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2020年2月2日日曜日

宝塚市などで広がる地域循環の取り組み:全国ご当地エネルギー協会の特別講演&セミナー

速水二郎(電力兵庫の会)

「いま、持続可能な地域の時代へ!」をテーマに地域主導型・市民参加型の五十団体が加盟する一般社団法人「全国ご当地エネルギー協会」主催の特別講演&セミナーが一月十五日、神戸市中央区のラッセホールで開催されました。先着順百五十人席があふれるほど関心高く、平日にもかかわらず中年の働き盛りの人々の参加が目立ちました。
主催者の佐藤彌右衛門・同協会代表理事(会津電力会長)は「福島県地産エネのおいしいところは東電や東北電力に奪われてきたが、いまどんどん住民が取り戻すときだとがんばっている」と挨拶しました。

日米政権の無策を批判

第一部は元経産省官僚の古賀茂明氏の講演で、テーマは「再生可能エネルギーで日本復活~関電原発還流マネーを通して考える~」でした。
古賀氏は、事態は既に気候変動から気候危機の段階に至っているにもかかわらず、安倍総理や小泉環境大臣が国連気候行動で何の役にも立てなかったと批判しました。
カリフォルニア山林火災が送電線老朽化を主因とされながら無策のトランプ政権に対する住民のたたかいなども紹介し、二十一世紀は農山漁村にエネルギー産業の柱を復活させる方向だと強調しました。
これからの〝先進国〟の条件は、①(企業より)人を大切にする国②自然環境を大切にする国③公正なルールが執行される国、そのためにも④再生可能エネルギーが基盤の国―だと提起しました。
関電腐敗問題では、根底に電気料金の総括原価方式があり、第三者委員会調査も三億円だけにしぼり政治家ルートを封印しようとしていると指摘。特に電気事業法第百五条の経産省の監査義務も放棄していることを強く批判しました。

北摂里山地域共生圏のとりくみ

第二部「持続可能な社会をめざす地域循環共生圏のつくり方」のセミナーでは公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)関西副センター長の前田利蔵氏のモデレートによるシンポジウムが行われました。宝塚市西谷地区を中心に西は三田市、東は猪名川町から川西市に広がる住民・農家と一緒に行政がしっかり結び進めている〝北摂里山地域共生圏〟の運動が全国的にも注目をあびていますが、その発展状況が討論されました。

宝塚すみれ発電の井上保子代表取締役が、非営利型株式会社として六つの太陽光発電所を稼働させていること、その四号機として西谷地区の市民農園にソーラーシェアリング(間隔を空けてソーラーパネルを配置し、下の農地で作物を栽培)を導入していることを紹介しました。

コープこうべの竹中久人執行役員は二〇一六年に電力小売り事業を開始し三~四万の顧客を得、電源構成もLNG火力発電七〇%、すみれ発電などの太陽光とバイオマスによるFIT電気三〇%で運用していると報告しました。

兵庫県農政環境部環境管理局の菅範昭局長は、これらの取り組みが二酸化炭素削減にもかなうとして種々のバックアップをしていることを具体的に報告しました。

宝塚市環境室地域エネルギー課の古南惠司課長は、二〇一四年に再生可能エネ推進の基本条例をつくり、「宝塚エネルギー2050ビジョン」で〝二〇五〇年までに家庭用の電力消費についての再生可能エネルギー自給率を五〇%にする〟などの目標を掲げた経過を説明。同市の三分の二の広さを占める西谷地区には乳牛が五百頭もいることからバイオガス事業への着手も表明しました。

神戸新聞論説委員の辻本一好氏も「エネルギーと環境の視点で地域や経営の課題をとらえ、新しいデザインを描く人材を育て、持続可能な地域をつくる」協議会を社内につくり、こうした北摂の地域共生圏などを後押ししたいと述べました。
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会場からの質疑も活発で、同協会事務総長で環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏のまとめは、「この北摂地域は猪名川・武庫川の源流から大人口が広がる阪神間が下流となる屈指の地域だけに、こうしたミクロ的取り組みを一つずつ成功させつつ、気候危機下のマクロ的大局観を常に共有することが大事」「二〇三〇年には太陽光などは石炭よりもはるかに価格は下がり、化石燃料市場二百兆円が崩壊過程に入る」と述べつつ、エネルギーは自分たちがつくるという夢が実現する時代へ来たことを確認しようと締めくくりました。


(兵庫民報2020年2月2日付)



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