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2020年2月23日日曜日

2020年度兵庫県予算案:巨額の投資事業相次ぐ

二月十八日、井戸敏三兵庫県知事は、二〇二〇年度兵庫県予算案を発表しました。
兵庫県政は、この間、安倍政権の「地方こわし」と一体に福祉と県民サービスを切り捨て、大型開発と大企業誘致をすすめてきた結果、人口流出に歯止めがかからず、八年連続で「転出超過」となり、二〇一九年は、転出超過ワースト四位となっています。しかし新年度予算案は、そのことに無反省なものです。
予算案の一般会計は総額一兆九千九百五十六億円で前年比三・一%増、特別会計、公営企業会計を合わせた全会計の予算規模は、前年比四・六%増の三兆九千五百四十九億円で過去二番目の規模となっています。

病院再編統合推進などの一方で東播磨丹波連絡道など新たな大型事業も

歳入では、県税等が八千五百六十六億円(前年比三・三%増)で過去最大規模になっていますが、その主な要因は、消費税の一〇%に伴い、地方消費税収が三百八十七億円の増収となり、県税の三二%(法人関係税二一・八%、個人県民税二五・三%)を占めるなど、県民に負担増が押し付けられた結果に他なりません。


*
歳出では、社会保障関係費に、国の施策にともない幼児教育・保育の無償化、高等教育の無償化などが予算化される一方、新たな補助金で、病床の削減や病院の再編統合などを推進する予算が含まれています。
また国民健康保険事業については、独自の公費繰り入れを行っている市区町村が多いとされ、国から減額ペナルティを受ける予算規模になっています。高すぎる国保料(税)の引き下げには、背を向けています。
公共事業では、河川や砂防ダムなどの浚渫をすすめる緊急浚渫推進事業など新たな防災・減災対策が盛り込まれる一方で、全国二位の高速道路をさらに延伸させるために大阪湾岸道路西伸部整備支援、播磨臨海地域道路計画調査費とともに、今年度新たに東播丹波連絡道路計画調査費がつけられるなど不要不急の事業予算を十分に確保しています。
毎年、約五億円の県財政支出を余儀なくされている赤字路線である但馬空港に対し、羽田空港やアジア就航をめざし二千メートル級の新たな滑走路をつくるための検討予算も盛り込まれました。
総額七百億円といわれる県庁舎再整備計画の予算化、三宮再開発と一体にした元町再開発の検討、阪神南県民センター・阪神北県民局の統合に向けた庁舎整備、佐用、養父、豊岡北警察署をそれぞれ隣接署に統合するなどの警察組織再編等が予算化されています。
尼崎や姫路でのパナソニック工場誘致が破綻し、失敗があきらかになっている産業立地促進補助については、反省もなく増額されています。

私立高校授業料軽減、駅バリアフリーなど県民要求運動を反映した予算も

一方で、予算案には、尼崎市と加東市への児童相談所の設置、六駅のホームドア設置、九駅のバリアフリー化、県東部障害児者リハビリテーションセンターの開設、重度肢体不自由児者の訪問リハビリ利用料助成、社会福祉法人などへの奨学金返済支援制度の創設、私立高校の授業料軽減措置の拡充(五百九十万円未満世帯の実質無償化、九百十万円未満程度世帯への段階的上乗せ)、家庭用太陽光発電設備設置補助など、この間の要求や運動を反映した予算も盛り込まれています。
党県議団は、十八日に開会した二月議会で、県民の要求実現をめざし、論戦を行っていきます。


予算案に計上された改良対象駅

〇鉄道駅舎ホームドア設置支援
・JR三ノ宮駅
・JR神戸駅
・JR西明石駅
・JR尼崎駅
・阪急神戸三宮駅
・阪神神戸三宮駅
〇鉄道駅舎エレベーター等設置補助
・阪急春日野道駅
エレベーター、改札
・阪神大開駅
エレベーター、
多機能トイレ
・山陽大塩駅
エレベーター、
多機能トイレ
・山陽林崎松江海岸駅
エレベーター、
多機能トイレ
・山陽東須磨駅
エレベーター、
多機能トイレ
・山陽中八木駅
改札、スロープ
・神鉄花山駅
スロープ、
多機能トイレ
・神鉄大池駅
改札、多機能トイレ
・神鉄道場南口駅
スロープ

