理事が、神戸港が国際連帯で平和を強める役割を果たしてきたことを示し、世界の流れに逆らう日本政府を変える闘いを強めることを訴え、閉会の挨拶を行いました。〔梶本修史=兵庫県原水協〕

(兵庫民報2022年3月27日付)14:00

西区憲法共同センター学習会:いまこそ9条で日本を守る:日本平和委員会の川田さんが講演


西区憲法共同センター学習会(玉津九条の会、九条の会がくえん、日本共産党西区委員会の共催)を、三月十九日、神戸市西区学園都市の大学共同利用施設ユニティでひらきました。
共同センター代表の萬年ルミさんの開会の挨拶に続いて、日本平和委員会常任理事の川田忠明さんが「ロシアのウクライナ侵略反対、いまこそ核兵器ノー、九条生かせの声を」と題して講演を行い、会場からの質問にもていねいに答えました。日本共産党林まさひと神戸市議がまとめを行い、九条の会がくえんの飯塚英明さんが閉会の挨拶をしました。参加者は十三団体五十一人。学習会終了後、参加者有志は学園都市駅前でスタンディング宣伝も行いました。
*
川田さんの講演は、①ウクライナの悲願とロシアの野望②暴挙をやめさせる力は世論の包囲③「核兵器=絶対悪」の発信を④今こそ憲法九条で日本を守る⑤新しい世界と日本への希望をもって―の五つの項目からなり、わかりやすく、今後の運動に展望と確信をもてるものでした。
キエフ大公国の時代(九~十三世紀)からの歴史/民族の自由と独立が悲願のウクライナとロシアの覇権主義/反戦の流れの発展と国連の結束/「核抑止」は効かず、核保有で高まる安全はない/日本のやるべきことは「核兵器=絶対悪」の立場を共有し、「九条を守る」ことで「平和の流れ」を味方に非軍事に徹した外交努力をすること/中国、北朝鮮への対応――などを解明し、被爆国日本・九条の日本で「憲法改悪を許さない全国署名」「核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名」をすすめることの大切さが強調されました。
〔川村進=桜が丘・押部谷九条の会〕

(兵庫民報2022年3月27日付)13:30

3・11福島第一原発事故を忘れない:安斎育郎さんが歴史と現状・課題を語る:原発なくす会がメモリアル集会

東電福島第一原発のメルトダウン事故から十一年。この悲惨な事故を風化させず「一日でも早く原発を廃止させる」つどいが三月二十日神戸市勤労会館で開催されました。
主催は「原発をなくし自然エネルギーを推進する兵庫の会」で、成山太志共同代表が冒頭の主催挨拶で「ロシアのプーチン大統領が核兵器をちらつかせて原発も攻撃するような事態、その上に安倍元首相や維新の党がプーチン氏と同じような発言までしている。彼らに負けないように安斎さんの話で理論武装しよう」と述べました。
第十八回恒常講座として開かれた学習会の講師は立命館大学国際平和ミュージアム名誉館長・安斎育郎さん。原稿を見ることなくよどみない語り口にユーモアもまじえ、約九十分話してもらいました。参加は四十一名で同時オンライン・ユーチューブ視聴者も四十一人にのぼりました。
*

安斎さんは、東京大学原子力工学科の第一期生十五人のうちのひとり。日本への原発導入を担うはずだったにも関わらず、安斎さんは「放射能の危険性」を感じ、同期生の多くが原発建設技術を修めるなか、人命を守る「放射線防護学」を専攻する道へ進みました。
一九五四年、米国の水爆実験で多数の日本人漁船員も被爆したビキニ事件の翌日に、中曽根康弘・正力松太郎らが初めての原発予算を国会に提出し、以後原発にのめり込んできた日本の歴史的事実をわかりやすく説明しました。
一九七二年、三十二歳の安斎さんは東大の研究者として日本学術会議から指名され第一回原子力問題シンポジウムの基調講演を行い「六項目の点検基準」を提起しました。それは①対米従属の開発体制ではないか、②経済開発優先ではないか、③地域に根ざした内発的な開発計画を阻害しないか、④軍事利用への歯止めがあるのか、⑤原発労働者と地域住民の生活と生命の安全を保障し、環境を保全する実証的な歯止めがあるか、⑥民主的な原子力行政が保障されているか―でした。このことで東大や電力業界から袋叩きとなり十七年間のパワハラに会いましたが、この報告は二十一世紀の今でも通用する「原発のあり方」の基本となっています。
安斎さんは、「処理汚染水はセメントなどとともにコンクリート材として使い現地の放射性廃棄物を地中深くに長期保存する設備として活用すれば、海洋放出は必要なく、一石二鳥なのに東電と政府は安直な海洋放出をしようとしている」と厳しく批判しました。
これ以外にも原発に関する様々危険な実情をわかりやすく解説しました。
会場からの放射能の危険性に関する質問にも丁寧に答えました。
*
このあと、▽福島県浪江町から三木市に避難している菅野みずえさんとサポーターからの報告と訴え▽神鋼石炭火力三、四号稼働がいかに地球温暖化にマイナスかの訴え▽原発にしがみつく関西電力に対し五百回を超える神戸支社前行動など各地の行動への参加呼びかけなどが続き、充実した恒常学習会となりました。
〔速水二郎=同会〕

