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2021年5月16日日曜日

憲法生かす社会へ:憲法記念日に金田さんと憲法県政の会が宣伝


憲法が輝く兵庫県政をつくる会(憲法県政の会)は五月三日「憲法記念日」、神戸・三宮交通センタービル前で宣伝を行いました。
七月の県知事選挙に同会から立候補を予定している金田峰生さんは、現在の兵庫県が国と二人三脚で保健所や公的病院を減らし、福祉を後退させてきたと批判。これに対して、コロナ対策ではPCR検査を抜本的に拡充、医療機関・福祉施設への補償をさせること、暮らし支える施策では高校卒業までの子どもと高齢者の医療費を無料化することなどを提起しました。こうした「憲法を生かし、新しい社会をつくることができるのは、県民と立憲野党との共同で誕生させた知事でこそできます」と訴えました。
同会の津川知久代表幹事、日本共産党の松田隆彦県委員長らも訴えました。
同会はこの宣伝の録画をはじめ、金田さんと会の活動を逐次、ツイッターに投稿しており、広く拡散をと呼びかけています。

(兵庫民報2021年5月16日付)

改憲よりもコロナ対策を:憲法共同センターが緊急宣伝


憲法改悪ストップ兵庫県共同センターは五月十日、神戸大丸前で「改憲阻止緊急宣伝」を行いました。
衆院憲法審査会で六日、与党提出の改憲のための国民投票法改定案が修正のうえ可決されたことを受けたもの。
参加者らは、「国民投票法案可決によって九条への自衛隊明記や緊急事態条項創設など自民党の『改憲四項目』の議論に進むことは許されない」「安倍・菅政権による改憲策動を断固として阻止しましょう」「いまやるべきは改憲よりコロナ対策」と次々とマイクで訴えました。

(兵庫民報2021年5月16日付)

シリーズ 憲法が輝く兵庫県政へ(30=まとめ)「市民と野党の共闘で『命と暮らしを本気で守る県政』を」憲法が輝く兵庫県政をつくる会代表幹事 石川康宏


県民不在――自民内部の主導権争い

五期二十年つづいた井戸県政の終了確定とともに、日本共産党をのぞくオール与党体制が一挙に崩れています。井戸敏三知事は後継候補として副知事をつとめた金沢和夫氏を指名し、自民党県議の多くはこれへの支持を表明しました。しかし、その後、兵庫県選出の国会議員等が「金沢氏では維新に勝てない」と言いながら、他でもない日本維新の会の副代表が知事をつとめる大阪府の財政課長だった斎藤元彦氏を担ぎだし、この斎藤氏を当の維新の会が推薦するという奇妙な動きが起こりました。その後、自民党の県連は斎藤氏の推薦を決定し、東京の自民党本部も推薦を決めました。
一方、金沢陣営は、兵庫財界の中枢である神戸市商工会議所の副会頭を会長につけた後援会を発足させ、連合(日本労働組合総連合)も金沢氏の推薦を決定しましたから、「保守分裂」は確定的となっています。とはいえ、政治路線や政策にかんする両者の議論は聞こえません。起こっているのは、県民の暮らしをどう支えるかというもっとも肝心な部分を抜きにした、自民党内部の主導権争いです。そこに独自候補の擁立を果たせなかった維新が首を突っ込み、当面の衆院選で維新と候補者調整をしたい自民党側の打算を利用して漁夫の利を狙っているという状況です。

立憲、国民等にも独自候補に向けた動き

これまで井戸県政を支えてきた立憲民主党(以下「立憲」)や国民民主党(以下「国民」)にも新たな模索が起こりました。四月二十五日のトリプル選挙では「市民と野党の共闘」候補が完勝を果たしましたが、そうした国政をめぐる世論の大きな変化も背景にして、独自候補の擁立に向けて動きだしたのです。
その後、具体的な候補者決定にはいたっておらず、たとえば立憲の県連は斎藤氏を支援しないと決め、金沢氏への支援については意見が割れたとのことでした。また野党が集まる場で出された「反維新のために金沢支持を」という提案に、各党がそろってこれを拒否したという情報も聞こえてきました。最終的に立憲は自主投票になる見通しだという報道もされていますが、かりにそうなったとしても「市民と野党の共闘」に向けた県民の願いの高まりは変わりません。

