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2021年3月7日日曜日

兵庫県議会でいそみ恵子議員が一般質問:コロナ対策、防災・減災にこそ予算を


いそみ恵子県議は、三月二日の兵庫県議会本会議で日本共産党を代表して一般質問にたちました。
いそみ議員は、新型コロナウイルス感染症対策について検査・保健所体制の強化、病院への財政支援等を質問。検査については、緊急事態宣言解除後、もっとも大切なのは、無症状者に焦点を合わせた検査をやることだなどの専門家の指摘を紹介しながら、医療・高齢者施設等での職員・入所者らへの一斉・定期的検査を行うことを求めました。
保健所体制の強化については、国が、世論にもおされて地方財政計画で感染症対応保健師の一・五倍化、感染症対応以外の保健師の増員も措置しています。しかし来年度の県の保健師の増員数は七人にとどまり、国の示す増員数にいたっていません。いそみ議員は逼迫する業務に対応できるようさらなる保健師の増員を行うことを要請。保健所体制の強化とともに芦屋保健所廃止の撤回を求めました。
いそみ議員は、クラスターが発生した病院の多くで感染患者が転院できず、保健所の指示により空床・休止病床が生み出され、莫大な損失を負ったことを告発。苦境に陥っているコロナ受け入れ病院、非受け入れ病院も含め、財政支援を強化すること、クラスター対応の病院に対しては、病院全体への空床補償を行うことを求めました。
これに対し井戸敏三知事は「現在行っている高齢者施設等の集中検査をふまえ、対象業種や対象地域の拡大を検討する。国と協力して繁華街でのモニタリング調査を実施したい」と答弁。またクラスター発生の病院への対応として、県当局は、要件を満たしていれば「患者発生病棟だけでなく、全体の空床補償を行う」と答弁しました。
業者支援について、いそみ議員は、飲食店に限らず影響を受けるすべての中小、小規模事業者に対し、県独自の支援制度をもうけて事業者支援を行うこと、飲食店に支給される時短要請協力金については、事業規模による額とし、定休日も含め全期間の支給とし、早急に事業者に届けることを求めました。
いそみ議員は、国が小学校すべての学年での三十五人少人数学級制に踏み出したことをうけて、兵庫県としてすでに四年生まで実現している少人数学級を、ただちに小学校五、六年生、中学全学年に拡充するべきだと主張。来年度予算案で予定されている教職員の削減をやめ、教員をふやして、少人数学級を実現するよう要請しました。
いそみ議員は、地元の武庫川の河川整備計画について質問。目標流量を一日も早く確保し、堤防の補強と、河川対策では地下水の塩水化対策と合わせて潮止堰を撤去することを要望。河床掘削と阪神武庫川駅橋脚の補強を早急に行い、下流域を豪雨災害から守ることを求めました。
名神湾岸連絡線について、いそみ議員は、住民から「広範囲に立ち退きになる」「橋脚によってコミュニティが分断される」「酒蔵への影響もある」など、さまざまな不安や懸念の声があることを紹介。
コロナ禍のもと、優先させるべき新型コロナウイルス感染症対策、武庫川の河川改修など防災・減災対策にこそ予算を振り向けるべきであり、住民合意が得られていない名神湾岸連絡線計画の中止を国に求めるべきだと訴えました。

(兵庫民報2021年3月7日付)

兵庫県コロナ対策緊急経済補正予算案:検査対象施設・地域拡大を:ねりき議員が質疑


ねりき恵子議員は二月十七日の兵庫県議会本会議で、新型コロナウイルス感染症対策の緊急経済補正予算案について日本共産党を代表して質疑を行いました。
二月十五日に県が発表した高齢者入所施設などの従事者に対するPCR検査実施について、ねりき議員は「検査は一回のみで、赤穂、豊岡、朝来、丹波保健所管内は外すなど、対象を絞っているもので全く不十分」と指摘し、高齢者・介護施設はもとより医療機関、障害者施設等社会福祉施設などの従事者、入所者、入院者すべてに一斉・定期的検査を行うよう求めました。
答弁で井戸敏三知事は、「必要に応じて、対象施設や対象地域の拡大は検討する」としました。
中小零細事業者への支援強化について、ねりき議員は、取り扱い高が前年比一六%、営業収入が前年比三一%というある旅行業者の実態を示し、「業種を限らず損失補塡としての補償を実情に応じて支給すること、持続化給付金や家賃支援給付金などの第二弾を実施すること」などを求めました。
飲食店への時短要請協力金については、定休日を含めること、速やかに支給することを重ねて要望。県担当者は、「時短要請協力金はできるだけ急いで支給できるようにしたい。持続化給付金の第二弾支給などについては国に要望する」と答えました。
ねりき議員は、アルバイト収入が激減し、学費支払いや生活に支障をきたしている学生に対して、学生支援緊急給付金の要件緩和や県独自に学生の支援を行ううことを要請。答弁にたった県当局は、「国に対し、修学支援制度や学生支援緊急給付金の要件緩和など活用しやすい制度にするよう求める」としました。

