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2021年7月4日日曜日

2021年原水爆禁止国民平和大行進:コロナ禍の中、多数のペナントで運動盛り上げ

昨年の平和行進で先頭を飾ったペナント

兵庫県での国民平和大行進は、昨年につづきコロナ感染症との闘いの中で準備が進められています。
国民平和大行進は、沿道で被爆者救援募金を訴えながら進み、十日間で百万円ほどの募金が集まります。阪神・淡路大震災の時にもまだ瓦礫の残る地域を同じように行進しましたが、自身が大きな被害を受けながら「一年間、小銭を貯めていた」と持ち寄る方がありました。一九五八年から続く伝統の力を実感させます。
しかし、コロナ感染を防ぐために、行進距離を大幅に短縮し、「不特定多数の市民に参加を呼びかけない」「宣伝車の訴えを中心にしたサイレント行進にする」などのために募金額も数万円程度に激減しました。
創意的な方法で市民にアピールしようと、昨年から、平和行進にペナントを結集するように呼びかけています。
例年は東京から引き継がれてくる団体のノボリ竿にぶら下げてリレーされ、兵庫県に来る頃には風雨にさらされボロボロになっていました。そこで、昨年は兵庫県の行進時だけ先頭を飾るようにし、八百三十本も活用されました。川西市長や尼崎市長、芦屋市長など記名されたペナントは、全国から一万本余集められ広島平和公園でアピールしたのです。
例年、原水爆禁止世界大会代表派遣のために派遣募金活動や学習会・壮行会・報告会、代表に託す署名や折り鶴の結集などで運動を盛り上げますが、昨年も今年も、世界大会がオンラインでの実施で代表を送らないので、ペナントの結集が運動の盛り上げに大きな役割を果たしています。民医連関係だけで二百六十一本(神戸医生協百五本、尼崎七十本、姫路五十六本など)、新婦人二百七本など全県で八百三十本が活用されました。ペナントと同時に「行進フラッグ(小旗)」百五枚(健康共和会三十枚など)が各地の行進を飾りました。
七月四日に京都府から豊岡市で兵庫県に引き継がれ、九日に鳥取県に引き継がれる「日本海コース」(宣伝車の運行のみ)/核兵器禁止条約が採択された四周年の七月七日に大阪府から川西市に、十六日に岡山県に引き継がれる「太平洋コース」/神河町~市川町~福崎町、宍粟市~佐用町~上郡町、稲美町~播磨町、加東市、丹波市・丹波篠山市、西区、北区、中央区・神戸港、灘区などの「網の目平和行進」―の先頭をペナントが飾って広島へと進んでいきます。
平和行進実行委員会はペナントに記名して核兵器廃絶の思いを被爆地に届けることを呼びかけています。問い合わせは☎078・341・2818(兵庫県原水協)。〔梶本修史=原水協〕

太平洋コース

[7月7日・水]
行 進:池田市・川西市境(呉服橋)…川西市役所(12:00着/12:45発)➡能勢口中央商店街➡小花交差点右折➡アステ2階(スタンディング13:30~13:50)
宣伝車:アステ→阪急逆瀬川駅前
行 進:阪急逆瀬川駅前(スタンディング15:00~15:30)➡宝塚市役所(16:20)
 
[7月8日・木]
行 進:陸上自衛隊要請行動(10:00)/伊丹市中央公民館(10:30集合)➡伊丹市役所西・南下➡伊丹署前左折➡県道寺本伊丹線南下➡千僧六丁目交差点➡常岡病院前東進➡阪急伊丹駅南(スタンディング12:00~12:20)
宣伝車:阪急伊丹駅南→阪急塚口駅(スタンディング15:00~15:30)→尼崎市役所
行 進:尼崎市役所(16:00集合)➡七松町三丁目先左折➡JR立花駅南(スタンディング17:00~17:30)

