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2021年4月25日日曜日

兵庫県知事選に憲法県政の会から金田峰生さん:広く共同して、県民に優しい、温かい県政をつくる先頭に


憲法が輝く兵庫県政をつくる会(憲法県政の会)は七月一日告示・十八日投票の兵庫県知事選挙に日本共産党国会議員団兵庫事務所長の金田峰生さん(55)=写真=を無所属候補として擁立してたたかうことを四月十五日に発表しました。
同日、兵商連会館で行った記者会見での金田さんの決意表明を紹介します。

県知事選挙立候補表明にあたって

二〇二一年四月十五日 金田峰生

このたび、憲法が輝く兵庫県政をつくる会から県知事選挙に立候補することになりました、金田峰生です。よろしくお願いします。
本県は本当に多様で豊かな力をもった県です。けれども、その力や可能性が、そこで暮らす人々のために引き出せていないと思います。これを県民のみなさんのために引き出すことが必要だと思っています。
県はこの間、保健所を半分に減らし、公立・公的病院の統合再編も進めてきました。それで地域医療が脆弱になっています。新型コロナ感染症で六百八人(会見時)もの方が亡くなり、コロナ患者以外の方も、医療逼迫で受け入れ病院がなかなかみつからず、迅速な治療が受けられなかったという事態も起こりました。
人口減少も止まっていません。失業者数は増えています。
政治の転換が求められています。いま名乗りを上げている方々の掲げておられる政策、立場では、今日の事態を招いたこれまでの県政がそのまま続けられ、もっとひどい形で県民におしつけられてしまうと危惧します。
私はこの間、国政を変える立場で日本共産党員として活動してきました。国政を正すために市民と野党の共同・野党共闘の勝利をめざして仕事をしていましたが、先ほど述べた県政への思いというのも当然あって、このたび会の代表から要請があり、決意しました。私はこれから、会の候補者としてはもちろんですが、県民と野党の共同候補として、広く県民のみなさん、立憲野党のみなさんとも共同できる候補として、がんばります。
福祉を大切に、県民の命、健康、くらし最優先という地方自治体の役割を果たす、県民に優しい、温かい兵庫県政に転換するのか、政府と二人三脚で地方破壊・住民に負担を強いる冷たい兵庫県政を続けるのか、今回の知事選挙もそこが本当の争点です。
私は、優しく温かい県政をつくる先頭に立って知恵と力を尽くします。

重視したいと考えていること

公約・政策はさらにみなさんの声を聞いて、みなさんと一緒に早急に練り上げ、提案する予定ですが、現時点で重視したいと考えていることを、いくつか申し上げます。

コロナ対策

まずコロナ対策ですが、PCR検査を思い切って増やす、医療機関への十分な補償、中小事業者・労働者への補償に、思い切った予算措置を行います。これら、早くコロナを収束させるために必要な措置をしっかりとやってコロナ禍を乗り越えながら、新しい兵庫県政の姿をつくります。

地域医療・医療費助成

病院ベッドの削減ではなく、いつでも、どこでも、誰でも、必要な医療を受ける事ができる地域医療体制を構築します。
また、子どもの医療費窓口負担無料制度を抜本拡充し、高齢者医療費無料制度を復活させます。

経済・産業・雇用

経済・産業対策では、もっと中小事業者と地場産業を応援したいと考えています。
私は、経済というのは人々の生活を支え、より豊かにするためのものであるはずだと考えています。しかし今の政治は、経済のために人々の生活を犠牲にしています。コロナ禍にあって政府は「中小企業が多すぎる。半分くらいで良い」などと露骨なことを言いだしました。兵庫でいえば、二十一万事業所を十万事業所潰す、そこで雇用されている二百二万人はどうなりますか。地域はどうなるでしょうか。今の逆立ちした経済政策を転換します。
具体的には、中小事業所ならではの仕事づくり、雇用支援制度の創設を進めます。リフォーム助成事業はぜひ制度化したいと思っています。それから農林漁業応援に力を入れたいですし、ソーシャルワーカーへの正当な評価、賃下げなしの労働時間短縮など、ルールある経済社会に転換します。

