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ねりき恵子議員 |
兵庫県議会は九月三十日に決算特別委員会を設置。日本共産党から、ねりき恵子、入江次郎議員が委員に選出され、連日質疑に立っています。〔門屋史明〕
◇財政状況
賃上げ、消費税減税、インボイス制度中止を
財政状況審査で、ねりき議員は、税収が過去最高になったとされるが、県民の生活実感とはかけ離れていると指摘。県税等のなかでは、地方消費税収が大きく伸びていますが、ねりき議員は、「地方消費税が増収になっているが、二〇二一年度にほぼ平年度化し、一般消費の消費税収が伸びているとともに、円安や物価高で輸入額がふえ、地方消費税の輸入貨物割の部分が大きく伸び、県民生活を圧迫している」と指摘しました。
ねりき議員は、円安を引き起こしているのは「異次元の金融緩和」政策であり、大企業や富裕層がため込みをふやす一方、国民の所得があがらず、物価高で生活も直撃しているとしました。ねりき議員は「県民の賃金は、この二十四年間で、年間八十五万円も引き下がっており、経済の循環を妨げている。国とともに県としても、県民の賃金を引き上げるための施策を行うとともに、物価高などへの一番の有効策である消費税減税、小規模事業者を直撃するインボイス制度の中止などを国に求めるべきだ」としました。
県担当者は、「コロナ対策等で、中小企業に対し、賃上げにつなげてもらうために支援している。消費税については、社会保障のために必要」と従来の答弁を繰り返しています。ねりき議員は、「中小企業に賃上げのための直接支援が必要だ。十月から高齢者医療費が二倍化されるなど、消費税が増税されて、社会保障などが充実したことはない。ただちに引き下げるべきだ」と迫りました。
県政改革方針の見直しを
入江議員は、二〇二一年度決算の収支が実質三十四億円もの黒字になることを指摘し、「県政改革方針を行う理由となっている収支不足は、十年間で四百四十億円、二〇二一年度は、収支ゼロとの見通しだったが、大幅に改善している。県政改革方針そのものを見直し、とりわけ削減した老人クラブ活動強化推進事業、障害者小規模通所援護事業、音楽療法定着促進事業など高齢者・福祉事業、市町への県独自の『ひょうご地域創生交付金』などの事務事業の見直し等、必要な県民サービスを復活させるべきだ」と求めました。県当局は、「今後の収支見通しがどうなるかわからないもとで、財政的な規律が必要である」と答えました。
保健師、教員、県職員の人員確保を
入江議員は、人件費にかかわって、保健師の働き方について質疑。コロナ禍の業務で、過労死ラインを超えて働いている保健師が、四十人もいることを指摘。「地方財政措置により交付税を増額された人数すら増員されていない。コロナ禍の実情を踏まえ、保健師を抜本的にふやすべきだ」としました。
入江議員は、教員不足の実態について質疑。県は、二〇二一年度は八十六人、二〇二二年度は、百十四人の教師不足を把握していると報告。入江議員は、「教師不足の原因は、教員の過酷な働き方により、志望者が減り、産休や病休の教員の穴を埋められなくなっている。県が行っている勤務時間適正化推進プランでも、小学校、中学校の教員の残業時間は、減るどころか増えている。県のいう働き方改革では、何ら効果を示さない。教員定数引き上げと同時に、緊急に教員を確保するための対策が必要だ」と指摘しました。
◇総務・財務・危機管理部
防災対策に女性の視点を
ねりき議員は、防災対策に女性の視点を入れるべきだとして質疑。阪神・淡路大震災での避難所生活などで女性の人権が守られなかったことなどをふまえ、①防災・危機管理部局の女性職員の配置を二倍に増やすこと、②男女共同参画の視点からの防災対策をすすめる研修や訓練、職員向けガイドブックの作成などを求めました。
私立学校授業料軽減補助を
ねりき議員は、私立学校授業料の軽減補助の拡充も求めました。
県関連施設での雇用の安定について