[7月9日・金]
宣伝車:尼崎市役所(11:30)→西宮市役所
行 進:西宮市役所(12:30集合)➡阪神西宮駅南商店街➡阪神西宮駅南(スタンディング13:30~14:00)
宣伝車:阪神西宮駅南→芦屋市役所
行 進:芦屋市役所(14:30~14:45)➡精道小学校北・東進➡本通り北進➡市民センター西➡松の内緑地から左岸北進➡月若橋西進➡川西通南進➡川西グランド北・東進➡芦屋市役所(15:45)
宣伝車:芦屋市役所→東灘区役所
行 進:東灘区役所(16:15集合)➡御影中町二丁目交差点左折・南進➡阪神電鉄高架過ぎ右折・西進➡阪神御影駅南公園(スタンディング17:15~18:45)

[7月10日・土]
行 進:JR六甲道駅北ロータリー(10:00集合)➡東北上➡山手幹線西進➡灘警察署前➡長田楠日尾線西進➡王子公園(スタンディング11:00~11:30)
宣伝車:王子公園→神戸市役所
行 進:神戸市役所(旧花時計跡空き地)(12:00集合)➡大丸前➡鯉川筋北上➡県庁前(13:00)
宣伝車:県庁前→兵庫区役所
行 進:兵庫区役所(14:00集合)➡湊川公園南進➡神鉄会館➡大開通・妙法華院(15:45)
宣伝車:妙法華院→御蔵北公園
行 進:御蔵北公園(長田区役所南)(15:00集合)➡川西通➡左折➡本町筋商店街南下➡神戸協同病院北側右折➡大正筋商店街➡若松公園(鉄人28号像)➡JR新長田駅西・北上➡県道21号線左折➡太田町交差点右折・北上➡大黒町三丁目左折➡須磨区役所(16:45)

[7月11日・日]
行 進:垂水レバンテ(区役所)前(10:50集合)➡歌敷山バス停➡舞子公園・明石海峡大橋下(12:00)
宣伝車:明石海峡大橋下→明石公園
行 進:明石公園・西芝生広場(13:30集合)➡JR明石駅南(スタンディング14:00~14:20)
[7月12日・月]
行 進:二見市民センター(10:00集合)➡播磨町役場(11:40~12:00)
宣伝車:播磨町役場→加古川市役所
行 進:加古川市役所(13:00集合)➡県総合庁舎南➡JR加古川駅(スタンディング14:00~14:30)
宣伝車:JR加古川駅→山電荒井駅北
行 進:山電荒井駅北(15:30)➡高砂市中央公民館(16:30)

[7月13日・火]
宣伝車:大塩駅前(9:00)→山電飾磨駅北
行 進:山電飾磨駅北(10:00)➡飾磨街道北上➡栗山右折・東進➡姫路市役所(11:00)➡栗山右折北進➡(飾磨街道北上)➡豆腐町➡十二所線・右折東進➡御幸通商店街左折・北進➡大手前公園(12:30)

[7月14日・水]
宣伝車:山電飾磨駅北(8:30集合/9:00発)→JR網干駅
行 進:JR網干駅(9:30集合)➡太子町役場(10:30)➡鵤町内(旧道北上)➡龍野・福田➡広山阿宗神社前➡龍野橋東詰(左折)➡たつの市役所(12:15)

[7月15日・木]
行 進:JR相生駅(13:00)➡相生署前➡中央通り➡相生市役所(14:00)
宣伝車:相生市役所→JR坂越駅
行 進:JR坂越駅(15:30)→赤穂市役所(17:00)

[7月16日・金]
宣伝車:JR赤穂駅前(10:00)→JR寒河駅前(11:00)

★順路・時間などは交通事情などで変更もあり得ます。


(兵庫民報2021年7月4日付)
1600



神鋼株主総会会場前で株主に訴え:子どもたちの未来のために石炭火力発電中止・脱炭素へ進みましょう


神戸製鋼所の株主総会が六月二十三日、神戸・ポートアイランドの神戸国際展示場で行われ、神戸の石炭火力発電所を考える会の会員らが石炭火力発電所の増設中止などを訴えました。その中で、本紙に石炭火力発電所裁判日誌を連載している原告・近藤秀子さん(写真中央)の訴えと感想を紹介します。
*

