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2021年9月5日日曜日

コロナ対策緊急要望:神戸・市民要求を実現する会:いのちと健康、雇用と生業守れ


神戸・市民要求を実現する会は八月二十七日、神戸市に対して「新型コロナウイルス感染拡大にともなう、市民のいのちと健康、雇用と生業を守る緊急要望」を久元喜造神戸市長に申し入れました。
実現する会には二十一団体が参加し、毎年、神戸市の予算編成にあたって要望書を提出し懇談を重ねてきましたが、神戸市をふくむ兵庫県下に四度目の緊急事態宣言が発令されたもとで、改めて「緊急要望」を取りまとめたものです。
緊急要望では、▽PCR検査体制を学校園、家庭、職場、駅頭など気軽に繰り返し検査できるよう拡充して感染拡大を抑え込むこと▽医療機関への減収補塡や医療・介護従事者への支援、中小業者への直接支援の拡充▽経済的に苦しい立場に置かれやすい女性や非正規労働者、学生への独自支援▽新学期を控える学校園での感染防止からも、少人数学級や保育所、幼稚園、放課後学童クラブなどの過密解消をすすめること―などを求め九月中での回答を求めています。
岡崎史典実現する会事務局長は、申し入れで「コロナ禍のもとで、公的な支援が求められる時に、久元市長は病院の統廃合、病床の削減、保健所の縮小など逆行する施策を続けている。三宮再開発や市役所建て替えは中止・凍結し、コロナ禍から市民のいのち、健康、暮らし、生業を守る予算に集中する市政に転換するべきだ」と求めました。
申し入れには日本共産党神戸市議団の森本真団長と大かわら鈴子幹事長が同席、市長室の多名部重則広報戦略部長兼広報官が対応しました。

(兵庫民報2021年9月5日付)18:00

コロナ対策緊急要望:日本共産党兵庫県議団:事業所・保育所・学校など気軽に十分な検査行える体制を


連日千人を超える新規感染者が発生し、八月二十日から四度目の緊急事態宣言が発出されたもとで、日本共産党兵庫県議団は、二十四日、新型コロナウイルス感染症対策の第十五次となる緊急申し入れを斎藤元彦知事と西上三鶴教育長に行いました。
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知事には、五千人を超える自宅療養・待機者も含め、症状に応じて必要な医療を全患者に提供するため、①国に「原則自宅療養」方針の撤回を求め②臨時の医療施設や医療機能を強化した宿泊療養施設を大規模に確保すること―などを求めました。
また、陽性率が二〇%を超え、発症者のうちの無症状者がわずか四%(八月二十二日)に留まっており、抜本的に検査数が足りないと指摘。「事業所、学校、保育園、学童クラブなどで大規模定期的検査を行うこと。希望するところだけに検査キットを配布するのではなく、すべての施設に検査キットを配布し、気軽に検査できる体制を」と求めました。
対応した県感染対策課長は、臨時医療施設について「いま、神戸市では少し行われていると聞いている。県としては、必要とあれば検討はしていきたい」と述べるに留まりました。また大規模検査については、「検査は重要だとは認識している。感染者がでて、クラスターの懸念があるところなどでは、濃厚接触者にかぎらず、ひろく検査を実施することとしている」と従来の回答を繰り返すばかりでした。
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教育長には、デルタ株で子どもの感染が急増している状況をふまえ、①分散登校・登校見合わせの選択、オンライン授業などを組み合わせ柔軟に対応すること②学校の全員に無償・頻回のPCR検査を実施③短期間での全換気と不織布マスクの重視、困窮世帯への不織布マスクの支給④子どもの気持ちをよく聞き意向を最大限尊重した対応⑤子どもの観戦動員を含めパラリンピック中止を国に求める⑥速やかに少人数学級を実現すること―などを要請しました。
教育委員会担当者は、「感染が不安で出席できない児童生徒を一律に欠席とせず、柔軟に対応することとしている。学習指導要領については、柔軟に対応している」などと答えました。
各県議からは、「自宅療養が三千五百三十七人もいる。軽症・無症状者でも急変し、自宅療養で亡くなる人が出てきている。臨時の医療施設の思い切った確保を」「県も入院対象を中等症Ⅱ以上に限定し、自宅療養を基本にしようとしている。改めていただきたい」「学校への検査キットは、希望する学校とされているが、すべての学校に配布し、人員の拡充なども行い無償で頻回に検査できる環境の整備も含め求める」などと述べ、繰り返し求めました。
(門屋史明=党県議団事務局長)