「市民と野党の共闘」をなんとしても実現するために

私たちは、立憲や国民のこうした新しい動きにも注目しながら候補者選考を進めてきました。そして、七月十八日の投開票まで残りおよそ三カ月となったところで、県民不在のまま内部の主導権争いに終始する自民党等の動きを傍観することなく、「市民と野党の共闘」を主体的に切り拓いていこうとの立場から金田峰生候補の擁立を決めました。
「金田さんはいい人だが、共産党の人では共闘はむずかしい」という懸念の声もあるようです。しかし、たとえば二〇一九年の参院選で共産党が擁立した候補が三つの選挙区で野党統一候補となったように、もはや「共産党の政治家だから統一できない」という時代ではありません。
金田さんは、かつて県議をつとめ、二〇〇五年県知事選挙に挑戦し、また国会議員選挙にも何度も挑戦してきた、試されずみの政治家です。四月十五日の立候補表明の記者会見で、金田さんはこう語りました。
「県はこの間、保健所を半分に減らし、公立・公的病院の統合再編も進めてきました。それで地域医療が脆弱になっています。新型コロナ感染症で六百八人(会見時)もの方が亡くなり、コロナ患者以外の方も、医療逼迫で受け入れ病院がなかなかみつからず、迅速な治療が受けられなかったという事態も起こりました」。
「政治の転換が求められています」「私はこれから、会の候補者としてはもちろんですが、県民と野党の共同候補として、広く県民のみなさん、立憲野党のみなさんとも共同できる候補として、がんばります」。
―候補者自身が最初から「県民と野党の共同候補」「共同できる候補として」がんばる姿勢を明らかにしているのです。

「野党は共闘」の声を全県から

私たちは「憲法が輝く立憲主義の県政」を広く県民に訴えながら、あわせて野党各党に「共闘」の輪を広げるためのはたらきかけを行なっていきます。「兵庫県でも野党は共闘」―この声を県民多数の声として、「県民の命と暮らしを本気で守る県政」を力をあわせてつくっていきたいと思っています。
変化する情勢の大局をしっかりとらえ、お互いの知恵と力と意欲をあわせて、なんとしても「共闘」を実現し、必ずや、この夏に、新しい兵庫県政をつくっていきましょう。
(連載完)

(兵庫民報2021年5月16日付)

日本共産党兵庫県議団:コロナ対策第13次緊急申し入れ:大規模検査、病床確保・財政支援、ワクチン情報提供、生活支援、オリ・パラ中止など


日本共産党兵庫県議団は、三度目の緊急事態宣言が発令された直後の四月二十八日、兵庫県知事に感染抑止と医療、暮らし、事業者支援など新型コロナ対策の第十三次緊急申し入れを行いました。
申し入れでは▽コロナ封じ込めのための大規模検査▽病床・療養施設確保、病院への財政支援▽ワクチン接種の速やかな情報提供と供給量確保▽すべての事業者と県民の生活支援▽東京オリンピック・パラリンピック中止―などを要請しました。
ねりき恵子団長らは、陽性判定から三日後に宿泊療養施設に入所でき、入所後に病状が悪化しても医師の診察まで三日かかり、診察から二日後に入院できた事例を示し、病床・宿泊療養施設の増床など、医療体制の強化を要求。兵庫県のモニタリング検査が、少ない時は一週間に三十八件で、他県と比べても異常に少なく「これでは感染源や感染状況はつかめない」として、一日一万件以上に引き上げるよう求めました。
また、さらに医療体制の厳しい状況を強調し、東京オリンピック・パラリンビック中止を国に求め、県内の聖火リレーは中止しコロナ対応を最優先するよう重ねて要請しました。
応対した担当者は、モニタリング検査などの拡充については、「費用対効果がないという意見もある」などとこたえました。事業者支援については、国との調整を行い提起するとしました。県営水道料金免除など県事業については担当部に伝えるとしました。
兵庫県は、その後の対処方針で、一日のPCR検査能力体制を六千二百から七千八十へ、病床確保を九百三十五床から千三十床に増床したとしていますが、兵庫県内の感染状況に追い付いていません。引き続き、病床確保、検査体制の拡充、事業者への十分な休業補償が必要です。
〔門屋史明〕