(兵庫民報2020年2月23日付)

神戸市政をかえ、未来に希望を:神戸市2020年度予算案:暮らし応援なおざり、新たな駅前再開発

久元喜造神戸市長は、二〇二〇年度予算案を公表しました。
神戸市は二〇一八年に人口減少数が全国一位になりました。これは、神戸市が政府言いなりですすめてきた大企業誘致頼みでは人口を増やせなかったことの証明でもあります。
市長はこれまでの人口減少対策が不十分であったことを認めましたが、今回出した新たな人口減少対策「駅周辺のリノベーション」は、名谷・垂水・西神中央・谷上駅周辺のタワーマンション誘致中心の再開発で、学校や保育所の過密や近隣の空き家問題が懸念される中身です。予算額は二百一億円ですが、大半が都心三宮の市役所と区役所を複合型高層商業ビルへと変える、公共施設の「削減」と「民間開放」がセットの駅前再整備費使われます。
一方で市長は、安倍政権の消費税増税強行による、市民や業者の生活と営業の悪化には配慮せず、暮らし応援はなおざりになっています。
母子福祉パスは廃止され、市長公約であった「子どもの医療費無料化」など、子育て教育支援は見送られています。また敬老パス制度の改悪や、下水道料金の値上げで市民負担は増すばかりです。
内部に目を向けると市長は不正常な労使関係が生んだヤミ専従や、教員の不祥事などの問題は根本にメスを入れることなく、定員削減や過密労働を押し付け、住民目線ではなく職員が市長の顔色をうかがうブラック企業化する市役所に変貌させつつあります。
今年の一月で阪神・淡路大震災から二十五年がたちました。被災者の苦難に寄り添い、最後の一人まで被災者を救うのが自治体の責任ですが、「神戸のまちは一〇〇%復興」と言い切る市長の冷たい態度は今の市政を象徴しています。
いま神戸市に求められているのは、足元から市民の暮らしを豊かにする道に転換をすることです。
戦後最悪の安倍政権と久元市政が一体におし進める「新自由主義」的なトップダウンの悪政のもと、幅広く個人や団体が立ち上がり、「敬老・福祉パス改悪ストップ」「あたたかい中学校給食実現」「神鋼火力発電問題」「スマスイ(須磨海浜水族園)民営化問題」など地域ぐるみでの運動が大きく広がっています。
そうした市民の粘り強い運動で、中学校給食費の保護者負担の半減や子育て住宅リフォームの助成、コミュニティバスの運行補助など新年度予算案で実現した施策もあります。
日本共産党神戸市会議員団は、立ち上がった市民のみなさんと手を取り合い、いま神戸で働き暮らす人たちを一番に大切にする市政への転換をめざして頑張る決意です。

(兵庫民報2020年2月23日付)