株主の皆さまへ
地元住民の切なる声を届けてください。
①電力事業、とりわけ石炭火力発電所一~四号基の運転を見直すこと。
②パリ協定と整合する事業計画を策定すること。
世界は脱炭素の実現に向け大きく変わりつつあります。神戸でも神戸製鋼所が行う石炭火力発電所の建設・稼働差し止めを求める民事訴訟、建設を認めた国に対する行政訴訟、二つの裁判が進行中です。このような訴訟リスクが顕在化しているにもかかわらず、経営方針を変えようとしません。
今年五月五日子どもの日に、三号基の火入れを行なったことについて株主、投資家の皆さんはどう思われますか?
毎年毎年経験したことがないような巨大な台風が日本を襲い、甚大な被害をもたらしています。いのちの危機とも言える気候の危機を回避するためには「脱炭素」しかありません。
神戸製鋼所が増設計画している石炭火力発電所は中止すべきではありませんか。
石炭火力発電所で二基を増設する一方、二酸化炭素を出さない燃料への転換を掲げるなど大企業としての社会的責任を果たしているとは思えないのです。
子どもたちに、孫たちに青空を引き継ぐためには今、脱炭素に向け共に進むことが求められているのは間違いありません。
どうか私たちの願いに耳を傾けてください。
*
今年はコロナ禍でもあり、直接会場に来られる株主の数は少ないようでしたが、駅から会場に向かう多くの方が事業リスク報告書を受け取ってくれました。
会場では石炭火力による電力事業について姿勢を問う質問が相次いだようです。

(兵庫民報2021年7月4日付)
1550

関西電力株主総会:老朽原発再稼働、石炭火力発電、原発マネー疑惑などに厳しい意見


関西電力の株主総会が六月二十五日、大阪市ATCホールでひらかれました。
同社は六月二十三日に四十年を超える老朽原発美浜原発三号機を初めて再稼働したばかり、石炭火力発電所問題、原発マネー不正還流問題も含め、厳しい批判にさらされました。
森本隆社長らは「二〇五〇年ゼロカーボンへの挑戦」はうたうものの、対処すべき課題では「二〇二三年度まで収支悪化を見込むので、原発七基体制で二〇二五年に関電グループを成長軌道に乗せ、次なる飛躍へ向かう」と露骨なほど原発推進を強調しました。
株主提案では、市民株主の会五議案、反原発グループ七議案、大阪市・京都市共同三議案、大阪市単独七議案、京都市単独二議案が提出されていましたが、その提案説明をわずか一分と制限したためかえって紛糾する場面がしばしばでした。
「〝二〇五〇年ゼロカーボンへの挑戦〟では肝心の二〇三〇年にどうするか具体策がない」「なぜ石炭火力から撤退しないのか」「原発に依存せず、再生可能エネ発電を最大限導入せよ」「水素エネというが、原発の電気で水素をつくってはならない」等々温暖化防止問題でも矛盾が露呈しました。
原発問題ではさらに激しい批判が続出しました。「一日一億円の化石燃料代を節約するため、今だけ・金だけ・会社だけ儲ければよい経営だ」「老朽原発七基体制は二〇五〇年ゼロカーボンのため必要不可欠と記載しているが、七基とも二〇五〇年は廃炉になるではないか」「金品受領問題は原発事業の歪みが招いたとの反省に立ち、次世代原子炉を検討する中期計画を見直し、原発に依存しない電力供給体制へ舵を切る必要あり(京都市長)」「原発への巨額投入の結果、送配電線の老朽化はひどい実態で、支える人間も成果主義で必要な人材も育たなくなっている(現場の声)」「美浜や高浜原発の奥にある住民、村落の人たちの避難はどうするのか、冬の雪深いときの避難渋滞をどう考えているのか」などでした。
企業としての情報公開・透明性なども森本社長は強調しました。しかし株主からは「一分間しかしゃべらせない」「会場でカメラ使うな録音するなと相変わらず隠蔽体質だ」「うみは出し切ったというが土地取引のひどいニュースや電気料金カルテルも出てきた」「発送電分離も法的分離はしたものの所有権分離に抵抗している」「〝強靱な体質の関電〟は原発しがみつきでは到底かなえられないはず。取締役や執行役員の中から〝原発を考えなおそう〟という意見が誰からも出ない方が不思議だ」など厳しい意見が相次ぎました。
しかし、関電経営陣は電力の安定供給には原発が不可欠だとして理解を求め続け、採決では人数の少なくなった会場で動員株主に頼り四十対五十程度の差により株主提案を否決しました。
ATCホールへ参加する株主が通る前で、労連近畿ブロックや反原発・脱原発グループが「老朽原発の運転をやめよ」などを訴え続けました(写真)。
〔速水二郎=電力兵庫の会〕

