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2020年11月22日日曜日

清水ただし「オチない漫才と維新の会」:国会レポート(番外)


漫才のネタの最後には、「もうええわ!」「やめさせてもらうわ」などのポピュラーなツッコミが入ります。ネタを聞いてたお客さんも、オチがついたところで「ああ、ここで終わりやな」と、スッキリと笑えるのです。
スッキリいかないのが、米大統領選。未だにトランプ大統領は「オチてない」と負けを認めていません。分断と対立を持ち込むトランプ流の政治にノーの審判を下した米国民の民意を潔く受け止めるべきです。
往生際の悪さで引けを取らないのが維新の会です。吉村知事は「僅差だったので賛成派の考えも取り入れてほしい」と、大阪市の財源と権限を府に差し出させる「広域行政一元化条例」を提案すると言い出しました。住民投票は究極の民主主義だと言っていたはずではなかったか。「もうええわ!」という思いです。
「二重行政の解消が民意だということが分かった」と、都合よく解釈する松井市長にも「なんでやねん!」とツッコミたい。大阪市の二十四行政区を八つの総合区に再編統合するとの提案には、多くの市民が、「ええかげんにせい!」と叫んでいます。
住民投票の結果は大阪市を二十四区のまま、政令指定都市として存続させることでした。何が何でもカジノや巨大開発を進めるために、一人の指揮官がやりたい放題できる仕組みづくりにしがみつく維新の悪あがきに終止符を。
来たる総選挙では、日本共産党の前進と野党共闘の発展を広げ、維新政治をさらに追い詰めていくことが必要です。そして今度こそ維新の会に「やめさせてもらうわ」と言わせてオチをつけましょう。
(日本共産党衆院議員)

(兵庫民報Web版のみ掲載)

兵庫2区・宮野つるお事務所びらき:次の総選挙で政権交代を


衆院兵庫二区の宮野つるお事務所びらきが十一月十四日に行われました。約八十人が参加し、「次の総選挙で政権交代、野党連合政権を」「近畿比例四議席を絶対回復し、選挙区でも勝利しよう」と決意を新たにしました。
事務所びらきでは、こむら潤予定候補(近畿比例・兵庫八区重複)と宮野つるお予定候補(兵庫二区)が決意表明しました。
こむらさんは、学術会議人事介入問題や、自己責任押し付けの菅政権の実態に触れながら、「自助でなく、国民を守るのが政治の仕事」「十一年ぶりに近畿から女性国会議員を」などと訴えました。
宮野さんは「技師は技師でも武器は作らぬ。平和の技師よ。俺等の力で未来を築く」と出身校・名古屋工業大学の学生歌「おれは工大だよ」を紹介するとともに、民医連綱領が目標の一つに掲げる「人類の生命と健康を破壊する一切の戦争政策に反対し、核兵器をなくし、平和と環境を守ります」を実践する時だとし、「戦争する国づくりは許さない」と決意を語りました。
また、女性や業者、医師など、それぞれの立場から、政権交代と野党連合政権、党躍進、候補者への期待の挨拶、メッセージが寄せられました。大かわら鈴子神戸市議、兵庫・長田・北地区、西宮芦屋地区の両委員長も訴えました。
宮野つるお事務所は、神戸市長田区腕塚町二丁目一―二八の日本共産党兵庫・長田・北地区委員会の一階。兵庫二区は神戸市兵庫区・長田区・北区と西宮市北部(塩瀬、山口両支所管内)です。

(兵庫民報2020年11月22日付)

