兵庫県政は、この間、安倍政権の「地方こわし」と一体に福祉と県民サービスを切り捨て、大型開発と大企業誘致をすすめてきた結果、人口流出に歯止めがかからず、八年連続で「転出超過」となり、二〇一九年は、転出超過ワースト四位となっています。しかし新年度予算案は、そのことに無反省なものです。
予算案の一般会計は総額一兆九千九百五十六億円で前年比三・一%増、特別会計、公営企業会計を合わせた全会計の予算規模は、前年比四・六%増の三兆九千五百四十九億円で過去二番目の規模となっています。
病院再編統合推進などの一方で東播磨丹波連絡道など新たな大型事業も
歳入では、県税等が八千五百六十六億円(前年比三・三%増)で過去最大規模になっていますが、その主な要因は、消費税の一〇%に伴い、地方消費税収が三百八十七億円の増収となり、県税の三二%(法人関係税二一・八%、個人県民税二五・三%)を占めるなど、県民に負担増が押し付けられた結果に他なりません。*
歳出では、社会保障関係費に、国の施策にともない幼児教育・保育の無償化、高等教育の無償化などが予算化される一方、新たな補助金で、病床の削減や病院の再編統合などを推進する予算が含まれています。
また国民健康保険事業については、独自の公費繰り入れを行っている市区町村が多いとされ、国から減額ペナルティを受ける予算規模になっています。高すぎる国保料(税)の引き下げには、背を向けています。
公共事業では、河川や砂防ダムなどの浚渫をすすめる緊急浚渫推進事業など新たな防災・減災対策が盛り込まれる一方で、全国二位の高速道路をさらに延伸させるために大阪湾岸道路西伸部整備支援、播磨臨海地域道路計画調査費とともに、今年度新たに東播丹波連絡道路計画調査費がつけられるなど不要不急の事業予算を十分に確保しています。
毎年、約五億円の県財政支出を余儀なくされている赤字路線である但馬空港に対し、羽田空港やアジア就航をめざし二千メートル級の新たな滑走路をつくるための検討予算も盛り込まれました。
総額七百億円といわれる県庁舎再整備計画の予算化、三宮再開発と一体にした元町再開発の検討、阪神南県民センター・阪神北県民局の統合に向けた庁舎整備、佐用、養父、豊岡北警察署をそれぞれ隣接署に統合するなどの警察組織再編等が予算化されています。
尼崎や姫路でのパナソニック工場誘致が破綻し、失敗があきらかになっている産業立地促進補助については、反省もなく増額されています。
私立高校授業料軽減、駅バリアフリーなど県民要求運動を反映した予算も
一方で、予算案には、尼崎市と加東市への児童相談所の設置、六駅のホームドア設置、九駅のバリアフリー化、県東部障害児者リハビリテーションセンターの開設、重度肢体不自由児者の訪問リハビリ利用料助成、社会福祉法人などへの奨学金返済支援制度の創設、私立高校の授業料軽減措置の拡充(五百九十万円未満世帯の実質無償化、九百十万円未満程度世帯への段階的上乗せ)、家庭用太陽光発電設備設置補助など、この間の要求や運動を反映した予算も盛り込まれています。党県議団は、十八日に開会した二月議会で、県民の要求実現をめざし、論戦を行っていきます。
予算案に計上された改良対象駅
〇鉄道駅舎ホームドア設置支援・JR三ノ宮駅
・JR神戸駅
・JR西明石駅
・JR尼崎駅
・阪急神戸三宮駅
・阪神神戸三宮駅
〇鉄道駅舎エレベーター等設置補助
・阪急春日野道駅
エレベーター、改札
・阪神大開駅
エレベーター、
多機能トイレ
・山陽大塩駅
エレベーター、
多機能トイレ
・山陽林崎松江海岸駅
エレベーター、
多機能トイレ
・山陽東須磨駅
エレベーター、
多機能トイレ
・山陽中八木駅
改札、スロープ
・神鉄花山駅
スロープ、
多機能トイレ
・神鉄大池駅
改札、多機能トイレ
・神鉄道場南口駅
スロープ
(兵庫民報2020年2月23日付)