日本共産党神戸市会議員団が予算懇談会:広範な市民との共同で市政をかえよう


日本共産党神戸市会議員団は二月十三日、神戸市勤労会館で予算懇談会を開催しました。森本真団長が、久元神戸市政の特徴と新年度予算編成方針を説明した後、今回初めて懇談会に参加した人びとや各分野で活動している人びとなどから、様々な意見や要望が述べられました。
▽自衛隊への情報提供を停止させる請求書を神戸市に提出した高校生は「神戸市が勝手に僕の情報を自衛隊に提供するのはおかしい。反対の声をあげていく」▽気候危機問題で活動している大学生二人は「大人たちの経済発展のために、なぜ私たちが犠牲にならなければいけないのか。神戸市は非常事態宣言をすべき」▽六甲病院存続の運動をしている女性職員は「毎日、朝昼晩と病院の前で一人で署名を集めている。地域医療を守るためにがんばる」▽須磨水族園の運動をしている男性は「市民の意見も聞かず事業を一方的にすすめることに強い憤りを感じる」▽須磨多聞線の運動をしている男性は「公害調停に神戸市がでてこないのは過去に例がない。住民らが話し合いを求めているのに神戸市は全く応じない」▽借り上げ住宅問題では弁護士が「裁判五年というのは心身の疲労、ストレスがピーク、これ以上続けるのは困難だ。最後のセーフティネットを行政が破壊している」、また別の弁護士は「国の政策によって格差がうまれ、生存権がおびやかされている」―等々多様な声が出され、市民の声を聞かずトップダウンですすめる久元市政の実態が浮き彫りになりました。
その他、「原発」「敬老パス」「中学校給食」「鈴蘭台幹線」「子ども医療費無料化」などについての発言や、「栄駅周辺住民の足を考える会」「須磨九条の会」「あったか神戸」の各団体からの意見・要望の発言がありました。
最後に森本団長が「立ち上がった市民のみなさんと手を取り合い、いま神戸で働き暮らす人たちを一番に大切にする市政への転換をめざして頑張ります」と挨拶、拍手で閉会しました。
懇談会終了後には「たくさんの課題、意見が聞けて良かった」「市の予算を詳しく知る機会はめったになく勉強になった」「様々な問題を知ってとても勉強になった。お互いに協力する感じがとても良いと思う」など、感想が寄せられました。

(兵庫民報2020年2月23日付)

社会保障改悪を跳ね返そう:北区社会保障推進協議会第24回定期総会

北区社会保障推進協議会は二月八日、神戸市北区内で第二十四回定期総会を開きました。
総会では高山忠徳事務局長が、中央社保協の「二十五条署名」や北区の地域医療を守る運動など行動計画を提起しました。
来賓の朝倉えつ子神戸市議は、敬老・福祉パスの制度改悪を止めるため、十万筆の署名目標を目指して一緒に頑張りたいと表明。鈴蘭台駅前再開発について、関係住民にまともな説明ができないまま進めようとしており、駅前だけが便利になるのではなく、その周辺が住民にとって買い物や交通の便など暮らしやすくなるものでなければいけない、来年は市長選挙もあり、市民の声を聴く神戸市政にしたいと述べました。
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総会後、神戸大学発達科学部の井口克郎准教授が「社会保障を劣化させる『全世代型社会保障』―その狙いと本質」と題して記念講演しました。
井口氏は、憲法二十五条と社会保障の関係について詳説。健康で文化的な生活は国民の権利であり、国には社会保障を常に向上する義務があることを明らかにした上で、一九九〇年代以降の歴代自民党政権による社会保障抑制・後退政策は、新自由主義の下での構造改革であり、雇用の規制緩和、社会保障の抑制で労働者・市民に「痛み」を押し付け、グローバル大企業、輸出大企業の利益を優先するものだと批判。二〇〇〇年代の「格差社会」、貧困と不平等の蔓延へと続く悪政の根本原因だと述べました。
二〇一二年の社会保障制度改革推進法について、憲法二十五条を空文化させ、第二次安倍政権以降の社会保障改革は同法をもとに推進されてきたと述べました。「全世代型社会保障」改革について、世代間分断をあおり、負担を「世代」におしつけるもので、企業の財源負担を免罪し、社会保障の負担を「世代」のみで支えるもののように洗脳しようとするものだと指摘。消費税増税による庶民への負担押し付けを批判しました。
最後に、「全世代型社会保障」への対抗軸として憲法と国際条約、すでに日本が批准している国連人権規約、社会権規約の履行を求める運動など多彩な行動で社会保障改悪を跳ね返そうと講演を結びました。
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総会では、稲波悦子事務局長(新)ほか役員を選出しました。
(松浦勝=東神戸医療互助組合北支部)