(兵庫民報2021年9月5日付)17:30

コロナの最中に芦屋保健所をなくすなんて

副島圀義

芦屋保健所を宝塚保健所に統合する計画に対して「芦屋保健所の存続・拡充を」との運動を始めて一年。芦屋市議会への請願、それにもとづく国・県への意見書が全会一致で採択されました。県知事に対する署名運動では、「保健所の仕事」を知り、知らせながら一筆一筆を積み重ね、二千二百五十四筆を前知事に提出。いま、斎藤元彦新知事あてに署名運動を再開したところです。
どこでも「コロナの最中に保健所をなくすなんて信じられない」「なんでやねん」と言われます。そんな時「例の『行政改革』ってやつですよ」と言うと、話が通じやすい。いまや「行革」とは「大事なことを切り捨てること」という共通認識が広がってきたのではないでしょうか。
もっともっと「保健所の仕事」をみなさんに知ってもらわないといけないなと実感します。「みなさん」とは行政の「エライさん」たちも含めてです。エライさんたちは平気で「『窓口業務』と『集約して有効活用すべき専門的業務』とがある」などと言いますが、「濃厚接触者の調査はどちらに当てはまるのですか?」と聞くと答えられません。感染状況の調査では、ベテラン保健師さんでも「一日かかって二件分が精いっぱい」と聞きます。「保健所ですが、あなたは昨日〇〇さんといっしょに食事しましたね?」などとの電話に、すぐ信用して答えてくれるでしょうか?
「入院調整もできない」、「自宅療養の人にパルスオキシメータを届けに行く人手もない」、そんな状況のなかで「宝塚保健所の芦屋分室に何人か保健師を配置したら対応できるはず」なんて、まったく机上の空論でしょう。「陽性になった人から『電話が来ない、どうなっているのか、死んだらお前のせいや』と怒鳴られた」というようななかで保健所の職員さんたちは頑張ってくれているのです。
身近なところにあってこその「保健所」です。

