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2020年9月27日日曜日

田村智子副委員長が神戸で街頭演説:あたりまえの政治とりもどす野党連合政権実現を


日本共産党副委員長の田村智子参院議員は九月十八日、同日閉会した国会から駆けつけ、神戸・大丸前で街頭演説を行いました。
たむらさんは、与党が、首相指名選挙のあと所信表明演説も行わず三日で国会を閉じたことを批判。
自公政権は「自助」を国民に押しつけ、維新もいっしょになって公務員削減などを進め、コロナ禍でもいまだに減収補填を行おうとしていないこと、それに対し野党が力を合わせ、支援・給付制度を一つ一つ提案・実現し、こむらさんをはじめ地方議員もそれが実行されるように力をつくしてきたことを報告。「安倍政治」継承の菅政権ではなく、公・政治の責任を取り戻す野党連合政権がいま求められていると強調し、そのためにも日本共産党を伸ばしてほしいと訴えました。 




(兵庫民報2020年9月27日付)

西宮芦屋市民アクションが合同宣伝:「安倍政治」継続許さず、憲法生かす野党政権を


安倍九条改憲NO!西宮芦屋市民アクションは九月十二日、阪急西宮ガーデンズ向かいの高松ひなた緑地で、「安倍政治の行き詰まりの結果が安倍首相退陣の本質であり、『安倍政治』継続を許さず、憲法を生かした命を守る野党政権を市民と野党の共闘でつくろう」と市民と野党の合同宣伝を行い約百人が参加しました。
日本共産党のいそみ恵子県議は、「今求められているのは安倍政治からの転換。市民と野党の共闘で野党連合政権を」と強調しました。
社民党の梶川みさお県連合代表・宝塚市議は、「菅さんは、安倍政治を前に進めていくと言っている。私たちは、国民の期待に応えられる政権をつくっていく」と決意を表明しました。
新社会党の前田辰一芦屋総支部副執行委員長は、「市民と野党の大きな力が、自民党改憲四項目を国会の場にのぼせなかった。この力で、自民党政治に終止符を」と強調しました。
市民派の田中あきよ西宮市議は、「大多数の声に流されていいのか、しっかり考えて選挙に行きましょう」と、よつや薫市議は、「政治は『公助』です。自助、共助を強要する政権をストップさせましょう」とそれぞれ呼びかけました。
立憲民主党の安田真理兵庫七区総支部長は、「コロナ対策でもまともな対策を打ってこなかった。こうした政治に終止符を打つために、市民と野党が一体になって自民党政治に立ち向かっていきましょう」と三つの転換方向を訴えました。
市民を代表してスピーチした松谷さん、山口さんは、介護現場や障がい者の実態を訴え、菅政権を倒すため命・暮らしを守る大きなつながりをつくっていきたいと述べました。
―樫村庸一(西宮革新懇)

(兵庫民報2020年9月27日付)

憲法共同センターの呼びかけで行われた「アベ政治継続NO!」緊急宣伝(9月16日・神戸大丸前)


(兵庫民報2020年9月27日付)

戦争法強行から5年:野党連合政権樹立を訴え明石・総がかり行動


二〇一五年九月の安倍内閣による「戦争法強行可決」以来、ほぼ毎月、「総がかり行動」を実施している「安保法制廃止・総がかり行動明石」はこの九月十九日、JR明石駅南で総がかり行動を実施しました。
地労協、新婦人、共産党、新社会党などの四十人が、菅内閣の〝安倍政治〟継承は支持できないこと、総選挙での野党候補の勝利と野党連合政権の樹立を訴えました。行動には日本共産党の福原ゆかり衆議院九区予定候補(写真右端)も参加し、訴えました。 ――野村俊三


(兵庫民報2020年9月27日付)