(兵庫民報2020年2月23日付)

日本共産党国会議員団兵庫事務所だより:大学授業料等減免在学生には経過措置――大門参院議員と党市議の連携で周知

二月六日、七日と、政府への申し入れと政府からの聞き取りを行いました(本紙十六日付)。
申し入れ項目の中に、「高等教育の修学支援新制度で、これまで各大学・自治体が行っていた授業料等減免を最大限カバーすること」というのを入れました。
実はこの問題には前段がありました。
現在、獣医学部四年生のAさんは、学費免除と貸付型奨学金を受け、家族に負担をかけずに学んでいますが、このたび政府がつくった「修学支援新制度」が適用されたら、学費免除対象外となり、奨学金も減額されることがわかりました。
Aさんには妹がいます。「妹も進学させてあげたい」と願うAさんは、自分が学費免除されなくなり、奨学金も減額されたら、もう大学に通い続けることはできないと、泣きながら母親に電話してきたそうです。
相談を受けたわが党の市議会議員が、大門みきし参議院議員と連携し、文部科学省に聞き取りを行ったところ、在学生には経過措置が取られる予定であることがわかりました。
大学にこのことをわかりやすく学生へ説明するよう求めたところ、すぐに掲示板に文書が張り出され、Aさんをはじめ学生たちはほっと一安心、明るさが戻ったということでした。
ただしこの事実は、新制度が今の水準から後退することを示しています。国がはじめて学費減免制度と給付型奨学金制度を設けたことは良い事ですが、これまでより水準が下がるのでは、新たに経済的理由で行きたい大学へ行けない場合が出てきます。これは文科省としても不本意ではないかと新制度拡充を申し入れました。
当局も拡充に努力する旨を表明しましたので、引き続き要求していきたいと思っています。
(金田峰生)

(兵庫民報2020年2月23日付)

尼崎から日本共産党の国会議員を:党尼崎地区委員会が躍進の集い

こむら潤さん
山下よしき副委員長

尼崎から日本共産党の国会議員を国会へ送り出し、市民と野党の共闘で野党連合政権を誕生させようと二月十五日、尼崎市内の中央北生涯学習プラザ大ホールで「二〇二〇年躍進の集い」が行われました。主催は日本共産党尼崎地区委員会。
冒頭、流目茂・尼崎地区委員長が改定した綱領を力に市民と野党の共闘の前進と日本共産党の躍進でこむら候補の当選を果たそうと呼びかけました。党尼崎後援会の嵯峨操さんは、世界最悪水準である日本のジェンダーギャップ指数を挙げ、多様性を強調、「女性の国会議員を誕生させ希望のある年にしたい」と語りました。
続いてこむら潤衆院近畿ブロック比例・兵庫八区予定候補が、三人の子どもの母親として子どもの未来のため、「戦争にはっきりノーと言える日本にしたい」と力強く決意を表明し、最後に山下よしき党副委員長・参院議員が、「兵庫から四人目の女性国会議員を誕生させよう」と結びました。
集いはクラリネットとピアノの演奏で始まり、新社会党尼崎総支部副委員長の都築徳昭尼崎市議、緑の党の酒井一尼崎市議から野党共闘に力を尽くす共産党への連帯の挨拶、前進座からも応援の挨拶がありました。

(兵庫民報2020年2月23日付)

丹波篠山に春呼ぼう:市議選は4月、日本共産党が集い


「丹波篠山市議選勝利・日本共産党春を呼ぶ集い」が二月十五日、篠山市民センターで開催されました。六十名の参加者で会場一杯になりました。
四月の丹波篠山市議選(四月二十六日投票)に向け、前田えり子市議が三期十二年間の報告と市議選への決意を述べました。特に人権条例反対の取り組み、県下一高い水道料金問題の取り組みなどについて強調しました。
また、支持者の五人の方から日本共産党と前田さんへの応援スピーチがありました。「春を呼ぶえり子さん」の川柳も飛び出しました。
最後は、歌をみんなで三曲歌い、閉会しました。(西脇秀隆=丹波市議)