(兵庫民報2021年5月16日付)

高砂市が中小事業者持続化支援給付補助金再給付へ

高砂市は、三月補正予算の追加議案に中小事業者持続化支援給付補助金一億二千八百万円を提案。全会一致で議決されました。
日本共産党市議団は三月定例会で市長に対し、政府が打ち切った中小事業者持続化給付金と家賃支援給付金の再給付について、市長会などを通じて緊急に政府へ申し入れることを求めてきました。
新型コロナウイルス感染症拡大の長期化により、令和二年十一月から令和三年二月までの売り上げ合計が前年同期間の売り上げ合計と比較して三〇%以上の減となり、事業活動に支障が生じている中小事業者、法人百六十件、個人三百二十件が対象です。補助額は法人四十万円(上限)、個人二十万円(上限)で、売り上げ減少額が各上限額に満たない場合は、その減少額が給付補助金の額となります。
SDGsに基づいた第五次高砂市総合計画の「資源を生かした特色ある産業、暮らしを支える産業があるまち」を実践したことに自治体の支え合いと連帯を実感しました。
〔坂辺勝彦=高砂市議〕

(兵庫民報2021年5月16日付)


こどもの日:尼崎女性後援会が宣伝:日本共産党といっしょに国政、県政、市政変えよう


日本共産党尼崎女性後援会は五月五日、JR尼崎駅北で街頭宣伝を行いました。
広瀬早苗元尼崎市議の司会で、こむら潤衆院比例・兵庫八区予定候補、上山桂女性後援会会長(尼崎医療生協病院医師)、金田峰生県知事予定候補、松沢ちづる尼崎市議が訴えました。
こむらさんは、共産党の提案(PCR検査の拡大、自粛に見合う十分な補償、医療の充実と減収補塡、オリンピック・パラリンピック中止の決断)を紹介し、子どもが希望を持って生きられる社会、憲法・平和守る政治、ジェンダー平等――の実現へ、市民と野党の共闘で野党連合政権をつくりましょう、そのためにも共産党を大きく広げてくださいと訴えました。
上山会長は、かつては子育てしやすい街だった尼崎が、今は不十分な子ども医療費助成、待機児童の多さ、高い保育料など、子育て世代が定住できない街になっていると述べ、市民の命とくらしを守るためにも六月の市議選で共産党の六議席を確保、さらにその力で衆議院選挙で、こむらさんを尼崎から国会へ送り出してくださいと力を込めて訴え。
金田さんは、兵庫県政が大型開発中心で、くらし福祉子育て支援を削ってきたこと、コロナ対策も不十分で医療崩壊寸前の事態だと告発。県民に優しく温かい県政へ変えるために頑張と決意を述べました。
最後に松沢市議は、中学校卒業までの医療費無料化はあと五億円=市予算の〇・二五%=あればできることを紹介し、保育所・児童ホームを増やし待機児をゼロにするなど子育て要求実現など、引き続き頑張る決意を述べ、六月六日の市議選での支援と、総選挙で政権交代を実現するためにも日本共産党と、こむら潤候補への支援をと訴えました。
緊急事態宣言中、大雨で人通りはすくない中でしたが、後援会員七人もチラシを配布し、たくさんの激励も受ける宣伝行動になりました。
〔平松順子〕