市民連合@兵庫1区の結成を!:「市民と野党の共同をめざすつどい」がアピール

市民アクション東灘、オール灘区の会、中央区革新懇、みなとの明日を拓く神戸港懇話会が呼びかけ、「市民と野党の共同をめざすつどい」を九月十八日、東灘文化センターでひらきました。
つどいでは、最初に神戸女子大名誉教授で東灘革新懇の代表世話人でもある内田樹さんが講演しました。
内田さんは、安倍政権がこれまで長年続いて来た要因を考えた時、〝国民の中にも権力を持っている人間は偉い、正しいから国民の支持を得ているのだ〟という現実を肯定する倒錯した考えが相当あるのではないかと述べ、このような国民の意識を冷静に分析しながら国民に理解を得られる政策や政治変革の展望を示していく運動が必要であろうと問題提起しました。
討論では自民党の食料政策の問題、医療の深刻な状況についての発言や、「菅政権で政治は変わるどころかさらに悪くなる。来たるべき総選挙で野党統一候補の勝利のために頑張りたい」との決意表明もありました。
最後に「市民連合@兵庫一区」の結成をめざしてただちに運動を具体化させようとのアピールを採択しました。
―田付宣雄(オール灘区の会)

(兵庫民報2020年9月27日付)


日本共産党が衆議院兵庫2区に宮野つるおさん

日本共産党兵庫県委員会は九月十八日、衆議院選挙小選挙区兵庫二区の候補者を発表しました。 


兵庫二区(神戸市兵庫区・北区・長田区、西宮市塩瀬支所管内・山口支所管内)

宮野つるお(63)=新 

鹿児島県立川内高校、名古屋工業大学二部卒。神戸医療生活協同組合職員として、医療・介護に従事。二〇一八年神戸市議補選、一九年兵庫県議選に立候補。
現在、党兵庫・長田・北地区常任委員。

(兵庫民報2020年9月27日付)

西はりま後援会第5回総会:新しいたたかいのスタート

日本共産党西はりま後援会は第五回総会を九月十九日、姫路市労働会館で開催。二十六人が参加しました。
総会は松本滋会長の力強い挨拶で始まりました。

西はりま後援会総会であいさつするこむら潤さん

来賓挨拶では、こむら潤さん(衆院比例予定候補)が、「安倍内閣は七年八カ月、憲法改定に執念を燃やしましたが、国民の力で五回にわたってくい止めました。菅新内閣が発足しましたが、安倍政治となんら変わりません。新しいたたかいのスタートです。誰もが自分らしく輝ける社会へ共に頑張りましょう」と訴えました。
太田清幸さん(兵庫十一区予定候補)は、「今年五月、六十七歳の女性が地区事務所へ電話してこられ、『モリ・カケ、桜』などアベ首相は最悪。頑張っているのは日本共産党だと入党。また、八月には三十六歳の男性が党のホームページを見て、党の頑張りがすごいと入党。日本共産党への期待が広がり、壁が低くなっています。党の躍進が必要です」と訴えました。
苦瓜かずしげ姫路市議も挨拶しました。
安積弘允事務局長が議案を提案し、全員一致で承認されました。
経験交流として「たつの市後援会」の活動報告がありました。
討論では、「パソコンネット部の活動はどんなことをしているのか?」などの質問や意見が出され、活発な総会となりました。
―高嶺正治(西はりま後援会事務局)

(兵庫民報2020年9月27日付)

日本共産党兵庫県議団が重要政策提言:社会保障削減など脆弱化した基盤の見直しを

重要政策提言を知事に手渡す日本共産党県議団

日本共産党兵庫県議団は十五日、新型コロナが広がる中、政治が役割をはたすよう二〇二一年度予算に対し、三百三十四項目にわたって重要政策提言を井戸敏三県知事に行いました。
きだ結政調会長は、「新自由主義のもと、社会保障など削られてきた部分が脆弱な基盤をつくってしまった。施策を見直すべきだ」と強調。コロナ対策について、あらゆる面でジェンダー平等の視点を取り入れることや、災害対策と位置づけ思い切った支援策や、防疫を目的としてのPCR検査の対象拡大などを示しました。
核兵器禁止条約の署名・批准と日米地位協定見直し、消費税減税などを国に求めることや、気候危機回避を加速させるため神戸製鋼石炭火力発電所増設計画中止や新温泉町巨大風力発電計画中止、中小企業支援策の拡充、来年度の県立高校入試への配慮など提言の概要を紹介しました。
各議員から、「(県営住宅跡地など)県が持っている土地を示し、イニシアチブを発揮して待機児童を解消してほしい」「保育士や学童保育指導員など、コロナ禍でがんばっている人たちへの慰労金支給を実現してほしい」「新たな感染症流行が頻発している。『行革』『兵庫県地域創生戦略』の大きな見直しがいる」「阪神・淡路大震災で解体工事が多くされ、これからアスベスト患者が増える。震災アスベスト対策を」「保健師の増員と保健所体制の強化を求めている。芦屋保健所の分室化はやめてもらいたい」「学校のエアコン設置について、コロナの影響で、繰り越しになっている事業について、きちんと事故繰り越しが認められるように国に働き掛けてほしい」などを求めました。
井戸知事は「いろいろな角度から提案をもらった。みなさんからの提言については、しっかり検討したい」と応じました。

