これを二〇一四年度の状況(二〇一五年に日本共産党姫路市議団が行った調査)と比べてみると、電子データでの提供を養父市、朝来市、洲本市、南あわじ市が止めた一方で、伊丹市、姫路市、淡路市は引き続き提供。昨年度から神戸市、尼崎市、芦屋市が電子データでの提供を始め、西宮市も提供。全県的にみて電子データで提供される人数が拡大しています。

首長と「覚書」交わし電子データで取得
住民基本台帳法(以下:住基法)では二〇〇六年十一月一日から、法律の改正で閲覧制度が変更になり、だれでも閲覧を請求できるという「原則公開」であったものが、個人情報保護に十分留意した「原則非公開」に改められました。国・公共機関については「法令の定める事務の遂行のために閲覧する場合」は認められ、自衛隊は「閲覧」により住民情報を得ていました。しかし、自衛官募集の業務などを行っている自衛隊兵庫地方協力本部は各首長と協定や覚書を交わすなどして電子データでの提供を受けています。
二〇一三年に協定を結んだ姫路市では日本共産党市議団が再三、議会で追及し、民主団体も協定の破棄を申し入れてきました。神戸市は、今年二月に久元喜造市長が「覚書」を交わし、電子データでの提供を始めました。
〔ここまで編集部〕
個人情報保護審議会に諮らず
「私たちの個人情報をわたさない 神戸市民の会」は十月二十一日、神戸市個人情報保護審議会事務局に対して審議会に諮るよう申し入れました。
同会は――
①個人情報保護条例(以下「本条例」)十一条一項に基づき、電子データの作成について、審議会において審議して、同項に基づき意見を明らかとすること
②仮に本条例十一条一項に基づき審議会として意見を述べるためには実施機関からの諮問が必要だと解するとしても、本方針の重大性に鑑みて本条例三十三条三項に基づき審議会として意見を述べること
③前各項において審議会が審議するに際しては、本方針が、憲法上も法律上も重大な疑義があり、プライバシー権をはじめとする市民の重大な権利を侵害するおそれがある点を考慮して、市民の個人情報保護の観点から審議会において専門的知見を踏まえて適正な意見を述べること
―の三点について個人情報保護審査会委員の意見を聞く機会を設けるよ求めました。
これに対し市の担当者は「市長の諮問がないので審議事項に当たらない」との回答を繰り返すことに終始しました。
同会は、今回の交渉をうけて、疑問点や矛盾点が現れたため、今後も神戸市への交渉を申し入れるなど行動を継続していくこととしました。
〔この項、岡崎史典=同会〕
(兵庫民報2020年11月8日付)