Web版の発行はしばらく休止します

「兵庫民報」編集部は2012年11月から専任1人で続けてきましたが、その1人も2020年末で退職し、2021年1月からは嘱託となりました。編集業務の整理のため、「兵庫民報Web版」はしばらく休止いたします。それにともないTwitterへの転送も休止します。 紙版の通常号のご購読をお願いします。

2021年5月30日日曜日

新型コロナウイルス感染症を克服し、手をつなぎ、いのちと暮らしを守る県政に=「憲法が輝く兵庫県政をつくる会」2021年県知事選挙政策案(第一次)=:「県知事選でも県民と野党の共同」への話し合いのたたき台に

金田峰生さんと憲法が輝く兵庫県政をつくる会は五月二十日、県庁内で記者会見を行い、県知事選挙政策(第一次)を発表しました。「兵庫県知事選でも県民と野党の共同」に向けた話し合いのきっかけ・たたき台とし、「私たちが願う兵庫県政のあり方」をいっしょに考えていきましょうとよびかけています。

はじめに

七月十八日の投開票で、大切な兵庫県の知事選挙が行なわれます。この政策案は、知事選への立候補を表明している金田峰生(かねだ・みねお)氏と、「憲法が輝く兵庫県政をつくる会」(略称・憲法県政の会)が協力して作成しました。
四月十五日の立候補表明記者会見で、金田氏は「広く県民のみなさん、立憲野党のみなさんとも共同できる、県民と野党の共同候補としてがんばります」と述べました。私たちは「兵庫県知事選でも野党は共同」を合言葉に、選挙当日まで「共同」を拡げる努力を続けます。
この政策も、私たちだけでまとめてしまうものではありません。今回の政策案(第一次)は「共同」に向けた、みなさんとの話し合いのきっかけ、あるいは、たたき台だと考えています。
県民のみなさん、県内各自治体のみなさん、市民団体や各政党のみなさん。
「私たちが願う兵庫県政のあり方」を、ぜひともご一緒に考えていきましょう。私たちも議論の場を大いにつくっていきたいと思っています。
いただいたご意見にもとづいて政策案(第二次)を六月下旬までに発表し、さらにその後も選挙の最終盤まで、みなさんとの話し合いの中で政策を練りあげ続けるつもりです。
今回の政策案(第一次)は、大きく四つの柱にまとめました。
Ⅰ.県民のいのちと暮らしを守る県政に――コロナ対策の緊急の強化が必要です。「行財政改革」の名で医療や福祉を削る政治は、もうおしまいにしましょう。
Ⅱ.ジェンダー平等、すべての人の尊厳を等しく守る県政に――より豊かに発展させる道をひらきましょう。
Ⅲ.産業を支え、地域を支え、雇用を守る県政に――経済の主人公は、はたらき生活している私たちです。中小企業をはげまし、環境を守り、大企業とも力をあわせて地域の経済力を育てましょう。
Ⅳ.子どもの未来をひらく県政に――あたたかい給食、安心・安全の食事をすべての子どもたちに。生活の安心、等しい教育機会、豊かな文化に親しむ機会を広げ、子どもの未来をひらきましょう。
*
「本気のSDGsを兵庫から」。ご意見よろしくお願いいたします。

Ⅰ.県民のいのちと暮らしを守る県政に

(1)新型コロナ感染症対策

感染症パンデミックからいのちと暮らしを守る
ワクチン接種とともに、無症状感染者を早期発見・保護することで早く感染拡大を抑え込めます。もちろん「自粛と補償はセット」です。
①PCR検査を、医療機関、福祉施設、学校等および繁華街、観光地などで大規模・頻回に行い、無症状感染者を保護します。
②必要な病床、療養施設を確保します。
③医療機関への補償と支援、介護施設への支援を充実します。
④必要なワクチン確保につとめ、安心して摂取できるよう体制整備、正確な情報提供を行います。
⑤保健所の人員・体制を拡充します。
⑥安心して感染防止に協力できる休業補償制度を確立し、地域経済や文化を維持します。