税制・負担のありかた

地方自治法で、県の役割は住民の福祉の増進を図ることが基本だと定められているのですから、行革も福祉の増進を図ることを目的としなければなりません。「将来のため」などという脅し、ゴマカシはもうやめて、応能負担の原則に立ち返り、不公平税制の是正をはじめ、負担のありかたを見直します。歳入増を図るための積極的な財政支出を行います。

教育

教育分野では、三十五人学級を高校まで。高校・大学の授業料等負担軽減。特別支援学校のあるべき基準を設け、必要な拡充を進めたいと考えています。

ジェンダー平等

ジェンダー平等社会をめざし、県としてパートナーシップ条例の制定、夫婦別姓を認め、行政手続き等の改正を進める、「幹部職員の半数を女性に」を目標に、当面、四割をめざします。

平和への貢献

今、中国が危険な動きをしており、非常に憂慮しています。兵庫県は広東省、海南省と姉妹都市提携をしています。県庁所在地は国際都市・神戸です。そういう県として、平和の立場でできる国際的な貢献を展開したいとも考えています。アジアで非核「神戸方式」を広げる取り組みが進んでいるとのことですので、大いに力をあわせたいと思います。

環境問題

SDGs(持続可能な開発目標)に本気で挑戦する、環境問題について具体的な取り組みを進めることも、先駆的に取り組んでおられる方々に学び、県政に取り入れたいと考えています。



(兵庫民報2021年4月25日付)

シリーズ 憲法が輝く兵庫県政へ(28)「淡路から見た兵庫県政」淡路革新懇代表世話人 雨松康之


淡路島が抱える最大の困難は少子高齢化、そして人口減少といえます。
二〇二一年二月の淡路島の人口は十二万六千百十四人でこの一年間に千四百三十三人減少しました。一九五五年に約二十一万五千人だった淡路島の人口は、国立社会保障・人口問題研究所の推計値によれば二〇四〇年には九万人を切ると予想されています。少子高齢化対策が実施されたとしても長期間人口減少は続きます。よって、少子高齢化、人口減少の下でも、いかにしてより安全で豊かな生活を支える社会経済システムを構築できるかが淡路島の重要な課題となっています。
人口減少は「市民の足」を直撃しました。淡路市では二〇一九年に淡路交通が路線バスから完全撤退し淡路市がコミバスの運行によって市民の足を確保しています。次に予想されるのは大型スーパーの各市からの撤退です。そうなれば既に地元商店街は姿を消しており住民生活への影響は計り知れません。二〇四五年には島内の小学生は約三千四百人、中学生は約千八百人と予想されています。このままでは各市に小学校二校、中学校は一~二校となります。さらに、二〇四五年には九十歳以上が人口の七・七%(特に淡路市では女性の一二%が九十歳以上となる)、七十五歳以上が二九%まで高齢化が進みます。
政府は、「自治体戦略2040構想」等において人口減少に伴う危機を強調し市民の不安をあおり、公務員の半減、自治体民営化や公共サービスの産業化を推進し企業に利益確保の場を提供しようとしています。
兵庫県の淡路島に対する施策は、二本の柱から成っています。一つは「淡路環境みらい島構想」。もう一つは「淡路地域ビジョン」です。前者は国の総合特区の指定(二〇一一年)に、後者は「21世紀兵庫長期ビジョン」(二〇〇一年作成、二〇一一年改定)に基づくものです。一言で言えば前者は「先端技術が淡路島を救う」、後者は従来型の「地域開発が淡路島を救う」という内容となっています。前者は先端技術開発の実験場として企業に淡路島を提供するもので、後者は現在の淡路島の困難をもたらした政策の継続強化――その失敗は自明のことです。
淡路島の未来は「儲かること」ではなく「島民に必要なこと」を規準に施策を実施する。すなわち市場原理から脱却できるかどうかにかかっています。実施主体はコミバスのように自治体と市民の共同。もしスーパーが撤退すれば農漁協や生協等と市民の共同の力で販売所を。すなわち、憲法、とりわけ地方自治の精神に基づくアソシエーションの力と地域循環型経済が淡路島の未来を切り開いていくと考えられます。そうすれば人口減少、少子高齢化の下でも市民の手で豊かな暮らしを維持することは可能です。

