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2021年7月11日日曜日

済生会兵庫県病院、三田市民病院の統合NO!

旧有馬郡(三田市、西宮市北部地域、神戸市北神地域)では将来的な急性期医療の確保のためなどとして、北区の済生会兵庫県病院と三田市民病院との再編統合も視野に入れた検討委員会を三田市、神戸市が共同で設置。これまでも、身近な病院がなくなると懸念の声があがり、地域住民や患者、利用者から存続・充実を求める運動が広がっています。

存続・充実を!――三田市と北神地域、二つの会が集会

済生会兵庫県病院の存続・充実を求める会と三田市民病院を守る会が六月二十七日、北神区文化センターで「講演会&報告集会」を開きました。
藤末衛医師(神戸健康共和会理事長・全日本民医連前会長)が「コロナ禍における公的公立病院の役割」と題して講演。感染症指定病院の九四%が公立・公的病院で占めている事実、民間病院との連携が今後、必要であることを強調しました。
また、「第一回北神・三田地域の急性期医療の確保に関する検討委員会」について兵庫の医療を守る会の今西清代表が報告し、次の問題点を指摘しました。①済生会兵庫県病院の経営悪化の原因と対策が議論されていない②再編統合し病床削減すれば入院できない患者が増える③経営優先の病院になる④地域住民にとって遠距離過密診療になる⑤病院利用者や市民の声をまったく聞かない。今西さんは「検討委員会は、市民の声をしっかり聞いてこの地域に必要な医療提供体制のあり方を科学的に調査し、民主的に報告書を作成することが求められている」としめくくりました。
また、西宮北部地域住民の声として、西宮市議会に陳情・請願提出を予定していることが報告され、運動の広がりを確認することができました。〔浜本宏=済生会兵庫県病院の存続・充実を求める会〕

日本共産党・朝倉えつ子市議が要求:神戸市長として存続の立場で


この問題について神戸市議会では日本共産党の朝倉えつ子議員が六月二十八日、一般質問で取り上げました。
朝倉えつ子議員は、コロナ禍で医療の大切さが浮き彫りになったことを強く指摘し、存続・充実を求める一万筆を超える署名など、市民の願いにこたえ、病床を削減するような再編統合はやめるべきだと主張し、市長として存続の立場を明確にして検討会に臨むよう求めました。
久元市長は、「済生会兵庫県病院から単独で将来的に地域の基盤病院として急性期医療を継続して維持していくことが困難だとの報告があり、それを踏まえ検討委員会を設置、再編統合も視野に入れた方策を検討していくことになった」と答弁しましたが、存続の是非については一貫して答弁を避けました。
朝倉議員は「兵庫県が統合や病床削減を誘導する発言をしているが、北神地域の医療需要は今後も増え続けている」と指摘。検討委員会には住民の代表が一名しか入っていないが、もっと多くの地域のみなさんの声を反映させ、方向性を決めるべきだと重ねて求めました。
朝倉議員は、このほか、旧北区役所跡への図書館整備と、小学校給食費の引き下げなどを求めました。
〔前田明〕

