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2021年11月21日日曜日

日米共同方面隊指揮所演習ヤマサクラ81が伊丹で:緊張激化させる軍事演習やめよ、憲法に基づく平和外交こそ


日米共同方面隊指揮所演習(ヤマサクラ81)が十一月中旬から十二月にかけて行われることが明らかになりました。方面隊指揮所演習は、全国五カ所の陸上自衛隊総監部を中心に毎年米軍約五千名、自衛隊約千六百名規模の演習が行われており、伊丹駐屯地における同演習は五回目となります。
ヤマサクラ81は、今年六月から七月にかけて伊丹駐屯地を中心に行われた過去最大規模の「オリエント・シールド21―1」(米陸軍と陸自の共同実動演習)と一体のものとして行われることが予測されます。「史上最大の指揮所演習」と言われている今回の演習では、世界各地の米軍基地をネットワークで結び、同時に訓練ができるようにする「臨時の任務訓練複合施設」が設置される予定で、テントが張られるなど準備が進んでいます(写真上)。
アメリカが起こす戦争に自衛隊が参戦する道を開く、憲法違反の安保法制=戦争法のもと、日米共同演習がエスカレートし、日米軍事一体化が急速に進む中で、米国の戦争に自衛隊が参加・加担する危険が現実に高まっています。「米中対立」が激化する中、米国のバイデン政権は、「自由で開かれたインド太平洋」の名のもとに、軍事的対応と同盟国の役割分担の強化で対抗しようとしています。自公政権が、これに追随し、台湾海峡をめぐる問題に関して安保法制を発動する可能性に言及していることや敵基地攻撃能力の保有、軍事費倍増を掲げていることは大問題です。
このような中で、ヤマサクラ81のような日米軍事一体の危険な演習を繰り返すことは、軍事対軍事の緊張の激化と戦争の危険を高めるだけです。自衛隊基地周辺住民にとってもことが起れば戦争の中心になる可能性があるとともに、自衛官の命を危険にさらすことになります。
さっそく十一月八日に「戦争する国づくりストップ!伊丹連絡会」を開いて対応を協議、十二日には伊丹、川西、宝塚の平和を求める団体による会議で「ストップ!ヤマサクラ81実行委員会」(二十四団体で構成)結成を確認し、十一月十五日にはヤマサクラ81の中止を求める請願書を提出、演習の中止を求めるとともに、「米中対立」の激化のもとで政府がやるべきことは憲法に基づく平和外交こそが必要と求めました(写真下)。
また、二十三日(火)には学習会(下記参照)を、十二月十一日(土)午後には伊丹市内「三軒寺広場」で集会を予定しています。
〔上原秀樹=伊丹市議〕

ストップ!ヤマサクラ81学習会「急速にすすむ日米軍事一体化とヤマサクラ81」

11月23日(火)14時~16時、伊丹市立生涯学習センター・ラスタホール2階講座室/
講師:佐藤つよし(『しんぶん赤旗』国民運動部)/主催:ストップ!ヤマサクラ81実行委員会

(兵庫民報2021年11月21日付)17:30

神戸港を平和の砦に:港湾労働者の闘いの歴史に学ぶ――九条の会.ひがしなだ

「神戸港を平和の砦に~港湾労働者の闘いから、非核神戸方式へ」と題して、港湾労働者の闘いの歴史を学ぶ講演会を十一月十四日、東灘区文化センターで「九条の会.ひがしなだ」が開催しました。講師は、神戸港湾関係労働組合共闘会議議長の谷口利之さん。
谷口さんは、戦後まもない一九四五年頃には、米艦船が年中停泊中の神戸港ではトラブルが頻繁に起こり、暴力的支配がまかり通る神戸港で反合理化闘争と結合した港の民主化を求める闘いが始まっていったこと、米兵のいない静かなクリスマスイブを求める市民と屈辱的な支配の労働を強いられた港湾労働者の平和を求める「クリスマス闘争市民集会」が綿々と受け継がれ今年で六十一回を迎えること、一九七〇年代には六大都市での革新自治体首長の誕生と革新勢力の躍進で「六突(第六突堤)返還」や非核「神戸方式」という行政措置が具体化されたことなど闘いの歴史を古い写真も用いて説明しました。


