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2021年7月18日日曜日

まやかしの第6次エネルギー基本計画:原発「必要な規模を持続的に」/CO2削減目標46%:原発なくす会恒常学習会で笠井衆院議員が批判

原発をなくし自然エネルギーを推進する兵庫の会が主催する恒常学習会の第十六回目は『第六次エネルギー基本計画と原発ゼロ基本法案』をテーマに笠井亮日本共産党衆議院議員を講師に行われました。会場はコロナ過密を避け参加者は十五名。YouTubeで放映しました。
地球温暖化による気候変動は、異常気象段階から〝気候危機〟となり、例えば七月の今、カナダやモスクワでセ氏四十度を大きく超え、クーラーを使わないカナダでは熱中症による死亡が続出しています。温暖化による凍土溶解や熱帯林の破壊も大きく、コロナ禍が収束しても新たなウイルスの発生が予測されています。こうした状況のもと、安倍政権に続く菅政権が策定しようとしている「第六次エネルギー基本計画」がどのようなものか、笠井さんは東京から大型スクリーンに登場、約一時間、詳しく解説しました。
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最初に笠井さんは、熱海市で発生した土石流災害や線状降水帯による水害の例もあげ、「残された時間は少ない。二〇三〇年までのCO 2削減に人類と地球の未来がかかっている」と提起しました。
エネルギー基本計画の改定は三年ぶり。その骨子案を七月七日付『産経新聞』が報じました。原発については「『安全性の確保を前提に、必要な規模を持続的に活用する』との表現を新たに盛り込む」「素案を七月二十一日に政府の審議会に提示、八月に政府原案を決定し、十月までの閣議決定をめざす」「政府は、基本計画を反映して年内にも改定する令和十二年度の電源構成比率について、原発は現行の二〇から二二%を維持し、再エネは……三六~三八%に引き上げる方向で調整している」。
笠井さんはこの記事を紹介し、「総選挙では焦点にせず、十一月のCOP26までに策定」しようしている菅政権の世界の流れに向き合わないまやかしを批判。野党が共同して二〇一八年三月に提出済みの「原発ゼロ基本法案」の審議を求めることが何より必要だと強調しました。
「産業革命以前からの気温上昇を一・五度以内に抑えることが人類共通の死活的任務とする科学的知見への根本認識が問われる」「二〇三〇年までの四六%削減を菅政権は『野心的』というが、英国は六八%、EUは五五%、米国は五〇~五二%を掲げ、日本の環境団体の多くも気候ネットの六五%をはじめ五〇%以上を提唱しており、野心的目標・挑戦とはいえない」「省エネ・再エネこそがこの六五%削減を実現する要」「菅政権はCO 2の貯留(CCU)やアンモニア、水素へ巨額投入という新技術依存を前面に出しているが、財界トップも実現に十五~二十年かかり間に合わないと発言している」など詳しく解説しました。
笠井さんはEU各国への頻繁な視察や環境保護にかかわる政治家や団体と交流してきた内容を紹介。その大半で、これからの社会は「前例のないシステム移行」が必要だとの考えが示されたことを明らかにし、〝否応なしに資本主義的思考をやめないと地球破壊が止められない〟との認識が広がってきていると述べました。
最後に笠井さんは、「二〇五〇年 二酸化炭素排出ゼロ表明」自治体が四十都道府県、二百四十九市、九特別区、二十村となっていることを紹介(写真上)。兵庫県内ではまだ九市であり、地球温暖化防止にとりくむ県政への転換めざしともに頑張りましょうとまとめました。
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学習会では、憲法が輝く兵庫県政をつくる会が、地球環境を守る――ゼロカーボン、原発ゼロ、再可エネ一〇〇%めざして――を政策に掲げ、全国すべての原発の廃炉を求めること、大阪湾をはじめ原発汚染水の海洋投棄に反対すること、県の施設をはじめ既存設備に最大限の太陽光発電を設置する県独自の助成制度をつくること―を主張していることも紹介されました。
〔速水二郎=原発なくす兵庫の会〕
 