(兵庫民報2021年5月16日付)

ジェンダーわたしの視点「多様性を認め合い、リスペクトすること」神戸市西区日本共産党後援会事務局長 川村 進


コロナ禍で、若い女性の自殺者が増えている。これも日本のジェンダー差別のあらわれだという。
日本のジェンダー・ギャップ指数は百五十六カ国中百二十位(二〇二一年三月)です。ジェンダー平等をめざすということは、誰もが楽に生きられる社会をめざすことになります。「女性がしんどい社会」は「男性もしんどい社会」性の多様性を認め合い、誰もが差別されず、平等に尊厳を持ち、自らの力を存分に発揮できる社会。そんな社会をどのようにして実現するのか。「家制度」や「企業戦士」として鍛えられた歴史のなかにどっぷりつかって人生を送ってきた私に、そんなことができるのでしょうか。私自身、働いていた頃に、男性社員が「赤い線の入った靴を履いている」のを見て「なんだこいつは」と感じたことがありました。日常生活の中で、無意識のうちに「しみついた」ものの根深さを感じています。
私たちは今、安倍・菅政権を倒し「五つの改革」(第五は「ジェンダー平等社会を実現、個人尊重の政治に」)で希望の持てる社会をめざしています。今すぐ実現に向けた動きを加速させなければなりません。これを市民と野党の共闘で実現しようとしています。「政党が違えば個々の政策が違うのはあたりまえ、でも、自衛隊の海外派兵や集団的自衛権行使容認は許せない。この一点で団結して菅政権を倒そうとしているのです。「統一戦線」成功のカギは「一致点を大切にして、多様性を認め合い、相手をリスペクトすること」です。
「ジェンダー平等」も個人個人の多様性を認め合い、リスペクトすることで実現できるのではないでしょうか。財界のもうけをジェンダー平等より優先してきた財界言いなりの自民党政治を変えることがジェンダー後進国から抜け出す道。「ジェンダーは支配者が人民を支配抑圧するために政治的に、歴史的に押し付けてきたもの」なのですから、ジェンダー平等社会実現のために「しみついたもの」を乗り越える自己改革が必要です。
真のジェンダー平等社会は社会主義・共産主義の社会で実現するとしても、今の闘いが受け継がれ、未来社会につながるのです。

(兵庫民報2021年5月16日付)