会場には、当時若い頃に港湾共闘として闘った方々も参加しており、「全税関」の労働者であった松本公さん(年金者組合東灘支部長)も飛び入り参加で、当時の実体験に基づいた話を披露し、懐かしいといった声が聞かれました。
谷口さんは神戸港が誇れる「三つの宝」として①6・9行動②クリスマス闘争③非核「神戸方式」がありますとして、総選挙後の改憲勢力が前のめりの発言を繰り返すなかで、これらの闘いの経験を学び「神戸港に永遠の平和を」と強調されました。
〔西谷利文=九条の会.ひがしなだ〕

(兵庫民報2021年11月21日付)17:00

第61回神戸港平和のためのクリスマス闘争市民集会

12月24日(金)18時、波止場町緑地/集会後の元町商店街までデモ/実行委員会主催 Tel. 078-333-5478(神戸港湾関係労働組合共闘会議)

日本共産党神戸西地区委員会が選挙報告会:野党共闘の経験と前進


西区(兵庫四区)
日本共産党神戸西区委員会と西区後援会は「選挙報告会」を十一月十四日、西区文化センターでひらき、党員・後援会員ら四十人が参加しました。
はじめに、今回の衆議院選挙をたたかったこむら潤さんが、選挙期間中の若者との交流などを報告し、この間訴えた政策をこれからも語り、広げ、「元気を出して頑張ろう!」と挨拶しました。
森田稔地区委員長は、選挙期間中の地区の活動状況を報告。参加者から、「選挙結果には、がっかり感がある」「市民と野党の共闘の方針は正しかった」「党員も支持者も高齢化がすすみ、力量不足や課題も浮き彫りになった」など感想・意見が出されました。また「四区における立憲民主党候補との共闘の対応が遅かった」「若い世代への働きかけやSNSの活用などができていなかった」など課題も出されるなど、十五人が発言しました。
〔飯塚英明=神戸西地区委員会〕

垂水区(兵庫三区)
日本共産党神戸西地区委員会と垂水区後援会は「選挙報告会」を十一月十四日、区内でひらきました。

はじめに、小選挙区候補としてたたかった赤田かつのりさんが挨拶。選挙戦では「選挙で政治を変えよう」「四つのチェンジ」の十五分演説を徹底したことなどを報告し、前回と比べ野党共闘が前進したことを強調、ひきつづき党を大きくし野党共闘をのばすためがんばる決意を表明しました。
森田稔地区委員長は、常任幹部会声明にもとづき報告。「三区、四区でも野党共闘の前進を実感した。はじめの一歩であり全国的に前進例がある」と紹介。
近畿ブロック比例・兵庫八区重複候補としてたたかった、こむら潤さんも「全力で走りきりました」と挨拶。与党勢力、与党補完勢力、野党共闘勢力を比較すると共闘勢力が得票数・議席ともに前進したと指摘、「野党共闘はけっしてがっかりするような結果ではありません」と訴えました。
〔地区委員会提供のメモをもとに編集部が作文〕

(兵庫民報2021年11月21日付)16:30

亀井洋示「み:身を切るというなら」


(兵庫民報2021年11月21日付)16:00

日本共産党の新人議員:豊岡市議 須山泰一「市民が我慢強いられている問題の解決、3議席の力で」


十月二十四日投開票の豊岡市会議員選挙で、なんとかギリギリで当選させていただきました。但馬内で三つの中間選挙と総選挙が重なる中、地元の支部や支持者だけでなく、多くのご支援や激励をいただきました。元南光町長の山田兼三さんに何回も来ていただいたり、労働組合の活動家が宣伝カーの運転を引き受けてくれたり、それらが選挙を頑張りぬく力となりました。
出石と豊岡で四十八年にわたって公職を務められた奥村忠俊議員が今回で勇退されるということで、その後継として立候補を決意し、八月より候補者活動を始めました。できるだけ多くの対話をと心がけました。また、今まで苦手だからと避けてきた演説も、なかなか上手くなりませんが、できるだけ多くやろうとチャレンジしました。
一市五町が合併し、現在の豊岡市になって十六年経ちますが、市民が我慢を強いられている問題がいくつもあります。選挙の中では公共交通(バス)と公立病院の充実を中心に訴えました。また、兵庫県下で豊岡市が特に遅れている問題として、非核平和宣言と子ども医療費の中学卒業までの無料化があります。すぐに実施すべきであり、そのためには「どうしても共産党の三議席が必要」と訴えてたたかいました。
豊岡で三議席を確保できて良かったのですが、この間の但馬の中間選挙、総選挙の結果からは今後に大きな課題があることを痛感しています。議員活動と党勢拡大に頑張っていきたいと思います。