(2)安心してかかれる医療体制づくり、介護、福祉の拡充を

命を守ること、福祉を優先することは、自治体の一番の責務です。所得や居住地に関係なく、誰もが必要な医療、福祉を受けられるようにします。

=医療・保健=
①保健所や保健師を増やし、感染対策にも必要な対応ができる体制と機能を強化します。
②新型コロナなど、感染症に対応する病床、医療機関を増やします。また、積極的なPCR検査で感染者の早期発見・保護を行い感染拡大を抑え込みます。
③病院の統廃合ではなく、地域医療の確保・拡充をはかります。
④国民健康保険料を引き下げます。
⑤高校卒業までの医療費を無料にします。
⑥子ども・障害者・ひとり親・高齢者の福祉医療助成制度を拡充します。

=介護=
かけがえのない人生を、尊厳をもって生きることができるように。
①特別養護老人ホームなどの介護施設を増やします。
②介護保険料・利用料の軽減をはかります。
③介護労働者の賃上げ、労働条件改善、キャリアアップをはかります。
④加齢性難聴への補聴器購入助成制度を拡充します。

=障害者=
障害者が暮らしやすい社会は、だれにとっても暮らしやすい社会です。
①国に対し、「障害者総合支援法」第七条を改正し、障害に応じた支援・給付を受けられるよう強く求めます。
②障害者就労を支援し、促進します。
③駅舎をはじめ、街のバリアフリー化を促進します。
④手話言語条例を制定します。
⑤点字ブロックの整備、音声案内施設・設備の拡充を図ります。

(3)地球環境を守る

ゼロカーボン、原発ゼロ、再生可能エネルギー100%をめざして
地球温暖化防止は待ったなしです。生活様式、産業構造を転換し、子どもたちに持続可能で豊かな環境を手渡します。
①二〇五〇年の温室効果ガス排出実質ゼロへ。二〇三〇年までに、二〇一三年比六二%(一九九〇年比六一%)削減を実現します。
②県内の石炭火力発電所全廃、新たな石炭火力発電所建設中止を求めます。
③事故が起これば兵庫県に重大な影響を及ぼす福井県若狭湾の原発をはじめ、全ての原発の廃炉を求めます。大阪湾をはじめ原発汚染水の海洋投棄に反対します。
④福島原発事故の避難者に対する県独自支援を再開し、国にも求めます。
⑤自然環境に配慮しつつ、二〇三〇年までに再生可能エネルギー五〇%をめざします。
⑥廃プラスチック類対策、アスベスト対策を強化し展開します。
⑦資源循環でゴミを産まない「ゼロエミッション」を推進します。産廃最終処理施設はすべて管理型にします。

(4)安心して暮らせる地域づくり(防災、生活基盤整備)

いのち・暮らし・財産を守る防災・減災対策、助かった命を守る被災者支援を確立していきます。同時に日常生活の利便性確保も進め、安全で安心できる地域をつくりましょう。
①必要な治山治水事業をはじめ、自然災害から住民のいのちと財産を守る施策をすすめます。住民意見を最大限尊重します。
②被災者生活再建支援事業をはじめ、公的支援制度の拡充をはかります。
③「歩いて暮らせる地域づくり」「農業と共生する地域づくり」などを基本コンセプトとし、地域再生をはかります。
④生活道路の改修、改善を促進します。
⑤公共交通機関の維持、拡充に努めます。
⑥食糧、エネルギーなどの「地産地消」を推進します。

(5)人権、民主主義を大切にする

憲法どおりの県政をめざします。コロナ禍に乗じて、一部で私権制限や憲法改正(緊急事態条項導入)などの議論がありますが、そういう時ほど、憲法に立ち返ることが有効です。
①子どもの権利条約を尊重します。子どもたちがすこやかに成長し人格を形成する権利、学ぶ権利を保障します。
②ヘイトスピーチや外国人差別をなくします。
③県政の情報公開と住民参加の仕組みを抜本的に改善し、拡充します。
④税の応能負担原則と再配分機能を堅持し、健全化に努めます。

(6)文化・芸術を守る

文化・芸術は人間の暮らしに欠かせないものです。大切にします。
①コロナ禍で苦しんでいる芸術家などへの支援を強めます。
②県民が文化・芸術に触れる機会を増やします。
③県立施設(文化、スポーツ、図書館、公園)の整備、拡充に力を入れます。

