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2022年2月6日日曜日

兵庫県憲法会議が県民へ呼びかけ:かつてなく高まる改憲の危機:日本国憲法の先進的な内容を掘り崩す動きに反対する声を



憲法改悪阻止兵庫県各界連絡会議(兵庫県憲法会議)は、一月二十七日、県庁内の兵庫県政記者クラブで、憲法改悪反対アピールについて記者会見を行いました。
記者会見には、津川知久代表幹事(兵庫労連顧問)、梶本修史幹事(兵庫県原水協事務局長)、稲次寛幹事(兵庫県高教組書記長)、木下智史事務局長(関西大学教授)が出席し、庄本えつこ県議会議員(日本共産党)も同席しました。
会見では、木下事務局長から、昨年の総選挙後、国会内で改憲に向けての動きがかつてなく活発になっているという危機的状況にあり、それがアピール発表の理由であること、アピールは、改憲の動きの危険性について多くの人々が学び、憲法改悪阻止に向けての運動に参加するよう訴えるものであると説明しました。記者からは、現在の改憲をめぐる状況についての認識やそうしたなかで憲法会議の果たす役割などについて質問がありました。
〔木下智史=兵庫県憲法会議〕

憲法改悪阻止にむけて、兵庫県民のみなさんへのアピール

憲法改悪阻止兵庫県各界連絡会議

兵庫県民のみなさん。
昨年の総選挙のあと、にわかに「憲法改正」を唱える声が強まっています。日本維新の会の松井代表は、今年の参院選と同時に改憲の国民投票を行えるようにすべきと言い出しました。自由民主党も、これまでの「憲法改正推進本部」を「憲法改正実現本部」に改組し、岸田首相は総裁任期中の「憲法改正」の実現に意欲を示しています。
でも、選挙運動のなかでいったいどれだけの候補者や政党が「憲法改正」の必要性を語っていたでしょうか。選挙前のアンケートでも「憲法改正」を争点としてあげた候補者は一%にすぎませんでした。「憲法改正」への姿勢を重視して投票したと答えた有権者がわずか三%であったとの調査もあるように、「憲法改正」が選挙の主要な争点であったとはとてもいえません。
そもそも憲法のどこをどのように変えようとするのかをきちんと示さないで、「憲法改正」のスケジュールばかりを論ずるのは、国の基本法である憲法についてあまりにも不真面目な態度です。
確かに自由民主党は、二〇一八年以来、「改憲四項目」を自らの改憲提案として選挙公約にも掲げていました。しかし、この「四項目」はどうみても日本国憲法の「改悪」としか評価できない代物です。
第一に、「自衛隊をきちんと憲法に位置づける」との改憲項目は、「自衛」と名がつけば無制限に軍事力を強化し、日本を本格的に「戦争をする国」に変質させようとするものです。
第二に、「緊急事態」条項の創設という改憲項目は、国会の定める法律によらなくても内閣が国民の権利・自由を勝手に制限することを可能とし、独裁国家へと道をひらくものです。
第三に、参議院選挙区の「合区」をなくすとの改憲項目は、国民の選挙権の平等を犠牲にする企てです。
第四に、「教育環境の充実」をうたう改憲項目は、重くのしかかる国民の教育負担を放置してきた責任を日本国憲法になすりつけ、結局は教育環境の充実を口実にして国が教育内容に介入するものです。
総選挙後、国民民主党も含めて、「憲法改正」にむけての議論に積極的に参加することが国会議員の責務であるとの主張が横行しています。しかし、憲法に拘束される立場にあり、憲法尊重擁護義務を負う国会議員がまず取り組むべきは、自らの活動を含めた国の運営が憲法に従っているかどうかの点検であって、どのように憲法を変えるかについての議論ではないはずです。
総選挙後、衆議院議員の多数が改憲論議に積極的な姿勢をとるなか、日本国憲法が改悪されるおそれはかつてなく高まっているといわなければなりません。いまこそ、日本国憲法の先進的な内容を掘り崩す動きに反対する声を上げていかなければなりません。
憲法改悪阻止各界連絡会議(憲法会議)は、一九六五年、内閣の憲法調査会で改憲論が多数を占めるという状況のもと、憲法改悪阻止の大きな国民運動を盛り上げることをめざして結成されました。今回の改憲の危機にあたっても、憲法改悪阻止の動きの先頭に立って活動を強化します。
県民の皆さんに以下の点を訴えます。 
  • 各地域・職場など、さまざまなところで、改憲の動き、内容を知るための学習会を開いてください。憲法会議は積極的に講師派遣の要請に応じます。
  • 憲法改悪の試みの危険性を知ったら、まわりにどんどん知らせてください。
  • 「9条改憲NO!全国市民アクション」が呼びかけている「憲法改悪を許さない全国署名」に取り組んでください。
二〇二二年一月十八日