第92回兵庫県中央メーデーオンラインで開催:コロナ禍で問われる政治の責任


第九十二回兵庫県中央メーデーは、三度目の緊急事態宣言が発出されたため、組合員のいのちと健康を守ることを優先し集会は中止、初めての試みとしてオンラインでの開催とし、五月一日、神戸・東遊園地から放映しました。
今年は兵庫県でメーデーが開催されてから百年目。戦前・戦中に開催できない期間がありましたが、戦後私たちの先輩が復活させました。それ以降毎年集会・デモが行われ私たち働くものの権利向上・労働環境の改善を訴えてきました。
市民・労働者が集まることができないなか、メーデー実行委員会を代表して成山太志兵庫労連議長が「新型コロナの感染拡大をどのように食い止めるのか、国民のいのちと健康、くらしをどう守るのか、政治の責任が問われている」と挨拶しました。
参加した団体から訴えが行われ、兵庫民医連の東郷泰三事務局長は、兵庫県で、昨年末に八十歳以上は緊急搬送しないことを『暗黙の了解事項』として確認していたことや、井戸県政の下で感染症に対応する病棟が四分の一に削減され、保健所も三分の一程度まで減らしてきたこと、国が都道府県に強制する「地域医療構想」に反対せず病院の統廃合や病床数の削減を進めてきたことを指摘し七月の県知事選では県民のいのちと暮らしを守る県政への転換を訴えました。
つづいて、国労兵庫地区本部の本田信幸委員長は、コロナ禍の中で安全輸送、感染防止に日々奮闘する仲間の声にこたえるため、会社からの低額回答に対して、「いまこそ内部留保の活用を」と粘り強く交渉し一部前進を勝ち取り、なかまの思いに少しでも答えることができた春闘だったと報告しました。
兵庫教職員組合の久宝一也書記次長(全教神戸副委員長)は、コロナ禍の中で入学式は各家庭から一名の参加で開催したこと、授業に工夫を凝らし子ども達が楽しいと思える内容になるよう努力していること、そのなか文科省主導での「GIGAスクール構想導入」で不慣れなタブレットを操作する生徒の状態を気にかけながらクラスをまとめている仲間の様子などを紹介し、いま教育の現場に必要なのは、少人数学級の早期実施だと語りました。
新日本婦人の会兵庫県本部からは荻野潤子事務局次長がジェンダー平等の問題について訴え。日本は先進国で最低の状態で、あらゆる意思決定機関に女性の参加が少なすぎると指摘。子育て・仕事の両立が実現できない社会は女性の声が反映されないことが原因だと述べ、「コロナ前よりいい社会にしよう」を合言葉にアンケートに取り組み、SNSを活用した相談活動など実施、「生理の貧困をなくそう」と行政に働きかける運動を展開して生理用品の配布が実現していることなどを報告しました。
メーデー宣言を谷口利之代表委員が読み上げ、四方田文夫代表委員が閉会挨拶で、医療崩壊の状況は深刻な問題であり、インドで起こっている事と本質的には同じであり社会に発信していくことが重要だと指摘。オリンピックを強行しようとする菅政権を批判、国民のいのちと健康を守ることを第一とする政府、地方自治体を実現しようと呼びかけました。最後に団結ガンバローを唱和し、第九十二回メーデーを無事終えました。
〔岡崎史典=兵庫労連〕

(兵庫民報2021年5月16日付)

言論・報道の自由を守る市民の集い~朝日新聞阪神支局襲撃事件を忘れない~:表現の自由 その危機の時代を私たちはどう生きるか

平和と民主主義を進める西宮芦屋の会 上田 隆

「平和と民主主義を進める西宮・芦屋の会」は、三十四年前の「朝日新聞阪神支局襲撃事件」を契機に立ち上がった市民団体です。
一九八七年五月三日夜、朝日新聞阪神支局へ賊が押し入り、記者に向け散弾銃を放つという凶悪事件が発生しました。当時二十九歳だった小尻知博記者が死亡、犬飼兵衛記者は重傷を負いました。「新聞社を襲い記者を射殺する」という日本の言論史上でも例がない事件でした。「赤報隊」を名のる犯人は、それまでから朝日新聞の論調などを批判し、戦後の日本国憲法に基づく民主主義体制への敵意を示す犯行声明を発し続けていました。しかもこの犯人は逮捕されることなく、二〇〇三年に時効が成立しています。
私たちは、事件直後に犠牲者とご遺族に弔意を捧げるとともに、「暴力によって威圧し、言論の自由と国民の知る権利を奪い、国民の声を封じ込めようとする民主主義否定・憲法敵視の暴挙」と声明を発し、厳しく糾弾しました。同年六月十九日に、労働組合、市民団体など三十五団体四個人による実行委員会を結成し、「言論・報道の自由と民主主義を守る西宮・芦屋市民集会」を三百五十人の参加者で開催しました。そして、平和と民主主義に関わる問題に対して地域から声を上げていこうと、一九九三年「平和と民主主義を進める西宮・芦屋の会」を立ち上げ、事件発生から十八年たった二〇〇五年五月三日に「言論・報道の自由を守る市民の集い~朝日新聞阪神支局襲撃事件を忘れない~」を開催しました。そして二〇〇七年以降、最初のコロナ「緊急事態宣言」で中止を余儀なくされた昨年を除き毎年五月三日にこの集会を続けてきました。
今年は、オンライン配信と会場のハイブリッドでと計画を進めてきましたが、四月二十五日に兵庫県にも「緊急事態宣言」が発出されたため、オンライン配信のみで実施。神戸女学院大学准教授の景山佳代子さんが『表現の自由 その危機の時代をどう生きるか』をテーマに講演しました。