(7)県民の「平和に生きる権利」を守る

兵庫は名前の通り、昔は「つわもの庫=兵器庫」がおかれていました。その兵庫で、平和を求める県民運動により、神戸港を平和の港に変え、六甲山頂の米軍基地を返還させたのは意義深い事です。戦争の痛苦の反省に立ち、さらに平和行政を進めます。
①核兵器禁止条約批准を国に求めます。非核平和県民条例を制定し、「非核平和行政推進会議」を設けて具体化します。
②「平和副読本」の作成や「平和資料館」の建設など、平和のために戦争を語り継ぐ取り組みをすすめます。
③核兵器を積んでいないことを証明できない艦船の入港を認めない非核「神戸方式」を県内すべての港で実施します。
④県内上空での軍用機による低空飛行訓練や大阪空港(伊丹空港)の軍事利用の中止、日米地位協定の抜本改定を求めます。
⑤行き過ぎた自衛官募集対象者の情報提供をやめます。
⑥専任の相談員を配置するなど「被爆者相談室」を拡充し、被爆者が気軽に相談・交流できるようにします。
⑦「北東アジア自治体連合」の活動を多面的に行い「非核日本海」「非核北東アジア」づくりに貢献します。
⑧豊かな漁場・日本海での漁場荒らしがおきないよう国に要請します。
⑨「五月三日憲法記念日」「八月六日広島の日」「八月九日長崎の日」などで県独自の記念行事を行い、日本国憲法をノーベル平和賞に推薦する運動を応援します。

Ⅱ.ジェンダー平等、すべての人の尊厳を等しく守る県政に

性別によらず誰もが個人として尊重されるジェンダー平等社会、社会からおしつけられた「男らしさ」や「女らしさ」ではなく、「自分らしさ」を輝かせることができる人間社会をめざします。
①意思決定の場への女性参画を増やします。あらゆる場でのクオーター制の導入を推進します。県の女性管理職を早期に三〇%に、二〇三〇年までに五〇%をめざします。県職員の女性正規雇用を大幅に増やします。
②「選択的夫婦別姓」を県として促進するため行政手続等の改正をすすめます。
③DV・性暴力対策専門課を創設し、当事者や支援者とともに、被害防止・支援をすすめます。
④リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)を推し進めます。科学的な性教育を幼少期からすすめます。女性の生涯の健康を支援するために、保健所や婦人科、女性医師の養成、無料検診を拡充します。
⑤LGBTQ相談ワンストップ窓口をつくります。多様な性の婚姻関係を認める社会をめざし、県パートナーシップ条例を創設します。
⑥コロナ禍、医療・介護・保育など社会に不可欠なエッセンシャルワークの労働環境を改善します。
⑦女性の働き分が認められず重い税負担と人権侵害をもたらす「所得税法五十六条」廃止を国に求めます。
⑧現在の県政が掲げる「男女共同参画」を「ジェンダー平等社会推進」(仮称)に改称し、専門家を配置し、取り組みをすすめます。

Ⅲ.産業を支え、地域を支え、雇用を守る県政に

兵庫県の経済の活性化は、中小企業と農林水産業が元気になることがカギです。もちろん、働く人々が豊かになることが重要です。大企業も社会的責任を果たすことが評価されるべきでしょう。「三方良し(企業良し、消費者良し、地域良し)」の総合施策を進めます。
農林水産業を基幹産業として守り、応援します。

(1)雇用を守り賃金の引き上げで、生活に安心を

①兵庫県内のすべての労働者の雇用・賃金を守ります。
②コロナの影響での解雇・雇止めをなくすため、休業補償制度を確立します。
③最低賃金を早期に千円以上に引き上げ、千五百円をめざします。
④コロナの影響で減収となったフリーランスの方の所得を保障します。
⑤正規雇用を増やす中小企業への支援を拡充します。
⑥若者が兵庫県内で就職し、安心して働けよう、奨学金返済支援制度の拡充や、雇用する中小企業の支援を行います。
⑦県内すべての労働者の「同一労働同一賃金」をめざします。
⑧県内の職場からハラスメント、過労死、長時間労働、サービス残業をなくします。
⑨国と連携し、労働災害ゼロをめざします。
⑩公契約条例を制定し、公共事業で働く人の処遇を改善します。
⑪県労働委員会の労働者委員の公正な任命を行うなど、すべての労働者のための労働行政を実現します。