(兵庫民報2021年3月7日付)

米軍オスプレイ兵庫県内も連日飛行か:2月18~20日:『滋賀民報』が大津で確認


週刊『滋賀民報二月二十八日付は(要約すると)、
同月十八日十七時一分、同紙記者が大津市上空を飛行するオスプレイを確認。航空レーダーサイト(https://www.radarbox.com/)や各地の住民団体の監視情報から米軍横田基地(東京)から岩国基地(広島)へ向かうCV―22オスプレイだと判明。その後、十九日十一時三十分西進、二十日十時十二分西進、同日十七時九分、十四分ともに東進と、三日間で五回の飛行を大津市で確認した。
――と報じています(https://shigaminpo.com/BN/20210228.shtml)。



同紙が掲載した二十日十七時台のレーダーサイトの元画面には、姫路市の海岸線を東進、加古川河口から三木、三田、猪名川を通過していくオスプレイの航跡も示されています。このコースは、二〇一九年四月に三田市(兵庫民報2019年4月21日付)、同七月に加古川市、二〇年二月に小野市(2020年3月8日付)―での目撃情報に沿っています。
 
一方、二〇一九年四月、米軍オスプレイが大阪国際空港(伊丹空港)へ緊急着陸をしたことを機に(参考:兵庫民報2019年4月14日付)、兵庫県は防衛省近畿中部防衛局からの情報に基づき「オスプレイの飛行に関する情報」を県ウェブサイト(https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk19/kikaku-somu/heiwaosupu.html)に掲載していますが、おととし八月を最後に新たな記載がありません。今回の飛行についても把握していないとしています。鳥取県も中国四国防衛局からの情報に基づき飛行状況をウェブ(https://www.pref.tottori.lg.jp/238872.htm)で公開していますが昨年七月以降の記載がありません。

『滋賀民報』同号は米軍横田基地広報部の
「すべての飛行運用が日米政府間の合意と規律にそって行ったもの」「経路を含む飛行運用の詳細は公表しないが、最近の訓練の目的は、乗員の継続的な飛行習熟度を確保する飛行訓練だ」
との回答を引き、飛行の常態化を懸念。兵庫県内の目撃情報はその懸念を一層強めます。

(兵庫民報2021年3月7日付)

シリーズ 憲法が輝く兵庫県政へ(21)「私たちの要求は、自治体を動かし変える力になる」住民本位の自治体をつくる兵庫区の会事務局長 井村弘子


「兵庫区の会」の運動を地味に恒常的に

四年ごとに行われる夏の兵庫県知事選挙と秋の神戸市長選挙を一体のものとしてたたかおうと、「住民本位の自治体をつくる兵庫区の会」の学習結成総会を二〇一三年三月に開催しました。
以来二〇一四年、二〇一七年の知事選挙・神戸市長選挙を連続的にたたかう政治組織として、選挙のない年は二カ月に一回、選挙の年は毎月会議を開き、ニュースも継続して発行してきました。
また、地域要求の実現へ、「ローカルマニフェスト」をつくり、二〇一三年十月に六項目の要求をまとめ、兵庫区長との懇談を二〇一五年十一月に行いました。
さらに、「敬老パス・福祉パス改悪を許さない会」、「私たちの個人情報を渡さない兵庫区民の会」を立ち上げて運動するとともに、「区庁舎整備計画」「神戸市の三宮開発計画」についても行動してきました。
コロナ禍の中、今年は一月二十六日に十一項目(保健所を各区に、加齢難聴者の補聴器購入に公的助成を、ドッグランの設置、少人数学級、バス路線、がけ崩れ対策や道路被害、中小企業対策、小中学校の統廃合跡地問題など神戸市に意見をあげることを求めた)の要求で区長と懇談し、「区民に利用しやすい区役所」に関する二項目について要求が実現しました。
知事選挙・神戸市長選挙に向け、自治体への要求実現の場として位置づけ、知恵と工夫を発揮してできることを根気よく続けようと話し合っています。