押し殺してきた声を「表現未満、」ととらえて

景山さんは、「朝日新聞阪神支局襲撃事件」のように銃口が向けられていないからといって、「表現の自由」は無傷なのだろうか、と問いかけ、「表現の自由」が侵害されているという「危機感」のなさの方がもっと危険なことではないかと問題提起しました。
その根底には、私たちが「表現の自由」を自明視し、それがなぜ重要なのか、どう保障されるべきかについてはほとんど考えない、一種の思考停止状態があるのではないかと指摘。原発問題のように、「当事者」や「専門的な知識があるもの」でなければ、議論に参加できないかのように思わされて沈黙していくことや、意味不明な校則でも、大人や教師がいうなら何も言わずに服従するよう訓育される子どもたちの状態をあげ、「表現の自由」を大切だと実感できないのは、私たちが表現への欲求を日常的に去勢され続けてきたからではないかと解明しました。
こうした現状の打開のため、景山さんは「表現未満、」というアイデアを提起しました。
「表現未満、」とは、「誰もが持っている自分を表す方法や本人が大切にしていることを、取るに足らないと一方的に判断しないで、この行為こそが文化創造の軸であるという考え方」(小松理虔『ただそこにいる人たち』現代書館)だと紹介。
例えば、子どもや知的障害をもった人がどうしてもしてしまう行為や発言、専門的な知識がなくても感じる漠然とした違和感や不安など、言葉では言いあらわせなくとも、一人ひとりの内から湧き上がってくる表現を「取るに足らない」と見るのではなく、その人ならでは「表現未満、」ととらえてはどうかと述べました。
そうすることで、これまでの社会の枠組みに適応しようと、じっと自分を押し殺してきた多くの人たちにとっても生きやすく、豊かな社会になるのではないか、と景山さんは展望を語りました。
*
日本国憲法には様々な基本的人権がうたわれています。「表現の自由」が、人間が人間たり得る基本的人権であること、それを私たちが本当に「大切」と思っているのか?……深く考えさせられる貴重な時間でした。

(兵庫民報2021年5月16日付)


神戸製鋼さん石炭火力発電所つくらないで――裁判日記(民事訴訟第11回)「CO2削減目標に照らせば稼働できない」

原告 近藤秀子


緊急事態宣言が発令された二日後の二十七日、神鋼石炭火力発電所建設差止を求める民事訴訟第十一回期日が開かれました。
裁判官が一部交代したそうで、原告弁護団からこれまでの経過をプレゼンテーションで説明。杉田弁護士から請求の構造や被告関西電力と被告神戸製鋼の関係等、金崎弁護士からPM2・5など大気汚染による権利侵害、和田弁護士から温暖化による権利侵害等、弁護団からそれぞれ説明があり、改めて経過を確認しました。
*
報告会は緊急事態宣言で予定していた会場は閉鎖、オンラインでの報告会でした。
神戸製鋼所の主張は①住民の権利は侵害されていない②CO2の排出と住民の被害に因果関係はない③国の言う通りにしているのだから何も悪くない、と言う身勝手なものです。
池田弁護士は地球を金魚鉢に例え、塩を毎日加えれば濃度が高くなり住めなくなってしまう、CO2も同様で、行き場が無くなり、取り返しがつかないと報告しました。
菅首相は二〇五〇年にはCO2排出実質ゼロを表明。国連のグテレス事務総長は、先進国で二〇三〇年までに、全ての国で二〇四〇年までに「石炭火力の廃止」、「どれほど遅くとも」排出は二〇四〇年にゼロになるように毎年直線的に削減されるべきで、加えてその発電所からの電力購入契約を結び共同排出の責任がある電力会社も発電通告量を減らすべきだと表明しています。
こうした目標に照らせば、とても稼働などできるものではありません。子どもたちのためにも三号機四号機の稼働を必ず止めるために力をお貸し下さい。
次回は七月十三日十時三十分神戸地裁です。
*
神戸製鋼所は緊急事態宣言の最中、しかも五日「こどもの日」に三号機の火入れを行いました。裁判で争われていることなどお構いなし、近隣の自治会にも連絡なく火入れを実行した事に怒り心頭です。