(2)中小企業と農林水産業を支える

=中小事業所=
①コロナ禍で収入減少の中小事業者に補償を行うとともに、緊急融資を行います。
②中小企業振興条例にもとづき、中小企業・小規模事業者への予算を大幅に拡充します。
③住宅・店舗リフォーム助成制度をつくり、仕事を増やします。
④県制度融資を受けやすい制度にします(保証料補助、利子補給など)。
⑤県民生活を守り、景気回復のため、消費税五%への減税を国へ働きかけます。
⑥生活関連、維持・補修の公共事業で、仕事を確保し、県民生活を守ります。
⑦県外からの大企業誘致ではなく、販路・技術・後継者など県内企業を応援します。
⑧工場閉鎖・撤退など大企業の身勝手に反対し、地域貢献を求めます。
⑨中小事業者が受注できるよう、分離・分割発注、小規模工事登録制度を推進します。

=農業=
①家族農業を支援し、農家を支えます。
②就農援助など、新たな農業の担い手つくりを支援します。
③歯止めなき輸入自由化ストップ、「地産地消」、自給率の確保・向上を図ります。
④農産物の価格保障、農家の所得補償制度をつくります。

=水産業=
①漁業者の漁業権を守ります。
②瀬戸内海の豊かさを取り戻すための調査、研究、施策を総合的にすすめます。
③漁船をはじめ、必要な設備等の購入、修理、更新(近代化や省エネ化など)の費用に対する補助制度を拡充します。
④関係省庁と連携し、日本海暫定水域問題の解決に力を尽くします。

=林業=
①林業再生総合プロジェクトチーム(仮称)を発足させ、県産木材活用をはじめ、林業活性化を図ります。
②中小規模の林家を対象にした、税負担軽減、木材価格の下支え、作業・流通への助成制度を創設します。
③肥料や木質バイオマス発電事業など、新たな用途をはじめ、商品開発を支援します。
④「乱開発防止」「開発抑制」の名で行う県事業について、植林、森林育成の観点から林業との連携を位置づけます。

Ⅳ.子どもの未来をひらく県政に

子どもの権利条約を生かし、子どもたちが健やかに成長し、人格を形成する権利、学ぶ権利を保障する施策をすすめます。

=教育=
①高校三年生まで全学年三十五人学級にします。教職員を増やし、ゆとりのある教育環境をつくります。
②教員の変形時間労働制は実施しません。
③高校教育無償化、県立大学の授業料値下げ、県独自の給付制奨学金制度を創設します。
④私立高校への経営費補助、私学助成金を拡充します。
⑤学校給食は、自校方式、県産食材の活用、無償化をすすめます。
⑥教育費負担軽減(ICT、教材費、制服代など)、就学援助制度の拡充をすすめます。
⑦早期に特別支援学校の設置基準を制定し、実行します。
⑧通学交通費助成制度を充実させます。
⑨校舎の改修、特にトイレの洋式化、特別教室や体育館へのエアコン設置を急ぎます。
⑩学校トイレに生理用品を設置します。

=子どもたちへの応援=
①ヤングケアラーへの支援を強めます。
②虐待防止のための専門職員増員、市町への支援、連携を強めます。
③いじめ・体罰の根絶へ子どもSOSホットラインを設置、早期発見・支援のネットワークづくりをすすめます。
④子どもたちが文化・学術・芸術・スポーツに親しめるように、ソフト事業を含め、整備・拡充します。

=保護者応援=
①保育所整備をすすめます。給食費の保護者負担をなくします。
②学童保育の運営費補助の拡充、指導員の処遇改善をはかります。
③高校卒業までの医療費窓口負担を無料にします。
④ひとり親家庭への支援を強めます。
⑤不妊治療助成拡充、妊婦健診無料化、出産費用補助創設、産科・小児科不足を解消します。