知事選挙で憲法を暮らしに生かす兵庫県政を

井戸県政の二十年間の経済政策は、大企業優遇に終始し、真の地域振興策はなおざりにされてきました。それどころか、地域経済と中小業者を苦難に陥れる消費税増税を促進する態度を取り続けました。
また、井戸知事は「社会保障の安定財源の確保と財政の健全化を同時に達成することを目指す観点から、消費税率の引き上げは不可欠」との姿勢を取り続けています。低所得者ほど負担が重く、大企業のリストラ、中小業者の営業を破壊する消費税の本質を見ることなく、長年にわたって消費税増税を促進する態度を取り続けてきた井戸知事の責任は大きいと言わなければなりません。
今年の知事選挙で、憲法を暮らしに生かす兵庫県政の実現が求められています。

粘り強く運動し、神戸の中学校給食を実現、市長選挙は要求実現のチャンス

温かく安全でおいしい中学校給食は子どもと保護者・みんなのねがいです。二〇一一年の統一地方選挙では、各区で中学校給食の実現や子ども医療費無料化などを求める「こども署名」に取り組み、「この取り組みを実らせたい」の声が寄せられ、私たちは各区と神戸に「会」を結成しました。
本格的な取り組み(学習会やPTAへのお願い、住宅への全戸配布、運動会や音楽会での署名)を全区で行い、九万筆の署名が集まりました。二〇一四年「神戸の中学校給食の実現」を神戸市は決定しましたが、「家庭弁当とデリバリー弁当の選択制」でした。二〇一五年十一月全校給食実施を前に、「異物混入問題」が起こり、結局、神戸の中学校給食全校実施は二〇一七年二月になりました。以来四年間、運動を継続してきました。
久元市長は二一年度予算案で、「全員喫食制に向けた調査検討」に三千三百万円の予算を発表。神戸市は二〇一七年二月からデリバリー方式を実施して以来、喫食率四〇%に低迷していることから、給食費の半額助成などで給食の魅力化に取り組んできましたが喫食率は上がりませんでした。
そうした中、私たちが要求し続けてきた「アンケート」を、二〇一九年九月に全生徒と保護者にアンケート実施した結果、生徒からは「温かい給食の希望」が多数であり、保護者からも「全員喫食制」が圧倒的多数という結果がでました。こうした経過の中で、昨年温かい給食のモデル(一部食缶方式と親子方式)実施と生徒と保護者のアンケートが実施され、「温かい給食」を求める声が明確となりました。
コロナ禍で、〝命と暮らしを守る〟思いは一層強くなり、声をあげることの大切さを学んでいます。秋の神戸市長選挙を前に、私たちの粘り強い十年の運動が、実を結ぶ大事な局面をつくり出しているといえます。

(兵庫民報2021年3月7日付)

コロナ禍での住民の苦難に寄り添う市政へ転換を:2021年度神戸市予算案

神戸市は二月十八日開会の市議会に、二〇二〇年度補正予算案と一体的に二〇二一年度予算案を提案しました。

市民の声と運動・市議団の議会論戦が市政を動かしている

いま神戸市内では、コロナ対策を担っている医療機関も、地域医療を守っている皆さんも、大変な状況に置かれています。市民、事業者は暮らしや営業がいつ破綻してしまうかわからないとの先の見えない不安の中で自粛生活を余儀なくされています。
予算案では、市民の声と運動・議会論戦を反映し、新型コロナウイルス感染症対策では保健師を四十名大幅増員、国基準を上回るPCR積極的検査の実施、治癒後の患者を受け入れる病院への減収補償制度が盛り込まれ、中小業者への独自の家賃補助支援も計上されました。子ども医療費の高校生までの入院無料化や温かい中学校給食への見直しなど、長年の運動が実り、前進した施策もあります。