入江議員は、二〇一三年四月に労働契約法改正において、無期転換ルールが導入されたが、この労働契約法の改正を機に、指定管理等の県関連施設において五年で雇い止めしている事例が生まれていることを指摘。県関連施設でこそ、無期転換ルールを適用し、五年を超える非正規労働者を正規雇用にするなど、雇用の安定を確保するべきだと指摘しました。また県立大学では、研究職の非正規雇用の上限である十年を超える職員が二人いることを指摘し、正規雇用にするなど雇用の安定をすべきだと求めました。
県担当者は「研究職の場合、必ずしも同じところで長く働くことが本人のメリットにはならない」と答弁。雇用の安定に背を向ける県の姿勢が浮き彫りになりました。
◇企画・県民生活・部局外部
コロナ禍のシングルマザー支援について
ねりき議員は、コロナ禍、女性が「雇い止め」「勤務先の倒産」などにより、社会的に不安定な生活に陥り、自殺率が増加していることなどを指摘。県の支援の実状などを確認するとともに、非正規雇用の割合が多いシングルマザーへ支援を行うNPO団体などに対する支援の強化などを求めました。
公共施設への生理用品の設置について
ねりき議員は、公共施設では、相談対応として女性の生理用品を窓口で渡していることをとりあげ、「女性の人権尊重の立場から生理用品をトイレに設置し自由に使えるようにすべきだ」と求めました。
県としてパートナーシップ宣誓制度の実施を
ねりき議員は、二〇一六年宝塚市でパートナーシップ宣誓制度を実施して以降、阪神間をはじめ現在十二市町が実施しており、トータルで百十五組の同性パートナーが宣誓を受けていると紹介。都道府県レベルでも茨城、群馬、大阪、三重、佐賀、青森、秋田、栃木、福岡の九府県が導入し、東京が十一月から導入予定であることを指摘。兵庫県としてもパートナーシップ宣誓制度の一日も早い導入を求めました。
県担当者は、「家族のあり方にはいろんな意見もあり、いま行っている相談をすすめながら、研究をすすめている」と回答するにとどめました。
ダイバーシティ推進の体制強化を
ねりき議員は、兵庫県立大学が「ダイバーシティ&インクルージョン宣言」にもとづき九のキャンパスに分室を設置し、総合的に取り組みを進めていることを紹介。県には、担当者をおいているが、ダイバーシティ推進室などを設置し、取り組みの強化を行うことを求めました。
行政委員会での女性比率向上を
入江議員は、現在、女性がいない人事委員会や監査委員会、選挙管理委員会などの行政委員会での女性比率の向上を求めました。
◇保健医療部
新型コロナウイルス感染症対策について
ねりき議員は、この間のコロナ感染者の未曽有のひろがりを指摘しながら、抜本的に予算を確保し、対策を強化するよう求めました。
また、感染症法上の患者として国に報告されるものの、食糧支援や療養施設調整など行政支援が受けられない兵庫県独自の自主療養制度について、「類似の制度は神奈川県と愛媛県でやられていたが、神奈川は陽性者登録センターに一本化し、愛媛は形だけ残しているだけ。神奈川のように兵庫県も要請者登録センターに一本化し、全ての感染者が行政サービスを受けられるようにすべきだ」と求めました。県担当者は、「今後検討する」と答弁しました。
病床削減はやめよ
ねりき議員は、コロナ禍の二〇二一年度六十九床、二〇二〇年度四百十五床の急性期病床が消費税増税分を財源に削減されたと指摘、「コロナ禍でたいへんななかでの病床削減は、県民は納得しない。病床削減はやめ、確保のための努力をすすめるべきだ」と求めました。
◇福祉部
精神障害者医療費助成制度の拡充について
ねりき議員は、精神障害者医療費助成制度をもつ三十四県のうち、精神科医療の通院も入院も対象にしていないのは、兵庫県のみであることを指摘。また、通常医療では、多くの県で二級まで対象にしているのに、兵庫県は一級のみの対象になっているとし、「県として精神障害二級も医療費助成の対象とするとともに、精神科医療も早急に対象とすること」を求めました。
(兵庫民報2022年10月16日付)14:00