(兵庫民報2020年9月27日付)

神戸市議会で森本真議員が質疑:積極的PCR検査――対象広げ定期的に実施を

質問する森本真神戸市議

神戸市会本会議で九月十八日、日本共産党の森本真市議が質疑を行いました。
神戸市は、新型コロナウイルス感染拡大をうけ市民の願いや日本共産党市議団の要望にも応え、中央市民病院の隣地に重症患者対応の臨時病棟を整備、軽症者宿泊療養施設の設置、対象を国基準より広げた積極的検査によるPCR検査の拡大などが行われ、今議会に上程された補正予算では、分娩前の妊産婦へのPCR検査の実施などが計上されています。
第一波の経験から無症状者の感染者が一定の感染を広めていることも踏まえ、感染リスクが高く、多くのクラスターを発生させている高齢者施設、医療機関、学校や保育所、飲食店や夜の街などについては、感染者が発生してから検査するのではなく、無症状の陽性者を早期に発見し、初期の段階から感染を抑え込むことが重要です。
森本真議員は、防疫目的でハイリスクな施設に対して、積極的なPCR検査を定期的に実施するよう求めました。

倒産・廃業を出さないため、さらなる中小業者支援策を

経済支援では、六月補正予算で編成した「中小企業チャレンジ支援補助金」「中小法人等の店舗家賃負担軽減補助金」について、予想を大幅に上回る申請で五十九億円の追加補正を行ったことは、市内の多くの事業者がコロナで窮地に陥っていることを証明しています。
森本議員は、神戸市をはじめ国・県の支援策も無くなりつつあるが、事業者は先行き不透明なコロナ禍で苦しんでおり、倒産・廃業を出さないため、さらなる支援策を求めました。

少人数学級で密状態の教室解消急げ

コロナ禍のなか、長期の休校でつらい思いをさせた子どもたちは、夏休みも短縮され、暑く、密状態の教室で学んでいます。いま、子どもたちには、学び、心のケア、安全を保障する必要があります。
今回の補正予算では、共産党市議団が六月議会で国の補正予算を活用して実施を要望していた小六・中三の最終学年への少人数指導のための教員の加配配置の補正予算が計上されました。
森本議員は、少人数学級の実施で、ソーシャルディスタンスを保ち、感染リスクを抑えるだけでなく、個々の児童・生徒に対しての状況に応じた指導が期待されていることから、加配教員の配置する学年をさらに拡大するよう求めました。

「特養入居者へのPCR検査拡充を検討する」と確約

久元喜造市長らは「消費動向が変化している。発令解除をへて業種業態によって影響が異なるため、飲食業や商店街、観光業への業種を絞った支援を適時適切に進めたい」「一自治体でできないものは国に要望したい」「高齢者は重症者リスクが高く、従事者へのリスクも高いと考えており、まずは特養、介護施設、新規入居者や介護者に積極的PCR検査を検討したい」と答弁しました。
長田教育長は「加配された職員は最終学年にとどまらず柔軟に支援できる仕組みにもなっている。少人数学級を持続可能にするには、人員確保と学校施設など多くの課題がある。まずは三十五人学級の対象拡大を国に要望したい」と答弁しました。

高齢者のインフル予防接種無料化も「十分検討」

森本議員は、「感染拡大や重症化を防止する観点から、一定の高齢者や基礎疾患を有する者について、市区町村において本人の希望により検査を行う場合に国が支援する仕組みを設ける」とした国の新型コロナウイルス感染症対策本部(本部長は内閣総理大臣・八月二十八日)決定にふれ、特養にとどめず、PCR無料検査の拡充、高齢者に対するインフルエンザ予防接種の無料化を求めました。恩田副市長は「高齢者や基礎疾患を持つ方へのPCR検査助成を検討したい」「(インフルエンザの無料接種も)十分検討したい」と答えました。

