2020年10月18日日曜日

神戸演劇鑑賞会10月例会:人形劇団プーク「現代版・イソップ『約束…』」「うかうか三十、ちょろちょろ四十」


第一部「現代版・イソップ『約束…』」は、作家・田辺聖子の「私本・イソップ物語」から脚色した。三話構成で、主人公は、キツネ、狼、等で、動物が活躍する寓話劇になっている(写真上は熊)。
一話と二話は、生き抜くために、必死に格闘する動物の姿が、生々しく、動物か、人間か迷う楽しさがある。心に響いてくるのは、第三話で、まるで現代の社会を丸ごと映しているようで、身につまされる。情報化社会はどんどん進み、その中で取り残されて行く人間の姿を、ムジナ、月の輪熊が、大事な事ってなに、と語りかけてくる。
主人公の狼の台詞は関西弁で、ユーモアのある語りかけと諷刺の利いた会話はみごとです。
第二部は井上ひさし作「うかうか三十、ちょろちょろ四十」。東北のとある村へ足の悪い殿様がお忍びでやってくる。桜がひらひら舞い散るなか、殿様は美しい村娘ちかに一目惚れ。しかし、ちかには大工の権ずと暮らすと、はっきり断られる。殿様は心を病んでゆく。そして、九年後の春、そしてまた九年後の春、人の命は儚く変わってゆく。東北弁の豊かな美しさの中で、変化する人の命、逞しくもあり、ほのかに哀しい、物語です。
十月の舞台は二部構成で、等身大の人形を俳優が操り大人から子供まで楽しめる二作品です。田辺聖子、井上ひさしの競演で、人間を見つめる深い思いの中に込められた諷刺とユーモアが関西弁と東北弁で見事に浮き上がってくる。人形劇団プークの力演を楽しみたい舞台です。
尚、音楽は、ポルトガルギターとマンドリン奏者のマリオネットのおふたりが、花をそえます。
―小谷博子(神戸演劇鑑賞会) 

人形劇団プーク「現代版・イソップ『約束…』」「うかうか三十、ちょろちょろ四十」

第1部「現代版・イソップ『約束…』」原作=田辺聖子、脚色・演出=井上幸子/第2部「うかうか三十、ちょろちょろ四十」作=井上ひさし、演出=井上幸子/出演=岡本和彦、大橋友子、滝本妃呂美ほか/①10月23日(金)18時30分、②10月24日(土)11時、③同日16時/神戸文化ホール中ホール/会員制(入会時に入会金1,000円と月会費2カ月前納)、月会費3,500円(大学生2,000円、中高生1,000円)/Tel. 078‐222‐8651、Fax078‐222‐8653

神戸演劇鑑賞会:
http://kobeenkan.my.coocan.jp/
人形劇団プーク:
https://puk.jp/

(兵庫民報2020年10月18日付)