(兵庫民報2022年2月6日付)14:00

「交通機関での対策が前進 さらに恒久的な痴漢対策を」日本共産党県議会議員 きだ結

阪急電鉄本社に申し入れる、(左から)松本市議、きだ県議、西市議(1月5日、大阪市)

神戸市東灘区の女性Aさん(38)と松本のり子、西ただす神戸市議、私でつくる「神戸市東灘区 ジェンダー差別を勉強する会」が一月五日を皮切りに、電車の痴漢防止対策を鉄道事業者などに申し入れ、対策が実現しました。きっかけは入試日に痴漢をあおるネット書き込みがあるというAさんからの情報。党県議団、神戸市議団としての取り組みに位置づけました。
申し入れたのはJR、阪急電鉄、阪神電鉄、ポートライナーなどを運営する神戸新交通、市営地下鉄を運営する神戸市交通局。阪神の申し入れにはこむら潤参院兵庫選挙区候補も加わりました。また山本じゅんじ、今井まさ子、林まさひと神戸市議が山陽電鉄に、朝倉えつ子市議が神戸電鉄に申し入れました。
実態調査や痴漢未然防止の行動計画策定などを要請。特に、遅刻できないため声を上げられない共通テスト受験生を狙う卑劣な痴漢を許さない対策を求め、「痴漢は犯罪です」といった電車内・駅構内アナウンスが有効だと強調しました。私は「共通テスト痴漢祭り」なるネット掲示板を紹介し、「受験生への加害があおられている。特別の体制を」と訴えました。
申し入れの結果、阪神は「痴漢行為に遭われた時、見かけた時は乗務員または駅係員にお知らせを」とホームと構内で放送を開始。「痴漢」の言葉を入れた放送は初めてとのことです。神戸市営地下鉄も「痴漢、盗撮は悪質な犯罪行為。被害に遭われた方、見かけた方は110番または被害相談所に連絡を」とホーム・構内でアナウンス。JRも車内と構内に肉声で同様のアナウンスをしています。
私は一月六日の政務調査会で、受験生を守れと県警に要求。翌日、県警は「議員の要請を受け、鉄道警察隊は車内に重点を置き、構内は各署に指示して人員を配置する」と回答しました。
これらの取り組みは、私のツイートを作家のアルテイシアさんが拡散してくださったことで全国的な大反響を呼びました。
阪急などに申し入れたという私の最初のツイートは閲覧数が九十八万に。せやろがいおじさんがユーチューブで受験生を狙う痴漢の問題を取り上げ、その中で私も紹介されました。朝日新聞一月二十五日付夕刊の一面にも特集記事が載り、Aさんと私たちの取り組みが紹介されました。
こうして私たちの行動と成果は全国に波及し、神奈川、東京、仙台などでも共通テスト痴漢対策が実現しました。
党県議団は一月二十六日にも恒久的な対策を県当局、県教委、県警に申し入れました。

(兵庫民報2022年2月6日付)13:30

日本共産党兵庫県議団が知事・教育長・県警本部長に痴漢加害防止・被害者救済申し入れ


日本共産党兵庫県議団は一月二十六日、痴漢加害の防止と被害者の救済などについて齋藤元彦知事、西上三鶴教育長、種部滋康警察本部長に申し入れました。
今回の申し入れでは――
①駅係員の増員、電車内の巡回警備、音声アナウンスや電車内の動画、電光掲示板での痴漢の加害防止の呼びかけなどを鉄道会社に働きかけること。また鉄道会社に対し、遅刻せざるを得ない状況に至った証明書などの発行を求めること。
②県警においては、受験シーズン等での特別の体制で対応し、痴漢被害が発生した場合、迅速に対応すること。
③痴漢被害を含めて本人の責めによらない事由で遅れた場合は、救済措置の対象とし、別途、受験機会を保障するよう関係各機関に働き掛けること。
④県として、痴漢被害の実態を把握し、相談窓口や被害者の救済、加害根絶のための啓発や有害図書規制、加害者の更生などを関係機関と連携して行うこと。
――などを求めました。
さらに「痴漢対策は受験シーズンに留まらず、恒久的な政治課題として、行政が取り組むことが必要だ」と指摘しました。
〔三富智恵子〕