(兵庫民報2021年9月5日付)17:00


日本共産党兵庫県労働者後援会が宣伝:政策と実績を広く市民に伝え、何としても総選挙勝利を


日本共産党兵庫県労働者後援会(以下、労働者後援会)は八月二十八日、二十九日の二日間、神戸市中央区内で「宣伝行動」を実施しました。
「解散してからでは間に合わないのが二〇一七年総選挙の教訓。九月以降はいつでも解散・総選挙の可能性。早い予測で準備を整える」(七月二十日、全国都道府県委員長会議、志位委員長の中間発言)―この提起に応えようと、七月の労働者後援会幹事会で決定しました。
コロナ禍、緊急事態宣言中でありますが、何としても勝利を、の思いを結集させての行動です。
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両日とも、あの長雨がうそのような猛暑の中での宣伝となりました。感染対策が必要なため、マスク越しの呼びかけはやめ、あらかじめボイスレコーダーに録音した「訴え」をハンドマイクに乗せての行動です。労働者後援会のノボリ、政策プラスターを掲げ、「オンライン演説会」(九月二十六日、メイン弁士・小池晃書記局長)の案内チラシを配布しました。
元町商店街、三宮センター街、神戸駅、春日野道・葺合地域、下山手・花隈地域周辺での行動でしたが、繁華街の人の流れは普段(コロナ前)と変わらない印象でした。自粛疲れや菅政権による「誤ったメッセージ」のせいでしょうか?しかし、マスク着用をはじめ市民の感染対策は健全でした。
ハンドマイクは謳います。「菅政権のコロナ対策では、いのちと暮らしは守れない」「都議選での議席増、横浜市長選挙勝利など市民と野党が共同すれば政治は変わる」「最賃千円以上千五百円を実現し八時間働けば普通に暮らせる社会を」「こむら潤予定候補の勝利、衆院比例近畿ブロック四議席回復を果たすため、ご支援を」「共産党の躍進と野党共闘の勝利で政権交代を」等々。また、市民と共産党を結ぶ「しんぶん赤旗」の購読の訴えも忘れず呼びかけました。
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この行動には八後援会、のべ十七人の参加がありました。「危険水域」に入った菅政権ですが、解散・総選挙のカードをいつ切るのでしょうか。まだまだ暑い日が続きますが、初秋にしっかりと足を出し汗も流し、来る晩秋には政権交代を果たせるよう、力を合わせ奮闘していきます。
〔北川伸一=県労働者後援会事務局〕

(兵庫民報2021年9月5日付)16:30

憲法改悪阻止兵庫県各界連絡会議が総会:憲法に基づく政治実現へ結集し、総選挙で決着つけよう


憲法改悪阻止兵庫県各界連絡会議は八月二十九日、二〇二一年度総会をオンラインで開催しました。構成団体代表や一般参加で二十四名で討議しました。
最初に、塚田哲之神戸学院大学教授が『コロナ対策禍のなかの改憲動向』をテーマに約一時間講演しました。なぜ「対策禍」なのかについて、安倍・菅内閣が迷走と混乱の政治によって「さらなる災い」をもたらしていると指摘。九〇年代以降の新自由主義的施策による「医療体制の崩壊、社会保障削減、行政改革、法律に基づかない政治、国会の軽視」で、コロナ禍以前の平時から「命とくらしを大切にしない」政治が続いてきたと強調し、科学的根拠が不明・民主的な決定手続きを踏まない政権の悪循環を止めようと訴えました。
菅首相の「緊急事態条項は絶好の好機」というコロナ惨事便乗型の動きとともに、バイデン政権も「日米同盟の相互運用化から相互依存への移行」、中国情勢を利用する「敵基地攻撃能力」を本格化している危険な事態に警鐘をならしました。「緊急事態」については「非常事態」との性質の違いも解説。九条改憲との連動も示し、「不要不急」かつ有害と断じました。
いよいよ総選挙で決着をつけるときが到来。前述のとおり平時からの問題であり「自民総裁の顔が変わっても同じ」であることから、〝憲法に基づく政治〟実現で結集しようと結びました。
参加者から「緊急事態」と「非常事態」の違いへの質問も出され「行政権に一時的に権力をゆだねる怖さ」を確認しあいました。
総会は、活動報告を福嶋敏明事務局長が行い、憲法をめぐる全国情勢は木下智史幹事が、県内情勢は梶本修史幹事がそれぞれ具体的に解説しつつ報告しました。二〇二一年度活動方針提案のあと、討論では「街頭行動で、中国問題をどのように説明すれば良いのか」「護憲派のなかの改憲意見があるがどう考えのか」など、論議が深まりました。
福嶋事務局長の後任として木下智史関西大学教授が就任しました。〔速水二郎〕