2021年度兵庫県予算編成に対し申し入れ:コロナ対策はじめ命と暮らし優先を:日本共産党兵庫県議団


日本共産党兵庫県議団は十一月十一日、二〇二一年度予算編成に対して井戸敏三兵庫県知事へ九分野七百四十項目にわたって申し入れました。
*
冒頭、ねりき恵子団長は、「コロナ禍において厳しい財政状況とされるが、コロナ対策を含め、県民の命と暮らしを優先した予算編成を求める」と発言。きだ結政務調査会長は、「コロナ禍でぜい弱さが浮き彫りになった効率優先、自己責任のおしつけから、命と暮らしを守ることを最優先にした政策への転換」を求め、主要な要望について説明を行いました。
各議員からは、「コロナ以前に基本構想がつくられている県庁舎再整備計画は、コロナをふまえてゼロベースで見直すべき」「日本政府に正式発効される核兵器禁止条約への署名・批准を強く求めてほしい」「温室効果ガスの二〇五〇年実質ゼロ、二〇三〇年四五%削減を目標にし、具体的ロードマップを」「体罰が行われないようにするための体制の強化を」「県としてパートナーシップ制度を」「性暴力被害対策は、NPO法人性暴力被害者支援センターとの連携を」など要望を発言。「地元の県営住宅を廃止ではなく、建て替えてほしい」「武庫川水系の河川整備計画の実施を急いでほしい」など各県議の地元の声も届けました。
*
知事は、温室効果ガスの排出削減目標について、「二〇三〇年目標を三八%に上積みするのもたいへんなこと。中小企業にも計画を策定してもらい、チェックできるようにするなどの仕組みも検討している」としました。また日本政府に対する核兵器禁止条約の署名・批准については、「個人としては、核兵器禁止条約に賛成であるが、国の専権事項なので……」と口を濁しました。
県庁舎再整備計画について、井戸知事は「南海トラフ地震が今後起こることを考えると、一・二号館はもたないので、建て替えないといけない。ラグジュアリーホテルについては、『まちの象徴』として、あってもおかしくない」と、従来の立場をかえませんでした。

(兵庫民報2020年11月22日付)

民青兵庫県代表者会議:全国大会へ向けすべての班で仲間迎えよう

日本民主青年同盟兵庫県委員会は十一月末の民青全国大会へ向け第六十一回県代表者会議を八日に開催しました。
上園隆県委員長が報告を行い、コロナ禍のもと青年・学生の実態を集め県や野党に届けて改善を求めてきたこと、学生への食糧支援(フードバンク)を県内各地で取り組み温かい連帯の輪を広げてきたことなどを振り返り、県同盟が果たしてきたかけがえのない役割に確信をもち、大会目標の達成へ、すべての班で仲間を迎えようと呼びかけました。
全体討論では――
東播地域・A大学準備班担当の学生県委員は、「決議案討議でどんな班になりたいか話し合い、同盟員拡大二人の目標を決めて班プランをつくった。後輩に民青を紹介する」と班で仲間を迎えようとの思いを語りました。
東神戸地区・B大学班の班員の「アルバイト先で当たり前の権利である有給休暇をもらうために壮絶なバトルを繰り返した。高校生からの民青の活動が力になった。アルバイト全員に有給が出るようになった」との発言に参加者から驚きの声があがりました。
十月末に加盟したばかりの会社員(兵長北地区・毒がえる班)は「小さい頃から政治に興味はあったが学生時代は語る機会がなかった。海外の学生は政治を自分事として捉えていて、日本との差に危機感を抱いていた。派遣会社の正社員となって非正規雇用の不安定さに直面。政治のおかしさに気付いた。自身も長時間労働でサービス残業もしている。民青で労働基準法や核兵器禁止条約についても学んでいきたいと思う」と発言しました。
大企業の契約社員(尼崎地区・つかむこ班)は「職場でヒバクシャ署名を呼びかけると十人ほどが署名してくれた。社会について話す機会になっている。班に新しい仲間も加わり、民青新聞を中心に学んでいる。さらに仲間二人を迎えたいと相談。民青の活動で希望ある社会をつくりたい」と話しました。
尼崎地区の地区役員は班が主人公の活動を支えるとりくみを紹介。「悩みや課題を出し合える場。学習時間も取り、改定綱領も学んだりして毎回楽しみになっている」と報告しました。
―など自らの活動への確信や政治・社会を変えていきたい思いが次々語られ、全国大会に向けて目標を達成しようとの熱い決意が全体のものとなりました。
また、こむら潤衆院予定候補(比例・兵庫八区)が日本共産党を代表して挨拶し、激励しました。

(兵庫民報2020年11月22日付)


丹波市議選で日本共産党が得票数・率伸ばし現有2議席確保


丹波市議選は十一月十五日に投開票が行われ、日本共産党の西本嘉宏さん(73)、西脇秀隆さん(70)が当選し、現有二議席を確保しました。西本さんは五期目(春日町議から通算十期)、西脇さんは三期目。
日本共産党の得票合計は三千百八十二票、得票率九・三七%。前回より得票で二百十九票、得票率で一・三四ポイント伸ばしました。昨年の参院比例票比でも九百四十三票、一・五三ポイント前進しました。
定数二十に二十三人が立候補。投票率は六五・三五%。日本共産党以外の政党の得票率と当選者数は、自由民主党五・一一%(一)、公明党一二・四六%(二)、日本維新の会四・六九%(一)。
日本共産党は、八十億円の豪華庁舎建設より市民の生活支援をと訴え、ゴミ袋半額化、医療センターまでのデマンドタクシー直行便、高校卒業までの医療費無料化、国保税・介護保険料引き下げ、コロナ対策強化などを掲げ支持を広げました。