(兵庫民報2022年2月6日付)13:00

兵庫県はCOP26合意ふまえた気候危機対策を:連載②日本政府は、石炭火力全廃、2030年温室効果ガス排出削減目標の引上げを

日本共産党兵庫県議団事務局長 門屋史明

石炭火力発電の永続化表明で不名誉な"化石賞"受賞

COP26に参加した岸田文雄首相は、「アジアにおける再エネ導入は、太陽光が主体となることが多く、周波数の安定管理のため、既存の火力発電をゼロエミッション化し、活用することも必要。日本は、『アジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ』を通じ、化石火力を、アンモニア、水素などのゼロエミ火力に転換するため、1億ドル規模の先導的な事業を展開する」などと石炭火力発電の永続化を表明しました。この発言によって日本は前回COP25に続く"化石賞"受賞となりました(上の見出し背景中の画像)。
"化石賞"とは、世界最大の気候変動NGOであるClimate Action Network (CAN:気候行動ネットワーク)が、気候変動交渉・対策の足を引っ張った国を会期中毎日選出して贈られる不名誉な賞です。
受賞理由は、COP26では、とりわけ脱石炭が求められているにもかかわらず、日本が2030年以降も、2050年に向けて石炭火力発電を使い続け、アジアにも輸出するという点が批判されたことによるものです。
石炭火力発電について、COP26では、「排出削減対策の講じられていない(Unabated)石炭火力発電の段階的削減」が合意されました。「排出削減対策」を講じた石炭火力とは、国際的には、CO2回収・貯留技術(CCS)、回収・貯留・リサイクル技術(CCUS)という技術であり、まだ実用化されていません。しかし日本政府は、アンモニアや水素などを混ぜた燃料を使用することで「排出削減対策」を講じた石炭火力発電だと独自に解釈し、その推進を世界に宣言したわけです。このアンモニアや水素を混ぜ合わせる技術は、多くは未だ実証実験段階で、2021年6月に発表した政府のグリーン成長戦略ロードマップでは、20%混焼の導入・普及を2030年までに目指すとしています。これでは、「この10年間の取組が重要」とするCOP26での合意にかけ離れた対策と言わざるを得ません。
経済産業省によると、アンモニア1トンをつくるのに1.6トンのCO2が排出されるとされ、仮に20%混焼が実現したとしても、その削減率は、わずか4%にしかなりません(気候ネットワーク調査:グラフ)。COP26で求められる「排出削減対策」とはまったく言えません。
そもそも、COP26直前に決定した第6次エネルギー基本計画では、2030年度のエネルギー需給見通しにおける石炭火力発電の割合を19%としており、石炭火力発電を使い続けることを表明しています。こうした日本政府の姿勢が、"化石賞"の受賞につながり、世界から批判を浴びる根拠になっているのです。

日本で排出可能なCO2はわずか65億トン

日本政府が、COP26に向けて掲げた新たな2030年度までの温室効果ガス削減目標は、2013年比46%です。これは2010年比に換算すると41.6%にしかならず、1.5℃上昇に抑えるために少なくとも2010年比45%削減が必要だとするCOP26の合意にも満たない低い水準にとどまっています。COP26では、2022年末までの削減目標の引上げを求めていますが、目標の見直しへの言及がないどころか、国会答弁などで「整合する目標として13年度比46%削減を設定している」(山口壯環境大臣、2021年12月15日)と主張するなど、合意を無視した態度に終始しています。
COP26で「温度上昇を1.5℃に抑える」という目標を確認したことは、その達成のために、これから世界で排出できるCO2総量の限界、残余のカーボンバジェット(炭素予算)が定められるということを意味します。IPCC第6次評価報告書によると、67%の確率で1.5℃に抑えるための残余カーボンバジェットは、世界で4000億トン(表)とされ、人口で割ると、日本では65億トンとなります。2020年度の日本の温室効果ガス排出量は、11億4900万トンなので、単純に計算してもあと6年分しかないということになります。