(兵庫民報2021年4月25日付)

兵庫県自治体問題研究所総会:「公衆衛生充実へ要求と世論を」――高鳥毛関大教授が記念講演


兵庫県自治体問題研究所は四月十七日、神戸市内で定期総会と記念講演会を開催し、約五十人が参加しました。
記念講演は、高鳥毛敏雄・関西大学社会安全学部教授(公衆衛生学)が、「コロナ禍を通して問われた日本の公衆衛生と地方自治」と題して行いました。(写真)
日本の公衆衛生制度は、日本国憲法第二十五条に公衆衛生が謳われてから確立した訳ではなく、明治期からヨーロッパなどに学んだ先人の努力により構想、実施されてきたと紹介。
戦後、日本国憲法で地方自治が規定されたことにより、住民の生命や健康に自治体が対応することになったが、そのことに本格的に気付いたのは二十世紀後半のことであったと指摘しました。
病院は病気になった人を治療するが、感染症対策をするところではなく、感染症の根本を抑えるところでもない。病院を作るだけではだめで、よい環境(空気、水、食事、労働など)を整えることが国民の衛生を確保するのであり、自治体(保健所)や国を始め、個人、企業など多くの関係者の行動が重要と強調しました。
「地域保健法」(一九九七年)が制定されるなど近年、市町村の役割が増し、老人、母子、子育て、障害者、がん検診など、医療、保健、介護をバランスよく担うことが時代の課題となっているが、そこで問われるのは、首長や議員の力量であり、それを支える住民の力であると指摘。
県保健所の保健師は減少しているが、政令市・中核市保健所の保健師は維持、増員されており、保健師制度は定着しているが今後、公衆衛生のために保健所、保健師がどうあるべきかの議論が必要としました。
最後に、医療には国民の強い要求があるが、公衆衛生に対する要求は弱く、人員、予算も付かない、国民の要求、世論が重要としました。
〔岡田裕行=同研究所事務局長〕

(兵庫民報2021年4月25日付)

コロナ対策拡充を:日本共産党が県・市に申し入れ:淡路地区委員会と議員団


日本共産党淡路地区委員会と淡路地区議員団は四月十六日、井戸敏三兵庫県知事と亀井浩之淡路県民局長へ、新型コロナ感染症対策での第四次申し入れを行い、①県としてワクチン接種事業へのバックアップを行うこと、②感染者への医療提供を確実に行うこと、③PCR検査のモニタリング検査を行い、高齢者施設や医療施設、障がい者施設で定期的な検査を行えるよう支援をすること、④県独自の経済対策をすすめることなどを求めました。
亀井県民局長らは、ワクチン接種は予定どおりいかないことも考えられるが、市への財政負担にならないようにするとともに、医師や病院スタッフと協力をして進めていきたいと述べました。また感染者の自宅療養は現在ないことや、軽症者については宿泊療養を中心に進めていき、家庭の事情で自宅療養が必要な場合にも、相談や訪問等でフォローしていくと述べました。
党議員から、広島県で実施しているようなモニタリング事業などPCR検査の拡充を求めたことに対しては、亀井氏は「幅広く、できるだけやっている」「(陽性の)疑いのあるものは全部やる」と語りました。また一年前と比べて保健所の体制は二名増員されたことが紹介されました。
党議員らは、いまだに、感染防止協力金の一期分が営業時間短縮している飲食店に支払われてないこと、「第二弾がんばるお店・お宿応援事業補助金」については、設備や備品の領収書添付が必要で、資金がなく申請すらできない現状を訴えました。
〔岡田のりお〕

写真:(左から)大山善民党地区委員長、片岡ただし・近藤あきふみ・まもり和生洲本市議、岡田のりお党淡路市地域くらし対策部長、えびす智彦南あわじ市議、亀井浩之淡路県民局長、・吉田よし子南あわじ市議、かまづか聡淡路市議

(兵庫民報2021年4月25日付)

