2020年3月22日日曜日

観感楽学


新型コロナウイルス感染により休校となったイタリア・ミラノの高校長による生徒宛の手紙がネットで話題になり「報道ステーション」でも取り上げられた。十九世紀イタリア最高の国民作家・マンゾーニの『許嫁』(一六三〇年のミラノ領におけるペスト蔓延を背景とした有名な歴史小説)を引用し、それをぜひ読むように薦めている▼「そこにはすべてが書かれている。外国人を危険と思い込んだり、最初の感染源の捜索に固執したり、専門家の意見の軽視、根拠のないうわさ話やばかげた治療法、必需品の買いあさりなどなど」そしてこう語りかける。「冷静さを保ち、集団的ヒステリーに引きずられないようにし、この日々を利用して散歩をし良書を読んでほしい。健康上の問題がないのに家に閉じこもる必要はない」▼この作家も著作も、また彼の国葬にさいして作曲されたのがヴェルディの「レクイエム」だったこともまったく知らなかった。しかし偶然とは恐ろしいものでこのニュースを知って数日後、神戸・花隈の古書市でまさにその本を発見▼北イタリアの啓蒙運動家でイタリア統一の精神的指導者だった彼の本を、いま一生徒の気分で読んでいる。(T)

(兵庫民報2020年3月22日付)