岸田政権は、日本の気候危機対策について、こうした科学的根拠とCOP26の合意等をふまえ、2030年度までの温室効果ガス削減目標を他の先進国なみに2010年比50~60%削減に引き上げ、石炭火力発電全廃など切迫性をもった取り組みをおこなうべきです。

(兵庫民報2022年2月6日付)12:30

コロナまん延防止等重点措置適用:日本共産党が緊急申し入れ

兵庫県議団

オミクロン株による感染急拡大を受け、まん延防止等重点措置の適用を受けた兵庫県の対策に対し、日本共産党兵庫県議会議員団は一月三十一日、対策強化の緊急申入れを行いました。
党県議団は、県の対策について「対策の重点化」といいながら、「患者本人に対応をゆだねるものとなっており、感染者の命を最優先にした十分な対策とはいえない」と指摘。具体的には、▽無料検査の拡大、医療、高齢者、介護、教育、保育現場での大規模頻回検査、検査キット確保・支給、抗原検査キットの家庭・職場・学校への配布など検査の拡充、▽三回目ワクチンの迅速な接種体制、▽入院病床・宿泊療養施設の確保、自宅療養者への対応強化、▽保健師など専門職の大幅増員、保健所体制の強化、▽発熱外来への補助金、診療報酬の加算などの復活、▽事業者支援の拡充―などを求めました。
各議員からは、「八十歳代の一人暮らしの方が陽性になっても、入院できず、保健所からの連絡もすぐにされない。自宅放置を繰り返してはいけない」「介護ヘルパー事業所など検査キットがないと言われている。キットの確保を」「保健所などに電話をかけても、ほとんどつながらない」「六十四歳以下も、六カ月経過でワクチン接種を行うべき」などを強く求めました。
また、県議団が求めてきた川崎重工業開発の無料PCR検査ロボットによる検査サービスの実施を受け、「川崎重工業に働きかけて、検査体制を抜本的に強化すること」なども提案しました。
応対した県担当者は、「保健所や『自宅療養者等支援センター』などの体制を強化し、自宅療養者が置き去りにならないように、さらに対応を強めたい」などと応じました。
〔門屋史明〕
*

伊丹市議団と生健会

 

日本共産党伊丹市議会議員団は一月十七日、市長に対して新型コロナウイルスに関する申し入れを行いました。内容は、三回目のワクチン接種の前倒し実施、PCR検査等の検査体制の拡充等についてですが、住民税非課税世帯への十万円給付に関して、生活保護世帯への給付についての項目も付け加えました。その後、伊丹生健会とも共同で同様の申し入れ・交渉を行いました。
一つは、生活保護世帯に対しては申請を必要とせずストレートに給付することです。当局の回答は、システム上、他の世帯と同様に非課税世帯を対象に確認書を送付せざるを得ないとのことです。しかし生活保護による扶助を受けている人は住民税非課税世帯として扱われるため、無条件に給付対象とするべきです。
二つに、そのこととも関連して、生活保護世帯における課税世帯がわずかですが存在することで、その世帯に確認書が届かない場合が想定される問題です。当局は、給付に漏れがないようにその世帯に声をかけて給付の申請ができるようにするとの確認をしました。
その他、医療扶助等単給世帯への給付等特別給付金の趣旨を踏まえ、丁寧な説明と指導を求めました。
〔上原秀樹=伊丹市議〕
*
神戸市議団も一月二十七日、市長に対し、保健所の体制強化はじめ抜本的な対策を求め、緊急申し入れをおこないました。

(兵庫民報2022年2月6日付)12:00

兵庫の地学散歩……大地を科学する:第八回 石の宝殿と竜山石

觜本 格(かがく教育研究所)

写真1 生石神社の石の宝殿

加古川を境に変わる風景

JR山陽線で明石から西へ姫路方面に向かう車窓から見える風景は、加古川を越えると大きく変わる。西明石から東加古川までは標高が二十㍍程度の中位段丘面や高位段丘面を走るために起伏がほとんどない平らな田畑、住宅地ばかりでどの方向にも山は見えない。加古川(駅)に近づくと北方の遠くに山が見えだす。加古川(川)を渡ると西と北に小高い山が見えてくる。飯森(いいもり)山や高御位(たかみくら)山、竜(たつ)山などである。平野の中にお椀を伏せたような孤立した山がいくつもある風景が加古川から姫路、たつのまで続く。
 