コロナ対策拡充を:日本共産党が県・市に申し入れ:姫路市議団


日本共産党姫路市議団は四月十六日、清元秀泰市長に対して、四月五日付厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部の事務連絡に基づき、対応することを求めました。厚労省の事務連絡は、日本共産党が一貫して求めてきた、高齢者施設等の従業員等に対するPCR検査の頻回実施を要請するものです。
現在、姫路市では、新規の入所者や新たな従業員に対しては、PCR検査を実施しています。しかし、三月以降の陽性者のうち、六五%が英国型の変異ウイルスに感染していたことが明かになり、病床が逼迫しています。そのために、原則六十五歳未満の患者は自宅療養となっています。
こうした状況を踏まえ、事務連絡に基づき、市の責任で高齢者施設等の検査の集中的実施を行うこと。あわせて国に対して、コロナ封じ込めのため大規模なPCR検査を実施するよう求めました。
〔谷川まゆみ=姫路市議〕
 
写真:申し入れる(右から)谷川まゆみ、森ゆきこ、苦瓜かずしげ、村原もりやす各市議

(兵庫民報2021年4月25日付)

民青同盟東灘・灘・中央地区が学生フードバンク:ひきつづき食料の寄付・募金を呼びかけ


民青同盟東灘・灘・中央地区のA大班は四月十三日、昨年から取り組んでいる学生食料支援「学生フードバンク」を大学近くの施設を借りて開催しました。学生十九人が利用し、うち十四人が一、二年生でした。一人がボランティア登録をしました。
利用した学生からコロナ禍のもとでの窮状が語られました。
コロナで塾講師のアルバイト先が休業となり新聞配達のアルバイトを始めた三年生は「奨学金も借りている。休みは月一回の休刊日のみ。毎朝二時に起き、チラシ配りのバイトもして、仮眠できずに学校に行くこともある。授業中眠たくなる」と話します。
新一年生は「下宿生活や人間関係など新しい環境でストレスが多く疲れる。またオンライン授業になってしまう」と語りました。
会場には学生生活の相談やコロナ禍での実態調査アンケートコーナーも設けました。奨学金の返済や日本の高学費の異常さなど、学生同盟員が親身になって話を聞き対応していました。
相談コーナーでは社会や政治への興味・関心についても話題になり、ジェンダーについて興味があると話す新一年生は「一人称を名乗るときに〝オレ〟を使うのに抵抗がある。それを周りに言うと、LGBTかと言われて、なんだかなと思う」と打ち明け、同じ学問分野に所属する学生同盟員は「いい学部を選んだと思う。ジェンダーや人権問題を学ぶにはぴったりだよ」と励ましました。
今回の取り組みで米以外の食料はすべてなくなりました。A大班は五月にも引き続き取り組もうと相談しています。
民青同盟は「学生食料支援は食料・物資の寄付や募金によって支えられています。温かいご支援を引き続きお願いします」と呼びかけています。〔伊木さち〕

(兵庫民報2021年4月25日付)

民主主義の日本めざして――「川崎・三菱大争議」100年:第十六回 エピローグ――『川崎・三菱大争議』から百周年の二〇二一年を「日本の歴史に刻む年」に

岡 正信(治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟兵庫県本部会長)