(兵庫民報2020年9月27日付)

ジェンダー わたしの視点:ジェンダー平等社会の実現めざして


日本共産党兵庫県委員会ジェンダー平等委員会責任者 こむら潤

ジェンダーって難しそう、どんなことから始めたらいいの?と皆さんそれぞれにいろんな戸惑いがあるかもしれません。今回から始まる連載が「なるほど、それなら私にもできる」と、ジェンダーを考えるきっかけになればと思います。よろしくお願いします。

日本社会は、法律の一部や実生活で旧態依然の慣習や概念、つまり「家父長制度」「男尊女卑」が随所に根深く存在しています。女性も男性も、本当に複雑にジェンダーが絡み合いながら私たちは生活しています。
例えば小中学校の頃、誰もが将来の夢を決めていきます。子どもの時には、女の子は収入が少ないとか、産休や育休のことなど、誰も教えてくれません。クラスメイトの男の子と何が違うのか。しかし、就職や結婚、出産となると、途端に性差に直面させられるのです。
実際、私の友人は、自分の特技を活かした会社で働いていたのに、結婚し出産で産休を取ったのち、産後の復帰は前例がないと言われ、やめざるを得ませんでした。おまけに保育園は仕事をしていないからと入れてもらえず、彼女は二重の挫折を味わい、産後鬱で治療が必要になってしまいました。自分が生きがいとしてきた仕事を奪われることは、アイデンティティーを否定されたも同然だと私は思うのです。
また、我が家でも今でこそ夫も分担して家事や子どもの学校行事などこなしていますが、若い頃は「共働きなのにどうして私ばかり洗濯や食器の片づけをしないといけないのか」とイライラを募らせてきました。小さいようで、実はこういう些細なところに、ジェンダーの問題は、そこここに隠れているものではないでしょうか。もちろん、男性にも「所帯を持つ」「大黒柱、稼ぎ頭になって家族を守る」「男は強く」などプレッシャーがあり、ジェンダーの課題は大いにあると思います。
私は、誰もがその人らしく、男性女性、またどんな性であれ人間としての尊厳を守られ認められる社会を作りたいと思っています。連載の中でジェンダー平等社会実現への展望が見いだせることを楽しみにしています。

(兵庫民報2020年9月27日付)

消費税を5%に戻せ!:2020年消費税廃止兵庫県各界連絡会総会


消費税廃止兵庫県各界連絡会は九月十七日、神戸市内で二〇二〇年総会を開催しました。
開会挨拶で澤村新・代表幹事(兵庫県保険医協会)は、「コロナ禍の中、協会内の医療機関では九割で患者数が減少し、運転資金もどんどん減り危機的状況に。患者に消費税を転嫁することはできず政府に要望している。今、世界では経済政策のひとつとして付加価値税の減税が実施されている日本でも実現させよう」と強調しました。
大嶋誠・事務局長(税理士)の活動報告では、昨年十月からの増税とコロナ感染により四~六月期のGDPがリーマンシヨックを上回る二八・一%減少したこと。安倍首相が辞任したが、森友・加計・桜を見る会等の政権私物化での真相解明を行うこと。「消費税の減税」が経済危機を乗り越える最善の景気対策であること。「消費税を五%に戻せ」の要求を掲げ、共同を広げ、国政選挙で市民と野党共闘の更なる発展を求めるなど、草の根の運動を広げることが提案されました。
交流では、十月一日午後五時より神戸元町大丸前で、「一〇%増税から一年の抗議宣伝」を、東京・新宿とオンラインで行うこと。菅内閣が発足した十七日の大手新聞の一面や社説がどう報道したか。毎日は「まず強引な手法の転換を」、朝日は「安倍政治の焼き直しはご免だ」、神戸は「対話する政治を取り戻せるか」と「安倍政治」継承を掲げる同内閣の姿勢を疑問視する掲載に。八月五日の政府税制調査会では、早くも「消費税増税を中核に据えた骨太の議論が必要だ」の紹介もありました。
―藤原紀嘉(同会事務局次長)

(兵庫民報2020年9月27日付)