行財政構造改革について

県がこれまで行ってきた行財政構造改革(行革)は、福祉を削り、無駄な大型公共事業は借金までして進めるというものでした。それが新型感染症に対応できない、脆弱な兵庫県にしてしまいました。この間違ったやり方を抜本転換し、福祉増進と財政再建を両立させます。
•県民生活、県内産業の活性化をはかり、税収を増やします。
•応能負担と再配分の基本に立ち、税のあり方を見直します。
•不要不急の財政出動や無駄遣いを改め、福祉と教育優先に切り替えます。
•必要な財政出動を国にしっかりと求めます。

(兵庫民報2021年5月30日付)


知事選勝利へ兵商連が決起集会


兵商連は五月十九日、兵商連会館と県下二十会場をオンラインで結び、「知事選挙勝利 民商・兵商連決起集会」を開催しました。
「憲法県政の会」の石川康宏代表幹事の情勢報告の後、金田峰生予定候補が挨拶しました。
那須由美子兵商連事務局長が、「コロナ禍で、貧困と格差を拡大し、自己責任によって社会に分断を持ち込む新自由主義的政策の問題が明らかになり、中小業者を中心とした地域循環型経済社会の確立と公的医療の拡充が今、切実に求められている。金田峰生さんの勝利で、憲法どおりの県政、県民・中小業者を大切にする県政へ変えていこう」と呼びかけました。
伊丹民商の千住実会長、須磨民商の石田満常任理事、明石民商の芝本奏文事務局長が決意を表明。感染症による中小業者・県民の苦難が深まる中、経営と暮らし、命と健康をしっかり守る立場に立つ新しい県政を一緒につくりあげようとの決意が広がりました。
最後に、兵商連の土谷洋男副会長が、①県議会にむけた要求署名運動に取り組む、②班・支部・民商・共済会・婦人部・青年部で推薦状をあげよう、③独自ビラの作成で「金田峰生さんと県政を変えよう」を読者まで知らせよう、④知事選挙の対話数、署名数、推薦決議の集約を始める、⑤地域で中心的な役割を果たそう、⑥選挙をたたかう募金運動に取り組もうと行動提起を行いました。
〔田中邦夫〕

(兵庫民報2021年5月30日付)

宝塚県議補選:みとみさん及ばず

兵庫県議選宝塚市区補欠選挙(欠員二、立候補五人)は五月二十三日、投開票の結果、日本共産党の新人・みとみ智恵子さん(42)は四位で及びませんでした。
みとみさんは六千五百九十票(得票率は一二・一七%)を得ました。二〇一九年参院比例選挙での日本共産党の得票(八千三百二十票、得票率八・八一%)より千七百三十票減ですが、得票率は三・三六ポイント伸ばしました。
開票結果は――
①当選=門隆志(維新)一万五千九百二十票②当選=風早ひさお(自民)一万三千四百六十一票③橋本なるとし(立民)一万二千七百十二票④みとみ智恵子(共産)六千五百九十票⑤おだたか子(無)五千四百五十六票。投票率二八・七一%。

(兵庫民報2021年5月30日付)




ジェンダーわたしの視点「「くせに」の呪縛を解きたい」日本共産党兵庫・長田・北地区委員会准地区委員 ほりたけいすけ


「男のくせに」「女のくせに」「子どものくせに」……私たちが生きているこの社会には、無数の「~のくせに」のレッテルが貼られ、力を持ち、頼んだわけでもないのに、そうした「くせに」や、それに裏付けられた「らしさ」「べき」で人間が区別され、特に意味も合理的根拠もない区別を前提に社会が作られ、やがて自分自身も無意識のうちに「~のくせに」という言葉に縛られ、口にする……なんだか窮屈で、生きづらく、人間の可能性をわざわざ狭める、実にもったいない社会だなあ、と思います。
「女性が一所懸命働いている横で、男性が悠然と酒を飲んでいる法事の光景」「男子は理系、女子は文系になんとな~く誘導されていく」「私や弟には何も言わなかったのに妹に〝女なんだから家事くらい~〟という母」……保守的な田舎で育った私の周囲ではごくごく〝当たり前〟にあった光景に、少年時代の私は何となく違和感と窮屈さを覚えていました。この違和感と窮屈さから自由になりたいという気持ちが、のちに日本共産党員になるきっかけのひとつだったのかもしれません。
その私自身も、いまだにたくさんの「くせに」に縛られています。三十代半ば、〝長男〟の〝くせに〟いまだに独り者であることに〝後ろめたさ〟を覚えたり、時に、一般的な「男らしさ」や「強さ」を求められると、うーんと悩んでしまったり…。そのくせ、自らの理想とするものと矛盾する態度がつい出ては「あんた、口ではええこと言ってるように聞こえるけどぉ、ひとの事なあ~も言えんざあ~(故郷の方言です)」と家族に言われてしまう自分もいます。
それでも、迷いながら、学びながら、考えながら、語り合いながら、誰かと自分を縛る「くせに」の呪縛から自由になること、〝~らしく〟ではなく、〝人間らしく〟を前提にした日本に変えていくこと……とても大きな〝思想闘争〟なのかもしれませんが、変えようとする人、変わろうとする人はたくさんいます。
そういう人たちと、そういう党と、「呪縛を解く」「そして変わる」一歩をふみだし続けたいたいと思います。