(兵庫民報2021年7月4日付)
1500

保健所・病院減らし「ノー」、いのちと暮らし最優先の県政に:オンライン会議での松田県委員長訴え

日本共産党の松田隆彦県委員長が行ったオンライン会議(六月二十五日)での報告の一部(要旨、文責編集部)を紹介します。
*
新型コロナは、兵庫県でも四万人以上の方が感染し、千二百七十九人の方(六月二十五日時点)が亡くなられています。第四波では、一日最大六百二十九人の感染が確認され、入院もできず自宅や高齢者施設で亡くなる方が生まれるという医療崩壊の事態になりました。
私たちは、コロナ「封じ込め」戦略として、安全で迅速なワクチン接種、大規模なPCR検査、自粛・時短で苦しむ事業者への補償や暮らしへの支援、医療機関への支援を求めてきました。安倍政権も菅政権も、科学的な戦略をもたず、アベノマスクやGoToキャンペーンなど混乱を広げてきました。菅政権の支持率も三~四割に落ちてきています。
今年一月の山形県知事選挙、三月の千葉県知事選挙、六月の静岡県知事選挙で自民党推薦候補が相次いで敗退し、四月の三つの国政選挙では野党が勝利しました。兵庫県でも宝塚市で山﨑はるえさんが、自民党や維新の候補を打ち破って勝利しました。
菅政権は、コロナ対策失敗・迷走のうえ、選挙買収、総務省接待、カジノ献金などで議員辞職、有罪判決が相次ぎ「政治の私物化」「政治とカネ」など国民の怒りを呼び、政治の大激動がおきています。誰が国民のいのちと暮らし、生業を守る政治の役割をはたすことができるのか、有権者の目が注がれています。大義が明確になれば、自民党政治を打ち破ることができる、審判を下すことができる情勢ではないでしょうか。

副知事――保健所・病床減に反省なし

私たちは「県民のいのちと暮らしを守る県政に」と訴えコロナ「封じ込め」戦略を示し、保健所や病院ベッド削減の見直しを主張しています。
一方、前副知事は、保健所・保健師削減も病床削減も「コロナに直接影響していない」と強弁し、「(大規模PCR検査は)専門家から賛否がある」と否定しています。
「影響していない」との居直りは、成り立ちません。「神戸新聞」(六月六日付)は、保健所の実態について、人手が足りず「入院できない」という患者や家族にこたえきれず、みんな涙を流しながら働いていると伝えました。保健所センター長は「全員が体力も精神もぎりぎり」と語り、保健師の数は、兵庫県は人口十万人当たりで全国ワースト五位だと伝えています。
PCR検査は、政府が今年二月、十都府県に高齢者施設や障害者施設の職員を対象に集中検査を求めました。他の九都府県が二月~三月に検査をした施設が四八%から七二%なのに、兵庫県は検査対象施設を絞り、わずか二二%でした。
この二月、三月の時期に県のコロナ対策本部事務総長をしていたのが副知事です。コロナ感染者が急増した昨年、神戸、東播磨で急性期病床を百二十床も減らしていることにも反省がありません。これからも二〇一四年年比で一万四百九十床の病床削減を進める立場です。県民のいのちや安全を託せません。

大阪府元課長――「大変すばらしい兵庫県政」と賛美

元大阪府財政課長は「大変すばらしい二十年間の兵庫県政だと思う」と賛美。それに対し「大阪でのコロナ対応の経験を生かすと言うが、大阪も保健所統廃合、病院つぶし…踏襲するのか」と問われて、「私が在任したときは保健所統廃合をやった事実はない」とごまかすだけで、保健所・病院減らしの政治をどう考えるのか答えられません。橋下徹氏でさえ「大阪府知事時代、大阪市長時代に徹底的な改革を断行し、有事の今、現場を疲弊させているところがあると思います。保健所、府立市立病院など。そこは、お手数をおかけしますが見直しをよろしくお願いします」とツィートしています。