日中友好協会兵庫県連が香港問題学習講演会:〝国際的な場で認知される新たな統治基準の獲得を〟山本大経大名誉教授が講演


日中友好協会兵庫県連は九月十三日午後、神戸市内で「香港問題学習講演会」を開催し市民五十人が参加しました。

山本恒人大阪経済大学名誉教授が、「香港基本法=一国二制度遵守は国際公約――なぜ中国政府は〈最善手〉をふみ外したのか――」をテーマに講演しました。

十九世紀初頭、中国は世界のGDPの三分の一を占めていた超大国でしたが、英国が仕掛けたアヘン戦争に敗れ、一八四二年の中英共同声明で香港島が英国領となり、その後、新界などを英国が九十九年間租借し、香港全域が植民地化しました。

山本教授は、「中華世界が半植民地の奈落に追い落とされた恥辱は想像を絶するものがある。帝国主義の侵略に抗して新中国を建国するのに百年を要している。一九九七年香港は中国に返還され、〝一国二制度〟が開始しました。そのスタートライン〝沿海発展戦略〟は別称〝広東の香港化、中国の香港化〟とも呼ばれ新興国群の一員としての香港経済発展の経験と教訓が大きな役割を果たし、中国人の〝融通無碍〟の柔軟さに驚かされたものだ」と語りました。

現在、香港で起こっている事態は、中国の世界における存在が巨大化するにつれて、統治方式が次第に国内基準だけでは通用しなくなり、国際的な場でも認知される新たな基準を自ら開発し、獲得していく新しい時代を迎えている。日中友好運動を大切にする私たちは、中国が東アジアと世界における〝平和・反核・軍縮・自由と民主主義・環境保全〟に向かってリーダーシップを発揮する時代が来ることを願い続けている。それゆえ国際公約・五十年(一九九七―二〇四七)にわたる香港〝一国二制度〟を放棄する行為を深く憂慮すると語りました。

香港問題の報道機関の記事を紹介しながら、「香港国家安全維持法」導入への批判的記事に加え、導入必然・擁護論についてもその要点を紹介しました。

中国における「一党支配」体制と対外路線について、後発国における国民国家形成のための凝縮力としての制度「党国体制」とスターリン時代のソ連を踏襲した「プロレタリア独裁」型中央集権体制の下、肥大化する「官僚制」国家とそれを統括する超法規的存在(主権在党)としての共産党の一党支配と整理。超法規的主権在党は社会主義とは相いれないと語り、最後にスタンフォード大学のフランシス・フクヤマ氏の重要な指摘を紹介しました。「中国は、官僚制があって中央集権的で、能力本位で、さほど縁故主義ではない。中国はそうした制度をつくるのが得意です。ただ、そこには『法の支配』や『民衆に対しての説明責任』という仕組みがない。この二つは国家を縛り、国家権力が公共的な目的で使われるよう担保するものです」「権力行使に制度的な抑制がきかないため、中国に悪い皇帝(トップ)が出たときには、対処する方法がない。これは歴史的に中国が抱えている問題で、未解決なままです」。

―上田雅美(日中友好協会)

(兵庫民報2020年9月27日付に短縮版を掲載)

田川党国際委員会事務局長講師に民青同盟兵庫県委員会が香港問題学習会:〝国際社会のなかできちんと批判を〟

民青同盟兵庫県委員会は九月十三日、「香港のこれまでとアジアのこれからのために」と題し、日本共産党中央委員会国際委員会事務局長の田川実さんを講師にオンライン学習会を開きました。
*
前半で田川さんはまず、「国家安全維持法」はどういう行動が処罰される対象となるのかが不明確であることと、国際法とも矛盾する内容になっているということを指摘した上で、イギリス統治下以来の香港の歴史を説明しました。
「一国二制度」とはイギリスから中国に香港が返還される際に中国とイギリスとの共同声明で合意されたものであり、言論の自由は保証することを国際的に約束したものだと解説。国際社会のなかできちんと批判していくことが大事だと指摘しました。
前半の講義を受けた参加者の交流では「一国二制度について言葉しか知らなかったのでよく理解できた」「自民党改憲草案と中国の憲法が似ていると聞いてこわいと思った」などの声が出されました。
*
後半は「中国や北朝鮮の軍事力をどう見ればいいか」というテーマで進められました。
田川さんは、外交には軍事力による抑止力に頼る方向と、対話で解決を図る方向があるとして、現在の日本政府は前者の抑止力に頼る方法に依拠していると指摘。果たして抑止力を高めれば「安全安心」を得られるのかと問い、実際には軍事対軍事の悪循環に陥り、「安心安全」は全く得られないことを詳説しました。
ASEANで実践されている対話による信頼醸成のシステムを北東アジアにもつくることなど解決の展望を紹介。その際には、過去に日本が行った侵略戦争への反省を土台にすることが何よりも大事であると強調しました。
後半の交流では「友達と話した時に、武力を持っていないと攻撃されて危険と言われてしまったが、武力だけでは無理があるというのを知って、次に対話になった時は伝えたい」「安全保障のジレンマの視点からも軍拡というやり方は最善ではないと思った」などの感想・意見出し合いました。
―上園隆(民青同盟兵庫県委員長)