高砂市の竜山や宝殿山周辺には、白い岩盤が露出し垂直に切り立った崖が何カ所もある。この崖は古くから良質の石材である「竜山石」を切り出した採石場である。

なぞの多い石の宝殿

JR宝殿駅から西に二十分ほど歩くと生石(おうしこ)神社がある。「日本三奇」と言われる大きな石の構造物である「石の宝殿」(写真1)は「鎮の石室」「浮石」とも呼ばれ、神社の正面から入った場所に御神体として鎮座している。一辺が六~七㍍の立方体に近い形に岩盤が彫り込まれている。左右と背面は岩盤に囲まれ、底面も彫り込まれていて、池に浮いているかのように見える。
何のために、いつ作られたかについては神話も含め諸説あり、謎が多い。七二〇年ごろに書かれた「播磨の国風土記」に記載があり、「伝えて言うには」と表現されているので、すでに伝承になっていた。
死者を入れる石棺だとか、石棺を入れる部屋である石槨だとも言われていたが、二〇〇八年に地中レーザーと超音波による探査が行われ、内部に空洞は確認できなかった。「石の宝殿」があるのが宝殿山であり、隣の竜山、北方の高御位山と並んで「竜山石」の一大産地になっている。

良質の石材・竜山石

竜山石を現在も採石し、稼働している石材店からはビルの石材や門柱、石垣、外壁、階段などの建築材料が販売されている。皇居吹上御苑や国会議事堂の石材として使われている。特製の植木鉢は高砂市のふるさと納税返礼品に指定されている。「タツナイト」と名付けて最近流行のパワーストーンとして勾玉やブレスレットとしても売られている。ひとつの石材店のHPでは、「古代より千七百年も同じ場所で採石され続けている唯一の石材」と紹介されている。
古墳時代から竜山石として各地に送り出されていたことが分かっている。「大王石」とも言われ、古墳の石棺が作られた。鎌倉・室町時代の五輪塔、宝篋印塔、石仏の石材にもなっている。江戸時代の姫路城の石垣の多くも竜山石が使われている。各地の神社の鳥居や灯籠、狛犬にもなっている。江戸時代には姫路藩の専売品として全国に出荷された。

写真2 青竜山石と黄竜山石の石垣

竜山石は色調の違いから「青竜山石」「黄竜山石」(写真2)「赤竜山石」があり、とても素朴な雰囲気と重厚さをあわせ持った石材である。古くから多様な加工石材として親しまれたのは、均質で粘りがあり、適度な柔らかさを持っていて、古代の人も手に負える加工性があったのだろう。竜山周辺に採石場(写真3)が集中したのは、石材の材質が優れていたことと、ふもとに法華山谷川があり積み出しの便が良かったこともあるだろう。
写真3 竜山石の採石場(成層ハイアロクラスタイト)

七千万年前の火山活動でできた石

竜山石は、今から七千万年前の中生代白亜紀の火山活動でできた流紋岩質の岩石である。恐竜の滅びる前の時代、日本列島はまだ存在せず、ユーラシア大陸の一部だった。カルデラをつくるような激しく大規模な火山活動が広い範囲であった。大量のマグマが地表に噴き出した跡にできた空洞に地表の山体が落ち込んでできる窪みがカルデラである。加古川からたつの・相生までの地域に直径が十五㌔㍍ものカルデラが九個あったことが分かっている。その凹地に水がたまるとカルデラ湖ができる。竜山石はカルデラ湖でできた石である。
マグマが地表に流れて固まったものは溶岩、火砕流となって流れ落ちた岩片や火山灰が固まったものが溶結凝灰岩や角礫凝灰岩、空中に舞い上がった火山灰が降り積もり固まったものが凝灰岩である。
竜山石は、溶結凝灰岩とされていたこともあるが、最近ではカルデラ湖に噴出した溶岩が急激に冷やされ、粉々に破砕された岩片が固まった岩石(ハイアロクラスタイト)や岩片が水流で運ばれ堆積してできた岩石(成層ハイドロクラスタイト)とされている。
(元神戸市立中学校理科教員・元神戸親和女子大学教授)