(兵庫民報2021年9月5日付)16:00

こむら潤さん保育所関係者と懇談:コロナ禍のもと子育て支援を


こむら潤衆院近畿比例予定候補(兵庫八区重複)は、コロナ禍のもとでの子育て支援について保育所関係者などとの懇談を重ねています。
懇談した保育園の園長は異口同音に、「子どもたちの豊かな発育のために、色々な遊びや行事に取り組みたいが、感染防止を考えると二の足を踏むことが多々ある」「保育園が閉まると、保護者が働けなくなり、親も子も貧困に陥る。子どもを守るためには保護者の生活を守らなければならない。だからできるだけ子どもを受け入れていたいと思うが、クラスターが起ころうものなら、本末転倒になってしまう」などと話し、「行政は園や保護者に責任を丸投げするのではなく、責任を持って正しい情報と判断基準を示して欲しい」と訴えます。
また、補助金について「手続きが煩雑過ぎる。使途も限定され、後払い。無いよりマシだが、もっと活用しやすく制度を改善して欲しい」という要望も寄せられました。
こむらさんは「家庭の子育てを支える拠点としても、保育園と保育士の果たしている役割をもっと評価し、安心して子どもを通わせられる環境整備に政治は力を発揮するべきですね」と応じ、引き続き、切実な願い実現に力を尽くすことを約束しました。
また懇談を終えてこむらさんは、「保育現場では、保育士の皆さんが感染防止に取り組みつつ、子ども達にできるだけ普段通りの生活や豊かな体験を、と工夫し、日々奮闘されていることがわかりました。保育士の低賃金をただし保育士不足を改善、国の保育基準を引き上げ、より良い保育を実現していきたいと思います」と決意を語りました。
〔金田峰生〕

(兵庫民報2021年9月5日付)15:30

ジェンダーわたしの視点「保育士の目からみた保育現場におけるジェンダー平等」兵庫労連女性部部長 上岡美奈


保育士として民間保育園で働いてきた私の目から見た、保育の現場におけるジェンダー平等について少し考えたいと思います。
私が働き出した四十年前は、保育園の送り迎えはお母さんばかりでした。おばあちゃんやおじいちゃんがたまに来られるぐらいだったと思います。今は増えてきているとはいえ、お父さんが送り迎えをする割合は、多めにみて全体で三割ぐらいでしょうか。まだまだお母さんが送り迎えされる家庭が多いと思います。育児に関しても、お母さんが仕事をしながらほとんどやっている家庭の方が圧倒的に多いと思います。
二〇二〇年の総務省の「社会生活基本調査」によると、六歳未満の子どもがいる家庭における妻と夫の家事・育児時間の比較では、夫が一とすると妻は五倍以上という結果が出ています。他の先進国と比較しても日本の夫の家事・育児時間が圧倒的に少ないことが指摘され、その背景には日本の男性の働かされ方に問題があるとされていました。
お父さんが長時間労働するために、お母さんはパートでしか働けず、そして家事・育児も担わなければならないこんな状態では、家庭内をジェンダー平等にすることは難しいと思います。
そして、賃金が低いため、男性保育士は結婚する時に寿退職する人が後を経ちません。
現役保育士の時に、研修でデンマークの保育現場の録画を見る機会がありました。ナレーターが「今日はこのお父さんが一番最後のお迎えで、夕方十六時半でした」とか、職場に電話しているお父さんが「今日は妻が仕事を休んで病気の子どもについていたので、明日は自分が休みたいんです」と伝えると、上司が「明日は大事な会議があるんだよ、でも君の子どもの方が大切だから会議の日程を変更しよう」という場面が出てきたり。最後に講師の先生が「この録画は二十年前に作られたものです」と言われました。子ども中心に社会がまわっている国がある、政治でつくれるんだと思いました。
ジェンダー平等社会をつくるにはまず、「八時間働けば普通に健康で文化的な生活できる賃金を!」そのためには政治を変えなければ!と強く感じる日々です。

(兵庫民報2021年9月5日付)15:00

兵庫の地学散歩……大地を科学する:第三回 山に登った海の地層

写真1:差別浸食によってつくられた甲山(山腹にあるのは神呪寺)

觜本 格(かがく教育研究所)