コロナ禍に便乗した職員削減と福祉切り捨て大型開発も国と一体に拡大する久元市長

同時に、久元喜造・神戸市長は「駅前が見違えるようなリノベーションで心躍る空間に生まれ変われば、さらなる民間投資が期待されます」などと、都心・三宮の再整備に百五十一億円(前年度百二十二億円)、大阪湾岸道路西伸工事に百八億円(同五十六億円)、国際コンテナ戦略港湾百十億円(同九十一億円)など、国の第三次補正予算もうけ、不要不急の大型開発を強行しようとしています。
さらに、国の「自治体戦略2040構想」に追随し、福祉施策と職員削減の廃止を掲げた「行財政改革方針2025」を推進。来年度は、保健所衛生監視事務所を五カ所から三カ所へ削減、あんしんすこやかルームの廃止、市立幼稚園の廃園、住宅耐震改修補助の縮小、老人クラブへの助成縮小、区役所の受付業務の民間委託の拡大などで住民サービス後退と職員削減を一体にすすめるとしています。
また、市営住宅を十年で七千戸も廃止する計画、水道センターを五カ所から一カ所に集約し百名の職員削減と民間委託拡大、バス路線の廃止縮小―も推進するとしています。

コロナ禍なのに介護も国保も値上げ

神戸市は、二〇二一年度からの介護保険料率案を新年度予算と合わせ発表。基準月額を六千二百六十円から六千四百円への引き上げが提示されています。(昨年十二月公表時点では六千八百円に引き上げる案でしたが、社会保障推進協議会などの要望が反映され一定改善されました)
また、国民健康保険料も国の進める「県内統一保険料」の押し付けのなか、神戸市の独自控除が二〇一八年に廃止されました。市は激変緩和措置として一八年度には負担増を一五%の範囲に抑えていましたが、二一年度は六〇%まで増加割合を引き上げようとしています。
コロナ禍で市民が大変な時に、支援の手を差し伸べるどころか、負担増をおしつけるなど本末転倒です。

市民の苦難に寄り添い、願いを届けさらに要求実現を前へ

日本共産党神戸市会議員団長 森本 真

二〇二一年度一般会計の予算額は八千七百三億円で、市税収入がコロナの影響で減収していますが、国の減収補塡などで、前年度より三百十六億円の増となっています。また二百八十九億円の二〇年度二月補正予算も組まれ、コロナ禍においての切実な要求実現のための財源は十分ではないが確保されています。
十八日の市議会本会議の議案質疑で、日本共産党議員団として、地域医療を支える医療機関への減収補塡や、支援が行き届いていない中小事業者への支援策の拡充を提案。二十五日の本会議で久元市長は、予算案になかった、新たな中小業者へ支援を行うことを表明しました。しかし現時点での内容は事業所税の減免という一部の大規模事業者への支援であり、自営業者をはじめ本当に困窮しているすべての小規模事業者への支援の拡充が求められています。
予算案にある新庁舎建設はじめ不要不急の事業を休止すれば、少人数学級の前倒しや、コロナ危機で困っている住民と事業者の切実な要求を実現させることは可能です。
日本共産党神戸市会議員団は、久元市長に対してこうした予算の組み替えの提案も行いつつ、議会内外での共同を広げ、市民の願い実現と市政転換に全力をつくします。

(兵庫民報2021年3月7日付)


日本共産党芦屋市委員会:野党共闘で政権奪取をと決起集会:宮本たけし前衆院議員が訴え


日本共産党芦屋市委員会は二月二十一日、前衆議院議員の宮本たけし氏を招いて、総選挙必勝の「学習決起集会」を開催しました。
宮本さんは冒頭、「こむらさんまでといわず、比例の六人全員当選させてほしい」と訴え。
「五千億円あれば各国にワクチンがいきわたる。日本の軍事費は五兆円。世界をコロナから救うために使わせよう」「儲けのために運営されている資本主義では解決できない問題が出てきている。資本主義を抜け出し先の社会を考えないといけない。コロナが教えたことのひとつがこれだ」と続けました。
宮本さんは、野党が心一つに今度の政権奪取する姿勢を示すことの重要性を強調し、日本共産党の五つの提案を示しました。森友問題、菅首相長男接待問題などを批判。政治に信頼を取り戻すため野党共闘で政権獲得をと総選挙での奮闘、力添えを訴えました。
濱本鶴男市後援会長、平野貞雄市議団長が総選挙躍進の決意を表明、木野下章党市委員長が3・20近畿オンライン演説会成功など行動提起を行いました。
〔木野下章〕