(兵庫民報2021年7月11日付)
1800

「コロナ感染で何が問われたのか――いのちと暮らし守る兵庫県政に」兵庫民医連会長 大澤芳清


兵庫民医連会長で医師の大澤芳清さんが尼崎市内の会場で訴えました。その一部要旨(文責編集部)を紹介します
 
昨年春からコロナの感染が続いています。今年三月から始まった第四波が、ようやく収束に向かいました。しかし、もう第五波が来るのではないかと報道もされています。
コロナの感染が広がるなか、尼崎市内でも、たくさんの陽性の方が発生しました。保健所に相談しようと思っても電話が繋がらない。対応していただけない。コロナの入院ベッドは行政の指導で増やされました。でもすぐいっぱいになりました。
軽い症状から中等症の症状の方を受け入れた病院では、入院中に症状が重くなって、専門的な治療が必要な方でも、専門病院に転院することができなくなりました。市内では、複数の介護施設や病院で集団感染が起こりました。行政からは、一定の年齢以上の方は治療しても助けることができない――こんな判断をされて、そのまま施設や病院に留め置かれる事態となりました。助けることができたかもしれない命が切り捨てられました。
対応した職員には何もできなかったという無力感と、大きな心の傷が残り、勤務を続けることができなくなる人も出てきました。
そして、入院して治療が必要と判断された方でも入院できず、自宅で療養する状況が生まれました。尼崎市と尼崎市医師会が協力して、入院できない陽性の方に薬を出したり、点滴や酸素吸入器の手配など往診が行われ、注目されています。市医師会以外でも、自宅にいる療養者に薬を届けたり、食料を届けたりする取り組みも行われました。
では、コロナ感染症以外の医療には影響が出なかったのでしょうか。尼崎市内では一一九番に電話して救急車が現場に到着しても、送り届ける病院がどうしても見つからない。そのまま救急隊が帰らざるをえない事態が起こりました。必要な手術が延期される事態になりました。
この間、尼崎市の保健所職員は、朝早くから夜中まで電話による聞き取り調査や陽性者訪問などの業務を行っていました。休日や年末年始も休まず対応されていました。病院や診療所の職員は、いつもの仕事でも長時間労働となっていますが、ワクチン予約の電話対応や接種の準備、昼夜を問わず陽性者の往診などを行って疲れきっています。現場は、地域の皆さんの命を守ろうとできる限りのことを行ってきました。
*
では、一体どこが間違っていたのでしょうか。法律の改正によって尼崎市に四つあった保健所は一九九九年に一つになりました。今回のコロナ感染のような病気が広がることは予測できなかったのでしょうか。二〇〇九年に新型インフルエンザが広がったとき、国の委員会で、今後起こりうる感染症の対策が出されました。専門家の養成、保健所機能の強化や、今回、尼崎市内のPCR検査を請け負った衛生研究所の機能強化などを提案していました。しかし実行はされませんでした。
そして、病院のベッドは国と県が定めた地域医療構想により、公的病院の合併で減らされていました。尼崎市周辺では、二〇一五年に県立尼崎病院、県立塚口病院が合併し百七十床のベッドが削減されました。
コロナ感染の入院のできない方がたくさんおられる状況にもかかわらず、西宮市立中央病院と県立西宮病院、近畿中央病院と市立伊丹病院、川西市民病院と共立病院の合併で五百床を超えるベッドの削減が進められようとしています。
また、国から支払われる診療報酬や介護報酬は低く抑えられています。最低限の職員数で定員いっぱいの入院や入所、療養も厳しい経営状況となっています。コロナ感染に対する介護施設への県からの支援は少なく、手指消毒剤や防護服、集団感染が起きたときの費用補塡はほんのわずかです。
*
「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」。
――憲法の条項(第十三条、二十五条)です。
今の国や県の政策は、この条項に沿ったものなのでしょうか。コロナ感染が広がることによって、今まで隠されていた国や県の政策の誤りが明らかとなりました。政策の誤りによって、たくさんの方が傷つき、そして亡くなられています。
今こそ、経済優先の県政から、いのちと暮らしを守る憲法が輝く県政へ転換が必要です。

(兵庫民報2021年7月11日付)
1750


今年は必ず大幅引き上げを――最低賃金審議会始まる

兵庫労連事務局次長 岡﨑史典
 
労働局前での昨年の座り込み

千五百円以上でなければ普通に暮らせない

全労連が取り組んでいる最低生計費調査について、各都道府県から次々と報告が出されています。どの報告を見ても全国どこでも千五百円以上の時給でなければ普通の暮らしができない結果が示されています。
昨年はコロナ禍を口実に最低賃金の引き上げ目安額提示が見送られ、それが影響し全国の加重平均で引き上げ金額は一円(全国平均九百二円)に留まりました。
兵庫県でも、引き上げ額は一円となり、現在の最低賃金は九百円になっています。
政府も、最低賃金の引き上げについては「早期に全国加重平均千円を目指す(骨太の方針2021)」としていますが、その姿は兵庫労連が求めるものとは違っています。
政府は、生産性を向上させるには最低賃金の引き上げが必要だと考えていて、働く者の生活改善の立場に立ったものではありません。
兵庫労連は「中小企業への大幅な支援拡充」とセットで、最低賃金の引き上げを求めています。

