2021年7月4日日曜日

副島圀義:ノーモアヒバクシャ近畿訴訟・傍聴記2021-06-24「恥ずかしい国側の態度」

六月二十四日の大阪高裁。大法廷で三時間半にわたる医師証言でした。
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この裁判(原告はお二人)でも「爆心地近くに入ったかどうか(発病するほどの放射線を浴びたか)」と、「その病気が原爆放射線被ばくに起因するかどうか」が争点。
この日は長年被爆者医療に携わってこられた真鍋穣先生が証人として双方の質問に答えられました。
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開廷直後、国が出した書面に原告側が「異議あり」。この日の弁論に備えての書面提出は「一カ月前までに」と指定されていたのに直前に提出とはどういうことだ? 撤回せよと追及します。国側は「弾劾証拠としての意見書だから期限は関係ない」といいます。(民事裁判で「証人自体が信用できない」という法廷戦術のことを「弾劾証拠」というそうです)
要するに「真鍋医師は証人にふさわしくない」と言いたくて出した書面なのでしょうが、裁判所は「保留。言いたいことは反対尋問でやりなさい」と事実上却下。
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原告側からの主尋問が終わり、国側の反対尋問の冒頭。「証人は〇〇学会に所属しているか?」「〇〇学の専門資格を持っているか?」「いままで証人になった時はいずれも原告側だったな?」等々。いままでにも国側がなんども使った「手」でした。
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真鍋先生はそんな程度の低い質問はあっさりと受け流して各論の証言に。
他の発がん因子と放射線被ばくの問題、喫煙と飲酒の関係、子どものへんとう炎の一般的な傾向と原告のケースの違い、低線量被ばくで問題になる累積線量のこと、放射線被ばくについての疫学的データの読み方、学術論文の読み方や引用の仕方等々まで、国側代理人の質問の一つ一つについて懇切ていねいに解明していきました。(法廷での論戦ですから「論破」というべきなのかもしれませんが、私には論文やデータの読み方が分からずに間違った考えに陥った学生に接する教育者のように聞こえましたのであえて「解明」と)
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国側代理人、ついに言うに事欠いてか、「原告は被爆後下痢があった、というが下痢は放射線被ばくでなくてもストレスでも起きる。被爆はストレスの原因にもなりますよね?」。(以前「被爆後の下痢は、衛生状態が悪かったからでしょ」と言って失笑をかった国側代理人もいましたね。とにかく放射線の危険性はなんとしても否定しなければならない、と必死なんでしょうが…)
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証人調べの後、「今日の証言調書ができるのに一カ月、その後二カ月くらいで最終準備書面を」との裁判長の求めに国側は「もっと時間が欲しい」。裁判長が「裁判所もがんばるから、がんばってください」と注文をつけたのは面白かったです。国側が「弾劾証拠」に関わる証人を申請したのも却下。
恥ずかしいほどお粗末な国側代理人の対応をさらけ出した法廷でした。政権の劣化ぶりがここにも表れているか、と感じた次第です。

(兵庫民報2021年7月4日付)
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