いのちと暮らし守る県政へ転換を

多くの県民がこれまでの政治のあり方にも厳しい目を向けています。自己責任を押しつける自民党政治の悪政を打ち破り、国民のいのちと暮らしを何よりも大切にする政治を兵庫県から全国に広げましょう。私たちも、しっかりと責任を果たす決意です。

(兵庫民報2021年7月4日付)
1450

★この記事が奥歯にものを挟んだような表現になっているのは、公職選挙法の規定により「機関紙以外の政党の発行物」では選挙期間中、当該選挙の報道ができないためです。なお、記事中のことがらは知事選告示前の発言です。



ジェンダーわたしの視点「娘たちに同じ思いをさせたくないと運動を続け」新日本婦人の会姫路支部 河上桂子(ペンネーム)


母が働いていたため、明治生まれの祖母に、「女の子は愛想よくしなさい」「女の子はこんなことはしてはいけません」など言われて育ってきました。大好きな祖母だったので、素直に疑うこともなくそうしてきました。
私は、団塊の世代です。結婚したら「良妻賢母」―それはごく普通のことと思っていました。そして夫を支え、子どもを育ててきました。
ところが、結婚十三年目で夫の父が七十歳になった峙、夫の両親の世話をするために、子ども二人(女子)と共に三人で、田舎へ帰ることになりました。夫の両親から帰ってきて欲しいといわれたわけではありません。まだまだ元気でしたが、親が年を取ったら「長男の嫁」として面倒を見るのは当たり前という周囲の雰囲気と、夫の命令で、帰らざるを得ませんでした。それから、結婚とはなんだろうか。夫婦とはなんだろうか。疑問がふつふつと沸き、葛藤が続きました。
娘が中学生になって、英語の個人塾の女性の先生から「姓を元の姓に変えます。離婚したわけではありません」と、手紙を受け取り、「はっ」と気が付いたのです。夫はパートナーとしての私ではなく、「家」に貰った「嫁」という考えだった。そのことに気が付きました。
夫と別居してまで、義父母の世話をする。それを当たり前と見る地域、親族、家庭内で「嫁」として高齢者の世話をし、妻として家事、育児を担ってきた女性たち、「家意識」「性別役割分担」この意識が今でも根強く残っています。
娘たちには、このような思いはさせたくない。明治以降、祖母から母へ、母から娘へと続いてきた女性の生き方、家族のあり方など女性が一人の人間として、生きていける世の中にしたい。娘が大人になるまでには変えておきたい。
その思いで、私に目を開かせてくださったその英語の先生と一九八九年に「女性の地位向上を考える会」を立ち上げました。一九九五年に北京で行われた国連世界女性会議に誘っていただき、ご一緒に参加して、国内で運動しておられる数々の先生方にもお会いでき、大変刺激になりました。
娘たちには、「精神的、経済的」に自立した女性であって欲しい、と思い育ててきました。長女は仕事を続け、結婚して職場では通称を使っています。
選択的夫婦別姓が早く実現しますように。運動して三十年以上経っても、実現していません。