最低賃金審議会の委員任命

今年も、六月二十二日に中央最低賃金審議会が開かれ、兵庫県では六月三十日に一回目の審議会が開催されました。
毎年、兵庫労連は最低賃金審議会の委員について、多様な労働者の意見を反映させるように兵庫労働局と交渉を重ねるとともに、審議会委員への任命も求めてきました。
今年は、多様性とジェンダー平等の観点から女性を含む二名の委員を任命するように求めましたが、残念ながら任命されることはありませんでした。
最低賃金審議会の労働者代表はこの間、特定の労働組合から継続的に選ばれているため、兵庫労働局に対して、任命の基準について説明を求めていますが「総合的判断」としか回答されていません。
兵庫労連は今後も、多様性、ジェンダー平等の観点から非正規、とりわけ女性の立場を代表した委員の任命を求めていきます。

今年も労働局前座り込みを計画

ここ数年、兵庫労連は、兵庫労働局が置かれている神戸クリスタルタワー前で最低賃金審議会が開かれる日を中心に座り込み行動を行っています。
今年も七月二十九日と八月三日の二日間、十五時からで予定しています。
この座り込み行動に合わせて「最低賃金署名(兵庫県版)」の提出行動も行います。
また、七月二十七日には「最低生計費試算調査学習会」を開催し、兵庫県での最低生計費調査を進めていきます。コロナ禍での調査ですので貴重な統計資料になると考えています。
「最低生計費調査」と合わせて、「最賃署名」への取り組みを強めて大幅な引き上げを実現させましょう。

(兵庫民報2021年7月11日付)
1700

恒常的な保健所体制の強化を:神戸市会:日本共産党・松本のり子議員が一般質問


六月二十八日に神戸市会本会議がひらかれ、日本共産党神戸市議団の松本のり子議員と朝倉えつ子議員が登壇し一般質問を行いました。
新型コロナウイルス感染症によって全国で保健所体制の脆弱さが明らかになりました。一九九四年に地域保健法が改悪されたことにより保健所の統廃合がすすみ、神戸市でも保健センターが各区に配備され、保健所は中央区に一カ所だけとなりました。保健師の仕事はコロナ対策に加え地域の疾病予防と健康維持・増進や母子保健など公衆衛生の強化です。コロナ禍で保健師は増員されましたが、ピーク時には残業百時間を超えていたとのことです。
松本のり子議員は、一過性の体制強化で終わらせず感染症対策と通常業務ができるように、医師・保健師の体制を維持・増加させるよう求めました。
答弁に立った久元喜造市長は「保健師は二〇二二年四月には約三百名になる予定で、これは一過性の対応としない」と回答。医師については、恩田馨副市長が「全国的に公衆衛生の医師の確保が難しい。応急的対策として非常勤を採用している。引き続き医師確保に努力し、過去にいた九名を目途に保健所体制の強化につとめたい」としました。
松本議員は、医師が一定人数が確保できたら、以前のように区単位での常駐医師と保健師が連携した保健所体制にするように求め、恩田副市長は「今のように一カ所に医師を集約した方がいいのかどうか、引き続き関係部局と健康局の中で議論しながら一番よい形で配置していきたい」と答えました。
松本議員は、この他、ブラック校則改善や、王子動物園の再整備のあり方、ファッション美術館の研究所機能について質問しました。
(朝倉議員の質問は一面に掲載)〔前田明〕

(兵庫民報2021年7月11日付)
1650

学校のトイレに生理用品常設を:7月からモデル事業で明石商業高校に配備:日本共産党明石市議 くすもと美紀


経済的な理由などから生理用品を入手できない〝生理の貧困〟。いま社会問題として大きな関心が集まっています。
女性は生理で肉体的、精神的につらいだけでなく、経済的な負担も発生します。生理に関する啓発活動を行っている若者のグループが国内の実態を調べたところ、五人に一人の若者が「金銭的理由で生理用品を買うのに苦労した」という結果が明らかになり、これを機に国会や地方議会で「生理の貧困」についての論戦が活発になりました。
明石市ではことし四月から生理用品サポート事業「きんもくせいプロジェクト」が始まっています。学校や明石子どもセンター、ユーススペース、あかし男女共同参画センター、きんもくせい相談窓口、子ども食堂で四月一日から二カ月で三百九人に配布がされました。
六月議会で私は「生理は恥ずかしいものでも、隠すものでもなく、冷やかしの対象でもない、普通に口に出して話ができる、どのトイレにもトイレットペーパーのように常備されているのが当たり前、そのために、まず小中学校のトイレに常備することを望んでいますが市長、いかがでしょうか」と質問しました。小中学校のトイレの常設も前向きに検討していただけるとの答弁でした。
その後モデル事業として、七月一日から明石商業高等学校の女子トイレ個室に生理用品が配備され、必要なときにいつでも入手できるようになりました。
引き続き小中学校のトイレにも生理用品の常備を要望していきます。