(兵庫民報2020年2月23日付)

韓国平和団体SPARK:「非核釜山港条例」実現めざし兵庫県の平和団体と交流

会下山公園「朝鮮人労働者の像」前で追悼するSPARKの代表団

韓国の平和団体(「平和と統一を開く人々」/SPARK)の代表団十人が、非核「神戸方式」の調査、兵庫県の平和団体との交流を目的に来県しました。四月に行われる韓国総選挙で「非核釜山港条例」を実現するための調査活動でした。
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二月十四日、神戸市内で「釜山港と神戸港を非核・平和の港に―日韓平和交流のつどい」が行われ五十人が参加しました。
開会の挨拶を行った兵庫県原水協の津川知久・筆頭代表理事は、「つどい」が「非核釜山港条例制定の突破口」「非核・平和の北東アジア共同体づくりの突破口」「非核・平和の地球づくりの突破口」となることの期待を述べました。そして、釜山・韓国と神戸・日本の非核の港づくりの市民運動が合流し、米国に追随した両国政府の「核兵器禁止条約反対」の態度を転換させるために持続的な運動にすることを呼びかけました。
兵庫県原水協の梶本修史事務局長が、「非核『神戸方式』の誕生と画期的な意義」、森本真・日本共産党神戸市議が「神戸市政の平和行政の実態」について報告。
SPARKの釜山地域の代表バク・ソックブンさんが、「釜山平和の足跡」と称する平和活動のプランを報告、米軍基地の実態、基地撤去の闘い、非核「神戸方式」をモデルにした釜山市の非核平和条例の制定の取り組みなどについて報告しました。加えて、SPARKとして「ヒバクシャ国際署名」に取り組んでいることも紹介されました。
参加者からの質問に答えて、「米軍や韓米軍事同盟への反対を理解してもらうことは簡単でないが粘り強く訴えることが大切」「米追随の姿勢が強い政権を変える課題が重要」などていねいに説明しました。韓国側から、安倍政権の危険性とのたたかい、政権とマスコミの関係、青年の運動参加などについて質問が出され、参加者からも考えが紹介されました。
その後の交流会では、成山太志・兵庫労連議長が歓迎と連帯の挨拶を行いました。韓国の歌での歓迎に対して、韓国代表も歌とダンスで応え熱心に交流が行われました。
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十五日は、潜水艦建造が行われている神戸港、六甲山頂の自衛隊通信基地を調査してまわりました。途中、釜山市議が来神、合流し松本則子市議、今井正子市議と平和行政の実態、市政への働きかけ方などについて懇談、交流しました。
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十六日は、在日外国人人権協会の孫敏男代表から神戸市での強制連行問題について詳細な調査結果を報告してもらいました。川崎重工や三菱重工、神戸港での強制連行の実態に驚きの声があがりました。
SPARKの代表は、会下山公園に設置されている「朝鮮人労働者の像」を訪れました。この像は、一九二七年から一九三六年にかけて神戸電鉄敷設工事で犠牲になった朝鮮人労働者十三人を追悼し、両民族の友好と親善のために建てられたもので、代表はその前で追悼の踊りを舞い、一人ひとり弔辞を述べながら祈りをささげました。嗚咽しながら弔辞を述べる姿に日本の植民地支配の罪の深さを実感させられました。
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釜山市と神戸市の平和団体は、今回の交流を持続し共同を強めるために「第二回日韓平和交流のつどい」を、来年釜山市で行うことを約束しました。

(兵庫民報2020年2月23日付)