録画はhttps://youtu.be/7JEieSX7ONIで公開中

 

(兵庫民報2021年7月18日付)

コロナ禍の今こそ廃炉:毎月11日、加古川駅前で脱原発訴え111回


加古川駅前での「福島原発事故を忘れない毎月11日行動」が7月11日で111回目となりました。
2011年3月11日に起こった福島原発事故。脱原発を訴え同年11月から始まったこの行動は、脱原発はりまアクションと加印革新懇が共同して続けています。ことし5月、6月はコロナ感染拡大があり中止。少し久しぶりの行動となりました。ギター演奏を間に挟みながら、それぞれの思いをスピーチしました。「脱原はりま通信」は200枚近く配布。配布メンバーが「チラシが無い」というくらい好反応でした。福島の子ども健康支援カンパは950円あつまりました。参加者は17人でした。
〔写真と情報の提供は、脱原発はりまアクションの菅野逸雄さん〕
 
関西電力姫路支店前での「関電さん原発やめて毎週金曜行動」は7月30日に第450回になります。

関電さん原発やめて毎週金曜行動(姫路)第450回

7月30日(金)17時30分~18時15分:関電姫路支店前、18時30分~19時30分:JR姫路駅ピオレ前/主催:脱原発はりまアクション

(兵庫民報2021年7月18日付)
1700

高塚高校校門圧死事件から31年目:生徒のいのち、人権守る教育行政に:兵庫教育共闘が知事、県教委、県議会に申し入れ


高塚高校校門圧死事件から三十一年を迎えた七月六日に有志など十七名の関係者が事件のあった校門前で追悼の行動を行いました。
これに先立って、高塚高校の最寄り駅である市営地下鉄西神中央駅前で「兵庫教育共闘」がチラシ配布の宣伝を実施しました。
この事件は、「形をつくることが教育」とする当時の校長の指示のもと、八時三十分きっかりに門扉を閉める兵庫県の行き過ぎた管理教育が招いたものです。

タブレット自費購入反対署名2607筆

校門前での追悼行動を終えた後、「兵庫教育共闘」は兵庫県知事、兵庫県教育委員会、兵庫県議会議長あてに事件の背景にある管理教育や競争主義的な教育を止め、生徒の人権を尊重するため、憲法と子どもの権利条約に基づいた教育行政にするように申し入れを行いました。
あれから三十一年がたちましたが、兵庫県の教育はいまだに管理主義・競争主義的な教育が続いています。
高校通学区拡大により競争教育は強化され、遠距離通学により通学費の家庭負担は増加しています。
兵庫県は、小学校・中学校でタブレットが二〇二三年度までに導入されることをうけて、高校でも二四年度からタブレット端末の導入を進めようとしています。
しかし、教育現場ではネット環境が十分に整備されていないうえに高額なタブレット端末の費用負担が家庭に重くのしかかるとして、「タブレット自費購入反対署名」が取り組まれ二千六百七筆を教育委員会に提出しました。
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高塚高校校門圧死事件を招いた兵庫県の管理教育・競争主義的な教育は人を「物」として扱うことです。一つの教室に四十名以上いる生徒を一人の教師で見なければならない環境下では生徒一人ひとりに十分な対応を行うことは不可能です。
さらに、部活動など授業以外でも先生の負担を考えれば、三十五人学級の早期実現はもちろんさらに少人数への学級編成が必要です。
そのためにも、正規教職員を増やすことと合わせて、これ以上の学区拡大、学校の統廃合はやめるべきです。
兵庫県には、生徒のいのちや人権を基本とした教育行政に改めるよう今後も追悼の行動は続けていく予定です。
〔岡崎史典〕