(一)日本共産党神戸細胞の結成(一九二六年一月)とその意義

一九二二年七月十五日に科学的社会主義の革命政党、日本共産党が誕生した。一九二三年二月に第二回党大会、同三月臨時党大会では、革命の戦略論は議論を持ち越し、「当面の要求」として「天皇制廃止」をはじめ二十二項目を確認した。同年六月、第一次共産党弾圧事件に続き、九月の関東大震災の混乱のなかで川合義虎等の虐殺(亀戸事件)、大杉栄虐殺などの白色テロに直面し、中心的幹部に怯えがおこり、一九二四年二月~三月頃、正規の場でない会議で解党の申し合わせが行われた。その際、将来の党再建を考え、少人数の委員会(ビューロー)を残した。再建活動が始まる一九二四年から一九二五年の時期は、二五年五月に日本労働組合評議会が神戸で結成、政治戦線では普選法成立にむけて合法的な無産政党づくりなど、民主運動の大きな前進の中、田中松次郎(海員刷新会)を責任者に、板野勝次(労働組合評議会神戸地方評議会)、板野琢磨(同)、三宅右市(神戸サラリーマン・ユニオン)、藤田鶴夫(同・画家)の五人が一九二六年一月に日本共産党神戸細胞を結成した。日本共産党再建の大会、第三回大会は同年十二月、党再建の途上の結成であった。一方、天皇制国家権力の側は、再建された共産党に対して、計画的な大弾圧で壊滅させる作戦を用意、その最大の武器が、一九二五年に普通選挙法と抱き合わせの形で成立させた「治安維持法」だった。党再建後、兵庫では一九二七年の第一回普選実施による県議選で、労働農民党から立候補した長尾有(三原郡)が全国初議席を獲得した。
「二七年テーゼ」にもとづく闘いのなか、一九二八年神戸地方委員会を結成(委員長板野勝次)、「赤旗」「無産者新聞」の配布、拡大を通じて、党勢拡大に努め、職場党組織、海上党組織、農村党組織を確立、第一回普選・総選挙を闘った直後、一九二八年三月十五日(三・一五事件)、二九年四月十六日(四・一六事件)の全国的大弾圧を受けた。
一九三一年九月満州事変、本格的な侵略戦争が開始されるなか、「三二年テーゼ」は、戦争と平和の問題からも、天皇制国家権力との闘争と民主主義革命の重要性が正面に押し出され、日本社会の各分野に党建設の努力をすすめ、姫路師団の軍隊内にも組織をつくった。繰り返される弾圧に対して再建の闘いを続けたが、一九四〇年、岸本茂雄らの検挙により組織を破壊された。戦後の一九四五年十月、党兵庫地方委員会が再建された。
戦前の日本共産党の歴史は、強大な天皇制国家に立ち向かい、野蛮な権力に正面から対峙しながら、短期間に急成長し、影響力を広げた。日本社会の歴史のなかで、日本共産党の戦前史は、この社会に、民主主義と平和の旗を堅持した社会進歩の流れがあったことを示す意義があり、戦後の日本共産党の存在と活動も、理論的、政治的に戦前の闘争の成果の上にたっている。

(二)「川崎・三菱大争議」から百年、二〇二一年を「日本の歴史に刻む年」に

菅政権の特徴は、コロナ対策の無為無策に見られる政権担当能力の欠如、前政権以来の強権政治、政治モラルの退廃に現れている。最も深刻なのは国民の命を軽んじて恥じないウルトラ右翼政党としての自民党の根深い体質である。それは「治安維持法体制」のもとでの二千万人のアジア諸国民と三百万人の国民の生命を奪ったアジア・太平洋戦争への無反省であり、今日では沖縄戦の犠牲者の遺骨がいまなお眠る土砂を辺野古基地埋め立てに使用しようとする暴挙に現れている。
菅政権を倒し、コロナ危機で明らかになった日本社会の欠陥をただす道に進むために、「市民と野党の共闘」を発展させ、政権交代を実現し、「野党連合政権」を樹立しよう。一九二一年「川崎・三菱大争議」は「民主主義の日本めざす」への「源流」となった。それから百年、二〇二一年を「アジアと日本の平和と個人の尊厳を破壊した治安維持法体制に決着」をつけ、「日本の歴史に刻む年」にしよう。
(連載終わり)


写真:『労働争議示威行動写真絵葉書』(川崎三菱大争議五十周年記念実行委員会、一九七一年復刻) から川崎造船所前を通過するデモ

(兵庫民報2021年4月25日付)