(兵庫民報2022年3月27日付)13:00

最低・最悪の判決:ノーモアヒバクシャ近畿訴訟・傍聴記 2022-03-18

副島圀義

三月十八日、大阪高裁は地裁の不当判決を支持し、控訴を棄却。
裁判長の訴訟指揮はなかなかなものだったのです。国側の抵抗を退けてNHK番組『原爆初動調査、隠された真実』の冒頭の上映を認めました。被爆者医療に長年携わってきた医師の証言も、国側の反対を退けてしっかり聴きました。
ということで、昨秋の最終弁論の傍聴記で私は「高裁審理を傍聴する限りは、気持ちよい勝利判決の可能性を感じます」と書いたのです(十一月二十一日付)。

判決は、原告の訴えを退けただけではありません。原告側が詳細克明に、一審判決の不当性を解明したことへの反論も、審理のなかでの争点の整理も何もない、正味A4で八ページだけなのです。
経験豊富な弁護士さんたちが異口同音に「裁判官や代理人の名簿を含めて十二頁だけの判決文なんて見たことがない」「こんな判決文を書くのになんで五カ月もかかるんや」「あのていねいな訴訟指揮とこの判決とが同じ裁判官によるとは理解できない」と言われていました。ほんとうに異様な判決だったのです。

「何もない」と書きましたが、正確に言えば――「母を大八車に乗せて二十キロメートルも移動させたとは不合理である」「爆風で飛び散った粉じんなどによって放射線被ばくをした可能性はある。しかしながら発病に放射線起因性は認められない」と勝手に決めつけたあたりが、強いて言えば、原告側の主張を退けた部分のようです。
そのような決めつけは控訴棄却の理由にも説明にもなりません。
「何が裁判官をそうさせたか?」は闇の中(最高裁と違って、高裁・地裁では裁判長と両陪席裁判官の合議の結論が判決となり、個々の裁判官の意見は分からないそうです)。

この日で最終日となるかと思われた「ノーモアヒバクシャ訴訟」でしたが、こんな訳のわからぬ判決がまかり通ってはたいへん。舞台は最高裁に引き継がれます。
藤原精吾弁護団長は「こんなままで裁判は終えられないが、核兵器を使うなんて者がまだいる。やるべきことはたくさんある。後戻りしつつも、長い目でみれば人類史は前進しつつある。核兵器廃絶という大きな目標に向けてたたかい続けよう」と、報告集会を締めくくりました。

六月十一日(土)に「ノーモアヒバクシャ訴訟」近畿のつどいが予定されています。午後一時半から大阪グリーン会館にて。

(兵庫民報2022年3月27日付)12:30


郵政産業労働者ユニオンがスト:7年連続ゼロベア、生理休暇廃止などに抗議


郵政産業労働者ユニオンは三月十八日、全国でストライキを行い、神戸中央郵便局前では雨のなかストライキ突入集会を開きました。
同労組は、日本郵政へ要求を出して交渉を続けてきましたが、会社側は七年連続でベアゼロ回答、さらに非正規社員の待遇格差問題で最高裁の敗訴を受けて、逆に正規労働者の生理休暇を廃止し病気休暇や夏期休暇の削減を提案、希望する非正規労働者の正社員化にも背を向けたことに抗議してストライキを実施したものです。
集会には多くの労組、市民が激励にかけつけました。
木岡道雄神戸中央支部長は「ウクライナへの侵略は許されない、直ちにロシアは撤退せよ」と述べ、「郵政の労働者はエッセンシャルワーカーとして社会生活を支えていますが、多くが非正規。日本郵政は五年連続黒字、株主へも配当、内部留保も蓄えており、大幅賃上げ、正社員化の体力はあります」と掲げた要求の実現へ決意を語りました。

こむら潤日本共産党兵庫県国政委員長(写真左端)が激励挨拶を行い、「ウクライナでの戦争を世論で直ちに中止させよう、ロシアの侵略を口実にした「核共有」や九条改憲は許されない」と厳しく批判。自身も非正規だった体験からも、八時間働けば普通に暮らせる社会の実現に全力をあげると語り、日本郵政の正規労働者の生理休暇廃止や病休改悪の回答は許されないと批判し、連帯して闘う決意を表明しました。大野さとみ日本共産党神戸市中央区福祉子育て対策委員長(写真:その右)も連帯挨拶を行いました。〔小林明男〕