阪神・淡路大震災の地すべり現場

仁川は六甲山地の標高七百㍍付近を源流にして大阪平野西部の最大の河川である武庫川に合流する。阪急仁川駅を降りて仁川に沿って西へ歩き、正面にお椀を伏せた円形をした甲山(三百九㍍、写真1)を見ながら進むと、兵庫県南部地震で大規模な地すべりが発生して三十四人の方が亡くなった現場(仁川百合野町)がある。幅百㍍、長さ百㍍、深さ十五㍍の土砂(十万立方㍍)が斜面を高速で滑り落ち、十三軒の家屋が倒壊した。この災害も人工的な盛土で造成した斜面で起こったものだった。当時の被害やその後の対策、土砂災害のしくみなどを展示して、この悲劇の教訓を伝えるために建設された「仁川百合野町地すべり資料館」はこの現場にある。水抜きの集水管などの地すべり対策工事が施された斜面の階段を上っていくと「甲山森林公園」に入る。

山なのか、 平野なのか?

山道には風化した花こう岩の岩盤があちこちに露出している。この場所は山地なのか。山地は隆起しているところであり、起伏に富んでいる。侵食され土砂を生産する場でもある。平野は沈降しているところであり、平坦だ。土砂を受け止めて堆積する場でもある。甲山森林公園は「山地なのに平野である」「平野なのに山地である」矛盾した不思議な場所で「北山面」と呼ばれている。遊歩道に沿って大きな花こう岩の岩塊や露頭を見ることができる。表面はざらざらしているが、すべてが丸くなっている。流水で運ばれて削られたのではなく、風化した表面が雨水で削られ、丸くなったことがわかる。このレキが運ばれて大阪城の石垣に使われた。世界の様々な石灰岩を使った「彫刻の道」を進むと「愛の像」がある。その北側の植え込みを越えたところに花こう岩の露頭があり、その上に黒っぽい安山岩のレキを多く含んだレキ層が重なっている。花こう岩と大阪層群の不整合である。

山に登った海の地層

甲山森林公園のいくつかの地点で大阪層群の粘土層が見られる。ピクニックロード沿いの五ヶ池の近くの小さな崖に露出している粘土層(写真2)こそが六甲山地の生い立ちを解き明かす上で重要な地層である。

写真2:大阪層群の海成粘土層Ma1

化石や火山灰などの調査からMa1と呼ばれる。Maとは「マリーン」(海の)の意味で、大阪層群の海成粘土層につけられた記号で、Ma-1からMa13まである。Ma1は百万年前の地層で、ここが百万年前に海底であった証拠である。Ma1は大阪府北部や南部、京都にも分布していて、百万年前大阪湾が京都にまで広がっていたことを示している。一方、大阪南港でのボーリング調査によるとMa1は海面下五百五十㍍にある。百万年前に堆積した一連の地層が一方は隆起して山の中腹(標高百六十㍍)に持ち上げられ、もう一方は沈降して地下深くに押しこめられた。当時、六甲山地は現在のような姿ではなく、そのころから隆起を始めたと考えられる。北山面の「山地なのに平野」の矛盾は、昔の平野が山地に持ち上げられることで作られた。

小島だった甲山

六甲山地の東端に広がった標高百六十㍍~二百㍍の平坦面(北山面)が百万年前に海で覆われたことは確実である。とすれば、甲山はその海に浮かぶ小島だったのだろう。島の周辺には海岸がある。その海岸はどこにあったのだろう。甲山自然の家から甲山に向かう登山道で、その海岸線の証拠を見ることができる。五分ほど登ると道の左右に黒、灰、赤、茶など色とりどりのチャートのレキを多く含むレキ層がある。レキの大きさは一㌢㍍~三㌢㍍で全てが円レキである。現在の海岸の波打ち際で波に洗われて丸くなり、粒の大きさのそろったレキが集まったところがある。一見してそのような海岸を思わせるレキ層は北山面の他の場所でも見ることができる。