(兵庫民報2021年7月4日付)
1400

少人数学級からはじまる子どもファーストな教育改革:保護者や教員が考える会つくりオンライン学習会


「子どもファーストな教育を考える会@KOBE~まずは少人数学級を!~」は六月二十七日、「本当にできるの? 少人数学級からはじまる子どもファーストな教育改革‼」をテーマに、オンライン学習会を開催しました。同会は、昨年末に、「神戸で少人数学級を本格的に実現しよう」と、保護者や教員で結成されました。
学習会は、日本共産党文教委員会の藤森毅さん(写真)が講師を務めました。
* 
藤森さんは、コロナ禍のもとで、子どものストレスの深刻さ、学習の格差の拡大、感染症への対応の状況を示し「少人数学級の必要性がはっきりした」と強調。少人数学級が実現されれば、授業が大きく変わり、落ち着いた・心地よい人間関係がつくられ、インクルーシブ教育がすすむことを示し、「個人の尊厳・多様性という時代の流れが少人数学級を求めている」ことを明らかにしました。
最後に、小学校の三十五人学級実現へ国を動かしたのは、「コロナのもとでわき上がった少人数学級を求める国民の運動」であることを強調。「『子どもファースト』を語り合い、市民的署名運動に発展させ、神戸市政を動かし、国も動かそう」と述べ、神戸での運動への激励と期待を語りました。
*
参加者の交流では、「二十人学級になれば、子どもたちは1/40の存在から、1/20の存在になれ、子どもたちのやりがいが違ってくるし、先生の負担も少なくなる」「子どもに分かる論理で話すことが大切では。各行政区で会をつくり運動しよう」「子どもの側からの意見表明を大切にしよう」など活発な意見が出し合われました。
会では、神戸で少人数学級をすすめる署名をひろげ、十月の市長選挙の争点にしようと呼びかけました。
〔味口としゆき=神戸市議〕

(兵庫民報2021年7月4日付)
1350

副島圀義:ノーモアヒバクシャ近畿訴訟・傍聴記2021-06-24「恥ずかしい国側の態度」

六月二十四日の大阪高裁。大法廷で三時間半にわたる医師証言でした。
*
この裁判(原告はお二人)でも「爆心地近くに入ったかどうか(発病するほどの放射線を浴びたか)」と、「その病気が原爆放射線被ばくに起因するかどうか」が争点。
この日は長年被爆者医療に携わってこられた真鍋穣先生が証人として双方の質問に答えられました。
*
開廷直後、国が出した書面に原告側が「異議あり」。この日の弁論に備えての書面提出は「一カ月前までに」と指定されていたのに直前に提出とはどういうことだ? 撤回せよと追及します。国側は「弾劾証拠としての意見書だから期限は関係ない」といいます。(民事裁判で「証人自体が信用できない」という法廷戦術のことを「弾劾証拠」というそうです)
要するに「真鍋医師は証人にふさわしくない」と言いたくて出した書面なのでしょうが、裁判所は「保留。言いたいことは反対尋問でやりなさい」と事実上却下。
*
原告側からの主尋問が終わり、国側の反対尋問の冒頭。「証人は〇〇学会に所属しているか?」「〇〇学の専門資格を持っているか?」「いままで証人になった時はいずれも原告側だったな?」等々。いままでにも国側がなんども使った「手」でした。
*
真鍋先生はそんな程度の低い質問はあっさりと受け流して各論の証言に。
他の発がん因子と放射線被ばくの問題、喫煙と飲酒の関係、子どものへんとう炎の一般的な傾向と原告のケースの違い、低線量被ばくで問題になる累積線量のこと、放射線被ばくについての疫学的データの読み方、学術論文の読み方や引用の仕方等々まで、国側代理人の質問の一つ一つについて懇切ていねいに解明していきました。(法廷での論戦ですから「論破」というべきなのかもしれませんが、私には論文やデータの読み方が分からずに間違った考えに陥った学生に接する教育者のように聞こえましたのであえて「解明」と)
*
国側代理人、ついに言うに事欠いてか、「原告は被爆後下痢があった、というが下痢は放射線被ばくでなくてもストレスでも起きる。被爆はストレスの原因にもなりますよね?」。(以前「被爆後の下痢は、衛生状態が悪かったからでしょ」と言って失笑をかった国側代理人もいましたね。とにかく放射線の危険性はなんとしても否定しなければならない、と必死なんでしょうが…)
*
証人調べの後、「今日の証言調書ができるのに一カ月、その後二カ月くらいで最終準備書面を」との裁判長の求めに国側は「もっと時間が欲しい」。裁判長が「裁判所もがんばるから、がんばってください」と注文をつけたのは面白かったです。国側が「弾劾証拠」に関わる証人を申請したのも却下。
恥ずかしいほどお粗末な国側代理人の対応をさらけ出した法廷でした。政権の劣化ぶりがここにも表れているか、と感じた次第です。