本稿を書くのに、橋元正彦著『石と地層と地形を楽しむ はりま山歩き』(神戸新聞総合出版センター)を参考にした。

(兵庫民報2022年2月6日付)11:30

「原発いらない再稼働反対」訴え毎週欠かさず500回:関西電力兵庫支社前カンキン行動


関西電力兵庫支社(神戸・三宮)前での原発ゼロを求める「カンキン行動」が一月二十八日で五百回目――「五百夜」――となりました。
この行動は、東京電力福島第一原発事故後の二〇一二年七月六日から首相官邸前の抗議行動に連帯して若者たちが呼びかけたのが始まり。毎週金曜日午後六時から、雨の日も雪の日も正月も絶えることなく続けてきたものです。
「五百夜」には百人が集いました。大阪の関電本社前行動に取り組んでいる人や、若狭で老朽原発再稼働に反対する運動を続けてこられた人も参加し連帯のスピーチ。作家の落合恵子さんからのメッセージも紹介されました。ほぼ皆勤参加の方の表彰もおこなわれました。
支社前で替え歌、コールで訴えたあと、神戸市役所前、三宮センター街を通ってパレードし、「原発いらない。再稼働反対」「原発なくても電気はつくれる。再生エネルギー推進しよう」「変えよう福島、切り捨て政治」「あなたも私も脱原発」などのコールや替え歌で訴えました。
参加者に配布された『NO NUKES MAGAZINE HYOGO №3』には、参加者の交流や替え歌、自作の〝字余りコール〟などみんなで思いを交流、学習、励まし合ってきた歴史や、思い、替え歌も紹介。姫路など兵庫県下各地で原発ゼロにとりくむ行動や原発なくす兵庫の会などのメッセージも掲載されていました。〔小林明男〕

(兵庫民報2022年2月6日付)11:00

「電力職場で新年の対話活動深まる」電力兵庫の会 伊藤善次


コロナ・オミクロン株のまん延が毎日マスコミで報道されていますが、関西電力職場の人は何事もなかったように出勤しています。
〝しんぶん人権〟――カラーで写真がいっぱい、A3判の『電力労働運動近畿センターニュース』――の二〇二二年一月第七十四号は「原発にいつまでも頼っていいのか!」を前面にしました。
第四波・五波で約一年自粛していましたが(年間四回配布)、第六波との間隙を活用、近畿一円で早朝配布し、対話が広がりました。
かつて原発推進などのため経営者は苛酷な反共思想差別を徹底。労働者たちはやむなく裁判に訴え、二十五年のたたかいを経て最高裁が「職場には、自由な人間関係を形成する自由がある」と憲法十三条を基盤とする画期的判断を出し、労働者たちは完全勝利しました。これにより関電ではビラ配布への妨害が止まり、自主的ななかまたちによって団結を訴える宣伝が二十年以上続いています。
兵庫県では十二の事業所の門前で千数百部を手渡しています。断る人は一割程度、にこやかな挨拶は数知れず、出勤途上にもかかわらず数分程度の対話も。この二〇二二新年号での対話総数は一月二十六日現在九事業所で七十八名にのぼります。
対話内容は、①職場でのコロナ感染状況②互いの健康状況や人事異動のこと③労働環境の変化④人員の減少と仕事の請負化の加速⑤成果型賃金による区分けへの不満や怒り⑥定年後の待遇問題⑦近々の飲み会などの予約―など多岐にわたります。
配布する方はほとんどがOBなので対話のきっかけも工夫。仕事や技術の変化が著しいので「ちょっと教えて、今どうなってるの」と具体的に聞くと、詳しく説明もしてくれます。
向こうからわざわざ寄ってきて「筋を曲げずにやっているのはすごいですねえ、尊敬しますわ」と思いもよらない言葉をいただくという光景もありました。