(兵庫民報2021年7月18日付)
1650

高校卒業まで医療費無料:七月から加西市、明石市も


兵庫県内で高校卒業まで医療費を無料化する自治体が広がっています。
加西市、明石市はことし七月から子どもの医療費助成の対象を、従来の中学卒業から高校卒業までに拡大しました。通院、入院とも窓口での自己負担は、ありません。両市とも所得制限もありません。
兵庫県の乳幼児と子どもの医療費助成制度は、対象が中学生までで、自己負担や所得制限があり、両市では、それを補うかたちで、市独自で上乗せをして無料化しています。
加西市、明石市のほか、県内ではすでに小野市、宍粟市、佐用町、神河町が、通院、入院とも高校卒業まで所得制限なしで無料化しています(宍粟市は中学を卒業した人が就労で一定所得を超える場合等は対象外)。香美町、新温泉町は、一部、所得制限がありますが通院、入院とも高校卒業まで無料化しています。
このほか、入院に限って、高校卒業まで無料化している市町もあります。
〔森勇治〕

(兵庫民報2021年7月18日付)
1600

ジェンダーわたしの視点「『自分らしさ』応援する社会こそ『持続可能』」新日本婦人の会兵庫県本部 荻野潤子


「あのさ、日本って〝先進国〟なん?」と不意に子から問われ、ハッとした。「先進国」の定義は、過去には経済的大国のことだったろう。しかし現在はSDGs(持続可能な開発目標)達成を具体化する国が世界をリードしていると思う。そして達成に不可欠なのがジェンダー平等の視点。日本は世界ジェンダー平等度ランキングで下落し続け、今百二十位。つまり、世界の流れから、遅れに遅れている。
ジェンダー平等のために早急にクリアすべきは、「選択的夫婦別姓」の実現だ。夫婦同姓を強制している国は日本だけ。九六%が女性が改姓し、不利益が女性に集中している。国連女性差別撤廃委員会は、繰り返し「同姓強制は女子差別撤廃条約違反」と勧告している。
私も改姓した一人。結婚時、事実婚も少し考えたが、夫が「長男やからなぁ…」とつぶやき、忙しさもあり、深く考えずに「じゃ、私が譲ろう」と入籍。最初は、結婚の証のようで嬉しく、自ら、年賀状に「〇〇潤子(旧姓・荻野)」と書き、「仕事で通称使用するし、いいか」と考えていた(夫とは対等でいようと話し合い努力してきたつもり。しかし苗字になると、こうだ…)。しかし、徐々に、なぜ自分だけ膨大な手続き? 使い分けが不便! この喪失感は一体…と不平等を感じるように。六年前、NPT・NY行動で「荻野潤子」として派遣された際、パスポートは戸籍名なので、何度も確認され、手間取った。そう、身分証明に関わる重要書類ほど、戸籍名なのだ。
今年六月、夫婦同姓を「合憲」とした最高裁大法廷。十五人中女性は二人。不利益を体感している女性が意思決定機関に少なすぎる。兵庫県議会の女性の割合は一五%。新婦人の「夫婦別姓に賛成を」の請願が自民と維新の反対で否決され続けている。七月、東京都議会は女性が過去最多の三二%に! 兵庫も早く三割以上にしたい。
最近、街頭のシール投票で政治・社会の関心テーマを聞くと、十代、二十代は一番に「夫婦別姓」を選ぶ。「自分らしさ」を応援する社会こそ「持続可能」だろう。多様性を必死で否定する自民党政治を終わらせよう。「Don't Be Silent」と世界からエールを送られている。

(兵庫民報2021年7月18日付)
1550

こんなところにもこむら潤さん:垂水商店街の路面アート

みずほ銀行の浜側

神戸市・垂水駅前の商店街に路面アートが描かれています。そのうち、ニワトリ親子とカブ・ピーマン・サヤエンドウのデザインをしたのは?――なんと、こむら潤さん(日本共産党衆院比例・兵庫八区予定候補)であることが、フェイスブックのこむらさんの投稿で明らかにされました。
 