(兵庫民報2021年5月16日付)

神戸製鋼所石炭火力発電所3号機に火入れ:「考える会」が抗議


神戸製鋼所が建設中の石炭火力発電所三号機の「火入れ」を五月五日に行ったことについて、神戸の石炭火力発電を考える会は五月八日、神戸製鋼所、コベルコパワー神戸第二の各社長に抗議文を送付しました。
同会は、今回の三号機の火入れは発電所の営業運転開始に向けた事実上の「試運転」にほかなららず、大気汚染、気候変動の影響を懸念する市民の声を無視し、試運転を強行したことに強く抗議。建設及び稼働差止めを求めた裁判が係争中であり、試運転開始は市民の訴えに耳を傾けない極めて不当な行為だと指摘。新たな石炭火力発電所の稼働・建設は次世代が良好な大気環境、安定した気候のもとで平穏に暮らす権利を脅かし、企業の社会的責任を放棄した暴挙だとして即時、試運転を直ちに停止することを強く要求しています。

(兵庫民報2021年5月16日付)

大門みきし「知恵はアナログにあり」連載エッセイ62


コロナ感染が深刻化するなか、国会は感染対策に全力を集中すべきです。にもかかわらず、医療法改定案を含め悪法の審議が次々と進められています。特定商取引法改定案もその一つ。同法はマルチ商法などから消費者を守るための法律で、契約書は紙の書面で交付することが義務付けられてきました。ところが今回の改定案では、メールで送りつけた書面に承諾ボタンを押せば契約が成立したことにするというのです。ジャパンライフ事件ではたくさんのお年寄りが騙されましたが、契約書が紙であることで家族や友人などが契約に気づき、被害に歯止めをかけることができました。悪徳業者にデジタル化を許すなど、やくざに凶器を与えるようなものです。全国の消費者団体や弁護士会からも反対の声が上がっています。
三月三十日の参院財政金融委員会で、麻生太郎・副総理に見直しを求めたら「ご指摘はごもっとも。井上担当大臣に大門先生に相談するよう言っておいた」と答えました。共産党議員に相談しろと言われた井上大臣はさぞや困ったことでしょう。現在、野党は書面のデジタル化を削除する対案を共同で国会に提出しています。
何でもデジタル化すればいいというものではありません。私たちの住む現実世界は、質も量も温度もあるアナログの世界です。アナログの手間が掛かることのなかにこそ先人の知恵が蓄積されています。「あんたアナログ人間やなあ」とは、ばかにされているのではなく、褒め言葉なのです。
(日本共産党参議院議員)

(兵庫民報2021年5月16日付)

兵庫山河の会〈五月〉

吾知らずロシアンルーレットまわすよなこの世にありて見る花水木
 山下洋美

波の音をききつつはるかポルトガル鉄砲伝来門倉岬
 石井敏子

定位置は夫の右側補聴器をたよりてはじめるベンチの会話
 古賀悦子

バス待ちのすき間時間を埋めるべく瞑想しつつマクドのコーヒー
 古谷さだよ

戦没者弔慰金の申請しわずかにつなぐ父との絆
 鵜尾和代

我が歌が活字となりて変身す届いた歌集幾度も読み返し
 加藤やゑ子

ワクチンは早い者勝ちここにきて厳しき競争強いられるとは
 塩谷凉子

卯月とも思えぬ風のつめたさに生きる現世 as time goes by
 山下 勇

五月晴れ朝の空気を思い切り吸っていいのか緊急事態
 大中 肇

よく生きて帰国が出来た奇蹟だと伝染病はコレラにチフス(引き揚げの回想)
 西澤 愼

ビラないか地元安富撒きますと尋ねし君の熱意に惚れる
 岸本 守

(兵庫民報2021年5月16日付)


