2020年9月13日日曜日

5行の文章で核兵器積載艦船の入港を阻止している決議――非核「神戸方式」に関わるささやかな思い出

藤丸 徹(元全日本海員組合教宣部長)

今年で「核兵器積載艦艇の神戸港入港拒否に関する決議」(一九七五年三月十八日)が採択されて四十五年になります。非核「神戸方式」が決議されて以来、神戸には一隻も核兵器を積載した艦船は入港しておらず、全国から垂涎の眼差しで見られています。
一九九九年、米軍への後方支援活動を合法化し、自衛隊が日本の領土外で活動することを可能とする周辺事態法が成立しました。これを受けて米軍は、日本の主要な港湾を利用する目的で大々的な調査を行いました。
二〇〇〇年七月のある日の朝、海員組合関西地方支部(神戸)の副支部長をしていた僕に、米国大使館から「訪問したい」との電話がありました。
大使館から二人が日本人通訳を伴って組合事務所にやってきました。
はじめに、色白の小柄なスラブ系のB氏から「神戸港の状況と景気はどうか」との質問がありました。僕は、外航船の入港動静と取り扱い貨物量の推移、カーフェリー、旅客船の動静について説明し、総じてかつてのミナト神戸の盛況はない、と応答しました。
次に、大柄でハリウッド俳優然とした上役のA氏から港の雇用について質問がありました。僕は、二年前の明石大橋の完成、通行開始とともに旅客船・カーフェリーの船員三千人の解雇と再就職問題について説明し、港湾労働者数の動向については詳しくわからない、と答えました。
組合の取り組みや今後の方向性などについての質問や意見交換が続いた後、A氏から「米国も神戸港の再建に向けて協力したいがどう思うか」との問いがありました。僕は、「ありがたいが具体的にはどのようなことか」と問い返しました。
彼は、「米国企業を神戸に誘致したい。協力するには米国艦船の入港が前提」と言い、「今は米国艦船が入港していない。非核『神戸方式』をどう思うか」とたずねるので、僕は、「非核『神戸方式』は市議会の総意で決めたもの。市民の圧倒的多数が支持している」と返事しました。
A氏は、「神戸港の復活に米国としても何とか協力したい。よって非核『神戸方式』の廃止に向けて協力してもらえないか」と畳みこんできました。
「米国の協力はありがたいが、非核『神戸方式』の廃止は個人的にも組織的にも不可能。ミナト神戸は商業港。核艦船の入港は商売の阻害になるし、市民に不安を与える」と僕はきっぱり断りました。
当初は通訳を通しての会話でしたが煩わしいので、途中から僕はブロークンな英語で説明しました。当方の気配りを察したのか、それとも僕のブロークンが聞くに堪えなかったのか、二人とも流暢な日本語を話しだしたのでビックリ。同時に、少し薄気味悪いものを感じました。
その後も両氏から、安保条約をどう思うかとの質問や、米国艦船の安全性と艦船入港の必要性についての発言が繰り返されましたが、平行線となったので話し合いを打ち切りました。
神戸港は、修理ドックもあり、船具・船食の調達も容易で、海事クラスターも完備、乗組員が保養するための温泉・娯楽・保養施設もたっぷりあるので、軍港としては最高の港。それだけに米軍は、神戸港を咽喉から手が出るほどに欲しがるはず。
平和な商業港としての神戸を何としてでも守りたい。
*
(「西宮さくらんぼニュース」九月五日付掲載分を「兵庫民報」向けに書き改めました。)

(兵庫民報2020年9月13日付)



参考企画

非核「神戸方式」決議45周年のつどい 
10月24日(土)〈国連軍縮週間初日〉14時、神戸市勤労会館7階大ホール/記念講演:吉田敏浩(ジャーナリスト)「米軍優位の日米地位協定と日米合同委員会の密約」/資料代: 1,000円/①会場定員150人、②Zoom配信、①②とも事前申し込みが必要/主催:実行委員会(事務局:神戸港湾共闘会議、新婦人兵庫県本部、兵庫県原水協) Tel. 078‐341‐2818、Fax 078‐371‐2427、Email hikakukobe@yahoo.co.jp