(兵庫民報2020年11月22日付)

兵庫における私学の無償化とは:シリーズ 憲法が輝く兵庫県政へ(9)

兵庫県私立学校教職員組合連合副委員長 永島徳顕

兵庫県における私学助成は、二〇〇〇年度の「行財政構造改革」により、生徒急増・急減期において講じた緊急的措置、激変緩和措置の見直しとして、学園運営の経費(教職員人件費を中心)に対する経常費補助(生徒一人当り単価)の削減が始まりました。
新行革・第二次・第三次・二〇一八年度までの最終二カ年の行革でも同様に削減され、一九九九年度の行革前の県独自の積み上げ分(県単分)は七万二千六十九円でしたが、行革終了の二〇一八年度においては三万四千二百六十四円にまでなりました。二〇二〇年度においては三万二千四百六十四円となり、県行革を経た二十年間で行革前の四五%となってしまいました。
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一方、生徒への直接助成である授業料軽減補助は、二〇一〇年度の「高等学校等就学支援金制度」の導入により、学費負担が一定程度軽減されましたが、二〇〇九年度まで約十二億円あった県予算は、制度の導入により約六億円に減額されました。
しかし、今年四月一日施行の国の「高等学校等就学支援金制度」の拡充は、年収五百九十万円未満世帯の私立高校に通う生徒の経済的負担を大きく減少させ、都道府県を問わず、実質的には授業料は無償になりました。
この国の制度拡充を受けて、県も「授業料軽減補助制度」を拡充(県予算約十億円)し、年収五百九十~七百三十万円未満世帯と年収七百三十~九百十万円未満世帯への新たな所得区分を設けました。

大阪・京都との比較

経常費補助の県予算は減額される傾向です。また、授業料軽減補助はこれまでにない拡充がされましたが、その土台は国の制度拡充に大きく依拠したもので、兵庫県独自の施策も無償化への大きな動きとして評価するには、少し物足りないものです。


近隣の大阪や京都は、国の制度拡充よりも前に年収五百九十万円未満世帯への授業料無償化を実現し、加えて大阪では多子世帯への加算補助や、京都においては授業料以外の学費(施設設備費等)も補助対象にしています。
兵庫の私立高校の場合、二〇一九年度の学費は平均六十一万四千五百八十二円 (授業料四十万七千九百九十円、施設設備費二十万六千五百九十二円)となっており、入学金二十三万六千九百二十三円を加えた初年度納入金は八十五万一千五百五円です。
これは、全国で高い方から三番目の水準です。また、学費としては授業料が実質無償化された年収五百九十万円未満世帯でも二十万六千五百八十二円の保護者負担が残ります。
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兵庫私学助成をすすめる会は、ここ数年、保護者や生徒・教職員の声を直接県に届けるため、一言はがき運動を行っています。「子どもたちが平等に教育を受けられるように、是非とも私学助成予算の増額をお願い致します。『兵庫育ちで良かった』と子どもが思えるよう、早急な対策をお願いします」「すすめる私学があっても金銭的な問題で進学できない」「高校でお金がかかりすぎると自分の大学や兄弟の学費がなくなります」「コロナ禍で経済的に厳しくなった家庭もたくさんありますが、子どもたちの受ける教育はどんな状況下であれ、平等であってほしいです」など、同じ私立高校に通う生徒でありながら居住する場所によって学費負担が大きく違うことや、進学に関わって将来への不安や家族への心配などの声が寄せられています。
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兵庫県には、大阪府や京都府のように経常的な費用の施設設備費等も補助の対象となるように、補助対象拡大をはじめとした授業料軽減補助の拡充が求められています。

(兵庫民報2020年11月22日付)


