日本共産党兵庫県文化後援会は二〇二〇年研修会を八月二十三日、神戸市内で開催。森原公敏日本共産党中央委員会・国際委員会副責任者が「日本共産党改定綱領の示した展望に学ぶ」と題して講演しました。
森原氏は、改定綱領の開いた三つの視野として、①二十世紀に進行し、二十一世紀に生きた力を発揮している「世界の構造変化」の最大のものが植民地体制の崩壊と百を超える主権国家誕生にあること②資本主義と社会主義の比較論から解放され、本当の社会主義社会への展望をよりすっきりとした形で示せるようになったこと③発達した資本主義国での社会変革は社会主義・共産主義の大道の命題を堂々とおしだすことができるようになったことを志位和夫委員長の党大会結語から紹介しました。
世界の構造変化
世界の構造変化について森原氏は、今では国連で大国も小国も等しく一票であり、民族独立などが当たり前になっているが、植民地が残っていた七十五年前はそうでなく、インドネシア、ベトナム、ビルマ、インドと植民地の独立が広がり、これらアジアの独立国が呼びかけたバンドン会議を経て、一九六〇年に国連で、国々の平等、民族独立の権利が承認されたという経緯を紹介しました。
森原氏は、二十一世紀の希望ある流れとして、核兵器問題でもNPTの五か国核兵器体制から核兵器禁止条約への流れ、戦争と平和の問題でもASEANの国と国の戦争しない条約からASEANと大国の戦争しない体制へ、大国の核に依存する軍事同盟から平和の協力への流れ、ジェンダーなど国際的な人権保障の発展などを紹介しました。
社会主義社会への展望
資本主義の矛盾の深まりと社会主義の新たな復権が起こっていることについて森原氏は、自身の海外赴任体験もまじえて語りました。
アメリカでも普遍的医療保険、授業料無料、生活水準を維持できる賃金などが「社会主義」の理想としてあげられる事態になっており、その背景に、新自由主義路線のもとでの深刻な格差の広がり、地球規模での気候変動などがあると指摘しました。
綱領は単純に社会主義になれば解決すると書かずに、資本主義の中で社会保障充実を求めている人々、環境破壊に抗してたたかっている人々からも共感が得られるように工夫していることも強調しました。
中国についての規定
森原氏は、中国についての綱領上の規定について語り、この間の中国の行動に以前の党大会で警告してきた大国主義・覇権主義が顕著になり、人権侵害も深刻化していることは、社会主義の原則や理念と両立しないと批判し、「科学的社会主義をめざす新しい探求が開始」された国と判断する根拠はなくなったとして、該当部分を綱領から削除したと説明しました。
また、森原氏は、綱領で帝国主義規定もさらに明確化したことと、「発達した資本主義国での社会変革は社会主義・共産主義への大道」であることを鮮明にした綱領の魅力を大いに語っていこうと訴えました。
◇
講演の後、堤隆二後援会事務局長が、総選挙勝利に向け日本共産党を大いに語ろうと今後の計画を報告。九月二十六日のジェンダー問題学習会・十一月の作品展の開催計画、季刊誌『風を起こす』の発行などを報告しました。
その後、各分野のとりくみも交流しました。「演劇は、会場定員の半分しか客を入れられないもとでの開催は大変」「演劇は施設使用料の減額が実現したが、映画は認められていない」「合唱は練習自体が三密となるため、対策を探求している」などの発言がありました。
小林明男共産党兵庫県常任委員も挨拶、段野太一会長の挨拶で閉会しました。
(兵庫民報2020年8月30日付)