(兵庫民報2021年7月11日付)
1600

PCR検査半額補助高砂市が七月から

高砂市は七月から、PCR検査を希望する市民を対象に検査費用の半額を助成する事業を始めました。
コロナの症状のある人や濃厚接触者など行政検査、保険適用検査でないPCR検査を希望する市民を対象に、ひとり一回。実施期間は来年三月末までです。
検査は高砂市民病院で実施。証明書代を含むPCR検査費用は三万二千二百円。市民の自己負担額は一万六千百円(生活保護世帯は自己負担なし)です。希望者は、市民病院に電話で予約したうえでメールかファックスで申し込みます。海外渡航用の証明書が必要な場合は別途三千八百五十円が必要です。
同市では、高砂市民病院に約四百四十万円でPCRを導入しています。

(兵庫民報2021年7月11日付)
1550


西宮芦屋市民アクション:総選挙近づくなか合同宣伝


安倍九条改憲NO!西宮芦屋市民アクションは、総選挙が近づく中、「政権交代で、改憲ストップ!憲法が生きる政治の実現を」と六月二十日、芦屋ミスド前、西宮関西スーパー苦楽園店前、ガーデンズ前(高松ひなた緑地)、ららぽーと甲子園前の四カ所で、延べ六十三人が参加して「市民と野党の合同宣伝」を行いました。
各所で、横断幕を持ちながら市民と政党代表が「オリンピックよりコロナ対策に全力を」「いのち最優先の政治へ、市民と野党が手を取り合って政権交代を」などと訴えました。
芦屋ミスド前では、アクションの片岡隆さん、新社会党の山口みさえ芦屋市議、日本共産党の広瀬久美子芦屋市議、立憲民主党の安田真理さん、ガーデンズ前では、年金者組合西宮支部長の小川嘉憲さん、新社会党の奥山篤さん、社民党の魚谷直生さん、日本共産党のいそみ恵子県会議員、立憲民主党の安田真理さんが訴えました。
〔樫村庸一=西宮芦屋市民アクション〕

(兵庫民報2021年7月11日付)
1500

市民アクション東灘が学習会「ジェンダー平等社会って何?」


市民アクション東灘は七月四日、東灘文化センターで学習会「ジェンダー平等社会って何?」を開催しました。
朴木桂緒留(神戸大学名誉教授、京都教育大学監事)さんは、ジェンダー(社会的、文化的、歴史的に作られた性差)とセックス(生物学的性差)の違いの解説から始め、セクシャリティーを取り上げ、どこまでがジェンダーでセックスなのか、デリケートで根本的な違いを説明しました。
伝統的な男女平等の価値観とジェンダー平等とは、根本的に違うこと、性には多様性があること、性的指向(性的関心や恋愛感情)と性自認(自分の性の認識)も色々であること、多数派が正しいのではなく、少数派もいること、具体的にはLGBT(レスビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーなど)などは尊重され、対等であるべきであること――などを分かりやすく説きました。
続けて国際比較の中で、わが国がジェンダーギャップ指数、国会議員の女性比率、企業の女性管理者比率などが圧倒的に低いこと、そして根強い性的役割分業(観)、固定的な家庭観、性と生殖の権利が希薄であることなどの具体例を紹介しました。
質問コーナーでは、参加者から「LGBTは、増えているのか」「ジェンダー問題を女性が話すと嫌われないか」「年を取ってからの性自認の変更は問題ないのか?」など、数件の質問が寄せられました。
「義務教育の中で早い段階で教えるべきではないか。現状はどうか」との質問には、「十分にできていないが、先生、地域によっては先進的に取り組んでいるところもあります」と答えるなど、朴木さんは、一つ一つに丁寧に回答し、「これを機会に今後とも皆さんと一緒に学んでいきたい」と締めくくりまました。
〔藤丸徹=市民アクション東灘〕