(兵庫民報2022年2月6日付)10:30

神戸演劇鑑賞会二月例会:こまつ座『雪やこんこん』

なまの舞台をごいっしょに



井上ひさしは「昭和庶民伝三部作」を書いている。第一部「きらめく星座――昭和オデオン堂物語」、第二部「闇に咲く花――愛敬稲荷神社物語」、第三部「雪やこんこん――湯の花劇場物語」。三年がかりの意欲作で、第三部が今月の舞台作品にあたる。いずれも庶民が主人公の物語です。
*
昭和二十年代のおわり、北関東・湯の花温泉にある佐藤旅館へ繋がる「湯の花劇場」に中村梅子一座がやってくる。かつて庶民の希望であり、羨望の的だった〝大衆演劇〟も時代の移り行く波には勝てず、衰退するばかり。梅子一座も時代に翻弄され十八人居た座員が次々と去り今は六人のみになっている。しかし、残った座員も不平不満が渦巻いている。それでも、座長の梅子はへこたれない。そこで、梅子は、一座に何くれと気をくばってくれる佐藤旅館の女将を使い、一座を救うべく、運命を掛けて演じる大芝居の名演技をうった。さて……。
*
井上ひさしがどうしても書きたかったであろう庶民の世界が、ここ、湯の花劇場で花開こうとしている。寂れ行く一座を盛り上げるための梅子の名演技もさることながら、流れるような台詞のやり取りの中に、人情や人と人を繋ぐ縁、そして、人生が浮き上がってくる。猛吹雪が劇場の扉を激しくたたいている。今夜は客が入るだろうかの心配もありながら、梅子は幕開けの時間を待っている。どんな天候にも負けない。どんな苦労が待っていようと、それを乗り切る力を梅子、いや、庶民はもっている。
〔小谷博子=神戸演劇鑑賞会〕

こまつ座『雪やこんこん』

作=井上ひさし 演出=鵜山仁 出演=熊谷真実、真飛聖、藤井隆ほか/①2月22日(火)18時30分②2月23日(水・祝)13時30分/神戸文化ホール中ホール/会員制(入会時に入会金1,000円と月会費2カ月前納)、月会費3,500円(大学生2,000円、中高生五00円)/Tel. 078-381-8244、Fax078-381-8246 http://kobeenkan.my.coocan.jp/

(兵庫民報2022年2月6日付)10:00

「しんぶん赤旗」兵庫関係記事2022-1-23~30

凡例:行頭の数字は記事掲載の「月-日/面」「→」の後ろは兵庫民報での関連記事
 
1-25/9政権への怒り共有・行動/兵庫・西宮 香櫨園支部 国会論戦に学び「赤旗」購読訴え
1-27/1潮流:戦争の影響でまともな教育を受けられず50年以上社会から排除された、ろう者の竹邉正晴さん(昨年死去)、聴覚障害者に配慮した特別養護老人ホーム淡路ふくろうの郷に入居し、手話で人とのつながりと豊かな暮らしを少しずつ築きました
1-27/4痴漢防止対策強化を/党兵庫県議団が県に申し入れ→1面、2面に関連記事
1-29/3NHKは究明・謝罪を/字幕問題 関西5視聴者団体抗議
1-29/4基地問題「自分ごとに」/沖縄・デニー知事 キャラバンを再開:来月9日には「in 神戸」がオンラインで開催→行事案内欄
1-29/5コロナ禍 住民に寄り添う 共産党地方議員 地域で議会で/兵庫・芦屋 保健所統合「待った」→前号3面に関連記事
1-29/8日曜版と共に日刊紙増やす/兵庫・三田市 役に立つ福祉・介護記事
1-30/11コロナ対策 待ったなし 共産党が各地で要請/@神戸 従来にない対策必要
1-30/11挑む2022参院比例候補 大門みきしさん(66)=現=/経済論戦の第一人者

(兵庫民報2022年2月6日付)9:30



昨年末「放火殺人事件」に巻き込まれて二十五名の命が奪われた。報道によると死亡した容疑者は知人もなく預貯金もなく職もない状態、孤独と寂寥感でおよそ人間らしい感情すら失った生活だったと思うが、だからといってこんな犯行が許されるわけはない。被害者家族はこれからどう生きていくか深刻な事態になっている▼先日、「犯罪被害者補償を求める会」から機関紙『希望』が届いた。犯罪被害補償の充実を国に求めている会として、このクリニック放火殺人事件は看過できないとして国に「自動車損害賠償と同等の国による補償」を行うよう求めている。清水ただし議員の「特別寄稿」によると、二〇一九年度に支払われた国からの被害者遺族給付金は平均六百十三万円、障害給付金はわずか三百六十万円だったという▼国連は一九八五年の「犯罪及び権力乱用の被害者のための正義に関する基本原則宣言」で、犯罪者から十分な補償を得られない場合、国家は被害者に経済的な補償を行うよう努力しなければならないと宣言した。放火殺人事件の被害者は三十歳~六十歳。一家の支えを失った家族を思うと胸が痛む。この事件のみならず日本は犯罪被害者への施策があまりにもひどすぎる。国は被害者の命や暮らしをもっと真剣に考えるべきではないか。(D)

(兵庫民報2022年2月6日付)9:00