ジェンダーわたしの視点「すべての女性のためのフェミニズム」日本民主青年同盟兵庫県委員 横山絵里


「すべての女性が輝く社会づくり」というスローガンを安倍内閣が掲げていたことは、まだ記憶に新しいです。そこだけならフェミニズムに親和的にも聞こえます。その内容を見ると、
  • 女性の就業率を高くすること
  • 女性のリーダーを三〇%まで増やすこと
主にこの二つを目標にしていたようです。女性の就業率は確かに上昇したようです。しかし内実はその半数が非正規という低賃金で、不安定な働き方をせざるを得なくなっているというのが現状です。女性のリーダーも増えてはいるものの、目標には遠い状態です。
そもそも〝輝く〟とはどういうことなのでしょう。
かつて私も、社会に出てばりばりと働くことこそが〝男女平等〟であり〝輝く〟ことだと考えていました。そのために大学も、就職に有利だと思い理系の学部を選びました。しかし精神的な不調から中退して実家に戻り、たまたま実家がお寺だったので、お寺の仕事やバイトなどをしながら細々と働いています。目指していたものとはまるで違う自分に落ち込み、自信のなくなった時期もあります。こんなことを考えるのは変かもしれませんが、フェミニズムに対しては後ろめたいような気持ちを抱いていました。フェミニズムとは、女性であるというだけで能力が正当に評価されない優秀な女性のためにあり、評価の不当性に対しては怒りがわくものの、土俵にすら上れなかった自分は怒る資格などないと思いました。
しかしフェミニズムについて学んでいくうち、それは誤解だったとわかってきました。世の中には自覚していた以上に差別がありました。知らず知らずのうちに、私自身、加担していたこともあったと気付きました。どんな立場であっても、これまで間違っていても挫折していてもおかしいことには声を出していいし、出すべきだと思えるようになりました。そして現在、私はマルクス主義フェミニストだとはっきり主張することができます。
多くの女性が経済的な自立が難しい状態にあります。家庭内の家事、育児、介護などの仕事を無償労働で支えている、または支えることを期待されていることが原因です。しかし、社会に出てお金を稼ぐことだけを〝輝く〟手段にさせてはいけません。それは女性同士の競争を激化させ、分断させる道でしかありません。それでも資本主義社会であるかぎり、より多くのお金を稼がなければ評価されず、社会から周縁化されてしまいます。であれば、「すべての女性が輝く社会」というのは資本主義の先にあるのではないでしょうか。

(兵庫民報2021年4月25日付)

原発なくす会“恒常講座”:CO2排出源の40%超は発電部門


原発をなくし自然エネルギーを推進する兵庫の会(原発なくす会)は、「原発問題や自然エネルギー発展のもよう」をやさしく勉強する〝恒常講座〟の第十五回目を四月八日、神戸市勤労会館で行いました。
今回のテーマは「地球温暖化と第六次エネルギー計画」。講師はNPO法人気候ネットワーク研究員山本元さんでした。コロナ蔓延のため急遽、講師は自宅からのリモート出演とし、会場で二十一人が視聴。大型スクリーンに多くの画像・データが示され充実した学習会となりました。
山本さんは、温室効果ガスのうちCO2排出量の四〇%超が発電部門から出されていることをグラフで示し、この発生源で削減させることが最優先政策だと強調しました。
山本さんは、菅政権の「二〇五〇年温暖ガスゼロ・カーボンニュートラル」発言で再エネ増大は当然としても、「安全優先で原発推進」「石炭火力は新鋭化で拡大」「水素・アンモニアの発電を」などについて、安倍政権以来の「成長戦略会議・有識者会議による議論」の行方に問題があると批判しました。
気候変動については、今のままでは二〇三〇年~二〇五二年に一・五度に到達し悲惨な結果となること、グテーレス国連事務総長も二〇三〇年までの取り組みが重要で特に「石炭火力発電は二〇二〇年でにやめよ」と訴え、「いまの五倍の努力が必要」と強調していることを紹介しました。
日本の第五次エネ計画は安倍政権当時のまま、原発二二%・石炭火力発電推進拡大。山本さんは、「真っ当な温暖化防止対策をなんとして行わなければ、スウェーデンのグレタさんが言うように〝次世代が悲劇的〟となる。私たちはとりわけ二〇三〇年に排出量六〇%削減へ全力あげるべきだ」と強調しました。
また、神戸市がオーストラリアから低価格の褐炭による水素を輸入し、これが「カーボンフリー」だと称していることは問題ではないかと指摘しました。
神鋼石炭火力発電所については、石炭火力発電建設時にPM2.5発生への評価がなされていないと指摘し、「CO2+PM2.5」のセットで削減にする必要があると述べました。
*
次回第十六回は「第六次エネルギー基本計画と原発ゼロ基本法」をテーマに七月八日(木)十八時~二十時、神戸市勤労会館三〇八号室で開催予定です。
〔速水二郎〕