(兵庫民報2021年7月11日付)
1450

ジェンダーわたしの視点「日常生活の中でジェンダー・バイアス・フリーを」兵庫県母親大会連絡会 中村治子


日本では選択的夫婦別姓がいまだ実現していませんが、今から二十年前と明らかにすすんだことは、男か女かなどで人を分け隔てするのは間違っているという認識が一般的になったことです。SDGs(持続可能な開発目標)の項目にもあげられ、努力が開始されています。日本共産党の政策に文言としてジェンダー平等が掲げられました。
では、性差別はよくないと思っている大半の人たちは、具体的事実の前でどう考えているのでしょうか。
職場のジェンダーの学習会で講師がこんな質問を投げかけました。「次のことは性による差別と思うか、差別とは関係ないことと思うか。○大相撲の優勝力士に優勝杯を授ける場面で、時の大阪府知事が女性だったので、土俵に上がれなかった。○居酒屋の飲み放題付きで男は三千円、女は二千円の料金設定だった」……学習会では、正解がどうかでなく意見を出し合うことを主眼とされていたので、読者の皆さんも考えてみてください。
二十年前、兵庫の教職員組合の女性部が機関紙に「セクハラのない豊かな学校を」と「ジェンダーフリーを考える」「セクハラ実態調査から」という連載をしました。尼崎東高校のセクハラ事件から数年後、学校の中でジェンダーとは何か、セクハラとは何か、を考える必要に迫られた時代でした。
当時の小中学校では、男女混合名簿の採用状況は、地域差が大きく一〇〇%から八%までありました。
今は、普段の名簿だけでなく指導要録も混合名簿になっていますし、呼称も男女で呼び分けることが少なくなっています。
身体測定は、全員体操服を着て行うことで、混合名簿順にできています。持ち物や服装で男女を区別しようという傾向は減ってきています。体操ズボンはハーフパンツなど共通のものになり、徒競走も、男女に分けない工夫するところも出ています。
形に見えるところはずいぶん改善されてきました。しかし、男は力仕事、女は拭き掃除をという役割分担、「やっぱり女の子、よく気が付くね」「やっぱり男の子、頼もしいね」とする意識はありませんか? コマーシャルの「ワンパクでもいい、たくましく育ってほしい」という言葉をどう感じましたか?
日常生活の中で、分ける必要のないことまで分けてしまっていないか、性別にとらわれて可能性の芽を摘んでいないか、何より、自分らしく生きることを妨げられていないか振り返りましょう。その静かな日常の動きが、選択的夫婦別姓や同性婚を認めさせるためにたたかっている人たちを応援することになると思うのです。

(兵庫民報2021年7月11日付)
1400

ゴンチャロフ製菓長時間・パワーハラスメント過労自死事件:家族・同僚・市民の5年に及ぶとりくみ:会社が謝罪・補償・再発防止策約束し示談

六甲道駅頭で訴える前田和美さん(右:2018年4月1日)

長時間労働と会社の上司によるパワーハラスメントで自死をした前田颯人さん(当時二十歳)の母・和美さんが颯人さんの勤め先だったゴンチャロフ製菓株式会社に対して謝罪、補償、再発防止策を求めてきた事件で、会社と示談が成立したことを七月二日、神戸市内で記者会見を開いて公表しました。
冒頭、和美さんは、「愛する息子、颯人の命を奪われた私の心はきっと生涯癒えることはありません。颯人を想い、涙し、立ち上がってくださった方々のおかげで、五年もの歳月を要しましたが、やっと颯人の尊厳を守ることができました」と挨拶し、これまでの支援に感謝の言葉を述べました。
八木和也弁護士が和解に至る経過を説明。その中で「つらい事件であったが、和美さんが当初から名前や顔を出して訴えていただいたことで重要な新たな証人が現れることになった」と述べました。
本上博丈弁護士は示談解決の概要を説明し、おもなものとして▽労災認定では認められなかったパワハラを会社が認めた▽遺族および颯人さんへ会社代表者のの謝罪▽パワハラ加害者上司の処分▽和美さんと代理人弁護士によるパワハラ・過重労働の再発防止の講習会の実施▽颯人さんの命日の六月二十四日ごろ今後二十年間、取り組みを書面にて報告する―などをあげました。
同席した「ゴンチャロフ前田颯人さん長時間・パワハラ過労自死の解決を求める会」の竹村務会長は「解決に向けて署名活動や会社への申し入れなどを行ってきた。二度とこんなことが起こらない会社にしたい」と述べました。
最後に和美さんは颯人さんにどんなことを伝えたいかと聞かれ「あなたは悪くないよ。やっとみんなが認めてくれた。あとは安らかにねむってね」と答えました。
〔立垣初男=「ゴンチャロフ前田颯人さん 長時間・パワハラ過労自死事件の解決を求める会」副会長〕
*
解決を求める会は過労死防止兵庫センターさんと共催でこの事件の報告集会を7月31日(土)18時30分から、あすてっぷKOBEで開きます。