(兵庫民報2022年3月27日付)12:00

『しんぶん赤旗』兵庫関連記事:2022年3月14日(月)~20日(日)

[03-15]兵庫・尼崎地区 演説会を結節点に諸課題飛躍へ
[03-17]兵庫年金裁判の控訴審判決/大阪高裁 原告の訴えを棄却
[03-18]コロナ禍と資本主義 宅配の闇(4)/僕は楽天とたたかう
[03-18]窓口倍加やめよ/受診抑制招き高齢者の命脅かす 保団連が集会・署名提出
[03-19]ロシアの侵略抗議/大学人の声明100超に
[03-19]侵略止める世論強めよう 兵庫・西宮市
[03-19]原爆症認めず控訴棄却/大阪高裁 ヒバクシャ訴訟判決
[03-20]非核「神戸方式」世界に/決議47周年でつどい
[03-20]4・17「学生オンラインゼミ」を大成功させ、青年・学生党員・民青拡大で本格的前進を/11都道府県青年・学生部長会議

(兵庫民報2022年3月27日付)11:30


兵庫県小林多喜二記念集会:社会発展の必然的方向示した生涯と文学


二〇二二年兵庫県小林多喜二記念集会を実行委員会の主催で三月十九日、こうべまちづくり会館で開催しました。
オープニングは神戸青年合唱団。「手をつなごう」やウクライナでの戦争を想いながら「ともしび」などの演奏、最後は参加者と一緒に「沖縄を返せ」を歌い、会場の雰囲気が盛り上がりました。
集会では岡正信治安維持法国家賠償要求同盟兵庫県本部会長の主催者挨拶、濱本鶴男兵庫多喜二・百合子の会会長が講師紹介を行いました。
記念講演は、日本共産党中央委員会の経済・社会保障政策委員会副責任者で文芸評論家の谷本諭氏が「二一世紀に輝く多喜二文学の魅力――コロナ危機の中で多喜二を読む」と題して行いました(写真)。
谷本氏は始めに小林多喜二の生涯をふり返り、わずか五年間の作家活動であったが不朽の業績を日本文学史に刻んだこと、自由と民主主義の先駆者として不屈にたたかったことについて述べました。さらに、多喜二文学の核心と魅力を考えるとして、習作時代の作品や『蟹工船』『工場細胞』『安子』『党生活者』『地区の人々』などについて作品の内容を紹介しながら、社会の進歩と文学の発展、自己との格闘の経過について語りました。
最後に、多喜二がめざした社会変革はどうなったかを戦前の三二年テーゼやポツダム宣言、日本国憲法前文などで跡付け、「激動の二一世紀において、多喜二の生涯と文学が日本の社会発展の必然的方向を示している」と結びました。
参加者からは「現在に通じることが書かれていることを知り、再読の必要があると思った」「九十年前に下からの統一戦線、すごい先見の明ですね」「民主主義の完成への道を強める必要がある」などの感想が寄せられました。
〔濱本鶴男〕

(兵庫民報2022年3月27日付)11:00

前進座『ひとごろし 喜劇一幕』:なまの舞台をごいっしょに 神戸演劇鑑賞会4月例会


『ひとごろし』の題名をみて、なんと過激な題名だろうと思った。しかし、この舞台の内容を知ると納得をした。
舞台は四人のコロスが語り手となりながら、役も演じる。楽器を奏で音具を繰り、人や犬、果ては虫までも演じきる。これまで、あまり見る機会のなかった珍しい舞台構成で、しかも〝笑劇〟(ファルス)で、弱い立場の人が、強い者を言葉で見事に勝利する痛快な舞台です。
越前福井藩の侍・双子六兵衛は臆病を代表するひとで、妹さえ兄の臆病にあきれている。このままでは嫁にも行けないと、兄に詰め寄るしまつ。他方、福井藩にはその剣術の腕を見込まれ、剣術指南番としての役に付いた仁藤昂軒がいた。剣術なら、誰にも負けない。さあ、かかってこい。鼻高々でその腕を自慢している。
そんなある日、昂軒はふとした事から殿の小姓頭を切り殺してしまう。怒った藩主は上意討ちの命令をくだす。驚いた事にその上意討ちに名乗りを上げたのが六兵衛。たったひとりの妹に別れを告げて昂軒を追って旅立った。剣では到底かなわない。そこで六兵衛が考え出したのは言葉だった。昂軒が行く先々で叫びつづけた〝ひとごろし〟〝ひとごろし〟と。そして…。
弱い者が強い者に勝つ方法を見事に見つけだした六兵衛の智恵に考えさせられる。これこそ、山本周五郎の作品の底に流れている人間に対する優しさであり愛なのではないだろうか。
〔小谷博子=神戸演劇鑑賞会〕