(兵庫民報2021年3月7日付)

民主主義の日本めざして――「川崎・三菱大争議」100年:第九回 神戸購買組合――労働者の生活安定をめざし創設


兵頭晴喜(治安維持法国賠同盟兵庫県常任幹事)

第一次世界大戦後の日本は大不況に陥り、生活必需品が高騰、人々の生活は苦しく厳しい状況となりました。一九一八年秋、米価格が大暴騰、各地で米騒動が勃発しました。一九一九年、川崎造船所職工の青柿善一郎たちが、悪徳商人の手を経ず、自らの手による適正価格での生活物資の購入をめざし、労働組合の経営による「購買組合」を立ち上げようとしましたが、会社側はそれを認めませんでした。
消費・購買組合はイギリス、マンチェスター郊外の紡績労働者が多く住んでいたロッチデールで一八四四年、生活必需品を公正な価格と安定した供給ができるよう協同組合として設立されたのが始まりです。
賀川豊彦が日本初の購買組合共益社を一九一九年、大阪で結成。翌二〇年、青柿善一郎が、協同組合づくりを賀川に相談しました。賀川は、組合員の範囲を神戸市民にまで広げるよう提案し、毎週のように講演会を開いて協同組合への参加を呼びかけました。
十月、川崎造船の労働組合員を軸に広く「神戸購買組合」が発足。米や醬油など生活必需品の販売が始まりました。発起人には賀川、青柿、福井捨一、賀川ハル、長谷川初音、今井嘉幸(代議士)らでした。組合員自身が資金を出し合い、商品の仕入れから販売まで組合員の手で行う協同組合の誕生です。
川崎・三菱争議の際、争議団は行商隊を組織し、商品は購買組合が供給するなど、労働者の活動の大きな支えになりました。
一九二一年四月、産業組合法による購買組合として認可されました。組合員は同年末には千二百四十六名になりました。
*
一方、関西の財界人など比較的裕福な人々が住んでいた、現在の東灘区住吉では、事業で成功して築いた財産を世のために使いたいと考えていた那須善治が賀川を訪ね助言を求めました。「それなら購買組合をつくったらどうでしょうか?」との提案を受けて、那須は、同じ住吉村の平生釟三郎に相談しました。
平生は学校法人甲南学園の創設者で、賀川の支援者でもありました。那須から賀川の提案を聞いた平生は「自分もロンドンで協同組合の素晴らしさを体験したことがある。君が協同組合を立ち上げるなら協力を惜しまない」と答えました。
一九二一年五月二十六日、「灘購買組合」が誕生。初代組合長に那須善治が就任しました。組合は各家庭を訪問し、注文を聞いてお届けする「御用聞き」を行い、大型自転車に乗って街中を走り回る姿は「購買さん」と呼ばれ親しまれました。
一九二三年九月一日に発生した関東大震災に対し、両組合は「助け合い」の精神に基づき、組合員からの義援金と救援物資を送っています。
戦中、戦後の困難な時期を乗り越え、一九四八年に「消費生活協同組合法」が成立し、それぞれの組合は生活協同組合と改称。両組合は六二年四月一日に合併、「灘神戸生活協同組合」として、その後大きく発展しました。九一年、創立七十周年を記念し現在の「生活協同組合コープこうべ」と改称。今年、創立百周年を迎えます。

(兵庫民報2021年3月7日付)