「甲山は火山」という誤解

甲山はその形から鐘状火山(トロイデ)と思われていたことがある。今も「古い昔の火山」と思っている人は少なくない。最近まで甲山自然の家の玄関前に「甲山の生い立ち」と題した看板があった。そこに「千二百万年前、甲山が噴火する」と書いてあったことを見てもこの誤解は相当広がっていたらしい。
甲山に火山岩の一種である安山岩が分布していることから誤解は生まれた。確かに千二百万年前に火山活動があったことは確かだ。その時、安山岩を噴出した火山は現在姿をとどめていない。千二百万年前にあった「古甲山」はもっとなだらかな傾斜の火山であっただろう。安山岩は甲山の中腹より上にあり、その周辺は花こう岩でできている。花こう岩は風化しやすく削られやすい。安山岩は緻密で風化されにくく削られにくい。そのために周辺の花こう岩部分は平らな土地になり、安山岩の中心部が残されて盛り上がった地形ができた。岩石の違いによって不均等に侵食が進む「差別侵食」の産物として甲山は生まれた。
 
写真3:甲山自然の家前の大きな石

自然の家の駐車場には、安山岩が花こう岩にへばりついた大きな石が置いてある(写真3)。安山岩のマグマが花こう岩を貫いて地表に出てくる通路=火道の一部である。
 
(元神戸市立中学校理科教員・元神戸親和女子大学教授)

(兵庫民報2021年9月5日付)14:30

民青神戸西地域学生準備班ほっとまんぷくプロジェクト:雨のなか30数人が利用


民青同盟神戸西地域の学生準備班は八月二十四日に第八回目となる「ほっとまんぷくプロジェクト」(学生食料支援)を開催しました。雨天のなか三十数人の学生が利用し食料や生活用品を受け取りました。
同時に取り組んだ民青の学生実態調査アンケートには「バイトのシフトが減らされて収入が減っている」「サークル活動ができない」「人と会えないのがしんどい」など経済的にも精神的にもつらい状態に置かれていることが記されました。
ボランティアに参加したいという学生や、社会問題に興味あるという高校生も現れ、食料支援の場が学生の知りたい・行動したいという願いともつながる場になっています。今回初めて本格的にボランティアに参加し、アンケート対話を行った学生は「こんなに困っている人がいるんだと知れた。引き続き参加したい」と語っています。
準備班では、日本共産党の援助も受けながら、引き続き取り組んでいきたいとしています。〔伊木さち〕

(兵庫民報2021年9月5日付)14:00

神戸映画サークル協議会9月例会『ビリーブ 未来への大逆転』:世紀の〈男女平等〉裁判に挑み、時代を切り拓いた、RBG――若き日のストーリー


昨年九月一八日に八七歳の生涯を閉じた元アメリカ最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグ(RBG)。自身のキャリアのなかで幾度となく男女差別の厚い壁にぶつかりながらも、弁護士、法学者、判事として、長年闘い続けられました。本作は彼女の若かりし頃、「法の下の平等」を実現すべく法律家を目指し、いかに道を切り拓いたのかを描いています。
一九五六年、名門ハーバード大学法科大学院に入学。並外れたバイタリティで努力を重ねて大学院を首席で卒業しますが、女性だからという理由で彼女を雇い入れる法律事務所はありませんでした。やむなく大学教授となって十年、弁護士への夢を捨てきれずにいたところ、ある訴訟記録を目にします。その訴訟の「女性に対する差別」ではなく「男女の不平等」に着目、法律により容認されている男女差別撤廃のための突破口にと、自ら弁護を買って出ます。法廷で劣勢と思われたルースが毅然と弁論スピーチ、歴史的な逆転判決へ――。
男社会のハリウッドで女性監督の道を切り開いてきたミミ・レダー監督が時代の変化を端的に視覚化し、爽快な後味へと導きます。
働く女性のパイオニアと言えるルース。共働きで家事・育児を分担し、彼女の最大の理解者であった夫。互いを敬い支え合う二人がなんとも素敵です。
〔木村百合=神戸映画サークル協議会〕


