地球温暖化による気候変動は、異常気象段階から〝気候危機〟となり、例えば七月の今、カナダやモスクワでセ氏四十度を大きく超え、クーラーを使わないカナダでは熱中症による死亡が続出しています。温暖化による凍土溶解や熱帯林の破壊も大きく、コロナ禍が収束しても新たなウイルスの発生が予測されています。こうした状況のもと、安倍政権に続く菅政権が策定しようとしている「第六次エネルギー基本計画」がどのようなものか、笠井さんは東京から大型スクリーンに登場、約一時間、詳しく解説しました。
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最初に笠井さんは、熱海市で発生した土石流災害や線状降水帯による水害の例もあげ、「残された時間は少ない。二〇三〇年までのCO 2削減に人類と地球の未来がかかっている」と提起しました。
エネルギー基本計画の改定は三年ぶり。その骨子案を七月七日付『産経新聞』が報じました。原発については「『安全性の確保を前提に、必要な規模を持続的に活用する』との表現を新たに盛り込む」「素案を七月二十一日に政府の審議会に提示、八月に政府原案を決定し、十月までの閣議決定をめざす」「政府は、基本計画を反映して年内にも改定する令和十二年度の電源構成比率について、原発は現行の二〇から二二%を維持し、再エネは……三六~三八%に引き上げる方向で調整している」。
笠井さんはこの記事を紹介し、「総選挙では焦点にせず、十一月のCOP26までに策定」しようしている菅政権の世界の流れに向き合わないまやかしを批判。野党が共同して二〇一八年三月に提出済みの「原発ゼロ基本法案」の審議を求めることが何より必要だと強調しました。
「産業革命以前からの気温上昇を一・五度以内に抑えることが人類共通の死活的任務とする科学的知見への根本認識が問われる」「二〇三〇年までの四六%削減を菅政権は『野心的』というが、英国は六八%、EUは五五%、米国は五〇~五二%を掲げ、日本の環境団体の多くも気候ネットの六五%をはじめ五〇%以上を提唱しており、野心的目標・挑戦とはいえない」「省エネ・再エネこそがこの六五%削減を実現する要」「菅政権はCO 2の貯留(CCU)やアンモニア、水素へ巨額投入という新技術依存を前面に出しているが、財界トップも実現に十五~二十年かかり間に合わないと発言している」など詳しく解説しました。
笠井さんはEU各国への頻繁な視察や環境保護にかかわる政治家や団体と交流してきた内容を紹介。その大半で、これからの社会は「前例のないシステム移行」が必要だとの考えが示されたことを明らかにし、〝否応なしに資本主義的思考をやめないと地球破壊が止められない〟との認識が広がってきていると述べました。
最後に笠井さんは、「二〇五〇年 二酸化炭素排出ゼロ表明」自治体が四十都道府県、二百四十九市、九特別区、二十村となっていることを紹介(写真上)。兵庫県内ではまだ九市であり、地球温暖化防止にとりくむ県政への転換めざしともに頑張りましょうとまとめました。
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学習会では、憲法が輝く兵庫県政をつくる会が、地球環境を守る――ゼロカーボン、原発ゼロ、再可エネ一〇〇%めざして――を政策に掲げ、全国すべての原発の廃炉を求めること、大阪湾をはじめ原発汚染水の海洋投棄に反対すること、県の施設をはじめ既存設備に最大限の太陽光発電を設置する県独自の助成制度をつくること―を主張していることも紹介されました。
〔速水二郎=原発なくす兵庫の会〕
録画はhttps://youtu.be/7JEieSX7ONIで公開中