(兵庫民報2021年4月25日付)

民青同盟兵庫県委員会がオンライン企画:私たちの願いと、政治――山添参院議員と語り合う

山添拓参院議員

民青兵庫県委員会は総選挙に向けて、若者と政治をつなぐ企画「私たちの願いと、政治」を四月十八日、オンラインで開催しました。講師には参議院議員の山添拓さんを招きました。
冒頭、同盟員が青年の実態を報告しました。
食料支援にとりくんできた学生同盟員は「食料支援を利用した学生からは、①オンライン授業への不満②コミュニケーションの減少③アルバイトの収入減で生活が大変―という大きく三つの要望が寄せられる」「以前は夜十時、十一時まで働いていたが、時短営業によって稼げなくなったという人も多い。生活費を切り詰め、食費は平均月二、三万円で、一食に換算すると二、三百円。朝食を抜き、昼夜は学食で三百円のものを食べて早く寝て済ませている学生もいる」「給付金の支給と学費の値下げを求めていきたい。政府は学生の声をもっと聞いてほしい」と語りました。
労働者の同盟員は「私自身は映画館や劇場やライブハウスなど、文化・芸術にこれまで助けられ、生かされてきた。それがコロナ禍で〝不要不急〟のものという扱いを受けた。クラウドファンディングに協力はしたが、対処療法的で、文化自体を支えるものとしたら弱いなと感じていた。文化・芸術の土壌をこれからどう根付かせていくか考えないといけないと感じている」と思いを話しました。
山添さんは、コロナ対策について、日本共産党が検査の拡大や医療体制の確保など三つの要望を政府に届け迫っていることを紹介。
自らも学生・食料支援に参加していることに触れ、「食料を支援しないといけない状況があること自体が異常で、健康で文化的な生活が保障できていない」と語り、学生生活を守るために給付金の支給と学費の半額が大事で、野党が協力して訴えていることを報告しました。
文化・芸術分野への支援については、ヨーロッパの国ではすぐに文化・芸術分野への補償が行われたのに対し、日本はそもそも産業として把握されていないため使い勝手の悪い支援方法となってしまっていると指摘しました。
学生への支援も文化・芸術への支援も国民が声を上げたからこそ政策を改善させられたと強調し、今の政府にこのままゆだねるわけにはいかない、今年の総選挙では共産党の躍進で野党政権を実現させ本気で勝たなくてはいけないと力を込めました。
企画の後半は一問一答形式で、「実態をどのように政策や国会質問に反映させているのか」「教育や保育にまわせないくらい軍事費は必要なのか」「韓国は最賃の引き上げで会社が雇えなくなったとあったが、日本ではどうか」「安倍さんに国会でのうその答弁についてどう説明させるか」など様々な質問に山添さんが答えました。
山添さんは最後に若者へのメッセージとして「食料支援や相談活動に来ている人たちは今の社会で困難を抱えている人で、将来的には潜在的な仲間。本来、活動は、今より社会が良くなるわけだから、楽しいもの。仲間を広げて取りくもう」とエールを送りました。
〔伊木さち〕

(兵庫民報2021年4月25日付)

清水ただし「大阪でのコロナ蔓延を教訓に」国会レポート 9


大阪府では連日千人を超える新型コロナウイルスの新規感染者が発表されています。重症者の数が病床の数を上回る状況がうまれており、医療提供体制崩壊の危機にさらされています。保健所の機能も逼迫し、陽性と認定された人がホテル療養もできず、長期にわたって自宅待機を余儀なくされる事態となっています。このままでは救える命も失われてしまいます。
四月十六日、山下よしき党副委員長・参院議員とともに厚生労働省に対して①社会的PCR検査の拡大、②全国から医療スタッフの大阪府への派遣の二点を要請しました。その上で、なぜ大阪では、「まん延」を「防止」できなかったのか、分析する必要があると申し入れました。確かにイギリス由来の変異株は感染力が従来のウイルスよりも強いと言われています。しかし、それだけで東京都を超える感染者数を説明することはできません。緊急事態宣言を解除した時期は適切だったのか、PCR検査数は増えたのかなどについて検証し、今後近畿全般や全国の感染拡大を防止する上で大事な教訓とすることが不可欠です。
住吉市民病院をつぶし、保健師の数を減らすなどしてきた維新政治の責任も重大です。ようやく吉村知事のコロナ対策について批判を加えるメディアも出てきました。この時期、不必要な「広域行政一元化条例」の可決を強行するなど、コロナ対策に集中する姿勢も見えませんでした。まさしく、大阪におけるコロナまん延は維新政治による災害と言えるでしょう。
当面、全国的に厳しい自粛が強いられることになると思われます。国民生活を守るためにがんばります。
(日本共産党衆院議員)

