2020年6月28日日曜日

神戸映画サークル協議会7月例会『芳華―Youth―』:時代や社会は私たちひとりひとりが作り出すもの


作品の舞台となっているのは人民解放軍の文芸工作団です。後に作家となった団員を語り手に、人民解放軍の若者の青春を描いた群像劇という形で物語は進行します。
文工団は、軍の広報活動を担う組織。戦場へといざなう活動です。しかし作品から伝わってくるのは社会的な強いメッセージではなく、青春時代への郷愁を誘うかのような切なくて美しい感情です。作品中の彼らは容易に国や時代を超えて私たちと置き換わります。時代や社会は特別な何かによって生み出されるのではなく、私たちひとりひとりが作り出すのだという事実が突きつけられます。
続いて描かれる中越戦争の場面では、死の恐怖がリアルに伝わってきます。『戦場のレクイエム』で朝鮮戦争を描いたフォン・シャオガン監督は本作で、より現実を直視させる描写へと舵を切っているように思えました。
そして時代は移り現代。経済発展の波に乗り、成功を収めている幹部の子弟の姿。その一方で戦闘や野戦病院での働きで英雄となった彼らの報われない姿、誠実に生き抜いていく姿を見せます。社会の不条理にやるせない思いを抱きながらも、深い余韻とともに何かがしっかりと心に刻み込まれていきます。
―桑田葉子(神戸映画サークル協議会)

『芳華―Youth―』(2017年/中国/135分)

7月10日(金)①11時②14時③19、11日(土)①11時②14時③18、13日(月)①11時②14時/神戸アートビレッジセンター KAVCホール(定員54名)/一般1,300円/★コロナ対策のため参加日時を前日までに映サ事務所へ予約してください/☎078‐371‐8550、URL http://kobe-eisa.com/



(兵庫民報2020年6月28日付)