業務スーパー前

一九九〇年代末、こむらさんは垂水駅前にあった垂水美術研究所で講師を務めていました。その時、商店街から通路の舗装をするので地元の方とコラボで華やかに盛り上げたいと図案の依頼が研究所にあり、生徒たちといっしょにデザインをしました。ほかに花束を抱く少女、明石海峡大橋、イルカなどがいまも商店街に彩りをあたえています。

Googleマップなど航空写真にも写っています

(兵庫民報2021年7月18日付)
1500

日中友好協会兵庫県連が第67回総会:自主的立場を貫き活動、中国を正しく知ること大事に


日中友好協会兵庫県連合会は七月四日、神戸市東灘区で第六十七回総会を開催しました。
開会挨拶で前田清県連会長は、「日中国交正常化から来年で五十年、『文化大革命』以後、中国側との交流が一九九九年まで断絶した中にあっても協会は一貫して自主的立場を貫き活動を継続してきました。この歴史は教訓として受け止めておくことが必要です。中国については歴史的見地から見ていく必要があり、学習を継続して中国を正しく知ることが大事です」と挨拶しました。
諸議案提案のあと、ゲストとして迎えた遼寧省出身で神戸大学大学院へ留学している寵博さんが、コロナ禍での留学生活の一端について「授業は全てオンラインで、評価をもらわないと大学には行けないので友人とは疎遠になりました。今年三月に修士号を得て大学院を終了し現在就活中ですが企業の採用が制限され、面接もオンラインとなり、八〇%の学生が帰国を予定しています、私の後輩も帰国します。アルバイトでしのいでいますが、バイト収入は時短や休業で三分の一ほどに減少し困りました」と語りました。
討議では、中国問題や日中情勢、マスコミ報道をはじめ支部活動の現状、「中国百科検定」の試験問題について、支部総会の開催と会員拡大の取り組み、太極拳教室の現状、ホームページについてなど七人が発言しました。提案された諸議案は全て採択され新役員を選出、大会宣言を拍手で採択しました。
二〇二一年度新役員は会長・前田清、理事長・兵頭晴喜、事務局長・上田雅美、理事十九人。
〔上田雅美=日中友好協会兵庫県連〕

(兵庫民報2021年7月18日付)
1450

七月七日は「盧溝橋事件」八十四周年:日本中国友好協会兵庫県連合会 上田雅美



一九三七年七月七日、中国・北京郊外の盧溝橋付近で夜間演習中の日本軍部隊が中国軍陣地から銃弾を撃たれたとして、これを不法射撃だと主張する日本軍は膺懲(征伐して懲らしめる)と称して中国軍陣地を攻撃、中国軍も抗戦し、盧溝橋付近で日中両軍の戦闘が繰り返されました。この盧溝橋事件から今年は八十四年目となります。
この事件を契機に日本は一九四五年の敗戦まで中国全土への侵略戦争をおし進め、南京大虐殺、七三一細菌戦部隊、戦時性暴力事件、儘滅掃討作戦、強制連行・強制労働事件、重慶などへの無差別爆撃をはじめとした加害行為を重ね、言語に絶する苦しみを中国の民衆に与えました。
一九三一年の柳条湖事件に始まる日本軍国主義による中国への侵略戦争は、「道義に欠ける中国を懲らしめて反省させる」との主張のもとに進められたものでした。
いま、尖閣、香港、人権問題などをめぐって日本国民の対中感情が悪化する中、中国の軍事力増強に対抗するとして日米軍事同盟の強化と一体化が進められ、日本を戦争のできる国にするための憲法改悪の動きが強まっています。
侵略戦争の反省と教訓をもとに不再戦平和運動を進めてきた日中友好協会は、中国の国際法に反する行動の誤りは率直に指摘し、あらゆる軍事的な対抗措置に断固反対します。コロナパンデミックや地球温暖化の中で、いま重視すべきは国際協調であり、体制の違いを越えて、人類共通の課題を克服するために世界が力を結集し取り組むことです。

