2020年1月12日日曜日

大門みきし「ありがとうの一言が最高のしあわせ」

連載エッセイ46
昨年末に映画『男はつらいよ・お帰り寅さん』を観ました。映画館を出てからも、しばらく涙と鼻水がとまりませんでした。二十年ぶりに再会した満男(吉岡秀隆)と初恋の人イズミ(後藤久美子)の別れのキスシーンがあまりに切なかったからです。満男の中に寅さん(渥美清)が生きていると思いました。
私は父親がいなかったせいか、寅さんの影響を受けて育ちました。中学三年生の夏休み、京都から北海道へヒッチハイクで一人旅をしたのは、フーテンの寅さんにあこがれたからでした。東京でぶらぶらしているとき、「どぶに落ちても根のある奴は、いつかは蓮の花と咲く」という主題歌にさとされ、定職につこうと決めました。「労働者諸君!」という寅さんのセリフがカッコよくて、労働組合の専従になったのかもしれません。妻もさくら(倍賞千恵子)のような女性がいいと思いましたが、それは叶いませんでした。
山田洋次監督は、映画の中でも登場したUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)のインタビューで次のように語っています。「寅さんは自分のことより他人のことが気にかかる。悪くいうとおせっかい、よく言うと親切。寅さんありがとう、その一言が最高の幸せ。だから寅はとても素敵な人間なんです」。
おせっかいか、親切か、わが党の地方議員さんや党員の人たちの中にもたくさんの寅さんがいるように思いました。「ありがとう」があふれる、もっと温かい政治に。今年もがんばりましょう。
(日本共産党参院議員)

(兵庫民報2020年1月12日付)