(兵庫民報2021年5月30日付)

六甲病院が民間移譲へ説明会:利用者・地域住民が知らないなかで:日本共産党神戸市議 味口としゆき


国家公務員共済組合連合会・六甲病院(神戸市灘区)は、民間医療法人に経営主体を変更するための説明会を五月十八日・二十日に行いました。
説明会開催の発表は十一日に突如行われ、また利用者や地域住民への周知は、病院内の掲示板への張り出しと、地元の二つの自治会役員への説明だけで、全く利用者・地域住民が知らないなかでの開催という異常なものでした。
また説明会には、民間移譲にあたっての資料も全く提示されず、口頭説明だけという杜撰なものでした。
説明会では、地域住民から「なぜ、地域住民に知らせないのか」「現在の診療体制が守られるのか」など質問が相次ぎました。
神戸市は、民間法人への移譲の条件として、六甲病院が担っていた緩和ケア病床を削減することなく、維持・拡大すること、第二次救急輪番など公的なサービス、医療機能を維持しながら経営改善を図ることなど六項目を求めています。しかし、説明会では、約三割の職員が退職などの意向を示しているとされ、看護師不足などにより現在の診療体制が維持できるのか懸念されます。
説明会では、参加者から「コロナ禍のもとで、本当に医療従事者を確保できるのか」などの質問がありましたが、具体的な人数などは示されず「民間法人は評判がいいので、求人はある」などと希望的な答弁に終始しました。
さらに、五十五億円にのぼる累積赤字は連合会が償却し、民間法人には引き継がれないことが説明されましたが、経営改善については「病床が埋まれば黒字になる」などと、曖昧な根拠のない説明しかありませんでした。
問題の発端は、厚生労働省が全国の公立・公的病院四百二十四カ所を名指しで統廃合などを求め、六甲病院がこの統廃合リストで名指しされたことにあります。
コロナ禍のもと、神戸市でも受け入れ病床が逼迫するなかで、公的病院として灘区の地域医療体制を維持してきた六甲病院が民間移譲されることは本当に異常です。
引き続き、地域のみなさんと灘区の地域医療を守るために力を尽くす決意です。

(兵庫民報2021年5月30日付)

兵庫県AALA連帯委員会総会と学習講演会:はじめてのオンライン:中南米でのコロナとの闘いと国際連帯


兵庫県アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会(AALA)は五月二十三日、総会と「中南米における新型コロナウイルス感染との闘いと国際連帯」学習講演会を開催。緊急事態宣言下での開催となり、兵庫県AALAとしては初のオンライン総会・学習講演会となりました。
講師の山崎圭一教授(横浜国立大学大学院国際社会科学研究院)は、英国を抜いて世界第三位(五月十四日時点)という深刻な感染状況となっているブラジルに焦点をあて、ボルソナロ大統領による新型コロナ軽視の発言・行動を紹介。一方、従来からの制度として国民の七五%をカバーする公的健康保険(窓口負担ゼロ、外国人も無料)や、貧困地区もしっかりカバーする保健委員の制度なども紹介されました。コロナ禍においては妊婦のリモートワークを要請する法律が国会を通過しています。
さらに、非常に多いブラジルの政党のなかで左派政党に焦点をあて、ブラジルにおける野党共闘の状況についても報告されました。
参加者からはブラジルにおけるワクチン開発の状況や貧富の格差の状況、人種差別についてなど質問が出され、オンラインでしたが活発な質問交流となりました。
学習講演会に先立って開かれた兵庫県AALA第四十回定期総会では、この一年間の活動を振り返り、二〇二一年度活動方針を採択。新役員を選出しました。総会冒頭には、先日急逝された貫名初子会長へ黙禱を捧げました。〔佐藤結=同委員会常任理事〕