(兵庫民報2021年7月11日付)
1350

優生思想による被害は現在進行形:優生保護法被害国家賠償訴訟:勝利判決へ決起集会


旧優生保護法による不妊手術を強制された聴覚障害の夫妻二組と肢体障害の女性が国に謝罪と補償を求め神戸地裁に訴えた裁判の判決言い渡し(八月三日)に向け、「優性保護法による被害者とともに歩む兵庫の会」と弁護団が決起集会を七月四日、神戸市総合福祉センターで開催。会場とオンライン合わせて二百四十七人が参加し、決意を固めあいました。
記念講演で日本障害者協議会の藤井克徳代表は、日本の旧優生保護法の目的規定「不良な子孫の出生を防止する」の源流にナチスドイツの優生政策があったことを指摘。二十万人以上の障害者を殺害した基準は「働けない者」であったこと、医師が人体実験などを目的に積極的に加担したことをドイツでの調査をもとに紹介しました。
やまゆり園事件や三田などでの「座敷牢」事件、神出病院での虐待などに共通しているのは①根深い優生思想②被害者の大半が無抵抗状態③元に戻せない被害―だと分析。旧優生保護法被害に対する裁判で除斥期間を理由に敗訴が続いていることに対し、被害は現在進行形だと強調し裁判所の判断を批判しました。
集会には旧優生保護法被害者の救済に向け条例制定を検討している明石市の泉房穂市長が出席し、条例制定をまたず、同市在住の原告夫婦が犯罪被害に準じる被害者であるとして、現行の犯罪被害者等支援条例による支援金を支給すると発表。決定書を直接手渡しました。
主催者からは裁判での証言などをまとめた冊子『国から子どもをつくってはいけないと言われた人たち』の普及などが呼びかけられました。

優性保護法による被害者とともに歩む兵庫の会
https://hyogoayumukai.wixsite.com/website
https://twitter.com/hyogoayumukai

冊子の問い合わせは Tel. 078-341-9544、Fax 078-341-9545 (兵庫障害者センター

ネットショップからも購入できます:
〔森卓司〕

(兵庫民報2021年7月11日付)
1300

宮本たけし「森友事件――すべての事実を明るみに出すには」連載「東奔西走」15


ついに国が「赤木ファイル」を公表しました。「赤木ファイル」の最初のメールは二〇一七年二月十六日付です。私が国会で最初に森友追及を行ったのは同年二月十五日ですから、私の質問の翌日から文書改竄への動きが始まったのです。
翌十七日の予算委員会で安倍首相が、「私や妻がこの土地の売却に関わっていたら首相も国会議員も辞める」旨の答弁を行ったことから大騒ぎとなりました。
さっそく二月二十二日には「疑惑の2・22」と呼ばれる会議が官邸で開かれます。当時の佐川理財局長や国交省航空局次長、また佐川氏の後任の理財局長となった太田充氏などが集められましたが、招集したのは当時の菅官房長官でした。政府はこの会議の開催自体は認めつつも内容は一切明かしていません。
その二日後の二月二十四日。衆院予算委員会で「交渉記録をすべて国会に提出せよ」と迫る私に、佐川局長は「すべて廃棄した」と答弁。委員会室は騒然となりました。その夕刻の会見で、菅氏は記者に「三十年保管の決裁文書があるので差し支えない」などと答えたのです。
妻の雅子さんによると俊夫さんが上司によって呼び出され、文書改竄を指示されたのは二月二十六日のことです。「赤木ファイル」には二十六日から十回にわたって、本省から近畿財務局に改竄の指示が送られています。
「森友事件」の中心人物は安倍晋三前首相夫妻ですが、「赤木事件」の中心人物は菅義偉現首相ではないかということが浮き彫りになりました。再調査は当然ですが、本当にすべての事実を明るみに出すには政権交代が必要です。次の総選挙で必ず野党連合政権を実現しましょう。
(日本共産党前衆院議員)

