兵庫革新懇が「市民と野党の政策意見交換会」を八月十日、神戸市内で開きました。市民連合と立憲野党の「十三項目政策合意」を基礎に、コロナ禍の向こうに何をめざしていくのかを話し合い、次の総選挙に向け、市民と野党の共闘の一層の発展をめざして企画されたものです。
冨田宏治関西学院大学教授がコーディネーターを務め、立憲民主党兵庫県連合代表・衆院議員の桜井シュウさん、国民民主党兵庫県総支部連合会副代表のふなかわ治郎さん、日本共産党衆院議員の清水ただしさん、社会民主党兵庫県連合代表・宝塚市議の梶川みさおさん、新社会党兵庫県本部委員長・神戸市議のあわはら富夫さん、緑の党兵庫県本部共同代表の松本なみほさんがそれぞれの党の政策などについて発言。会場の青年、業者、教師、医療に関わる市民からの発言も交え、意見交換をしました。
会場には市民七十人余りが参加し、YouTubeでの同時放送は六十数人が視聴しました。
問題提起と各党の発言
冨田さんは冒頭、コロナ禍で人々は何に目覚め・気づき、それによりコロナ後の社会はどうなっていくのかと問題提起しました。
コロナは、①命を守ることが最優先であること、②新自由主義が社会を脆弱にしていること、③自国中心主義、軍事力では安全保障が確保できないこと、④信頼感のない政府をもつ不幸―を人々に気づかせ、社会のあり方を根本的に変えるために市民と野党の共闘がますます大事になっていると指摘。「十三項目の政策合意」はコロナ後に求められていることを網羅しており、さらによりよいものへ具体化し、選挙で国民に問うていこうと呼びかけました。
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桜井さんは、安倍政権の問題点を振り返った上で野党の課題について述べました。政権を取った後の社会像については、自己責任ではなく政治が責任をとる社会をめざしたいと語りました。
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ふなかわさんは、安倍政権のコロナ対策は「遅い・(規模が)小さい・わかりにくい」と批判し、国民が政治に関心を高めており、野党が一丸となって緊張感のある政治の実現へ政策を訴えるチャンス、国民第一の政治実現をと決意を語りました。
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清水さんは、これまでうそ・改竄を続けながら強行採決など数を頼みに押しとおしてきた安倍政権が、検察庁法改定案ではSNSなどで高まった国民世論で廃案を余儀なくされたことをあげ、声をあげれば悪政を止められることが市民に明らかになったことの重要性を強調しました。
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梶川さんは、コロナ対策、豪雨災害対策など課題が多数あり、臨時国会を開くべきだと主張。安倍政権は国政運営の能力を失っていると批判し、社民党は野党共闘の接着剤の役割を果たしたいと決意を表明しました。
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あわはらさんは、命と暮らしを守る本当の政治として、平和、原発、失業・倒産の問題をあげ、共闘は一致できるところからやっていくことでますます力をつけていけると強調し、野党共闘の姿を国民に広く訴える必要性を説きました。
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松本さんは、気候危機に対する政策を提言していきたいと述べるとともに、自民・財界が「グリーンリカバリー」を掲げながら核融合や遺伝子組み換えなど大企業の利益を確保しようとするおそれがあると注意を喚起しました。
会場からの発言とまとめ
民青同盟の上園隆県委員長は、働き方、コロナに関する青年の実態調査の結果を紹介しました。(二面記事参照)
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兵商連の田中邦夫事務局次長は、中小業者へのコロナ被害支援策の問題点を述べるとともに、消費税五%引き下げ、地域循環型経済実現などの課題を提起。この間、業者の実態をもとに奮闘してきた野党が政権につくことへの期待を述べました。
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全教西宮教組の石本日和子委員長は、「子どもたちの意見も聞いてほしい」とまず訴えるとともに、消毒などますます多忙を極める教師の実態を紹介。分散登校などをつうじて良さがあらためて明らかになった少人数学級の実現をと訴えました。
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兵庫県保険医協会の西山裕康理事長は、医療機関は社会資本であり支援が必要だと強調。平均年齢六十歳の開業医はマスク、消毒液もこと欠くなか、「いきづまり倒産」より「あきらめ廃業」が広がっていることを報告しました。また、コロナによる受診抑制により、来年以降、例年より死亡者数が増えるおそれがあるとも述べました。
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再度の政党からのは発言では少数政党に不利な現行選挙制度の問題点、共同宣伝など地域での日常的な共闘などについても語られました。
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まとめで冨田さんは、まず一緒に議論することが大事であり、今回はその出発点となった、今後もZoomなどを利用して議論の機会をひろげていってはどうかと提起。野党は政権合意をし、政権選択の選挙にしようと呼びかけました。
録画はYouTubeの「兵庫革新懇」チャンネルで公開されています