(兵庫民報2021年5月30日付)

清水ただし「コロナ禍の日常を詠める短歌三首」国会レポート10


実は六年以上前から、親しい方の勧めで『新日本歌人』という短歌の雑誌を購読しています。毎月、たくさんの短歌が紹介されているのですが、自分には不向きだと考え、詠むことはありませんでした。
ところが、このあいだ、関西近県歌会が合同歌集を出すので、一首提供してほしいという依頼がありました。初めての試みで戸惑いましたが、先ずは肩ひじを張らず、自分の日常の思いを自然に五・七・五・七・七にまとめてみようと筆をとりました。
*
最初に思いついた歌は、
Zoomでは測りきれないその距離感鉄板ネタも出すのためらい
です。最近はコロナの影響で、演説会や集いが開催されず、インターネットを活用して政策を訴えることが多いのですが、画面の向こう側で聴いてくださっている方々の反応がどうもつかみにくく、自分の話が伝わっているのか、とっておきのネタ(漫才ではないのですが)がウケているのかどうか分からないことから思いついた歌です。
*
次に考えたのは、
乾杯の泡が画面にほとばしるリモート飲みで再会喜び
です。緊急事態宣言のもと、お互いに親しい人と会食ができずストレスが溜まっていることと思います。久しぶりに画面越しに合う友人に嬉しく思うのですが、やっぱり直接会わないと調子が出ません。そのためには、PCR検査でも、ワクチン接種でも、後手に回る菅政権や、大阪で医療崩壊をもたらした維新政治を転換するしかありません。
*
最後に一首。
入院ができない理由憲法の詭弁許さず平和を守る

(日本共産党衆院議員)

(兵庫民報2021年5月30日付)

論点詳論「神戸市による自衛隊に対する個人情報提供問題について」神戸学院大学法学部教授 福嶋敏明


二〇二〇年二月十日、神戸市は防衛省と「募集対象者情報の提供に関する覚書」を締結しました。その結果、神戸市は、毎年、自衛隊に対して、自衛官募集対象者となる市民の氏名、生年月日、性別、住所を電子データによって提供することになり、すでに自衛隊に対する市民の個人情報の提供が始まっていますが、この問題は、憲法が保障する個人の権利、さらには市政のあり方にとって深刻な問題を投げかけるものです。
*
日本国憲法十三条は、一般に、自己の情報をコントロールする権利を個人に対して保障しているものと理解されています。市の保有する個人情報に対してもこの権利の保障は当然に及び、市が市民の個人情報を外部機関に提供するためには本人の同意を得ることが原則となり、本人の同意のない提供を行うためには明確な法律上の根拠が求められ、適正な手続きを経る必要があります。
*
しかし、今回の神戸市による自衛隊に対する個人情報の提供は、明確な法律上の根拠もなく、適正な手続きも経ずに行われた疑いがあります。
神戸市は今回の提供の根拠として自衛隊法九十七条などの規定を指摘しますが、この規定は自衛隊に個人情報を提供する根拠にはならないと判断した自治体もあります。
また、条例の規定に基づき外部の有識者等から構成される個人情報保護審議会などの機関の意見を聴いた自治体もありますが、今回の提供に際して神戸市は神戸市個人情報保護条例の定める個人情報保護審議会に諮問するという手続きを行っていません。
さらに、本人の申し出に基づき自衛隊に対する個人情報の提供を行わないという措置を講じる自治体もありますが、神戸市はこうした措置を講じようともしません。
このように神戸市の対応は、他の自治体と比べても市民の個人情報保護に消極的であり、憲法十三条が保障する個人の権利を尊重したものとは到底言うことができません。
しかも、神戸市は、自衛隊に対する個人情報の提供について市民に積極的に知らせようともしていません。自治体の中には自衛隊に対する個人情報の提供についてホームページなどを通じて情報提供を行っているところもありますが、神戸市は市議会における答弁などを通じてこの件について市民に広く知らせることを頑なに拒む姿勢を示しています。このような神戸市の姿勢は、憲法十三条による個人の権利の保障だけでなく、市政に関する重要な情報は市民に知らせなければならないという地方自治の原則に照らしても大いに問題があると言わなければなりません。
*
市の保有している個人情報は私たちひとり一人の市民のものであり、また市政は私たち市民の負託により行われているものであるという原則をしっかりと確認し、私たちはこの問題に向き合っていかなければならないように思います。