神戸・市民要求を実現する会第10回総会:市民の命と暮らし、生業と雇用を守る要求集まる


神戸市に対して、市民の命と暮らしを守る要求を集め活動してきた、神戸・市民要求を実現する会(以下:実現する会)が第十回総会を十一月十二日に開催しました。
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二期目の久元市政は、三宮再開発に力を注ぎ、インバウンド効果を期待した大規模開発や、駅前に高層マンションや公共施設を集約しコンパクトなまちづくりをおしすすめてきました。
一方、二月には自衛隊に十八歳・二十二歳の個人情報を電子データとして「提供」する覚書を交わし、四月からは下水道料金を値上げ、十月には敬老・福祉パス制度を改悪するなど市民の声には耳を傾けず、負担を押し付けています。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で海外からの旅行者は途絶え、JR三ノ宮駅ビル計画も白紙に戻るなど大規模開発の破綻は明らかです。
いまこそ市民生活を守る政策が必要な時ですが、神戸市独自の政策はほとんど見られません。
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総会では、コロナ禍の中で三宮駅前開発などの大規模開発より市民生活を守るための政策が今こそ必要だとして、二〇二一年度予算要求や、加盟団体の連帯と市民の力の結集、「子育てアクション」・中学給食の自校調理方式実現・中学卒業までの医療費無料・待機児童ゼロなどの活動方針や神戸市との交渉、市民連続講座の開催、市民目線に立った要求を集めることなどの確認事項を決めました。
各団体からは、公共施設や市営住宅の建て替えによるアスベスト飛散の問題や、中学給食では近くの小学校であたたかい給食が調理される親子方式が実施されること、待機児童ゼロを実現するためにビルの地下に保育園が設けられていることなど、運動の前進や問題点が語られました。
総会には約二十名が参加し、来年の市長選に向けて「市民の目線に立った市政転換」を求め、活動報告、二〇二一年度方針、会計報告、新役員が拍手で確認されました。
〔岡崎史典=同会〕

(兵庫民報2020年11月22日付)

ジェンダーわたしの視点:大沢たつみ(元参院議員)「子どもを産み、育て、守りながら女性が働き続けられる職場・社会を」


看護学校を卒業して、国立兵庫療養所(現兵庫中央病院)に再就職して勤務場所の希望を尋ねられ、小児科以外でしたら何処でも結構ですと答えた私は、結婚して妊娠すると同時に、子どもばかりが目につくようになっていました。
当時、看護婦(現看護師)は、結婚すれば退職、まして妊娠して子どもが生まれれば当然退職。先輩で二人ほど働いておられましたが、働き続けられない職場環境でした。
圧倒的に女性の多い職場でなぜ……
看護師として働き続けたいのになぜ……
労働組合の婦人部長を(全医労・兵中支部)していた私は、まず「職場に保育所をつくろう」と仲間と共に立ち上がりました。療養所の官舎を借りての開設でした。
すでに全国に保育所運動は広がり、「ポストの数ほど保育所を」がスローガンになっていました。三田でも運動が広がり、市立の保育所も県の母子寮を改修して開設されました。
女性が子育てしながら働き続けられる社会を願っての大きな一歩でした。
*
そんな私に、三田の市議会議員になって頑張ってほしいと声がかかったのは、双子の子どもが生まれて一年もたっていない時でした。狭い四畳半に二段ベッドを置いて長女を含め三人を寝かせての決断でした。
依頼する方も、受ける方も、大変だったのですが、ひたすら前を見て歩んだように思います。
一九七一年の補欠選挙は次点でしたが、一九七二年に初当選。三十二歳でした。兵庫県下で女性の共産党議員は私を含めて八人になりました。
三田市は、二十四人の市議会議員の中で女性はただ一人。村々で区長をしてこられた偉そうな男性議員が、私を小娘扱いにして「おまえな……」とか、「雨が降ってきたから、オシメを入れに帰れ」とか、「女に何ができるか」など、ヒドイ議員もいました。
私は市民に選ばれた議員として、男性も女性も平等と考えていましたから、「今に見ておれ。市議会議員であり、女性であり、母親であり、すべての役割を果たしきるんだ」と弱さを見せずに頑張り抜いた議員活動でした。
▽学童保育所をつくろう
▽母と子の願いを市政に
▽台所の声を市政に
▽ゴミ集収を全市に
―女性の声をスローガンにしたポスターを街のあちこちに張り出し、要求実現のたたかいでした。
今思えば、そんなに頑張らなくてもよかったのではと思う時がありますが、次の世代の女性に良い社会を申し送りたい、子どもたちに良い社会環境を……と必死だったのでしょうね。
お母さんたちとともに、その時代に求められた女性のたたかいであり、任務だったと思っています。
*
十一月八日、2020NGO日本女性大会が開催され、「遅れている日本の女性の権利を、国際水準に」を求めて、行動目標が決議されましたが、長い歴史を経て女性の権利の向上が豊かな社会、希望ある社会をつくることを確信し、歩み続けたいと思います。

