2020年10月11日日曜日

みんぽう川柳〈九月〉「おやつ」

選者 島村美津子 

特 選

おやつなし胃ろう八年夏も過ぎ  神戸市 山本信行

【評】おやつを食べられることは当たり前のように思っていた私は揚句にぶつかってはっとしました、そして涙がこぼれました、淡々と事実を述べて心打たれたのはやはり実感句の強みでしょうか。
ましてコロナに脅かされている今、今回の投句にも多く見られましたが、飢えに苦しむ子供たちそして、戦中戦後の食べ物のなかった時代を思いました。
さつま芋がいっぱい出て来ました、おやつどころか大事な主食でした、それもお腹一杯食べられない。
今回も秀句を句数の制限上載せることが出来なくて残念でした。 

入 選

おやつ出て涙浮かべた戦争中  神戸市 長尾粛正
 
アフリカの子らにおやつはありますか  神戸市 小林尚子
 
清貧のオヤツ畑のトマトでした  神戸市 玉山歳子 

はったい粉昔のおやつ懐かしむ  神戸市 宇山英樹 

配給の粉です亡母のドーナッツ  神戸市 梶山洋枝
 
古き日におやつをかけた阿弥陀くじ  神戸市 長沼幸正 

老い二人コロナ太りでおやつ抜く  尼崎市 大野幸雄
 
忖度しおやつを貰う奴がいる  神戸市 高馬士郎 

老いひとり至福の三時ビスケット  明石市 上野景子 

コロナ禍よおやつ食べたら帰ってよ  明石市 川路政行 

字引には「お三時」ですとありました  芦屋市 松田良介
 
芋食べて平和願って空を見る  明石市 門脇潤二郎 

只今の声ももどかしふかし芋  神戸市 松尾美恵子
 
その昔救われましたさつま芋  明石市 小西正剛

みんぽう川柳募集

▽十月の題は「新しい」、締め切りは十月二十三日▽十一月の題は「政治」、締め切りは十一月二十七日▽一人二句まで。葉書に作品二句と氏名・年齢・住所・電話番号を明記▽毎月第四金曜日必着。締め切りが迫っている場合はメール、ファクス(葉書大の枠を書き、その中に必要事項を記入)でもけっこうです。

(兵庫民報2020年10月11日付)