神戸市立東須磨小学校で、教員同士の長期にわたるきわめて悪質ないじめ・パワハラが明らかになりました。また、パワハラから職員を守る法的責任を負う校長などの管理職や教育委員会が、逆に助長、容認していました。
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日本共産党神戸市会議員団は、この問題を受け、学校や教育をよくするため保護者や教員・住民が立場の違いを超えて語りあう教育シンポジウムを十一月十六日、須磨パティオホールで開催し、二百五十人が参加しました。
基調報告――背景に「競争と管理」
基調報告を行った党文教委員会責任者の藤森毅さんは、神戸市だけでなく、全国的に深刻化していると述べ、今回の事件は、暴力・暴言・強要などで人格を破壊し、自殺寸前まで追い詰めたものと指摘。その背景に、異常な長時間労働に加え、職員会議の形骸化、人事評価、学力テスト体制など国が「競争と管理」を強めた結果、教員の世界が本音や失敗が語れない競争的な上位下達の社会になっていることがあると解明しました。
また、藤森さんは、「この問題が子どものパワハラと表裏一体である」として、個人の尊厳や多様性が尊重される時代に逆行し、学校生活では、体罰、ブラック校則、学校スタンダードなどで子どもの人権や個性が抑制されていると指摘。「体罰は論外であり、『指導』を通すために、脅かしたり、恥ずかしい思いをさせたり、罰を与えたりしない」ような、学校づくりの大切さを訴えました。
シンポ――語りあい、手をつないで
シンポジウムは、同区選出の山本じゅんじ市議が司会を務め、藤森さん、小三と中一の子を持つ同市の尻池直美さん、元市立小学校教員の桑原敦文さん、味口としゆき市議が、フロアからの発言を交え、真剣な議論を交わしました。*
尻池さんは「今回の事件は衝撃を受けた。いじめはダメだよと教える立場なのに。親としては不安」と発言。子どもが学年をあがるたびに、授業だけでなく、日常生活までもが「めあて」として評価の対象とされ、萎縮している実態を紹介。「おかしいと思うことを保護者ががまんせず、自由に語り合うことが大事」と訴えました。
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桑原さんは「多くの教員がストレスを抱える現場で、残念ながら、教員間のいじめやパワハラはある」と述べ、①教員を追い詰める成績主義②長時間労働③人権感覚が希薄な教育委員会と管理職―などの問題を指摘。「悪い先生ばかりではない。教員は子どもと保護者、同僚に育てられるものです、手をつないでほしい」と呼びかけました。
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味口市議は、同校で加害教員による子どもへの体罰などがあり、他校でも多くの事例があることを報告。市議会の追及で「子どもの権利条約を現場に生かすことが大事」との教育長答弁を引き出したことを示し、「一人で悩まず語り合い、学校や教育委員会に声を上げよう」と呼びかけました。
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山本市議は、シンポジウムのまとめとして、「今日をきっかけに、みなさんのお住まいの区や地域などで、保護者や住民同士が語りあえる場をつくって、神戸の教育を変える力にしていきましょう」と訴えました。
(兵庫民報2019年11月24日付)