(兵庫民報2020年9月27日付)


瀬戸恵子「ひなたぽっころりん」〈667〉


(兵庫民報2020年9月27日付)

神戸映画サークル協議会10月例会:『パパは奮闘中!』:社会問題を背景に家族の在り方を探る

映画『パパは奮闘中!』の一場面

主人公は通販会社倉庫で現場リーダーを務める二児の父親。仕事や労組活動に没頭する責任感の強い彼だが、家事や子どもの面倒は共働きの妻に任せきり。そして妻が突然家出し残されたオリヴィエは途方に暮れる……。格差社会の現実を映しつつ夫婦の在り方を問うている。
子どもたちの醸し出す寂しそうな雰囲気や、親として葛藤する表情を見ているうちに応援せずにはいられなくなる。家庭を後回しにしてきた彼が「僕は親失格だ」と嘆くなど親らしくなっていく過程が描かれている。
驚いたのは彼の職場の過酷さ。部門リーダーだが共働きの妻がいないとベビーシッターすら雇えない低所得者だということ。労組活動の場面は誰も関心がなく組織率が非常に低い状況が描かれる。
フランスは労働者の権利が守られる国だと思い込んでいたが、実情は共働きでないと暮らせない層がかなりあると初めて知った。劇中語られる民主主義についての言葉は含蓄がある。
原題は「私たちの闘い」。職場での闘い、家族との葛藤、ジェンダーとの闘い。私たちの日常には様々な闘いがある。厳しい状況や思うようにいかない現状を打破したい。そんな映画作家の思いを感じる作品だ。
―桑田葉子(神戸映画サークル協議会)

『パパは奮闘中!』(2018年/ベルギー・フランス/99分)

10月16日(金)①11時②14時③19時、17日(土)①11時②14時③18時/神戸アートビレッジセンター2階KAVCホール/監督・脚本:ギヨーム・セネズ/一般:事前予約1,300円(当日1,700円)、シニア・障がい者・大学生以下:予約・当日とも1,300円、会員:1,100円(当日1,200円):入会受付中/Tel. 078‐37‐8550、Email: kcc1950@kobe-eisa.com、Web: http://kobe-eisa.com/ 




(兵庫民報2020年9月27日付)

藤田佳代舞踊研究所モダンダンス公演第43回発表会:39光年のかなたに思いをよせて


藤田佳代舞踊研究所の第四十三回発表会が十月十七日に開催されます。
今年の発表会では「届ける――東北の地震と津波と原発事故で亡くなった数限りない命たちへ」と新作のモダンダンス二作品「いってみたいな あの星へ」「風の馬」が上演されます。
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「届ける」は二〇一二年の初演から十回(十年)にわたり上演する予定で、今年を含めあと二回となりました。音楽は使わずに拍踏衆の手拍子・足拍子を伴奏に、ダンサーたちが手に手にはめた下駄を打ち鳴らして踊ります。ダンサーは九十九人、うち六人は知的障害クラスの生徒たちで、ほぼ介助なしで踊ります。
サブタイトルのとおり東日本大震災・福島原発事故で失われた命たちへの思いをこめた作品です。
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「いってみたいな あの星へ」のお話は……地球と同じような惑星が七つ、三十九光年のかなたに見つかりました。お互いに手紙を光の速さで届けても三十九年。むこうからの手紙が発表会の日に届いたとして、そして人間がそれを読めるとしたら……。
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「風の馬」のお話は……冬の大地で寒さに耐えた種は土を踏みしめる巫女の合図で目を覚まします。種はゆっくり溶けて広がり気体となり土の外へ現れ、巫女にかき回されて馬になり、春を告げる使者となって村中を駆けていきます。秋になると……人々は季節を運ぶその馬を「風の馬」と呼びました。
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同研究所では毎年、創作実験劇場、自作品を持ち寄り披露するダンスブーケ、発表会、ソリストによるモダンダンスステージの四つの公演をおこなっています。今年は新型コロナウイルス感染拡大のため三月の実験創作劇場は中止を余儀なくされ、今回の発表会が今年初めての大がかりな公演となりました。研究所では公演にかかわるすべての人が感染症対策に留意しながら開催準備をすすめています。
*
10月17日(土)17時開演(16時30分開場)、神戸文化ホール大ホール/無料/参加申し込み・招待券などの問い合わせは、藤田佳代舞踊研究所TEL&FAX078・822・2066まで