(兵庫民報2021年7月4日付)
1300


亀井洋示「しがみつき(すがりつき)」


(兵庫民報2021年7月4日付)
1250

山下よしき「五輪と命とどちらが大切か」連載エッセイ36

「こんどの都議選は、みなさんの1票で命と暮らしを守る選挙です」
東京都議会議員選挙で連日そう訴えています。東京では新型コロナの感染再拡大の危険が高まっています。なんとしても抑え込まなければなりません。
菅政権は「感染拡大の波が繰り返されることはやむを得ない」という立場ですが、第四波の緊急事態宣言期間中(四月二十五日~六月二十日)に亡くなった方は全国で四千五百人。これまでの一年半に亡くなった方の三割以上が二カ月に集中したことになります。
感染拡大の波を繰り返してはならない――これが教訓です。そのために、①ワクチンの迅速接種と大規模検査をセットで、②十分な補償と生活支援、③医療への支援を提起する日本共産党の躍進が必要です。
感染拡大を抑え込む戦略がない、国民の命と暮らしを守り抜く覚悟もない菅政権が、東京五輪・パラリンピック開催に突き進んでいることも大争点です。
もちろん、五輪を楽しみにしている方も、アスリートを応援している方もあるでしょう。しかし、いま問われているのは〝五輪と命とどちらが大切か〟ということです。五輪を開催すれば感染リスクは高くなる、ゼロにはできないと政府分科会の尾身会長も述べています。そうなれば重症者が増え、亡くなる方も増えるでしょう。
そういう五輪に開催する意義はありません。「五輪は中止し、命を優先してほしい」――この願いも日本共産党へ。七月四日、世界が注目しています。
(日本共産党参院議員・党副委員長)

(兵庫民報2021年7月4日付、Web版では一部加筆)
1200

兵庫の地学散歩……大地を科学する:第一回 活断層上に建つ新神戸駅と神戸の風景:觜本格(かがく教育研究所)


トンネルの小窓

山陽新幹線の新大阪から西明石までの距離は六十㌔㍍。乗車時間二十一分のうち、電車が地表を走るのは数分に過ぎない。新大阪を出発した「のぞみ」は武庫川を渡ると六甲トンネルに入り約十六㌔㍍を走り、次に地表に顔を出すのは新神戸駅である。「のぞみ」はまたすぐに神戸トンネル(八㌔㍍)に入り、次に本格的に地表の風景を見るのは神戸市西区である。
山陽新幹線は神戸市内では六甲山地を縦断し、大部分を地下のトンネルで貫いている。新神戸駅はトンネルに開けられた小さな小窓である。トンネルの着工は一九六七(昭和四十二)年。激しく風化した花こう岩からなり、多数の断層が縦横に走る六甲山地を縦断する工事は難航を極めた。断層破砕帯に当たると大量の水が噴出し、岩盤が崩れ落ちる。水を抜き薬液で固めながら進んだトンネル工事が完成したのは四年後の一九七一年だった。

市民に親しまれる景勝

「布引の滝のしらいと なつくれば 絶えずぞ 人の山ぢ たづぬる」
(藤原定家)
新神戸駅の地階から出発し、市ケ原に向かうハイキングコースで真っ先に出会う歌碑である。コースに沿って、この先にある「布引の滝」を詠んだいくつもの歌碑がある。
多くの中世の歌人や平清盛も訪れたという布引の滝。六甲山地を南北にほぼ横断するように流れてきた生田川が平野部に注ぐ手前にある雌滝、鼓ヶ滝、夫婦滝、雄滝の総称で、那智の滝、華厳の滝と並ぶ日本三大神滝として知られている。市街地から徒歩で十分~三十分で行ける景勝として市民に親しまれている。生田川の深い谷と連続する滝の風景は花こう岩の岩盤と水の侵食作用がつくりだしたものである。

断層に沿って流れる川

山道に入ってすぐのところにある砂子橋を渡るとハイキングマップなどの各種の案内看板とともにステンレス製の看板がある。設置者は神戸市建設局公園砂防部森林整備事務所。「断層に沿って流れる川」と題して橋の下を流れる生田川が断層に沿って流れているという説明が記載されている。
雌滝から南に流れてきた生田川は砂子橋の西百㍍の地点で急に流れを東に変える。流れの方向に断層があるからである。橋から東を向いて下をのぞくと、その断層を見ることができる。
断層は岩盤や地層が破壊されて、ずれ動いたところであり、「断層破砕帯」や「断層粘土」ができ、その部分が弱線となって掘り込まれ、川が流れる場合が多い。この断層は神戸でも有数の大断層である諏訪山断層に沿ってできた副次的な小断層だと考えられる。諏訪山断層は神戸の市街地と六甲山地の境界を区切るように伸びる活断層である。