(兵庫民報2020年11月22日付)

「原爆症の後遺障害治療」が大きな課題に:ノーモアヒバクシャ近畿訴訟・傍聴記

副島圀義 

十一月十三日の大阪地裁。Sさんの事件の弁論です(前回の様子は九月二十日付の本欄で紹介しました)。
原爆症と認定された下咽頭がん自体は切除できたけれど、術後の嚥下障害や甲状腺機能低下症で闘病を続けている被爆者に対して「認定したのは下咽頭がんだけだ」という国の「論理」に司法がどう向かい合うのか?が問われています。

この日も裁判長は「論点、方向性を整理したい」と、かなり詳細な問題提起を原告(被爆者)、被告(国)双方にしました。
―下咽頭がんを認定した時点で後遺症は想定されていなかったのではないか?
―下咽頭がんの場合の嚥下障害や甲状腺機能低下症は「当然想定される後遺症」なのか?
―最初に認定した時の審査内容はどんなものだったか?
―証拠として提出された膨大な診療経過(記録)のなかには本事件に直接関わることも関わらないこともあるだろうから、それを分類・整理してみてはどうか?
―等々。

かつて国は原爆症認定に「総枠」を設定していました。しかし全国の被爆者による集団訴訟によってそのような「枠」が打ち破られ原爆症認定は増えました。
そうしたなかで、いったん原爆症と認定して医療特別手当を支給しても、その更新を「要医療性がなくなった」として打ち切る状況が出てきたわけです。来春には「更新手続きについての見直しをする」とも耳にしています。

報告集会では、弁護団と支援ネットの双方が「集団訴訟」「ノーモアヒバクシャ訴訟」などで認定をかちとった方々がいまどうされているのか、あらためて確かめないといけないな、と言われていました。
藤原精吾弁護団長は「本事件も、その根本として、国が被爆者にどう責任をとるのか、より広くは社会保障増進義務をどうとるのかが問われている。核兵器禁止条約に日本政府が背を向ける、ということは、その第六条のヒバクシャ援護義務に背を向ける、という意味をも持つ。この状況を変えるために引き続きがんばりましょう」としめくくりました。

(兵庫民報2020年11月22日付)


瀬戸恵子「ひなたぽっころりん」〈671〉


(兵庫民報2020年11月22日付)

兵庫山河の会 〈十一月〉

水仙の花咲く土手の散歩道高さ競いて彼岸花咲く
 小林誉穂

櫂さばき一七〇〇年余を語りたり朱家角の古河游覧(中国の旅)
 石井敏子

晩秋の庭に咲き染む石蕗の静かに光をまとい輝く
 鵜尾和代

平日の二限目だけの運動会開会告げる子ら誇らしげ
 新井 幸

歌を詠み献立ひねる毎日に認知予防と捉えて生きる
 古谷さだよ

良心的学者六人外したり六氏そろって撤回告発
 岸本 守

忘れまじ絶たれし生命の輝きを出でて見上ぐる秋の曇天(無言館展)
 山下洋美

早朝の陽のひかりあび深呼吸身体の底から命わきたり
 加藤やゑ子

若き日の母に思いを巡らせる秋明菊の白き花咲く
 塩谷凉子

被爆者の悲願の一歩踏み出せリ世界は動く核なき世界へ
 西澤 愼

病院を民営化する行政に反対のビラまく霜月の朝
 山下 勇

オンラインに診療 教育かわりゆき機器になじまぬ我の行く先
 古賀悦子

核禁止条約批准拒む国ヒロシマ・ナガサキ霊鎮まらず
 大中 肇

(兵庫民報2020年11月22日付)