(兵庫民報2021年7月18日付)
1400

劇団文化座『命どぅ宝』:神戸演劇鑑賞会8月例会:なまの舞台をごいっしょに


敗戦から十年を経たここ〝伊江島〟は米軍の基地にされた。予告もなく、島民を銃で脅し、畑をブルドーザーで壊した。柵を巡らし、島民を遮断した。沖縄に現代もある米軍の基地はこうして始まった.
舞台は、突然生活の総てを奪われた島民の戸惑い、なす術を知らない人々の姿を、克明に描き、その心情までもつぶさに表現している。島民たちだけでなく、非道手段で基地を手にする米軍兵たちの様子もリアルだ。
この島の惨状をみたひとりの農民が立ち上がった。その名は阿波根昌鴻。彼は静かな抗議行動を主張した。
その頃、沖縄本島では人民党の書記長、瀬長亀次郎が知事選に立候補するが、米軍などの圧力もあり落選。そして、人民党員を匿った罪で宮古刑務所に収監されるが、すぐに釈放された。亀次郎は、伊江島の抗議行動のやり方に危惧を感じていた。島の中だけでなく、もっと広く沖縄全土の問題として考えることを昌鴻に伝えた。ここから、昌鴻たち、島の農民は新たな抗議行動を模索し始めた。
舞台全体をつつむ優しい照明。その光りの中で、粘り強く抗議行動をする、島の農民たち。その心の底に潜んでいる〝命〟を大切に思う力を感じる。抗議のための抗議でなく、ひとつ、一つの命がどんなに大切か、登場人物たちの眼の光りが観客に投げかけている。そして、沖縄の米軍基地は現代も生きている。
〔小谷博子=神戸演劇鑑賞会〕
 

劇団文化座 『命どぅ宝』

作=杉浦久幸 演出=鵜山仁 出演=佐々木愛、白幡大介、藤原章寛ほか/①8月6日(金)18時30分②8月7日(土)13時30分/神戸文化ホール中ホール/会員制(入会時に入会金1,000円と月会費2カ月前納)、月会費3,500円(大学生2,000円、中高生500円)/Tel. 078-222-8651、Fax078-222-8653 http://kobeenkan.my.coocan.jp/

(兵庫民報2021年7月18日付)
1350

こむら潤「今こそ、つながり寄り添って」こんにちは♡こむら潤です!17


先日、早朝から出発し電車移動をしている時のでき事です。通勤通学のラッシュで、ボックス席の車両は満席、私は通路の真ん中あたりまで進んで立っていました。隣に少しやせた、制服姿の男の子が立っていましたが、途中で前かがみになり、膝に手をついて息苦しそうにし始めました。そっと肩をたたいて「大丈夫?」と声をかけると「だ、大丈夫です……」と言うのですが、明らかに大丈夫ではありません。周囲の方も心配し、横の女性が席を替わってくれたので座らせました。
横にかがんで話を聞くと、私が降りるT駅より先のS駅の学校に通う中学一年生。時々しんどくなるそうです。「しんどかったら無理しないで途中でも降りようね」と、持っていた塩飴を一つ彼に渡しました。周りで心配する人もみな、T駅で降りてしまうようで気がかりでしたが、座ったことで少し落ち着いたようなので、「気を付けてね。辛かったら駅員さんから学校に連絡してもらってね」と言って彼と別れました。
電車を降りてから、スマホで「S駅、私学、制服」で検索すると、彼と同じ制服の写真が出たので、その学園に電話をかけて報告しておきました。
私も電車で遠距離通学していた経験があり、今は息子も早朝から電車通学です。他人ごとではなく、「自分なら、自分の家族なら」という気持ちの寄り添いで、私たちはいくらでも優しい社会、優しい政治をつくることができます。今こそ、つながり寄り添って力合わせましょう。
(衆院近畿比例・兵庫8区予定候補)