諏訪山断層は活断層

諏訪山断層が新しい時代に活動した活断層であることを示す露頭が見つかったのは一九七〇年、山陽新幹線の建設工事現場であった。移転前の布引中学校の敷地で、現在の新神戸駅の西の端にあたる場所である。山側の花こう閃緑岩の岩盤に扇状地堆積物の砂礫層が断層粘土を挟んで接している。堆積物は少なくとも一万年前以降のものであり断層活動が続行していると判断された。この断層の露頭が発見された当時、新神戸駅の設計は完了していた。国鉄は急きょ、鉄道技術研究所の技術者と長年六甲山地の研究をして来た大阪市立大学の藤田和夫教授など専門家を招いて対応策を練った。
相談の結果、完成していた駅の設計図を破棄して、断層が動くことを想定し、水平変位と垂直変位があっても位置を修正できるような設計に改めた。
一九九五年の兵庫県南部地震で諏訪山断層は地下の深い場所で変位があった可能性が高い。しかし、野島断層のように地表に変位が現れる「地表地震断層」とはならなかった。
新神戸駅は活断層上の構造物として、実験的な意味をもっていた。幸いにも地震での被害は軽微であった。しかし、もし諏訪山断層が地表部で動いていたら、新神戸駅はどうなっていただろう。

大地を知ることは命を守ること

阪神・淡路大震災が発生する前に、神戸と阪神間の市民の多数は「関西では大きな地震は起こらない」と思っていた。または、「地震のことを考えたこともなかった」と言う人も多かった。「神戸に大地震を起こす活断層があることは知っていた」と言う人はほとんどいなかった。
六甲山地の山々が北東―南西方向に連なり、そこから何本もの小さな河川が大阪湾に注いでいる。神戸の市街地は、これらの河川が六甲山地から土石流として運び出した土砂がつくった平野に位置している。その平野と山地の境界は見事に明瞭なアーチを描いている。この境界こそが大地震をたびたび起こしながら六甲山地を隆起させてきた典型的な活断層の地形である。
この風景を読み解く学力が求められている。私たちが住む大地を知ることは命を守ることにつながる。自然災害が多発する時代にあって、防災・減災の視点もからめて兵庫県の身近な風景を科学的に読み解く「地学散歩」を何回かに分けて連載しようと思う。
〔元神戸市立中学校理科教員・元神戸親和女子大学教授〕
(毎月第一週号に掲載)

(兵庫民報2021年7月4日付)
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観感楽学


私事だが、六月二十五日に二回目のワクチン接種を終えた。体調の変化もなくほっとしている。全国的にワクチン接種は進んでいるようだが、政府が鳴り物入りで開設した大規模接種会場は不評で、職域接種もワクチン不足で中断など、なかなか思惑通りに進まず、首相はご機嫌斜めのようである▼六月二十一日で「緊急事態宣言」を解除(沖縄を除き)した直後から、東京はじめ首都圏の感染者は減少から増加へと向かいはじめた▼ところで先日、早々と来日したウガンダの選手団のうち一名が空港で陽性と判定され隔離、専用バスで大阪に到着した中の一人が陽性、結局、他の選手たちも全員が濃厚接触者に。さらに、彼らを搬送したバス運転手や出迎えた職員も濃厚接触者になるなど深刻な事態になっている▼オリンピック開催まであと一カ月を切り、これから続々と成田に、羽田に、関空にと世界中から数万人の選手や役員が到着してくる。そして五輪貴族と呼ばれる人たちが「楽しみに」やってくる。彼ら全員がワクチン接種を終えていると仮定しても、ファイザーの有効率は九五%、つまり十万人が来日すれば、五千人が「陽性」であっても不思議ではない。マスクをして大声を出さない。これで安心・安全? 想像するだけでぞっとする。(D)

(兵庫民報2021年7月4日付)
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