こくた恵二「時代の分水嶺を迎え」:連載エッセイ6


「自由はある日突然なくなるものではない。それは目立たない形で徐々に蝕まれ、気がついたときにはすべてが失われているような過程をたどります。わずか数十年前に経験したわれわれは、将来に向かって自由の制限につながるかもしれないどんな兆候に対しても、厳しく監視する必要があります」 
この言葉は、誰であろう。私が参列した内閣・自民党主催の「宮澤喜一元総理大臣合同葬」で配布された「宮澤氏の〝しおり〟」の一文だ。
菅政権による学術会議任命拒否問題は、「目立たない」どころか、これほどのあからさまな学問の自由、思想・信条、表現の自由に対する挑戦があるだろうか。
野党国対委員長会談では、「戦前の京大滝川事件、天皇機関説への弾圧に匹敵するもの」との認識で一致し、断固たたかうことを確認した。
思えば一九二八年三月十五日、日本共産党への大弾圧(後に、小林多喜二が小説「一九二八年三月十五日」を上梓)、一九二九年治安維持法の改悪に反対した山宣こと山本宣治労農党代議士の暗殺、一九三一年柳条湖事件いわゆる「満州事変」勃発、一九三三年小林多喜二の虐殺へと続く戦争への道だった。
この歴史の教訓、戦争への反省から、学問の自由を保障するために日本学術会議の政府からの独立性を決めた。何より「政府の行為によって再び戦争の惨禍を起こさないように」と憲法をつくった。
時代の分水嶺を迎えている。全体主義への道か、民主主義の道かが問われている。党の存在意義をかけたたたかいである。
(日本共産党衆院議員)

写真:せいぞろいした衆院比例近畿ブロック予定候補(左から)宮本たけし、こくた恵二、西田佐枝子、こむら潤、武山彩子、清水ただしの各氏

(兵庫民報2020年11月22日付)

神戸映画サークル協議会12月例会:『ハード・デイズ・ナイト』――ザ・ビートルズ――:モノクロ映像に焼き付けられた弾ける魅力&珠玉の楽曲


『ハード・デイズ・ナイト』(旧邦題『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』)は一九六四年公開以来、いまなお音楽映画の傑作として語られるザ・ビートルズの初主演映画で、昨年、初公開から五十五周年ということでリバイバル公開されました。
世界的な成功を手中に収める直前のハードな一昼夜のドラマ。アメリカで量産されていたミュージシャン映画のメロドラマ的なものでなくイギリス気質のコメディをと、ビートルズ本人が自身の風刺劇を演じる作品となりました。
テンポ良い演出で四人のキャラクターが鮮明に浮かび上がり、彼らの後を追いかけ、ツアーに同行するカメラ映像は、楽屋にお邪魔したような気分に。鏡やモニターが効果的に使われた室内シーン、地上のみならず上空からの大胆なカメラワークによる解放感あふれるカット、固定カメラでドタバタ感を出したサイレント映画的なシークエンスもあり、遊び心満載。
映画がコケた場合を考え低予算のモノクロ撮影となったそうですが、今や、演奏される楽曲の数々とともに、古典的な趣さえ楽しめる、色褪せない一編となっています。
ジョン、ポール、ジョージ、リンゴ、スーツ姿の四人が仲良く奏で、歌い、弾ける。世界のアイドルの輝きの瞬間を見つめ、珠玉のビートルズ・ナンバーに浸りましょう。
〔木村百合=神戸映画サークル協議会〕

映画『ハード・デイズ・ナイト』(1964年イギリス/87分)

12月4日(金)①11時②14時③19時、5日(土)①11時②14時③18時/神戸アートビレッジセンターKAVCホール/一般(事前予約)1,300円 *参加日時を12月3日までにご予約ください。☎078‐371‐8550、Email kcc1950@kobe-eisa.com、URL http://kobe-eisa.com/

映画公式サイト:THE BEATLES - 映画『A HARD DAYS NIGHT』オフィシャルサイト (harddaysnight-movie.com)

(兵庫民報2020年11月22日付)