ジェンダーわたしの視点「何かの『フリ』をせず自分が自分でいられる社会を」日本共産党但馬地区委員会地区委員 長田弘行


いったいどれくらい「男らしく」「男なんだから」「男のくせに」と言われてきたのだろうか。それに抗いながらも従ってきた。その「男」とは何を指すのか。幼少期より社会から学んだ「男」とは、根性、大声、腕力、わんぱく、がさつ、幼稚性、攻撃性、暴力性、集団同調性、愉快性、寡黙性、経済力、忍耐力、包容力などなど。相反することが同時に求められたりもする。これらを学び身につけてきた自分は本当の自分なんだろうか。何かの「フリ」をしているのではないだろうか。
日本共産党、立憲民主党が昨年「ジェンダー平等」を綱領に明記したのとは対照に、自民党は選択的夫婦別姓への対応を後退させた。
森喜朗氏の蔑視・差別発言は、封建的家父長制に基づく習性を、憲法施行七十年以上たっても更新できずにいることを示し、世界に醜態をさらした。これを受け自民党は、主要会議に女性のオブザーバー参加(発言権なし)を認めると発表したが、これまで女性を排除していたことが明らかとなり、更なる衝撃を与えた。
こうした社会を支配する「男社会」は、「わきまえ」てきた人たちによって支えられてきた。多くの女性が「わきまえない」と声を上げた。自身の「わきまえ」癖を早急に払拭しなければならない。女性差別は男性性に起因する。男性性をも貶めるこの男社会から脱却することが、ジェンダーフリー実現の要となる。
現在を生きているのだから、いつまでも過去にとらわれず、有り様を現在版に更新する。変化への抵抗や諦めの言い訳に「田舎だから」と言われるが、古い因習が残る田舎だからこそ解放が求められる。憲法十三条の「個人として尊重」は、都会も田舎も関係なく適用されるのだから。
「心」と「生」から成る「性」は、「心が生まれる」「心が生きる」こと。「個」の尊重こそ「性」が生きる。わざわざジェンダーを言わなくてもいい世界、自分が自分でいられる社会を実現したい。

(兵庫民報2021年3月7日付)

兵庫革新懇第41回総会:今年の総選挙で新しい政権を


兵庫革新懇は二月二十一日、第四十一回総会を、初めてオンラインと神戸市内の会場との同時開催で、行いました。
開会に先立ち、元神戸市保健所職員・臨床検査技師の黒田幸子さんが記念講演。黒田さんは、一九六〇年代から七〇年代の革新勢力の前進の中で、福祉・医療・公衆衛生が前進したが、八〇年代からの「医療亡国論」で医療の荒廃が始まり、神戸市でも保健所の統合がすすみ、今、コロナ禍の中全く人が足りない実態を報告し、「医療・福祉を守るため政治の革新を」と強調しました。
開会挨拶で岡本毅一常任世話人は「革新懇が運動を強め、今年の総選挙で新しい政権をつくろう」と呼びかけ、樫村庸一事務局長は「報告と提案」で、今年の総会は、野党連合政権を現実の課題として追求する統一戦線運動の新しい段階で迎えていると強調。いのちとくらしを守ることが喫緊の課題になっている今、野党連合政権を何としても実現しようと訴え、各地・各分野から「政権交代を、野党連合政権の合意を一刻も早く」という声を広げていこうと強調しました。
上脇博之神戸学院大学教授・代表世話人ら六人が討論に参加しました。
閉会挨拶で津川知久常任世話人は、「革新懇が『架け橋』の役割を果たすことが大事で、地域で職場で共同を広げていくことは今、政治を変える力になる」と訴えました。
総会には立憲民主党・国民民主党・日本共産党・社会民主党・新社会党・緑の党の県代表からのメッセージが寄せられました。
〔樫村庸一=兵庫革新懇〕

(兵庫民報2021年3月7日付)

藤田佳代舞踊研究所「創作実験劇場」:幼いころから習い続けた5人「自灯明」結成し出演


藤田佳代舞踊研究所が三月十四日、「創作実験劇場」を開催します。年四回のモダンダンス公演の今年初回、テーマは「拡がる」です。
同研究所では、新たにダンスグループ「自灯明」が結成されました。三、四歳のころから社会人・大学生になっても同研究所で習い続け、公演にも出演してきた梁河茜、平岡愛理、田中文菜、稲益夢子、菊原麻衣花の五人。これからももっと深く踊りとかかわってほしいとの研究所の願いを受け、それぞれも強い意志を示して結成しました。今回の実験創作劇場では「灯」と題する作品を踊ります。
この他、藤田佳代「拡がる――『伊丹三樹彦自選三百句』より」、寺井美津子「かぎろひ」、金沢景子「Re-birth 産土」、菊本千永「この子が無事に帰るまで」、かじのり子「こんなに晴れた朝だから」、向井華奈子「掘る人」、菊原麻理奈・渡邊菜子「水鏡」が上演されます。

