憲法改悪阻止兵庫県各界連絡会議(兵庫県憲法会議)は、一月二十七日、県庁内の兵庫県政記者クラブで、憲法改悪反対アピールについて記者会見を行いました。
記者会見には、津川知久代表幹事(兵庫労連顧問)、梶本修史幹事(兵庫県原水協事務局長)、稲次寛幹事(兵庫県高教組書記長)、木下智史事務局長(関西大学教授)が出席し、庄本えつこ県議会議員(日本共産党)も同席しました。
会見では、木下事務局長から、昨年の総選挙後、国会内で改憲に向けての動きがかつてなく活発になっているという危機的状況にあり、それがアピール発表の理由であること、アピールは、改憲の動きの危険性について多くの人々が学び、憲法改悪阻止に向けての運動に参加するよう訴えるものであると説明しました。記者からは、現在の改憲をめぐる状況についての認識やそうしたなかで憲法会議の果たす役割などについて質問がありました。
〔木下智史=兵庫県憲法会議〕
憲法改悪阻止にむけて、兵庫県民のみなさんへのアピール
憲法改悪阻止兵庫県各界連絡会議兵庫県民のみなさん。
昨年の総選挙のあと、にわかに「憲法改正」を唱える声が強まっています。日本維新の会の松井代表は、今年の参院選と同時に改憲の国民投票を行えるようにすべきと言い出しました。自由民主党も、これまでの「憲法改正推進本部」を「憲法改正実現本部」に改組し、岸田首相は総裁任期中の「憲法改正」の実現に意欲を示しています。
でも、選挙運動のなかでいったいどれだけの候補者や政党が「憲法改正」の必要性を語っていたでしょうか。選挙前のアンケートでも「憲法改正」を争点としてあげた候補者は一%にすぎませんでした。「憲法改正」への姿勢を重視して投票したと答えた有権者がわずか三%であったとの調査もあるように、「憲法改正」が選挙の主要な争点であったとはとてもいえません。
そもそも憲法のどこをどのように変えようとするのかをきちんと示さないで、「憲法改正」のスケジュールばかりを論ずるのは、国の基本法である憲法についてあまりにも不真面目な態度です。
確かに自由民主党は、二〇一八年以来、「改憲四項目」を自らの改憲提案として選挙公約にも掲げていました。しかし、この「四項目」はどうみても日本国憲法の「改悪」としか評価できない代物です。
第一に、「自衛隊をきちんと憲法に位置づける」との改憲項目は、「自衛」と名がつけば無制限に軍事力を強化し、日本を本格的に「戦争をする国」に変質させようとするものです。
第二に、「緊急事態」条項の創設という改憲項目は、国会の定める法律によらなくても内閣が国民の権利・自由を勝手に制限することを可能とし、独裁国家へと道をひらくものです。
第三に、参議院選挙区の「合区」をなくすとの改憲項目は、国民の選挙権の平等を犠牲にする企てです。
第四に、「教育環境の充実」をうたう改憲項目は、重くのしかかる国民の教育負担を放置してきた責任を日本国憲法になすりつけ、結局は教育環境の充実を口実にして国が教育内容に介入するものです。
総選挙後、国民民主党も含めて、「憲法改正」にむけての議論に積極的に参加することが国会議員の責務であるとの主張が横行しています。しかし、憲法に拘束される立場にあり、憲法尊重擁護義務を負う国会議員がまず取り組むべきは、自らの活動を含めた国の運営が憲法に従っているかどうかの点検であって、どのように憲法を変えるかについての議論ではないはずです。
総選挙後、衆議院議員の多数が改憲論議に積極的な姿勢をとるなか、日本国憲法が改悪されるおそれはかつてなく高まっているといわなければなりません。いまこそ、日本国憲法の先進的な内容を掘り崩す動きに反対する声を上げていかなければなりません。
憲法改悪阻止各界連絡会議(憲法会議)は、一九六五年、内閣の憲法調査会で改憲論が多数を占めるという状況のもと、憲法改悪阻止の大きな国民運動を盛り上げることをめざして結成されました。今回の改憲の危機にあたっても、憲法改悪阻止の動きの先頭に立って活動を強化します。
県民の皆さんに以下の点を訴えます。
- 各地域・職場など、さまざまなところで、改憲の動き、内容を知るための学習会を開いてください。憲法会議は積極的に講師派遣の要請に応じます。
- 憲法改悪の試みの危険性を知ったら、まわりにどんどん知らせてください。
- 「9条改憲NO!全国市民アクション」が呼びかけている「憲法改悪を許さない全国署名」に取り組んでください。
(兵庫民報2022年2月6日付)14:00