九条の会.ひがしなだ:深草徹『戦後最悪の日韓関係―その責任は安倍政権にある』出版記念講演会


九条の会.ひがしなだは二月十五日、神戸市東灘区内で、『戦後最悪の日韓関係~その責任は安倍政権にある』出版記念講演会を開催し、著者の深草徹さんが「日韓関係の来し方、行く末を考える」と題して講演しました。
同会の共同代表でもある内田樹神戸女学院大学名誉教授が、「若者たちが政治に関心を失ったのは、『自分たちが何をしても、政治は少しも変わらない』という幻滅を深く身体化しているからです。彼らをもう一度、政治に呼び戻すためには、個人の自発的努力の集積によって、国のかたちは変わるということを、事実として示す他ありません」と、応援メッセージを寄せ、兵庫県弁護士九条の会の羽柴修弁護士も「時宜を得た出版」と、協賛の挨拶をしました。
深草氏は労働、公害事件などを中心に、平和と民主主義、生活と権利を守る弁護士として活躍した後、深草憲法問題研究室を主宰しています。
日韓の賠償問題についても、「日本政府は従来、『個人の請求権は残っており、個別に裁判できる』との見解でしたが、二〇〇〇年代に入って、『個人の請求権はなくならないが、裁判はできない。すべて日韓協定で解決済み』との見解に転換した」と指摘。
「責任はすべて韓国政府にあり、とする強硬姿勢が、事態を悪化させ、逆に〝嫌韓バブル〟をあおるなど、解決を長引かせている」と批判。安倍政権が「過去の侵略戦争と植民地支配の歴史と真摯に向き合わない限り、日韓間の懸案事項の真の解決は、あり得ない」と強調しました。
加古川など遠隔地からの来場者も多く、質問、相談なども相次ぐなど、日韓問題への関心の高さが浮き彫りになりました。
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深草徹『戦後最悪の日韓関係~その責任は安倍政権にある』かもがわ出版、二〇二〇年一月刊。→ http://www.kamogawa.co.jp/kensaku/syoseki/sa/1071.html

(兵庫民報2020年2月23日付)

市民アクション東灘が学習会:「日常化」する「有事」の現状――坪井阪南大学准教授が解明


「神戸が戦争と密接に絡んで発展してきたのが良く分りました」「なぜ神戸が(空襲で)狙われたのか分った」などの参加者の声が寄せられました――。
安倍改憲NO!署名に取り組む「市民アクション東灘」は、「『日常化』する『有事』の現状~神戸の陰影」と題して、坪井兵輔さん(阪南大学国際コミュニケーション学部准教授)の講演による学習会を二月十五日、東灘区民センターで開催しました。
坪井さんは、最初に夜景が栄える身近な神戸の映像を紹介しながら「神戸は、平和な美観としての百万ドルの夜景とは裏腹に、開港以来近隣諸国への植民地支配の拡大とともに発展し、植民地進出の窓口として、さらには軍事産業とも深く関わりながら発展し」、戦争推進の役割を担ってきた戦前の歴史を振り返って解説しました。
神戸だけでなく、宝塚や西宮など阪神間の至る所で軍事関連の工場や戦争遂行の施設があったことから、戦争末期の空襲は熾烈を極めことなど映像を示しながら説明。戦後、平和憲法が制定された以降も、軍事との関わりは続き、一例として原発やミサイルも製造している三菱重工や川崎重工は、わが国で唯一潜水艦建造を神戸で続けている事、哨戒艇を制作している新明和、掃海艇の基地となっている海上自衛隊阪神基地の危険性などが紹介されました。
最後に、海や山に恵まれ、観光資源や先進的な医療体制の存在、さらには船舶などの修理・修繕、軍需物資の補給機能から兵站機能も有する神戸は、米軍にとって格好の後方支援基地として虎視眈々と狙っていること、それだけに非核「神戸方式」をなんとしてでも堅持する事の重要性を再確認した学習会となりました。
(藤丸徹)

(兵庫民報2020年2月23日付)