(兵庫民報2021年7月11日付)
1250

みんぽう川柳〈六月〉「買い物」 選者:島村美津子

特 選

爆買いの兵器はいらぬめし食わせ
 神戸市 眞鍋靖子

【評】アメリカさんの言い放題、必要ともしない兵器を大量にしかも驚くほどの高額、まさに爆買い。
コロナ禍の今、その日のめしにもありつけない人がいっぱい出てきているというのに、普通ではやらないというオリンピックと一緒、誰のために何のために。
下の句の「めし食わせ」のせりふに思わず拍手を送ってしまう。

入 選

買わないで不要不急の戦闘機
 尼崎市 大野幸雄

武器を買う予算コロナの対策に
 神戸市 梶山洋枝

コンビニ閉店友へレトルト味噌醤油
 神戸市 松尾美恵子

たし算もひき算もないキャッシュレス
 明石市 小西正剛

ポイントのために余分なチョコを買い
 神戸市 北河豊治

酒をやめ孫の顔みて菓子を買う
 神戸市 長尾粛正

あの頃のローン暮らしの後遺症
 神戸市 長沼幸正

店頭でお徳情報確認し
 神戸市 塩谷凉子

割引の惣菜を買う人の群れ
 芦屋市 梶原嘉代子

買い物に行けぬ身になり空を見る
 尼崎市 富田 断

買い物の楽しさずっと忘れてる
 尼崎市 富田明美

子に頼る買物何か物足りぬ
 神戸市 玉山歳子

幼い日籠で出掛けたお使いに
 芦屋市 松田良介

メモ片手素早く買って店を出る
 神戸市 兵頭和子
 

みんぽう川柳募集

▽七月の題は「波」、締切は七月二十三日▽八月の題は「近づく」、締切は八月二十七日▽一人二句まで。葉書に作品二句と氏名・年齢・住所・電話番号を明記▽毎月第四金曜日必着。締切が迫っている場合に限りメール、ファクスでもけっこうです。ファクスの場合は、葉書大の枠を書き、その中に必要事項をすべて記入してください。枠の外には何も書かないでください。

(兵庫民報2021年7月11日付)
1200


瀬戸恵子「ひなたぽっころりん」〈686〉


(兵庫民報2021年7月11日付)
1150

観感楽学


先日、5Gのことが書かれた記事を読みました。5Gは「ファイブジー」と読み、携帯電話などで使用されている「移動通信システム」のことで通信技術の規格です。「G」はGeneration(世代)を意味しています▼1Gから2、3、4Gと世代が進むにつれ通信の容量は大きくなり、速度も早くなっていきます。1Gでは到底できなかったことが今ではできるようになったそうです▼二十年近く前、私は携帯電話の開発業務に携わっていました。世代的には3Gになります。ガラケーと言われる時代で、インターネット、おサイフケータイ、ワンセグなどが売りでした▼しかし、その数年後にはスマートフォンが登場し、今ではほとんどの人がスマートフォンではないでしょうか。そして現在の通信システムと言えば、5Gなので「第5世代移動通信システム」となります。瞬く間に変わったように感じます▼この5G最大の特徴は通信速度の速さで、4Gの最大速度の二十倍だそうです。通信の遅延がほぼなくなると言われ、そうなると、今まででは考えられなかった多方面で更なる発展が期待できるそうです。年々、技術の進歩が加速しているように感じます。科学が進歩することは喜ばしいですが、なにか取り残されそうで怖い気もします。(ふ)

(兵庫民報2021年7月11日付)
1100