藤田佳代舞踊研究所モダンダンス公演:創作実験劇場

3月14日(日)17時30分開演(17時開場)、兵庫県立芸術文化センター神戸女学院小ホール/入場料2,500円(当日3,000円)/チケット申し込みはTel.&Fax 078‐822‐2066
(兵庫民報2021年3月7日付)

亀井洋示「コロナ禍の時、1億円のお買い物」


(兵庫民報2021年3月7日付)

山下よしき「単身赴任は人権問題」連載エッセイ32


ILO活動推進議員連盟の会合で面白いやりとりがありました(二月十八日)。
自民・後藤田正純氏が「国際的にみれば単身赴任は人権問題だ。なんのためにやるのか。経団連や連合の意見を聞きたい」と問題提起。オンライン参加していた経団連代表は「各企業もテレワークで…」と歯切れが悪い。
私は「意義ある問題提起だ。大企業で働く若い労働者がパートナーと離ればなれにされ、子どもができても一緒に育てることができない。海外では理解されないことだ。いったいどこに合理性があるのか」と発言。
議連事務局長の立憲・石橋道宏氏は「今後の活動テーマのひとつにしたい」と引き取りました。楽しみです。会議終了後、後藤田氏が近づいてきて「自共共闘でがんばりましょう」。ますます楽しみです。
会合では、日本が未批准の強制労働廃止に関する百五号条約の批准実現に向け、今国会中に集中的に取り組むことが確認されました。この条約批准の障害になっているのは、国家公務員の政治活動に対する刑罰規定(懲役刑など)です。
私は「川崎二郎(自民、元厚労相)会長はじめ批准に向けた各位の努力に敬意を表したい。ご存じの通り国家公務員が政治活動を行ったことを理由に刑罰を科す国はない。刑罰をなくして堂々と批准する方向で議論が進むよう期待したい」と表明しました。
三月には議連に「批准実現チーム(仮称)」が立ち上がります。私もメンバーに加わる予定です。
(日本共産党参院議員・党副委員長)

(兵庫民報2021年3月7日付)

第74回解放運動無名戦士合葬者


平和と民主主義、国民の生活と権利、政治革新をめざす運動なかばで亡くなった方々を顕彰する第七十四回解放運動無名戦士合葬追悼会が三月十八日に行われ、兵庫からは五十人が合葬されます。合葬者の氏名、居住市町・享年、おもな活動歴は実紙面をご覧下さい。
解放運動無名戦士合葬追悼兵庫県実行委員会は中央実行委員会分担金はじめ諸費用にあてるため募金を呼びかけています。「合葬募金」と明記し、「郵便振替01140・7・3869 日本国民救援会兵庫県本部」へ。

(兵庫民報2021年3月7日付)

観感楽学


安倍氏の妻に続いて今度は菅氏の長男、忖度政治には家族がつきもののようだ。それにしてもよくもまあこれだけ高級料理やただ酒が飲めるものだとあきれ果て国会質疑を見ている▼相撲界に「タニマチ」という隠語がある。無償の援助をするスポンサーのことで、明治末期、大阪谷町に住んでいた相撲好きの外科医の援助が起源とか。その援助形態は「繁華街等での豪遊から、本業におけるチケット費負担、私生活での金銭援助など」とある。相撲社会ではこれらの援助を受けても「ごっつあん」の一言で良しとされている。しかし政治でタニマチは許されない▼週刊誌で癒着が暴露されてもしらを切り、三十九回も接待を受け、ときには一人七万円の会食をしながら誰と食事したか記憶にないととぼけてみせる。国会に登場するこんな高級官僚の年収は千八百万円ほどである▼日本には昔から「一宿一飯の恩義」というものがある。「ごっつあん」社会といわれる大相撲でも接待を受けた力士たちは必死に頑張ってタニマチの期待に応える。相撲界とて「ごっつあん」だけでは済まないのだ▼高級官僚たちはいま国民の批判にさらされながら必死に菅首相を忖度している。今度は菅内閣が彼らにどう報いるかが迫られる。国民にとっては迷惑この上ない話である。(D)

(兵庫民報2021年3月7日付)