(兵庫民報2021年5月30日付)

神戸映画サークル協議会6月例会『幸福なラザロ』:美しい瞳の持ち主は時空を超える


『幸福なラザロ』は、パルムドールを受賞した日本の『万引き家族』と共に、第七十一回のカンヌ映画祭で話題をさらい脚本賞を受賞した。
本作は監督アリーチェ・ロルヴァケルが衝撃を受けた一九九〇年代に実際に起こった不思議な詐欺事件に着想を得て作られている。一九八〇年代初頭にイタリアで廃止された「小作人制度」を領主が小作人に知らせずに搾取し続けていたのだ。
キリスト教の聖人であるラザロの名前を持つ主人公を物語の中心におき、彼が持つ不思議な癒しの空気感が画面を覆っていくと共に、ストーリーにのめりこんでゆく魅力的な映画だ。
閉ざされた村の存在が世間に知れてから年月が経ち、かつての村人たちは都会の片隅で肩を寄せ合って暮らしていた。
ラザロが、止まった時から放たれ、再び村人たちの前に突然現れる。
ラザロは、彼らを懐かしみ、信じる。そして、彼らを助ける。
前半の美しくも厳しい田園風景と後半の殺風景な都会の映像の対比。
ラザロとはいったい何者なのだろうか?
一つ一つのシーンに、意味があると想像するが答えは早々には出ない。
しかし、人を寄せつけないような難解な作品では決してない。
観ている間は、ただラザロから目が離せない。
〔宮下暢子=神戸映画サークル協議会〕

『幸福なラザロ』(2018年イタリア/127分)

6月18日(金)①11時②14時③19時、19日(土)①11時②14時③18時/神戸アートビレッジセンターKAVCホール/一般1,300円 *要事前予約:参加日時を6月17日までにご予約ください。☎078-371-8550、Email kcc1950@kobe-eisa.com/URL http://kobe-eisa.com/


(兵庫民報2021年5月30日付)

瀬戸恵子「ひなたぽっころりん」〈683〉



(兵庫民報2021年5月30日付)

観感楽学「人の流れと人流」


「人流」という言葉が日本を徘徊している。コロナ第四波になって都知事や首相が記者会見で繰り返し使っている。人の流れといえばいいのに、また字数が多いというなら人出ですむ。でもこの語感、どうにも気持ちが悪い。それを使っている人のせいだけではなさそう。同じことを感じる人はいるもので、ネットで調べてみるとさまざまに研究されている▼それによれば、「人流」の最古の用例は一九七一年までさかのぼるそうだ。以来、おもに官庁内で流通してきた用語だとされている。官庁言葉といえばたとえば司法用語(読み)として、懲役三年「六月」はロッカゲツでなくロクツキと発音するのはテレビドラマの『イッケイのカラス』でもおなじみ。でも「人流」への違和感はまだ残る▼言葉で困ったときは辞書。見出し語の一番多い『日本国語大辞典』にも載っていなかったが『大漢和辞典』にはあった。中国六世紀頃に書かれた『顔氏家訓』で使われており、その意味は「普通の人」。「流」とは「ながれ」だけでなく「やりかた・様式」を指す場合もある。いまの日本でも我流・他流などと使われるが人流の元々はそれに近い用法▼人の流れを安易に短縮し「人流」などと上から目線でいうのはやめていただきたい。普通の人の言葉遣いを切に望む。(T)

(兵庫民報2021年5月30日付)