長田共同アクションが講演会:安倍政治から希望の持てる社会へ――浜矩子同志社大学教授が提言


二〇一七年に結成された「市民と野党の長田共同アクション」は、二月十六日に経済学者で同志社大学大学院教授の浜矩子さんを迎え、結成以来三回目の講演会を新長田で開き約二百七十名の参加者で会場は熱気にあふれました。
浜矩子さんは、「安倍政治とは何政治なのか」からひもとき、その特徴をズバリ「戦前回帰の二十一世紀版大日本帝国づくり」と喝破しました。
さらに「今警戒すべきことは何なのか」と続き、安倍政権が人間を物化(消耗品)させ、企業が最大利益を上げるために「柔軟で多様な働き方改革」なるものを実施しようとしていると指摘。
では安倍政権を倒したあと、「希望ある社会とはどんな社会なのか」のエッセンスについて語り、それは「君富論(あなたの幸せを願う)」に立った「ケア(いたわり)シェアリング(共有する)社会」だと現在の安倍政権とは対照的な社会像を描きました。
最後に「いま、光チームと闇チームの綱引き」の状況であることを指摘したうえで、『聖書』の教えを引き合いに安倍政権の宿命的敗北の確信を語り九十分に及ぶ講演をしめくくりました。
講演後約三十分間の質疑応答にも丁寧な回答をいただき、参加者からは「素敵な講演会を企画していただき、ありがとうございました」「DVDに録画してください。地域にも広げていきます」など喜びの声が寄せられました。(岡民雄=同アクション事務局)


翌日、浜矩子さんより長田共同アクションに以下のメールが届きました。
*
熱気溢れる皆さんの前でお話申し上げる機会を頂戴し、誠に光栄でしたし、実に勇気づけられました。この市民力をもってすれば、光チームの勝利は一段と間違い無しだと確信を深めた次第です。
浜矩子より

(兵庫民報2020年2月23日付)

憲法どおりの日本社会に:「建国記念の日」不承認――神戸で県民集会

「2・11『建国記念の日』不承認兵庫県民集会」が十一日、神戸市内で開催されました。同実行委員会が主催。
兵庫歴史教育者協議会の山内英正氏が開会挨拶。実行委員会事務局長の稲次寛氏(高校教諭)が基調報告と実践報告をしました。
稲次氏は、同集会が今年で五十四回目となったことを紹介。不承認の理由について①歴史上何の根拠もない②戦前の紀元節が天皇の名のもとでの侵略戦争に利用され、日本国憲法のもとではふさわしくない日である③憲法が国民の中に定着することを妨げ、アメリカいいなりに戦争する日本をつくろうとする政府の意図と軌を一にする―と指摘。改憲阻止の世論をひろげて、国会発議を許さず、憲法どおりの日本社会実現のために共同を広げようと強調しました。
高校生の作成した「鶉野飛行場物語」の実践報告では、戦争遺跡「鶉野飛行場跡」を調べて、飛行場がつくられた経過・役割・今ものこる「弾薬庫」「防空壕」「平和の碑」などを動画でたどりながら、平和の大事さを伝えるツアーガイドを行っている高校生を紹介。参加者に感動がひろがりました。
「天皇制と憲法の関係――特に人権論の視点を踏まえて」と題して、福嶋敏明氏(神戸学院大学教授)が記念講演。この間の天皇の「代替わり」と「生前退位」の経過にかかわる問題点を指摘しました。立憲主義の核心である「個人」の尊重原理の意義を強調しました。
県原水協の梶本修史事務局長が閉会挨拶。この日に奉祝パレードも行われていること、一方で日本会議の拠点である湊川神社に被爆者国際署名が置かれていることも紹介し、憲法を守るせめぎあいのたたかいに勝利しようと訴えました。

(兵庫民報2020年2月23日付)

藤田佳代舞踊研究所「創作実験劇場」:「逬る」テーマに9新作

昨年の創作実験劇場から(撮影:中野良彦さん)