写真:市役所前で宣伝する須山市議(右から村岡峰男市議、上田伴子市議)

(兵庫民報2021年11月21日付)15:30

日本共産党の新人議員:多可町議 藤原清勝「『世のため人のため』――宗教者の心を持って」


皆さんこんにちは。
私は、十月三十一日に行われた多可町議会議員選挙で、皆さんのご支援をいただき初当選させていただいた、藤原清勝です。
私は、子どもの頃から「人々の苦しみを仏様の教えで救えないものか」との思いを持ち始めて、仏教系の大学に進学し、今日まで宗教者の道を歩んできました。そしてこれからも、宗教者の「世のため人のため」の心を持った、日本共産党議員として頑張ってまいります。
私は、豊かな自然に恵まれ、山紫水明の多可町が誰にとっても住みよい町になるように、とりわけ、若者が住み続けられる町にしたいと思っています。
しかしながら、多可町では、人口減少が止まりません。私は、この人口減少を少しでも食い止めるために、若い人たちの定住を図ります。そのためには、若い人たちが安心して子育てに取り組めるように、全年齢での保育料の無料化。小中学校の給食費の無償化、軽減を目指します。
また、一人ひとりを大切に、暮らしと福祉を守るために、ワンコインタクシー制度の実現、介護保険料の引き下げと利用料の軽減実現のために頑張ります。また、その財源には、町が積み立てている財政調整基金の約三十億円の一部を使うことで実現できます。
多可町議会になくてはならない日本共産党議員として、全力で頑張り抜きますので、皆さんの大きなご支援をお寄せくださいますよう、よろしくお願い致します。 (*任期は二十七日から)

写真:僧衣で街頭に立ち訴える藤原さん

(兵庫民報2021年11月21日付)15:00

日本共産党兵庫県議団が知事に申し入れ:県民の暮らし、福祉向上の予算編成に:保健所体制強化はじめコロナ対策、石炭火力発電所全廃、女性副知事登用、早期の35人学級実現、消費税5%減税・インボイス制度中止――など801項目


日本共産党兵庫県会議員団は十一日、二〇二二年度予算編成について齋藤元彦知事に対し、八百一項目の申し入れを行いました。
冒頭、ねりき恵子団長は「知事の初めての予算編成で、県民の暮らし、福祉向上の予算編成となるようお願いしたい」と述べました。
きだ結政務調査会長は、消費税の増税、未曽有のコロナ禍で国民の暮らしが一層厳しくなっているもとで、コロナから命と暮らしを守る県行政が求められると強調。
コロナ対策として、臨時医療施設の設置、PCR検査体制・保健所体制強化などを行うとともに、中小企業・暮らし支援の給付金などの施策を求めました。気候変動対策として二〇三〇年までに温室効果ガスを六〇%削減(二〇一〇年比)、石炭火力発電所全廃・新設中止をおこなうべきとし、ジェンダー平等をふまえ、女性幹部比率を五〇%にすること、知事が公約に掲げた女性副知事の登用を求めました。
また知事公約の三十人学級の実現を展望し、小中学校での早期の三十五人学級の実現など、教育施策の充実、経済対策として消費税五%減税・インボイス制度中止などを求め、憲法九条を生かした平和外交、核兵器禁止条約の署名・批准などを国に求めるべきだとしました。
各議員からは、「県の二酸化炭素削減目標は国よりも低い。引き上げを」「特別支援学校設置基準の公布を機に、特別支援学校の教室不足の早期解消を」「高校でのタブレット端末については、すべての学生に対し、県費で準備すべき」「二十年も前にできた産業立地条例は見直すべきだ」などと求めました。
*
齋藤知事は、コロナ対策について、「宿泊療養のためのホテルを増やすことなどはすすめていきたい」とする一方、事業者への支援については、「お金がかかる」とし、国の施策に期待するに留まりました。
女性副知事の登用については「女性がしっかり活躍していただけるようにしていきたい」と述べ、温室効果ガス削減については、「企業に対して負担と努力を課すことになる。おとしどころを考えたい」としました。
少人数学級の実現については、「財政や教室のキャパなどの問題もある。実態ふまえて、検討していきたい」と答えました。
産業立地条例について知事は、「若い世代に働いていただく場所を提供するという点で、企業誘致には意義があると考えている。条例については、時代にあわせて検討していく必要はある」と答えました。
*
最後に、ねりき団長は、「多岐にわたる申入れとなっているが、どれも大事な要望。ぜひ、取り入れていただく方向で検討してほしい」と重ねて要望しました。
〔門屋史明〕