神戸演劇鑑賞会12月例会:こまつ座『私はだれでしょう』

なまの舞台をごいっしょに


この舞台は戦後のラジオ番組「尋ね人」の製作現場で「真実」と向き合うことから逃げなかった人々の誇り高き物語である。
一九四六(昭和二十一)年七月。日本放送協会の一室からラジオ番組「尋ね人」は始まった。
放送時間は十五分。戦争で離れ離れになった人々を捜す無数の〝声〟が全国に届けられ、いくつもの感動の場面を生んだ。
寄せられた原稿は、脚本班分室で(元アナウンサー川北京子を中心とした)三人の女性分室員によって整理された。
しかし、占領下の日本では放送を監督するCIE(民間情報教育局)の事前検閲を受けねばならなかった。だが三人はひたむきに制作に取り組んでいた。そこへ日系二世のフランク馬場がラジオ担当官として着任。
そんなある日、彼等の前に一人の男が現れた。自称・山田太郎と名乗り、「ラジオで私を捜してほしい」と。ここから、舞台は大きく動きはじめる。太郎の自分探しは二転三転する。そして……。
今年は戦後七十五年。時代は大きく変化した。経済優先、大量消費の目まぐるしく動く社会。疲れはてている人間たち。今一度、人間の在り方、日本の国の在り方を見つめ直しては、と、舞台から声が聞こえるようです。
〔小谷博子=神戸演劇鑑賞会〕

こまつ座『私はだれでしょう』

作=井上ひさし 演出=栗山民也 出演=朝海ひかる、吉田栄作、平埜生成ほか/①12月3日(木)18時30分、②12月4日(金)13時30分、③12月5日(土)13時30分/神戸文化ホール中ホール/会員制(入会時に入会金1,000円と月会費2カ月前納)、月会費3,500円(大学生2,000円、中高生1,000円)/Tel. 078‐222‐8651、Fax078‐222‐8653

(兵庫民報2020年11月22日付)

バザー、ツアー中止のお知らせ:東日本大震災救援バザー、ツアーにご協力いただいた皆さまへ

東日本大震災から十年を迎えようとしております。現地はまだまだ先の見えない状況が続いており、被災者の方々に少しでも寄り添う活動を続けたいと努力してまいりました。しかし、コロナの感染拡大防止を実行委員会で相談し、本当に残念ですが、三月のバザーも、秋のツアーも中止させていただくことにいたしました。
今まで長い間、ご協力いただいた皆さまに、こころから感謝いたします。お預かりしています物品など含めて、今後の救援方法を検討して、対応したいと思います。皆さまの周りのご協力いただいた方々にも、お断りとお礼をお伝えくださいますようお願いいたします。

呼びかけ人代表 大沢辰美
事務局担当 平松順子

(兵庫民報2020年11月22日付)


日本学術会議会員任命拒否は撤回を:市民デモと憲法共同センターが共同でデモ


日本学術会議会員任命拒否の撤回を求める市民デモが「こわすな憲法!いのちとくらし!市民デモHYOGO」と「憲法改悪ストップ!兵庫県共同センター」の共同で十一月十二日、神戸市内で行われました。約百八十人が、東遊園地から三宮センター街、元町まで「学問の自由を守れ」「学術会議推薦名簿を拒否するな」などコールを響かせ、市民に訴えました。
東遊園地での出発前集会では、神戸大学名誉教授の和田進さんがスピーチし、京都大学名誉教授で日本ジェンダー学会初代副会長の上杉孝實さん、神戸女学院大学准教授の景山佳代子さん、大学非常勤講師の小橋かおるさんのメッセージも紹介されました。
集会は、①菅首相は六名の任命拒否をただちに撤回し、法に基いて推薦通り任命を行うこと②政府は憲法で保障された学問の自由を守ること③日本学術会議は設立趣旨に基づき、政府から独立した機関として発展・充実すること―を求める決議を採択しました。

(兵庫民報2020年11月22日付)

観感楽学


日本学術会議任命拒否問題では、なじみのなかった団体も様々に抗議声明を出している。イタリア学会は「ときの権力が『何が正しく、何が間違っているかを決めている』点において、ガリレオ裁判とかわりない」と指摘。菅首相が拒否理由をころころ変えていることに対して上代文学会は「日本語の無力化・形骸化を深く憂慮します。頼むから日本語をこれ以上痛めつけないでいただきたい」▼おどろいたのは宗教法人・生長の家が一般紙に意見広告を出したこと。「科学的真理の探究を操作しようとする政治が、宗教的真理を尊重するなどと言うことはあり得ない」がその抗議理由。それぞれ自らの存在をかけた言葉を発している▼わたしはどうか。「十億円学術会議に出している」から政府が恣意的に任命拒否できるとしていることが許せない。それは公費を受けている者は、つまり国民すべてはときの政治に文句を言うなということに等しい。しかし公費とは政府の金ではなく国民の税金である▼わたしは自分も周囲のだれもが差別されることなく、お金の心配することなく個性を伸ばし発揮できる社会をのぞみ行動する。それを抑圧することは許さない。(T)

(兵庫民報2020年11月22日付)