藤田佳代舞踊研究所がモダンダンスの作舞者・舞踊手の育成のために主催する「創作実験劇場」。ことしは三月十四日、兵庫県立芸術文化センター神戸女学院ホールで開催されます。
今回は「逬る」をテーマに九つの新作品が発表されます。
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注目は高校生デュオ、大学生デュオの二作品です。
菊原麻理奈・渡邊菜子作品「水鏡」―ありのままの姿を映す水鏡。高校生二人で作舞して今回初めて踊ります。
稲益夢子・菊原麻衣花作品「vibrant」―真っ白から次第に染まりゆく活気にあふれた鮮やかな心を大学生二人が創作しました。
藤田佳代作品「迸る」―地球は宇宙の中のどこかにあって、そこに住む人間は宇宙人。アフリカを出発し何万年もかけて地球のいたるところに。「この向こうには何かある」それを見たい知りたいと進んでいったのでしょう。今、地球を離れてあの星へ行ってみたいと思う人もいるはず――。
この他、寺井美津子作品「かげろひ」、金沢景子作品「還る」、菊本千永作品「この子が無事に帰るまで」、かじのり子作品「わたし――彼女の延長」、向井華奈子作品「掘る人」、平岡愛理作品「追憶」……群舞、ソロとりまぜて発表されます。

藤田佳代舞踊研究所モダンダンス公演「創作実験劇場」
3月14日(土)17時開場・17時30分開演、兵庫県立芸術文化センター神戸女学院ホール/入場料2,500円(当日3,000円)/問い合わせ・チケット購入はTel.&Fax078‐822‐2066、http://www2s.biglobe.ne.jp/~fkmds/

(兵庫民報2020年2月23日付)

兵庫山河の会 二月例会より

アフガンの砂漠を沃野に変えし医師希望の水路生命の源
 西澤 愼

ドラッグの前にあふれる人の列横目に見つつ息つめていく
 山下 勇

資料展父の軍歴展示されニューギニアより父蘇える
 鵜尾和代

居直って逃げ切りめざす首相いて老いてはおれない気合いだけでも
 大中 肇

ヒューマンな杉原千畝に憧れて六時間かけ生地訪ぬる
 岸本 守

散りしける椿の花びらよけんとし夕風のなか危うきステップ
 山下洋美

寂しいよ寒いひもじいと子らの声南風原に建つ学童疎開碑
 塩谷凉子

大海にむかいてひたすら流れゆく筑後川に託したる夢
 古賀悦子

おそらくは再来のなきポーランド行き交ふ人をしばし見てゐる
 石井敏子

この年は目標もなくゆるゆると上機嫌にて暮らしてゆこう
 古谷さだよ

分からなくなってきたのが日本語で真摯 寄り添う 謙虚 丁寧
 新井 幸

(兵庫民報2020年2月23日付)

観感楽学

新型コロナウイルス感染への不安も乗り越えて、二月十四日の日本・神戸に韓国・釜山から「非核神戸方式を学びたい」と『平和と統一を開く人々』のメンバー十名がやってきた。神戸市への表敬訪問、非核・平和を求めるたたかいの交流、かつて米軍基地があった神戸港・六甲山頂の見学、神戸における朝鮮人強制労働の実態学習という濃密な二泊三日だった▼そのしめくくりが兵庫区・会下山公園のはずれにある「神戸電鉄敷設工事朝鮮人労働者の像」前での慰霊祭。戦前、湊川から有馬・三木へと向かう難工事に千名を超える朝鮮人が労働を強いられ十三名が亡くなったのだ。準備してきた喪服のチマチョゴリをまといアリランをしめやかに舞い歌い涙した▼「加害と被害と抵抗」という三つの歴史認識を共有してこそ真の国際連帯が成ると痛切に思わされる三日間であった。それは現在と未来につながる。北東アジアを非核・平和の地域に、韓米・日米の軍事同盟をなくしていく努力をしようとの決意も共有された▼「釜山港と神戸港を非核・平和の港に――日韓平和交流の集い」と名付けられたこの交流。来年は釜山で第二回目を実施しようとの約束もされた。(T)

(兵庫民報2020年2月23日付)