2021年5月2日日曜日

神戸製鋼所石炭火力発電所増設アセスメント:事業者の納得した部分しか残らない仕組み:山下よしき参院議員が環境委員会で追及


日本共産党の山下よしき参院議員は四月十五日の参院環境委員会で神戸製鋼所石炭火力発電所増設の環境アセスメントについて質問。経産省が事前に環境大臣意見の内容を削除させていた問題を四月六日に引き続き追及しました(前回の質問は四月十八日付に掲載)。
今回取り上げたのは温暖化に関する部分です。

石炭とLNGとの比較を削除

当初の環境大臣意見には「本発電所の稼働に伴い年間六百九十万トン以上の二酸化炭素を排出する可能性があり、最新鋭の天然ガス火力発電所を建設した場合と比較すると年間三百八十万トン以上多く排出することになる可能性がある」という記述がありました。
これに対し経産省は「試算値であり……可能性のみで記載することは不適切」だとして削除を求めました。
環境省は「事業者の試算値であり、本事業による温室効果ガスの係る影響の度合いを示したものである」と反論しますが、結局「対面折衝を踏まえ削除」としてしまいました。
山下議員は、環境省の反論は正当なのに、理由もなく結論が変わっていると指摘しました。

既存の発電所の休廃止、稼働抑制を削除

当初の環境大臣意見には「現在所有している火力発電所……とともに、二〇三〇年以降に向けて、更なる二酸化炭素排出削減を実現する見通しをもって、同火力発電所の休廃止・稼働抑制などの措置を計画的に実施すること」との記述がありました。新しい石炭火力をつくるなら、古いものは止めよというものであり、山下議員は「最低限だが真っ当な意見だ」と述べました。
この環境大臣意見に対し経産省は、「多くの電源を有している旧一般電気事業者とは異なり、本事業者は、現在、発電事業の用に供する設備を一つしか持っていないため、今の時点から『低効率火力の休廃止・稼働抑制』を明示的にプッシュするのは、『電力事業をやめろ』と求めてしまっていることと同義ですので(御省がそのようなことを言わないことは理解していますが、環境大臣意見を見る一般の人はそこまで考えて発言しないので…。)、個々の電力事業の実態を踏まえた大臣意見としていただければと存じます」と注文をつけます。
山下議員は、「『よう考えて発言してね』と茶の間の会話のような意見だが、筋の通らない意見に対して環境省は一言も反論せずに『同火力発電所の休廃止・稼働廃止などの措置を』としていた部分を削除した」と指摘。環境省に理由を明らかにするよう迫りました。
これに対し、環境省の和田篤也統括官は、「ベスト、どこまでできるのかということの追求の一環でこのような結果になった」と弁明。
山下議員は、「ベストを追求するのに削除する必要のない部分だ。むしろあったほうがベストが追求される」と指摘。「削除について国民が納得できる説明はできない」と批判しました。

事業者の納得のもと作成

なぜこのような理不尽な削除がまかり通るのか。山下議員は、環境大臣意見の扱いについて検討した結果を記録した経産省産業保安グループ作成の文書を提示。神戸製鋼石炭火力発電所に対する経産大臣勧告の中に盛り込むとした環境大臣意見十九項目すべてに「事業者は本意見が勧告に盛り込まれることに納得しており」と記載されていることを暴露し、「経産省は環境大臣意見を事前に事業者(神戸製鋼所)に示している、見せているということか」と追及しました。
経産省の後藤雄三審議官は明確な答弁を避けようとしましたが、最後には「事業者に図書を含む事前の意見については見ていただいている」と認めました。
山下議員は、「重大だ。事業者の納得した内容だけが残り、事業者が納得できない内容は経産省の横やりで削除されている。これでは(環境大臣が)言うべきことをしっかり盛り込むことはできないではないか」と追及。
小泉進次郎環境大臣は「必要なこと、言うべきことは言ってまいりたい」と答弁。山下議員は「この仕組みでは、言うべきことを言えない」と厳しく批判しました。
なお、山下議員はこの日の質疑で福島第一発電所のトリチウム汚染水の海洋放出の撤回を要求しました。「しんぶん赤旗」四月十六日付に記事があります。

 当日の録画は:https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=6287#4886.2

(兵庫民報2021年5月2日付)