(兵庫民報2021年4月25日付)

神戸演劇鑑賞会5月例会:トム・プロジェクトプロデュース『Sing_a_Song』

なまの舞台をごいっしょに


五月の舞台は、戦時下、ひとりの歌女・三上あい子が軍の規則を知りながら、自分の信念を曲げず、自分のスタイルで、自分の歌を唄い通した姿を描いた物語です。そのインパクトある台詞と共にあい子の生きる姿が強烈に響いてきます。
昭和十五年(一九四〇)秋。ひとりの歌手・三上あい子が、マネージャの成田と共に、憲兵本部へ呼ばれた。
憲兵中佐・葛西は、あい子に厳しく注意をする。着飾ったステージ衣装で唄うことの禁止。敵性の音楽ジャズ等を唄うことの禁止を。その上で「皇軍慰問」の命令を下した。断ると国家総動員法により〝逮捕監禁〟する。あい子もすぐさま「出演料は無料」でと、やり返した。こうして、慰問の旅が始まった。
インドシナ、セレベス島のマッサル飛行場、鹿児島の飛行基地。どの慰問先でも、あい子の歌は兵士たちの心を慰めた。中でも、鹿児島の飛行隊基地での出撃前の特攻隊の若者を前にして唄うあい子の姿は哀惜に満ちた感動の場面になっている。
そして、昭和二十年(一九四五)八月…。
あい子のモデルは、ブルースの女王としてその名を馳せた淡谷のり子さんです。
〔小谷博子〕

トム・プロジェクト プロデュース『Sing a Song』(シングァソング)

作=古川健 演出=日澤雄介 出演=戸田恵子、大和田獏、岡本篤 ほか/①5月18日(火)18時30分②5月19日(水)13時30分③5月20日(木)13時30分/神戸文化ホール中ホール/会員制(入会時に入会金1,000円と月会費2カ月前納)、月会費3,500円(大学生2,000円、中高500円)/Tel. 078-222-8651、Fax078-222-8653

(兵庫民報2021年4月25日付)

瀬戸恵子「ひなたぽっころりん」〈681〉


(兵庫民報2021年4月25日付)

観感楽学「合羽と団扇」


新型コロナに関する緊急事態宣言に伴う時短要請で飲食店には協力金が支給される。しかし一月からの再発令に伴う支給状況には自治体によって大きな差があることが毎日新聞の調査でわかった。申請件数に対する支給率が福岡県では百%なのに東京・大阪では二〇%台▼兵庫県も五八%と低いが、福岡とほぼ同じ申請件数だから件数の多さが問題なのではない。支給率八三%の埼玉県では最初の緊急事態発令で支給を受けた事業者には申請手続きを大幅に簡便にしたとのこと▼さて七月の兵庫県知事選。自民党県議団の分裂、共産除くオール与党体制の動揺で「駆け引き先行見えぬ政策(神戸新聞)」といわれるなか「憲法県政の会」から金田峰生さんが立候補。コロナ危機のもと県民にやさしい県政としてPCR検査の抜本拡充・医療機関補償・業者労働者支援を実現すると力強く決意表明▼カッパやイソジンで府民を惑わした大阪府知事。東京での感染急増は他県から持ち込まれたといわんばかりの「東京へ来ないで」発言の都知事。そして七百万円の県費を投入して「会食用うちわ」を配ろうとした兵庫県知事。この都府県において時短協力金の支給率が低いことは偶然ではない。掛け値なしの「いのちをまもる」県知事選挙を県民共同のたたかいで。(T)

(兵庫民報2021年4月25日付)