2021年2月21日日曜日

ノーモアヒバクシャ近畿訴訟・傍聴記:被爆者援護施策でも「法律解釈を勝手に変える」のか?

副島圀義

二月五日、大阪地裁でのSさんの事件の弁論。
「原爆症と認定された病気自体の治療が終わっても、その後遺症治療が続いている」ケースでの手当支給について、裁判所は国に「いままでの運用はどんなものだったか?」と、資料提出を求めていました。
その資料(一九九四年の事務連絡)がギリギリ一週間前に出されたのです。
そこには「治療内容が適切であれば医療特別手当は継続可」とある、というのですから、下咽頭がん切除に伴う嚥下障害や甲状腺機能低下症で闘病を続けている被爆者に対する手当打ち切りの不当性が「国の基準に照らしても」明らかになったということでしょう。
裁判長が双方に「この事務連絡を前提として争点を鮮明にしたらいいのか?」と尋ねたのはなかなか興味深い場面でした。

しかし国側はなお、①嚥下障害や甲状腺機能低下症が、下咽頭がん切除に伴う後遺症であるかどうか?、②原告が受けている嚥下障害や甲状腺機能低下症についての治療が「要医療性の範ちゅう」にあたるのかどうか? を争う姿勢の様子でした。
これらは単に「往生際が悪い」ということではないようで、前回(昨年十一月十三日)のレポートにも書いたように、国は原爆症認定後の「更新手続き」自体の「見直し」を近々やろうとしているそうです。
藤原弁護団長が「従来の取り扱いを勝手に変えて国民を苦しめる」と批判していました。
いまの政府にとって「法律の解釈を勝手に変えてしまう」のは、「しょっちゅうやっている」ことかもしれませんが、被爆者援護施策でも……なのでしょうか?

(兵庫民報2021年2月21日付)