『ビリーブ 未来への大逆転』(2018年/アメリカ/120分)

9月17日①11時30分②14時30分③19時、18日①11時30分②14時30分③18時/神戸アートビレッジセンターKAVCホール/一般 事前予約1,300円 *参加日時を9月16日までにご予約ください/
☎078-371-8550、Email kcc1950@kobe-eisa.com/URL http://kobe-eisa.com/



(兵庫民報2021年9月5日付)13:30

加印革新懇学習会:市立加古川図書館の保存と活用を考える


加印革新懇は八月二十六日、文化のまちとしての加古川市を守る視点から市立加古川図書館の保存と活用を考える学習会を行い、二十二人が参加しました。
最初に、講師に招いた松本滋さん(工学博士、兵庫県立大名誉教授)と図書館を見学。休館し図書引っ越し中のため時間制限がありましたが幾何学模様のステンドグラス、人研ぎ(人造石)の階段手すり、スクラッチタイル張りの玄関から外壁、ネオゴチック建築の特徴について松本さんから説明を聞きました。
加古川公民館講義室での学習会では松本さんは――▽同図書館は一九三五年、市立公会堂として前川建設(当時は前川組)が建設▽設計は県の営繕課長として公共建築を手がけ、後に独立した置塩章氏で宮崎県庁舎や旧日赤姫路病院本館など多くの作品を残している――など同図書館の歴史を紹介しました。
さらに▽街をつくるには役所も住民も力を合わせるのが本来のありかた▽高度成長期にはスクラップ&ビルドが盛んだったが、バブル崩壊、震災など経て、人々の古い物への価値観が変化、リフォームして使うように変わってきている▽建物が残ることで歴史が残る▽活用されなければ残すのが難しい▽建物の補修費用は状況によって違うが、耐震診断させることは大事――など解説しました。
フロアーから「市立加古川図書館の保存と活用を考える会」代表の今井さんが発言。市へ要望書を出したことにも触れて、市は莫大な費用のかかる補修はしない方向を出していると報告し、会への入会を呼びかけました。
最期に主催者から、加古川市はコンパクトシテイをめざすとしているが、私たちは、加古川の流れる自然豊かなまちとして残し、歴史と文化を守りたい、保存だけでなく、どう活用したいと思っているか意見も求めていき、活動をすすめたいと思いますと挨拶して結びました。
〔櫻本美都恵=同革新懇〕

(兵庫民報2021年9月5日付)13:00

日本共産党兵庫県文化後援会研修会:バイデンはアメリカをどう変えようとしているか

総選挙が迫るもとで日本共産党兵庫県文化後援会は八月二十九日、神戸市新長田文化センターで第三回研修会を開催しました。
研修会は前半、段野太一会長の開会挨拶につづき、大塚秀之神戸市外国語大学名誉教授が「バイデンはアメリカをどう変えようとしているか」をテーマに講演しました。
 

講演の冒頭、アメリカのアフガニスタンからの撤退問題に触れ、いつ撤退するかは時間の問題であったがバイデンになっていきなり国際協力による治安維持などを考慮せず行動に出たことは反って混乱を拡大していると指摘しました。
一方、バイデンはアメリカ社会の構造的な矛盾としてある白人中心の差別社会を是正しようとして一歩踏み出していることについて多くの資料を駆使して詳しく解明しました
住宅問題や学歴社会など、人権のみならず社会生活に染み込んでいるアメリカの差別社会の実態を紹介し、共和党などの抵抗があるもとで、その改革に取り組もうとしている姿勢に注目していきたいと評価しました。
講演に続いて、総選挙にどう取り組むかについて討議。冒頭、党県委員会の小林明男常任委員が、「総選挙は、議員の任期満了が迫っていてこれ以上遅らせられない時期に来ている。コロナ禍の下でのオリンピック開催など菅政権への国民の怒り、不信は高まっており、政権交代のチャンスである。市民と野党共闘による選挙に努力しつつも、日本共産党の議席獲得への独自の奮闘がいまきわめて重要だ」と強調、九月二十六日、小池晃書記局長を迎えてのオンライン演説会の成功を訴えました。
文化後援会の濱本鶴男事務局長は文化の分野での取り組みについて報告。これまでに培ってきた機関紙ニュース「風を起す」の読者との連携をいかして対話支持拡大を進めようと呼びかけました。
共にたたかう決意表明などの発言があり、また「講演でアメリカの実態が良くわかった」などの感想が寄せられました。
〔堤隆二=同文化後援会〕