(兵庫民報2021年11月21日付)14:30

三木市が国保税4割引き上げ:日本共産党市議団が学習会

三木市の国民健康保険税が四割引き上げされることについて日本共産党三木市議会議員団は十一月十二日に学習会を行いました。
三木市の国民健康保険会計が三年連続して「赤字」になったとして「赤字」解消のための「国民健康保険事業財政健全化計画」を医師や団体代表による「国民健康保険運営協議会」に諮問して計画策定し、十二月議会で条例改正して来年度の国民健康保険税から三年間引き上げしようとしています。
「財政完全化計画」では二〇二〇年度の会計が二億八千五百六十四万円の「赤字」になったのは三木市の国民健康保険税が低く抑えられており、支出額をまかなうことができないためだとしています。
二〇一八年から国民健康保険は市町で独自に運営していたのが、財政を兵庫県に移されました。
県は市町に対し、医療費に見合う「納付金」を決め、それに見合う「標準保険料」を示してきます。国民健康保険の保険税(料)はそれぞれの市町が条例で決めますが「納付金」保険税の滞納があっても義務として県に納付しなければなりません。
保険税を抑えるため一般会計からの繰り入れをすることは認められ、三木市でも約二億円を毎年繰り入れされてきました。国や県はこれを「法定外繰入金」=「赤字」としてなくすように求めてきています。県下で三木市を含む三市が「赤字」になっていると解消計画の策定が求められています。
参加者の中から、今でも「国保税が他の健康保険料と比べて高い」「年金を払わされているのに値上げでは生活が大変」という声が出されました。
日本共産党は国民健康保険税が高いのは他の保険にない、加入者一人一人にかかる「均等割」、世帯ごとにかかる「平等割」があるからだとしてこれをなくすように求めています。全国知事会も一兆円あればなくすことができると要望しています。こんな声に押されて来年度から就学前の子どもの均等割りが半額になります。
三木民商、新日本婦人の会、年金者組合は三木市長に対して▽国保税の引き上げをしないこと▽必要な一般会計からの繰り入れを行うこと▽議会提案までに広く国保加入者や市民の声を聞くこと―などを求めて要望書を提出してします。
〔大眉均=三木市議〕

(兵庫民報2021年11月21日付)14:00


デジタル改革?学習会:デジタル化で「国民を点数化」か、「政府・大企業規制」か


「何のため、誰のためのデジタル改革か?」をテーマに「デジタル改革?学習会」を十三日、神戸市勤労会館で開催しました。兵庫県保険医協会、兵庫県民主医療機関連合会、兵庫県労働組合総連合、働くもののいのちと健康を守る兵庫センターの共催で企画。自治体情報政策研究所の黒田充代表を講師に招きました。
政府はデジタル庁を九月草々に発足させ、岸田首相は「デジタル田園都市国家構想実現会議」の初会合を開催。竹中平蔵氏はじめ多くの経済界関係者が名を連ねています。マイナンバー制度など急ピッチで「デジタル改革」が進められる一方、国民への影響は明らかになっていません。
黒田氏は「特定の目的に集められた個人情報が他に使われることが問題。国民をプロファイリングしようとしている」と政府のデジタル改革の問題点を解説しました。
プロファイリングとは、個人情報からAIが人物像を作ってしまうことで、黒田氏は「犯罪者は黒人と白人のどちらが多いかデータ分析したとき、AIは(社会的背景を)理解しないで結果をだす」など例を挙げ、一見、中立・公正かのように思われるAIの判断が根拠になってしまう危険性を指摘しました。
中国では国民をデータで点数化し評価する制度があり政府の意向に沿わない行動を自分の不利益とする国民世論があること、一方、EU諸国ではプロファイリングされない権利が主張され、政府や大企業を規制する動きがある事も紹介されました。学習会を通して「日本はどちらに進むべきか考えなくては」と問題が投げかけられました。
日本では、個人情報との関係が議論されない状況で、既にJRで顔認証システムの実験がされている事を紹介。地方自治体の情報システムが統一化されつつあり、自治体独自の社会保障制度ができなくなる状況にあることが話されました。
共催団体を代表し兵庫労連の成山太志議長は「国民の人権、民主主義に関わる問題です。運動と政治的な働きかけをすすめていきたい」と話し学習会を締めくくりました。
〔堤匠=兵庫民医連〕

