2021年10月3日日曜日

ジェンダーわたしの視点「社会的につくられた不合理 変えるため一歩踏み出そう」新日本婦人の会神戸北支部 斎藤伸子


わたしは労働基準法弟三十二条で「週の労働時間は四十八時間、一日八時間を超えてはならない」とされた時代に福祉労働者になったが、当時は聖職と言われて、九時間労働、夜勤業務など長時間労働を強いられた。抗議したり労働組合をつくろうものならクビと言われ、その日のうちに荷物をまとめ家に帰された。
「利用者の処遇について施設長に文句を言った」というだけでクビを言い渡されたことをきっかけに、仲間五人と個人加盟の労働組合をつくり、団体交渉を行い「白紙撤回」させたが、その後の施設長からの嫌がらせにより主任保母は職場を去り、施設は主任保母制度を廃止した。
女性には「結婚適齢期」を強要、男女の賃金格差など当然と、どれだけ働いても賃金の差は縮まらず、生理休暇を取ろうものなら「だから女は困るんだ」と言われ続けた。西宮や神戸の少ない福祉施設において、施設長の嫌がらせや職員の賃金搾取、気に入らない職員のクビ切り、労働組合つぶしが横行し、施設利用者への暴力事件も起きた。書き出せばキリがないほど働く者への理不尽な差別が次々に起きた。
そんな中でわたしは結婚し、共働きに。二人の子どもを赤ちゃんホームや保育所に預け、夫や実家の母、労働組合の仲間、親友のあたたかい協力で子育てしながら働いた。定年まで働き続けようと決意してがんばっていたが、両足の変形膝関節炎と狭窄症を併発。立つのも歩くのも困難になり、職場を去った。
わたしが職場を去ったあとは、正規職員は男性のみ。女性は全員非正規化し、長時間労働とサービス残業を押し付けられた。施設長のあからさまなハラスメントにより、非正規で働き続けていた女性たちも全員職場を去った。
現在、わたしは地域の新婦人の会の常任として活動を続けており、女性の相談を受けることが多い。障害児を育てているお母さんから、自宅近くに保育所はあるが障害児は受けないという相談が。早速、日本共産党の議員に連絡し、入所することができた。経済的に困っているお母さんは次女が保育所に入所できず待機児童となっていたので、ともに保育課へ訴えて入所できた。この二人のお母さんに共通する悩みは、子育てしながら働かなければならないのに、「わたしには力がない」と自信をなくしていること。DV被害を原因とするストレス障害で、安定剤が手放せないなどの問題も増えてきているように思う。
神戸市は、コロナ禍の子どもの貧困に対応するとして、企業からの食品、備蓄米などを無償提供するフードバンクの取り組みを各区の子ども食堂に委託し、動き出したが、取り組みは一年間限定。子どもたちの貧困の実態にどれだけ迫れるだろうか。
子ども食堂のオーナーより、新婦人へのボランティアの依頼があり協力することになった。品物が入荷した翌日は六十五人の利用があり、口コミなどでも増えている。利用者には、夫からのDVを受け離婚はしたが、先の見通しもなく経済的に困難を抱えているお母さんもおられる。
コロナ禍で、特に若い女性の自殺が多くなっている。女性はあらゆるジェンダー問題を抱えて生きている。人権が全く保障されず、評価もされない中で問題をあと回しにしたり、恥じたり、目をそらせばどんどん歪んでくる。当事者である女性たちの訴えが問題を解いていくきっかけであり、わたしたちも寄り添い、ともに解決することが必要だと思う。
社会的につくられた不合理な問題を変えるために、一歩足を踏み出しましょう。

(兵庫民報2021年10月3日付)13:00