九日、健康福祉部局では、入江委員は、地域医療構想について質疑を行いました。厚生労働省が、「二〇二二年度中を目途に地域医療構想の実現に向けた地域の議論を進めることが重要」と提起していることに対し、入江議員は、「地域医療構想の推進は、新型コロナ感染症医療を踏まえない五疾病五事業や在宅医療連携体制を推進するための第七次計画に基づいているが、コロナで状況が変わったいま、現行の計画ではなく、新型感染症対策が盛り込まれる二〇二四年度からの新しい第八次医療計画のもとで、地域医療についてあらためて議論すべきではないか」とただしました。
しかし、答弁で県当局は「地域医療構想は、限られた医療資源を有効に活用するために、関係者の合意のもとすすめられるもので、新型コロナウイルス感染症に対しても、それぞれの圏域において、ふさわしく議論がなされるもの」とし、従来の姿勢からかわらない答弁を繰り返しました。
また新型コロナウイルスによる患者数減から、大幅な赤字になるとし、「広域的な再編・ネットワークも視野に入れ、集約化による拠点づくりについて神戸市と協議しながら今後の対応を検討する」と発表した済生会兵庫県病院と三田市民病院の統合再編に向けた計画について、入江議員は「感染症パンデミック対策が全く地域の医療需要予測に反映されていないもとでのダウンサイジング・病院統廃合計画は、白紙に戻すことを県として済生会兵庫病院、神戸市に求めるべきだ」とただしました。
当局は、「円滑に検討されるよう支えていく」とするのみで、再編統廃合も視野に入れた検討を容認する姿勢を示しました。
産業労働部
十日、入江議員は、産業労働部審査では、労働委員会の労働者委員の構成などについて質疑しました。入江議員が、労働委員会の労働者委員と使用者委員についての現在の男女構成と過去の男女構成について確認したのに対し、県当局は、「性別が示されるようになった平成五年から、すべて男性である」と答弁。
入江議員は、連合兵庫も「男女平等で多様性を認め合う社会を」と掲げていることに言及。ジェンダー平等の観点から、労働委員会の使用者側委員、労働者側委員に女性を選任するよう、委員会にはたらきかけるべきだと主張しました。
当局は、「男女共同参画推進計画が改定されるなかで、企業も組合も、ジェンダー平等の視点をとりいれ、ふさわしい対応になるだろう」との答弁にとどまりました。
入江議員は、さらに多様性の尊重というなかで、労働者委員が連合系組合からの選任が独占していることにふれ、「多様性というならば、連合系以外の組合からの選任も検討すべきだ」と主張。当局は「総合的な判断がなされている」と答弁するのみでした。
農政環境部
十一日、入江議員は、農政環境部審査で、地元住民の生活への影響が懸念され大きな不安がひろがっている上郡町・赤穂市での産業廃棄物最終処分場建設計画について質疑を行いました。
入江議員は、まず事業者が、事前協議書において提出している処分場からの放流水の千種川への影響についてただしました。
入江議員は、事業者が、処分場からの放流水について、千種川の河川流量に対し、希釈倍率千六百倍となり影響はないとしているが、記録のある一九八八年以降の河川流量が低い時では希釈倍率が二十八倍にしかならないと暴露。影響はないとする事業者に対し、「事業者は、千種川での検証はもう必要ないとしているが、千種側も含めた再検証が必要ではないか」とただすと、当局は「おっしゃる通り。事業者において再度検証を行わせ、必要となれば、千種川での再度の測定などを行わせる」と答弁しました。
また入江議員は、林地開発許可を行う場合、地元地域を流れる安室川の漁業者や水利権者に影響があると認められれば同意が必要ではないかとただすと、「一般論として、漁業者、水利権所の同意が必要」と当局は答弁。そのことも事業者に徹底することを求めました。
入江議員は、「地元では大きな不安がひろがっている。地元の不安が取り除かれない限り、事業をすすめさせるべきではない」と述べ、答弁を求めました。県環境部長は、「法令にもとづいて、厳正に審査・対処していく」と述べました。
(兵庫民報2021年3月21日付)