みんぽう川柳〈四月〉「締切」 選者 島村美津子

特 選

締め切った窓を開けば六甲の山
 尼崎市 富田 断

【評】神戸の住人にとっては北側の窓を開ければ目の前に六甲の山脈が現れる、テレビやスマホの無かった時代母は窓を開けて山を眺めながら今日は傘を持っていったほうがよいとかアドバイス、百パーセントに近い的中率だったことを懐かしく思い出す。
一句目のマツ子さんのユーモアあふれる句に思わず笑ってしまいました。

入 選

怠け者にいい薬だよ締切日
 神戸市 伊藤マツ子

締切がないコロナ禍に無為無策
 神戸市 長尾粛正

締切った部屋から手振るせつなさよ
 神戸市 小林尚子

面会は窓越しに会い目で話す
 明石市 上野景子

締切りにいつも言い訳用意して
 明石市 長井真理子

桜満開今日が締切雨が降る
 明石市 上河規江

クイズ応募締め切り間際葉書なし
 神戸市 眞鍋清子

申請書2円不足で間に合わず
 明石市 門脇潤二郎

締切日気にしていても過ぎてゆく
 神戸市 山本信行

〆切の〆漢字って知っていた?
 尼崎市 大野幸雄

秒針の音締切のプレッシャー
 神戸市 長沼幸正

締切りの五輪突破は見苦しい
 芦屋市 松田良介

コロナ禍で閉店締切り街寂れ
 神戸市 高馬士郎

はいおしまいおやつせんべい缶にフタ
 明石市 小西正剛

みんぽう川柳募集

▽五月の題は「洗濯」、締切は五月二十八日▽六月の題は「買い物」、締切は六月二十五日▽一人二句まで。葉書に作品二句と氏名・年齢・住所・電話番号を明記▽毎月第四金曜日必着(「消印有効」ではありません)。遅くとも火曜日には投函してください。それでも間に合わないことがあります。締切が迫っている場合に限りメール、ファクスでもけっこうです。ファクスの場合は、葉書大の枠を書き、その中に必要事項をすべて記入してください。切り揃えますので枠の外には何も書かないでください。

(兵庫民報2021年5月16日付)


瀬戸恵子「ひなたぽっころりん」〈682〉


(兵庫民報2021年5月16日付)

観感楽学


四月二十五日から三回目となる緊急事態宣言が発出されました。どうしても自宅で過ごすことも多くなり、買い物もネットで済ますことが、今まで以上に多くなったのではないでしょうか。支払いはクレジットカードで済ませ、商品も注文をしてから早ければ、次の日には届きます▼ただ支払いでクレジットカードを使うと個人情報の漏洩を心配したり、そもそも本当に商品が届くのかと心配する人もいるそうです▼そこで、今回はネットショッピングで少しでもトラブルにあわないようにちょっとした注意点を書いてみました▼①表示したサイトが情報を暗号化して送受信するようになっていること。アドレスバーにアドレスと一緒に鍵マークが表示されていれば暗号化されています。②表示したサイトの問い合わせやサポートにフリーメールが使われている場合は注意。③振込先口座の名義が企業名ではなく個人名の場合は注意。あまり知られていない銀行の口座なども注意。④他のサイトと比べ商品の値段があまりにも安い場合は注意。⑤表示したサイト名で口コミを検索する。詐欺被害にあったなどの書込みがないこと▼これで完璧だというものではありませんが、購入しようとしているサイトを表示したときに参考にしてもらえればと思います。(ふ)

(兵庫民報2021年5月16日付)