(兵庫民報2021年11月21日付)13:30

ジェンダーわたしの視点「少しでも多くの人が考え、理解する機会を」神戸大学名誉教授 朴木佳緒留:日本共産党兵庫県委員会ジェンダー平等委員会(責任者・こむら潤)の企画「ジェンダー私の視点」が連載一年。神戸大学名誉教授の朴木さんにご寄稿いただきました。


二〇一五年に神戸大学を定年退職し、六年が経ちました。研究者となったのは四十数年前でしたが、当時、中学、高校の家庭科は女子必修でした。教育基本法は男女の教育機会均等を規定しているにもかかわらず、公教育の場で堂々と男女で異なる教育が行われていたことに合点がいかず、家庭科の成立史研究を志したのが研究生活の始まりです。
当時、日本を代表すると言われていた法学者が家庭科女子必修について、憲法違反ではないという説を述べていたためか、家庭科女子必修反対/男女共学家庭科の主張は「異端」扱いでした。その事情が変化したのは一九八五年の女性差別撤廃条約批准、さらに一九九五年の世界女性会議の公式文書に「ジェンダー」の語が掲載された頃からです。
ところが、二〇〇〇年代の初めには酷いバックラッシュが起こり、自民党に「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」(座長、安倍晋三氏)が設置され、「ジェンダーフリー」の語は「禁句」にされてしまいました。詳細を書く余裕はありませんが、男女の役割や生き方、さらには立ち居振る舞いに至るまで、何ゆえに規制しようとするのか、今も「不可思議な状況」が続いています(それこそがジェンダー問題なのですが)。
実際には、政治や労働、教育などの公の場だけではなく、日常生活のあれこれがジェンダーに規定されて成り立っているため、「世間の大勢」と異なることはバッシングされます。その結果、声を潜めてきた又は違和感があっても「スルー」してきたという人は少なからずいると思われます。
今日では、嫌なことについて「嫌」と言う人も増え、以前よりはずっと良くなったと思います。しかし、今なお、不安定雇用等による経済的、精神的な困難を抱えている人、見えにくい(性)暴力の被害を受けている人、無神経な言動に心を煩わされている人は多くいます。ジェンダーが原因や背景になっていることが多いですが、残念ながら、被害・加害の当事者も「ジェンダーがらみ」であると理解していない場合も多いです。
少しでも多くの人がジェンダー問題を考えたり、理解できる機会が必要と思います。日本共産党が重要政策の一つに「ジェンダー平等」を掲げたことは幸いでした。率直に言って、私には「ようやく、ここまで来た」という思いはありますが、「今まで考えたこともなかった」という方からの質問も増え、少人数の会での語り合いの大切さを噛みしめています。

(兵庫民報2021年11月21日付)13:00
 
写真:尼崎の日本共産党と民青同盟が共同でひらいた「JCPサロン」でジェンダーについて若者たちと語り合う朴木さん(左から2人目)=2019年11月23日




兵庫県労働委員会:労働者委員の公正な選任を:実現する連絡会が総会


「労働者委員の公正な選任を実現する兵庫県連絡会」(以下「連絡会」)総会を十一月十三日、神戸市勤労会館で開催しました。
労働委員会は、労使間の紛争について簡易迅速かつ的確に解決するため、あっせん、調停及び仲裁や不当労働行為事件の審査などを行なっています。
兵庫県の労働委員会では労働者委員が「連合」委員で独占されているため、 連絡会は、「非連合」の労働者委員選出を求めて取り組みを進めています。今年の二月二十六日に兵庫県労働委員会、八月二十六日に齋藤兵庫県知事に労働者委員の公正な選任などを求めて懇談と申し入れを行っています。
総会では、共産党の入江次郎県議が県議会でジェンダー平等と多様性の視点から質問し、使用者、労働者側委員に女性が一人も選ばれていないこと、組合員比率(連合七割、非連合三割)や労働委員会でこれまで取り扱ったあっせん内容などを示し「連合」以外の「非連合」組織からの任命が必要だとの議会論戦を紹介。
労働委員会を活用している「建交労兵庫合同支部」や「兵庫私教連」から事例報告があり、労働者委員の中で組合の主張を否定的に捉え、使用者側の考えで終始話を進める委員がいることや審査開始までに時間がかかることなどで労働組合が不利益を被ることがあるなど労働委員会の改善点を求める事例が紹介されました。
連絡会としては、今後も「非連合」の労働者委員の任命を求めていくことや労働委員会をこれからも積極的に活用することが提起されました。
〔岡崎史典=兵庫労連〕

