三月二日の兵庫県議会本会議で、日本共産党の庄本えつこ議員が一般質問を行いました。
新型コロナウイルス感染症対策
庄本議員は、冒頭、前日に兵庫県で初めて新型コロナウイルス感染症患者がでたことを受け、迅速な検査の実施、正確な情報提供など、拡大防止に万全を尽くすことを求めました。庄本議員は、二〇二〇年度予算案が、県の行財政運営方針のもと、国の「全世代型社会保障」による社会保障切り捨て政策と一体に、医療、福祉、教育を削る一方、但馬空港の滑走路延長、全国二位となっている高速道路網の新たな延伸、県庁再整備とセットである元町の再開発など新たな投資事業を次々と進めようとしていることを批判。そのうえで、新型コロナウイルス感染症対策については本予算案のなかに、一円も措置されていないことを批判し、「大型開発優先の姿勢をあらため、喫緊の新型コロナウイルス感染症対策に万全の対策をとるための予算措置を行うなど、暮らし、福祉、子育て応援の予算にすべきだ」としました。
井戸敏三兵庫県知事は、新型コロナウイルス感染症対策について、「これ以上患者を広げないために力をつくす。休校措置にかかわる休業補償や、影響を受ける産業への補償など国の措置もふまえ対応したい」としました。
神鋼石炭火力発電所増設中止を
日本と世界、県内でも広がる気候変動抑制を求める若者らの声を受けた温室効果ガス削減の対策については、井戸敏三知事が予算案の説明の中で、気候変動問題を重視し、「温室効果ガスの二〇三〇年度目標値を見直す」などの施策をすすめることを表明。現在の県の三〇年度温室効果ガス削減目標は、国の目標に準じた、一三年度比二六・五%と気温上昇を一・五℃以内におさめるための、二〇五〇年ゼロカーボン水準からは、かけ離れたものとなっています。庄本議員は、「二〇三〇年目標を、二〇五〇年ゼロカーボン水準に引き上げ、一九九〇年比四〇~五〇%削減など積極的な目標とし、そのためにも神戸製鋼による新たな石炭火力発電所建設の中止を求めるべきだ」としました。また県として気候非常事態宣言を行うよう求めました。
井戸県知事は、「ゼロを目指す道筋をしっかりつくりたい」とし、県担当者は、「二〇三〇年度温室効果ガス削減目標を見直し、長期目標を策定する」としました。
公立・公的病院と地域医療守る立場に
県内十六病院が名指しされている公立・公的病院の統合再編への「再検証要請通知」について庄本議員は、「総務省は、再検証要請通知にもとづく議論をふまえ『新公立病院改革ガイドライン』を改訂し、さらなる統合再編をすすめようとしている」としたうえで、「国の求める再編統合、ダウンサイジングを進めるのではなく、病院と地域医療を守る立場で議論をすすめるべきだ」と主張しました。県当局は、「国の再検証要請通知は、地域医療構想調整会議での議論を活発化させ、地域医療構想を促進させるためのもの」とし、「地域の実情に応じ議論する。医師確保対策はすすめていく」と述べました。
県制度で中学三年まで医療費無料化を
庄本議員は、小学四年からは窓口負担が二割など、いまだに子どもの医療費の負担がある尼崎市の実態をふまえ、県制度として中学三年まで所得制限なく、医療費無料化を行うことを求めました。校則改定に生徒参加、地毛証明書撤廃を
庄本議員は、昨年、国連子どもの権利委員会から日本政府に四度目の勧告を受けたことをふまえ、県立高校の校則の問題をとりあげました。庄本議員は、二〇一七年度調査で、五十八校に地毛証明書があることを告発。「そもそも生まれ持った外見上の特性を指導の対象にすることこそ、人権侵害ではないか」と県教育委員会を批判しました。子どもの権利をしばる校則策定においては、子どもたちがその策定に参加・討議していくプロセスに教育的意義があり、「子どもの権利条約」の立場でもあるとしたうえで、「子どもの権利条約にのっとり、どの学校にも子どもたちの意見表明が保障される場をつくるよう提言すべき」「生徒参加の校則改定の取り組みを重視すること、地毛証明書は撤廃すること」などを求めました。
ジェンダー平等へ
ジェンダーギャップ指数で二〇一九年、百五十三カ国中百二十一位となったことをうけ、ジェンダー平等への対策を求めた庄本議員。兵庫県では、女性の就業率が全国四十一位の低水準となっていることなども指摘しながら、「ひょうご男女いきいきプラン」に、賃金格差解消、ハラスメント防止などを盛り込み、兵庫県としてパートナーシップ条例を制定することを求めました。核兵器禁止条約署名・批准を国に求めよ
最後に庄本議員は、核兵器廃絶の取り組みについて質問。核兵器禁止条約の署名国が八十一カ国、批准国が三十五カ国となったと紹介し、井戸知事に対し、「核兵器廃絶国際署名に賛同した知事から、国に対し強く、核兵器禁止条約の署名・批准を要請すべき」と迫りました。また、被ばく七十五年を迎える今年の兵庫県原爆死没者慰霊祭については、県として財政措置を行うなど、一緒に取り組み、核兵器廃絶を世界に発信すべきだと求めました。
井戸県知事は、「核兵器廃絶国際署名に賛同したものとして、引き続き国際署名の推進を行っていく。兵庫県原爆死没者慰霊祭については、県職員の参加と財政支援を引き続き行っていく」としました。
(兵庫民報2020年3月8日付)