2021年9月12日日曜日

『民主主義の日本めざして――「川崎・三菱大争議」100年』を読んで:日本民主青年同盟兵庫県委員長 上園隆


明治維新から終戦までの歴史といえば、絶対主義的天皇制のもとでの暗黒時代という印象が強いですが、言論の自由が抑圧されていたもとでも活き活きと運動を展開していたという事実にまず驚きます。
そしてさらに驚いたのはその大きな舞台が、この神戸にあったことです。日本全国に広がった米騒動からの流れも汲みながら、労働組合が結成され、フェミニズムが始まり、農民運動や部落解放運動も広がり、日本共産党の結党とその神戸細胞の誕生へと、現代のたたかいにもつながるような運動が兵庫県内にも広がっていきます。とりわけ川崎・三菱争議は三万人を超える人々のデモ行進があり、民本主義を唱えた吉野作造が応援にかけつけたというエピソードや、友愛会神戸支部が立ち上がるも官憲の弾圧によって執行部が不在となる中で、友愛会の鈴木文治会長が直接神戸にきて争議の運営にあたったエピソードなどまるで映画のような迫力です。
それだけに、戦前のこうしたたたかいが、「勝ち取った権利=社会的バリケード」として日本社会に根付く前に、徹底した弾圧によってこれを破壊してしまった天皇制政府の犯罪性について思いを致さざるをえません。
そう考えると、この時代に成しえなかった「成果」は現代に生きて活動している私たちに課せられた宿題のようです。そしてその宿題は野党連合政権の実現と、市民と野党の共闘を発展させ続けることによって果たせるものだと思いました。
戦前の日本社会と現代の日本社会は全く違う社会として切断して捉えがちですが、本書からは、その中にも現代につながる連続性があることを発見し、そのことを通じて今目指している野党連合政権の実現の歴史的意義を深くつかむことができます。

(兵庫民報2021年9月12日付)16:00

B5判、表紙含め28ページ、カラー/頒価100円/問い合わせ先:治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟兵庫県本部 Tel. 078-351-0677、Fax 078-371-7376(日本国民救援会兵庫県本部内)/日本共産党兵庫県委員会でも扱っています。