(兵庫民報2021年9月5日付)12:30

山下よしき「いのちをまもりぬく政権を」連載エッセイ38


「これ以上菅政権が続いたら命もくらしも守れない」
国民のなかで怨嗟の声が渦巻いています。菅首相の地元、横浜市長選挙(八月二十二日)で、首相側近の自民・小此木八郎・前国家公安委員長が、市民と野党の共同候補である山中竹春氏に大差で敗れたことはその象徴です。
横浜ショックを受け、自民党内では「菅首相では選挙の顔にならない」との声が噴出しているといいます。ため息が出ます。いまそこでしょうか。
大敗の原因が、カジノ誘致など横浜市政の問題とともに、菅政権のコロナ対応への批判にあることはあきらかです。感染爆発と医療崩壊が起こり、自宅で医療が受けられないまま亡くなる方が連日報じられています。にもかかわらず、政権中枢は「感染拡大の波が繰り返されることはやむを得ない」「いまの状況はデルタ株が広がったため」という認識で、自らの失政に対する自覚も反省も一片もありません。だから「原則自宅療養」などという命にまで自己責任論を押し付けるとんでもない方針がさらっと出てくるのです。
そこが批判されているのに、真剣に受け止め改めるのでなく、「選挙の顔」のことしか考えない。こんな政党にもはや政権を担当する資格はありません。
野党が本気で共闘し、菅政権を倒し、新しい政権――国民の命を守り抜く覚悟を持った政権をつくることを、情勢が切実に求めています。大きな違いは横に置き、太い柱と緊急の一致点で共闘を。どうか世論の後押しを。
(日本共産党参院議員・党副委員長)

(兵庫民報2021年9月5日付)12:00

亀井洋示「横浜市長選:市民と野党の共同――この道こそ」


(兵庫民報2021年9月5日付)11:30

観感楽学


「いつになったら収まるのやろ」というのが毎日の挨拶代わり。連日増え続けるコロナ感染者の数字を見て出口の見えない現実に不安は募るばかりである。それでも医療労働者はコロナ感染者と向き合い、必死に治療・看護にあたらざるを得ない▼こんな折、「サービス残業は当たり前じゃない‼」という日本共産党市議団「神戸市会報告二〇二一年夏号」を見て仰天した。なんと神戸中央市民病院で看護師のサービス残業が問題になっているのだ▼答弁ダイジェストによると局長は「勤務(残業)は所属長から時間外勤務命令を出した時間からで、カードリーダーの時間をそのまま適用するのは難しい」と答弁。「国のガイドラインどおりにきちんと把握するのは自主申告しかないということか?」と追及されると「自主申告というよりもそこの所属長が勤務(残業)を命じているかどうかだ」と答弁している。いくら残業しても所属長の命令によらなければ残業ではないというのである▼コロナのみならず多忙を極める病院で看護師一人一人がその都度、超勤命令の確認などできるわけがない。高度化・近代化と喧伝される病院で残業代すらまともに支払わない五十年前と変わらぬ前時代的な現実が堂々とまかり通っている。これではコロナとの闘いに勝てない。(D)

(兵庫民報2021年9月5日付)11:00