(兵庫民報2021年7月18日付)
1300

大門みきし「無観客でもやりたい理由」連載エッセイ64


無観客でもオリンピックを開催すれば、海外から数万人が訪れ、コロナ感染は全国へ拡大します。なぜ菅首相はオリンピックに固執するのか。二つの理由があると思います。
一つは利権です。IOC(国際オリンピック委員会)の収入の大半はオリンピックを各国のテレビ局に放映させる放映権収入です(四年で約七千億円)。このお金をめぐり今まで汚職事件が後を絶ちませんでした。日本の委員会にも配分されるこのお金は委員の高額報酬にも充てられています。IOCと日本のテレビ局を仲介し巨額の手数料を稼ぐのは電通です。テレビ局も大企業からばく大なスポンサー料が入ります。かれらは無観客でもテレビ放映できればいいのです。またオリンピックの運営業務の大半を受注するのはパソナです。会長は私の「天敵」とマスコミも指摘する竹中平蔵氏です。これらの大企業から献金等の支援を受けているので菅首相はオリンピックを中止しないのです。
もう一つの理由は菅首相によるオリンピックの政治利用です。ある自民党議員は「支持率が下がる一方の菅さんが『オリンピックをやりとげた首相』として解散総選挙に打って出ようとしている。そうしないと菅おろしが始まる。イチかバチかの賭けだ」といいました。
しかし賭けにさらされるのは国民の命です。なぜ一部の大企業や菅首相ごときのために私たちの命やくらしが危険にさらされなければならないのか。オリンピック中止の声をとことん上げ続けましょう。
(日本共産党参院議員)

(兵庫民報2021年7月18日付)
1250

兵庫山河の会 〈七月〉

恥も悔いも程よく忘れ七度の干支の日々つっぱり暮らす
 石井敏子

五輪より命守れとマイク持つ畑の農夫手を振り拍手
 岸本 守

男性の長髪もいい夏帽の下からのぞく馬の尻尾よ
 古谷さだよ

大空を飛ぶ自由は鳥にありオスプレイは鳥にはあらずや
 大中 肇

夏草のぼうぼう乱れ緑なすもなかに咲けるもじずりの紅
 山下洋美

坊さんの一念発起のこの行脚ヒロシマの祈り全国に拡げ
 西澤 愼

香港のリンゴの種が世界中に育ち再び花咲く時を
 塩谷凉子

アメリカへワクチンツアー盛んとか広告もせず後ろめたいか
 山下 勇

二回目のワクチン打ち終え帰る道コロナ後のくらし描きてみたり
 古賀悦子

(兵庫民報2021年7月18日付)

 
1200

亀井洋示「政治生命」


(兵庫民報2021年7月18日付)
1150

観感楽学


「草の中に寝ていたのか波の音」―放浪、漂泊の俳人山頭火が「ねんてん先生」(坪内稔典)の随筆で紹介された(「赤旗」七月二日付)。「歩き疲れては/夜空と陸との隙間にもぐり込んで寝たのである/草に埋もれて寝たのである…」―沖縄出身の詩人山之口貘「生活の柄」。高田渡、大工哲仁などが歌にもした▼山頭火は廃屋を庵として一人、暮らしたが、当時の満州国建国の世情の熱狂から距離をおいたという。失業と差別に耐えながら放浪生活を送った山之口貘は原水爆や「不沈母艦沖縄」などを柔らかいタッチで鋭く告発する詩で注目された▼「読書」欄(七月四日付)には米文学の礎を築いたとされる作家ソロー『森の生活』が登場。ソローは森の奥の湖畔に自らの手で家を建て自給自足的な生活を送った。私が平和交流でボストンを訪問した際に、友人が独立戦争で英軍との戦闘地となったコンコード、ウォールデン湖に連れて行ってくれた。建造費二十八ドルという家は想像以上に狭かった。ソローは人頭税に反対し投獄されたのを契機に『市民的不服従』を著した▼彼らは、世の中から隔絶した生活を送ったかのようだが、文学者の感性で社会を見続けた。自然の中での自由な暮らしにもあこがれるが社会への研ぎ澄まされた感性を学びたい。(K)

(兵庫民報2021年7月18日付)
1100