前進座『ひとごろし 喜劇一幕』

原作=山本周五郎 台本・演出=十島英明 出演=上沢美咲、早瀬栄之丞ほか/①4月8日(金)19時、②4月9日(土)13時30分/神戸文化ホール中ホール/会員制(入会時に入会金千円と月会費2カ月前納)、月会費3,500円(大学生2,000円、中高生500円)/Tel 078-381-8244, Fax 078-381-8246

(兵庫民報2022年3月27日付)10:30

『たちあがる女』:音楽と自然に彩られた、強さと優しさの物語:神戸映画サークル4月例会


『たちあがる女』はコーラス講師と環境活動家、二つの顔を持つ女性ハットラが、新しい家族を迎え入れ、母親になる決意をしたことから巻き起こる騒動をユーモラスに描く。
とぼけた味わいとコミカルな笑いを醸しながらも、現代社会において見逃してはいけない問題を皮肉たっぷりに浮かび上がらせる。
自然を愛し孤高の戦いを続けるハットラは、自然と音楽を愛し、幸せを手に入れるために行動することを躊躇しない、強く自由な女性。アイスランドの土壌が反映されたような人物だ。
ハットラは自然破壊に立ち向かう決意をしている。監督が温暖化に危機感を持っているが故に、この脅威と闘う女性像が生み出された。
彼女はアルミニウム工場の操業を停止、撤退させるため闘う。資本主義が支配する社会では、地球温暖化を止められないことは分かっている。ハットラは、それを変えようと行動する人たちの象徴にみえた。
作品のさらなる魅力は、アイスランドの自然豊かな風景と、人物の心を表現するように現れる音楽隊だ。楽隊を登場させるという斬新でスタイリッシュな方法が、より作品を深めている。
ユニークな『たちあがる女』は、アイスランド発・痛快ヒューマン・エンターテイメントだ。
〔桑田葉子=神戸映画サークル協議会〕


『たちあがる女』

(2018年/アイスランド・ウクライナ・フランス/101分)
4月15日(金)①11時30分②14時30分③19時/16日(土)①11時30分②14時30分③18時/神戸アートビレッジセンターKAVCホール/一般1,300円/Tel 078-371-8550、Email kcc1950@kobe-eisa.com、URL http://kobe-eisa.com/

(兵庫民報2022年3月27日付)10:00

5・3憲法集会メインゲストに金平茂紀さん


〝憲法はあなたの命と未来のサポーター〟を副題に「戦争させない、9条壊すな! 5・3兵庫憲法集会」が五月三日(火・祝)十三時から神戸・みなとのもり公園とウェブ配信で行われます。メインゲストはジャーナリストの金平茂紀さん、ミニコンサートは新井深絵さん。

戦争させない、9条壊すな! 5・3兵庫憲法集会

5月3日(火・祝)13時開会(12時30分からミニコンサート)、神戸・みなとの森公園とウェブ配信(https://youtu.be/xhMPSk1ytcg)/メインゲスト:金平茂紀(ジャーナリスト)/ミニコンサート:新井深絵(ソウル・ゴスペルシンガー)/閉会後はパレード/主催:戦争させない、9条壊すな!総がかり行動兵庫県実行委員会/連絡先Tel 078-341-3332, Fax078-361-9990、Email sougakarihyogo@gmail.com

(兵庫民報2022年3月27日付)9:30

観感楽学「街角ピアノとジェンダー平等、そして」


コロナ禍の影響でテレビを見る時間が多くなったが、つい見入ってしまう番組に『街角ピアノ』というのがある。プロ並みからおぼえたてまで様々な演奏があり、演奏後それぞれに人生模様が語られる。自分も弾けたらなとうらやましく思う一方、ピアノをあやつれる人がこれだけいるんだと驚きもする▼そんな日本のピアノ文化をつくるのに貢献した人物の一人にレオ・シロタがいる。作曲家・山田耕筰の招きで来日し一九三一年から一四年間、現・東京芸術大学音楽学部の前身である東京音楽学校でピアノ部門を担当、数多くの名ピアニストを育てたとのこと。でもそれを教えてくれた新聞のコラム記事を読みおえたとき、すでに関心はピアノから人物名に移っていた。「どこかで聞いたことがあるような」▼調べてみてやっぱり。GHQによる日本国憲法草案作成の、とりわけジェンダー平等規定(十四条・二十四条)づくりに貢献したあのベアテ・シロタ・ゴードンのお父さんでした。親子がともに人間らしく生きることのできる日本社会づくりに携わっていたのだ▼さてそのレオ・シロタはユダヤ系でウクライナ・キエフ出身。彼らはナチスに追われるかたちで日本にきたのだが、いまその故郷はロシア軍の邪知暴虐なふるまいにさらされている。許すまじ。(T)

(兵庫民報2022年3月27日付)9:00