(兵庫民報2020年9月27日付)

こくた恵二「新自由主義の暴走許さぬ」連載エッセイ5


菅・自公内閣がスタートした。自民党総裁選で菅氏は、「自助・共助・公助」のフリップを掲げた。この国をどうするのか、どういうビジョンを持っているのかについて終始語らずじまいだっただけに、この言葉だけが印象に残った。
このフレーズについて、雨宮処凛さんは「『自助』とは、『自己責任だ。自分で何とかしろ』、『共助』とは、『一家心中するまで家族で助け合え』『共倒れするまで地域で助け合え』、『公助』は、『何もかも失わないと公的福祉は機能しないから、やっぱり自己責任で何とかしろ』という意味である」と述べている。若干過激かとは思うが、本質をついている。
この文言は、二〇一〇年改定の自民党綱領に記されている。これまで、年金、医療、介護、生活保護などの社会保障切り捨ての論理として使われてきた。
現在、コロナ危機の下で、公衆衛生や医療体制の脆弱さが露呈した。この事態を作ったのが効率第一主義、自己責任論、すなわち「新自由主義」に他ならない。今、この政治のままでいいのだろうかと、多くの国民が問い始めている。
「公」、政治の責任とは何ぞや。それは国民の命と暮らしを守ることにある。
憲法第二十五条は、「国民は健康で文化的な生活を営む権利を有する」とし、「社会保障、公衆衛生の向上」は国の責務と明記している。新自由主義の暴走を許さず、憲法が生きる社会をめざそうではないか。政治の根本的転換へ、いよいよ野党連合政権を作る決意を固める時だ。
(日本共産党衆院議員)

(兵庫民報2020年9月27日付)

観感楽学:「残念ながらまだ国民的な議論が十分に盛り上がらなかったのが事実であり、それなしには進めることはできないのだろう」八月二十八日、辞意表明の記者会見で憲法改正ができなかったことに対する質問への安倍前首相の弁。筆者はこの欄でかの人の言動を幾度となくとりあげては切り刻んできたが、今回はじめて言おう。本当の言葉を聞くことができた


「残念ながらまだ国民的な議論が十分に盛り上がらなかったのが事実であり、それなしには進めることはできないのだろう」八月二十八日、辞意表明の記者会見で憲法改正ができなかったことに対する質問への安倍前首相の弁。筆者はこの欄でかの人の言動を幾度となくとりあげては切り刻んできたが、今回はじめて言おう。本当の言葉を聞くことができた▼政権投げ出しの理由は内政・外交とも八方ふさがりだったからと言われるが、任期中の改憲は無理と自覚したこと、それが決定的だったことは間違いない。その悔しさから彼には珍しく正直な心情吐露となったのだ▼もっとも同じ会見で、改憲できなかったのは「断腸の思い」とも語っている。おっと、これは見過ごせない。断腸とは中国の故事。兵士がたわむれに子猿を捕まえたところ母猿が百里もあとを追いかけついにもだえ死んだ。そのお腹をさいてみると腸が切れ切れになっていた。母猿の子への愛の深さを表現したのだが、かの人はだれを思ったのか▼安倍さんが去り、こんな突っ込みができなくなると心配していたがそれは無用だった。アベ政治を全て継承するという方が新首相になったのだから。(T)

(兵庫民報2020年9月27日付)