(兵庫民報2021年11月21日付)12:30

三田で学生への食料支援 いぶくろおたすけ隊 ――継続の必要性


三田市の民青同盟学生準備班は十月三十一日、市内の公園で食料支援「学生いぶくろおたすけ隊」を初めて開催、約四十人の学生が利用しました。開催にあたり食品メーカーや地域から米やりんご、みかん、インスタント食品、お菓子などたくさんの食料と三万六千円の寄付が寄せられました。

当日は、学生や二十代の青年のボランティア参加もあり、遠慮がちに食料を選ぶ学生に「これいる?」「持って帰っとき~」と温かな声が飛び交い、「ありがとうございます!」と学生が袋いっぱいに詰め込んでいました。用意した食料のほとんどを配りきりました。

同時にとりくんだ実態アンケートには「大学施設が使えないから、サークル活動ができない」「食費は月六千円に節約している」「オンライン授業の時はほんとうに孤独だった」などコロナ禍の下での学生生活の苦労が語られました。

スタッフからも「たくさん利用されてびっくりした」「継続して開催する必要があると思った」「明るくて楽しい場になった」などの感想がだされ、今後も継続していこうとの意志を共有しました。


兵庫山河の会 〈十一月〉

コロナ死の日々止まらずこれまさに令和の戦死と諾ひてをり
 石井敏子

ふと見れば庭の石蕗咲き出でぬ冬の到来逸早く知る
 鵜尾和代

救急車来るまでじっと見も知らぬ人の手握る神の掌思う
 古谷さだよ

唯一の戦争被爆した国がこの条約に背を向け続け(核兵器禁止条約)
 西澤 愼

休日に図書館に通う人多し読書の秋は人も実らす
 大中 肇

一万歩超えてビラ撒き歩く日は湿布を貼りて膝を労る
 塩谷凉子

夕焼けの団地をめぐりビラ配り政権選択見出し新鮮
 山下 勇

哀しみの我の数式解けぬまま小数点はいつまでも続く
 古賀悦子

守るべき未来のための一票と筆圧強く党の名かかん
 山下洋美

声上げし市民と野党素晴らしき共闘壊すな政権変えたし
 岸本 守

(兵庫民報2021年11月21日付)11:30


観感楽学「ぶれない」


「ぶれない」―総選挙を終えて、異常なほどの野党共闘攻撃が続く。支配勢力が脅威に感じている証でもあるだろう。選挙は終わったが、今こそぶれずに進むことが大切なのでは▼原水爆禁止運動でも一九六〇年代にソ連、中国からの干渉、分裂の攻撃にさらされ、「××系」との偏見に満ちた印象操作もひどかった。核兵器廃絶なんて「夢物語」「空想論」などの根深い不信も。「世論と運動」が勝負と精力的に署名が取り組まれた▼国民過半数を目標にした「ヒロシマ・ナガサキからのアピール」署名は、八〇年代十だけだった非核宣言自治体を全自治体の八割に及ぶ二千四百以上に拡大させ非核の世論を築いた▼二〇〇〇年十月、六千万に達した「アピール」署名を国連に提出。〇五年NPT再検討会議へ署名五百三万八千百八筆、一〇年五月には六百九十万千三十七筆、一五年五月には六百三十三万六千二百五筆、二〇年に千三百七十万二千三百四十五筆と届け続けた▼平和首長会議加盟自治体は全国で九九・六%の千七百十一。関西六府県でも九九・五%。世論調査で七割の国民が賛成する核兵器禁止条約に日本政府が参加すれば国ぐるみの非核の国になる▼ぶれずに「世論と運動」を築く努力が世界を変え、禁止条約を実らせた。腹をくくってその道を進むことが勝利の道だ。(K)


(兵庫民報2021年11月21日付)11:00