2021年1月10日日曜日

シリーズ 憲法が輝く兵庫県政へ(13):県民の命を守る施策への転換を:兵庫県民主医療機関連合会事務局長 東郷泰三

新型コロナウイルスの感染「第三波」の到来により、感染拡大地域では医療供給体制が逼迫し、「医療崩壊」が現実化しています。
兵庫県も病床逼迫が何度も新聞記事になる状態ですが、クラスターが発生した病院では、患者が重症化しても、コロナ患者に対応する重点医療機関や協力医療機関自体も逼迫していることから転院できず、クラスター発生病院で対応し続けなければならない事態に陥っています。院長自らがコロナ対応病院や大学病院など、何度も何度も何件電話しても転院先が見つからないという実態です。
また、クラスターが発生した所では、職員の感染と共に濃厚接触者扱いによる自宅待機者が多数生まれ、外来や救急、新規入院等の受け入れ停止をしても職員の勤務体制が確保できない状況となっています。
兵庫県のホームページ(兵庫県/新型コロナウイルス検査・陽性者の状況について)では、確保ベッド数に対する入院患者数、宿泊者数が掲載され、差引欄の数字を見るとまだ余裕があるように見えますが、前述の様に、重症になっても転院先が無く、病院などで「留め置き状態」となっている患者や現場の実態が反映されたものになっているか疑問です。

保健・医療機関の集約化と新型コロナウイルス感染拡大

兵庫県では、一九八九年に四十一カ所あった保健所が二〇二〇年には十七カ所に、保健師数も二〇〇〇年の百八十四人が二〇二〇年には百十六人に減少しました。これは、国が一九九四年に「保健所法」を「地域保健法」に変え、人口十万人に一カ所の保健所設置基準を三十万人以上に一カ所と改悪し保健所の集約化をすすめてきたことが背景にあります。
また、兵庫県では、「県行革」(一九九九年策定)と合わせ、「病院構造改革実施計画(二〇〇八年)」、「病院構造改革推進方策(二〇〇九年)」、「兵庫県地域医療構想(二〇一六年)」、「新県立病院改革プラン(二〇一七年)」、二〇一九年度以降の「第四次病院構造改革推進方策」など県立病院や公的病院・民間病院との統合再編を更に進め、国の政策を先取りする「効率化」をすすめてきました。
県民の命と暮らしを守るためには過度な「効率化」をやめることが必要です。コロナ禍での医療供給体制の実態や弱点を検証し教訓を明らかにすることが必要であり、「兵庫県地域医療構想」も一旦立ち止まって再検討すること、そして医療や福祉の脆弱さを改善し拡充する施策への転換が求められます。

医療や介護への「真水」の支援を

国は、総額三兆円の医療機関対策を行っていると言っていましたが、十一月迄で三千二百五十四億円しか執行されていないことが明らかになりました(十一月六日の参議院予算委員会)。医療現場の実態とかけ離れ、遅すぎる対策では医療・介護崩壊は食い止められません。災害時に実施しているような診療報酬の概算払い(前年度の診療報酬支払額に基づく減収分差額補填)など、医療・介護への真水の支援を行うことが「崩壊」を防ぐために必要となっています。

(兵庫民報2021年1月10日付)