また齋藤知事は、二〇二八年までに四百四十億円の収支不足が生まれるとして県の事業を大幅に見直す「県政改革方針」最終案も発表しました。それでも、百四十億円の収支不足が生まれるとされていますが、新年度予算では、この「県政改革方針」に基づく財政運営が反映され、新たな県民サービス切り捨てが含まれています。
一般会計予算総額は、二兆三千八百三十三億円で、昨年、阪神・淡路大震災の年に次ぐ、過去三番目の規模です。
歳入
地方消費税が33%と最大税目歳入では、企業生産が回復傾向にあるとして、県税は前年度比一〇・五%増の七千七百八十八億円を見込んでいますが、そのうち地方消費税収が二千五百四十七億円(前年比一〇・二%増)で、構成比三二・七%の最大税目となっています。
また新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金は、六百三十八億円(前年比+三百四十四億円)、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金百四十三億円(前年比+十九億円)などが確保されています。
歳出
コロナ対策――保健師のさらなる増員を
歳出では、新型コロナウイルス感染症対応として入院医療、保健所等の体制確保、検査・ワクチン体制整備等七百四十八億円を計上。保健師は八人増員しますが、オミクロン株の感染急拡大等からも明らかなように、十分な増員とはいえません。ワクチン・検査・病床などコロナ対策のさらなる強化、保健師のさらなる増員が求められます。
脱炭素化――温暖化対策にならない「水素社会」推進
齋藤知事は、提案説明の中で、脱炭素化の切り札として水素エネルギーの普及に向けた取り組みを加速させるとし、「ひょうご水素社会の推進」で、姫路へのカーボンニュートラルポート建設など三・五億円の予算を計上。現段階では、水素の生成・運搬に大量の二酸化炭素が排出されることから温暖化対策にならないとされている技術への重点配分が懸念されています。投資的経費――庁舎建設凍結の一方、基幹道路予算は確保
新年度の投資的経費について、「県政改革方針」にともない県庁舎等再整備や予定されていた阪神県民局への統合による伊丹新庁舎建設が凍結されます。しかし、一方で大阪湾岸道路西伸部、名神湾岸連絡線、播磨臨海地域道路などの基幹道路事業予算は確保しています。県庁舎については、新たに民間投資を呼び込むように三宮開発と連動させる元町全体のグランドデザイン等の検討を早期に行い、県庁舎もその中で検討するとした予算が計上されています。
大阪・関西万博へ「ベイエリア活性化予算」を新たに計上
齋藤知事は、「新県政推進枠」と銘打ち大阪・関西万博を見据えた大阪湾ベイエリア活性化等の予算を新たに計上しています。県民サービス――障害者事業所支援、県民交流バスなど58事業見直し・廃止
「県政改革方針」では、障害者小規模通所援護事業や、県民交流バス、人生いきいき住宅助成など、県民サービスに資する五十八の事業を見直し・廃止(主なものは上のリスト)するとし、新年度予算案から盛り込まれています。特別支援学校――阪神間で新設・開校の一方豊岡・出石で統合計画
四月から「むこがわ特別支援学校」の小中学部を開校し、高等部・聴覚部門など二〇二四年度から全面開校されます。また、阪神北地域の新設校も二〇二四年度から開校できるよう整備をすすめます。しかし一方で、学校規模と適正な配置のための措置として、二〇二三年度に豊岡聴覚特別支援学校と出石特別支援学校の統合計画が突然発表され、学校関係者や保護者らから、批判の声があがっています。
県政改革方針最終案で廃止・見直しされる主な事業
・県民交流バス・地域再生大作戦
・ひょうご地域創生交付金
・障害者小規模通所援護事業
・100歳高齢者祝福事業
・老人クラブ活動強化推進事業
・音楽療法定着促進事業
・県立障害者高等技術専門学院の運営体制の見直し
・商店街の活性化施策
・バス対策費補助
・人生いきいき住宅助成事業(一般型)
県民の運動と議会論戦で一歩前進
補聴器補助へふみだす・高齢者の補聴器活用状況の調査の実施
県は、コロナ禍による高齢者の社会参加活動が低下していることを踏まえ、国への制度提案の一助とするため、補聴器装用のニーズ、社会参加活動の状況等を把握することを目的にモデル事業として補聴器購入補助を実施します。①2022年4月1日現在で満65歳以上の者、
②聴覚障害による身体障碍者手帳の交付をうけていない者、
③耳鼻科医師の診断を受け、補聴器が必要との意見を受けた者、
④事後アンケート・モニタリングへの協力すること
――等の要件をふまえた方から抽選で400人程度、上限2万円で補聴器の購入費用補助を行うものです。
35人学級、中学校でも・中学校一学年での35人学級編制(選択制)
教教育委員会は、各学校がひとつの学年に限り、数学や英語などの少人数授業と、35人学級編制を選択できるようにすると発表。小学校4年までに留まっている35人学級編制が、中学校としてひとつの学年で選択できることになります。(小学5年、6年は対象外)日本共産党兵庫県議団は、兵庫県予算案を受け、コロナ対策の抜本的強化など、県民の命と暮らしを守る施策充実のために、奮闘する決意です。〔門屋史明〕
(兵庫民報2022年2月27日付)13:30