兵庫県原爆被害者団体協議会(兵庫被団協)が「ヒバクシャ国際署名推進のつどい」を国連軍縮週間初日にあたる十月二十四日、神戸市勤労会館でひらき、平日午後にもかかわらず会場の多目的ホールは満席となりました。
被爆七十五年の二〇二〇年を核兵器禁止条約の発効と「禁止から廃絶へ」の転換の年とするため、「ヒバクシャ国際署名」運動をさらに大きく広げようとひらかれたもので、同署名キャンペーンリーダーの林田光弘氏が「二〇二〇年に向けたヒバクシャ国際署名の役割」について講演しました。
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岡邊理事長 |
講演に先立ち、兵庫被団協の岡邊好子理事長が主催者挨拶。十五歳で被爆、父を亡くした経験を語るとともに、三十五年間、小中学校などで被爆体験と平和の大切さを語り、「子どもたちに理解が広がって良かった。命の続く限りこの仕事を続けたい」と述べました。
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いとう芦屋市長 |
県内の市町長からも多数の祝辞が寄せられ、出席した、いとうまい芦屋市長は祝辞で「世界には火種があちこちにありますが、七十四年前の悲劇の時代を繰り返さないよう活動していきたい」と述べ、参加者とともに林田氏の講演に耳を傾けました。
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林田氏 |
講演で林田氏は、二〇一七年に成立した核兵器禁止条約は、前文に「ヒバクシャ」と明記しており、被爆者が体験を発信し続けた運動がこの条約を作ったこと、核兵器の非人道性が認められ、核兵器にたいする価値観の転換期を迎えていることなどを指摘。廃絶へ向け小国が大国と対等に議論する上で核兵器禁止条約というルールが必要であり、まず、発効させなくてはならないと強調。十月十八日現在、七十九カ国が署名、三十三カ国が批准(五十カ国以上の批准から九十日後に発効)していることも報告しました。
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オンライン署名ページ |
オンライン署名ページ:https://hibakusha-appeal.net/signature/
どのようにして核兵器の価値観を変えるかについて林田氏は、対人地雷禁止を実現したキャンペーン――戦後も放置された地雷が子どもたちはじめ多くの命を奪っている現実を知らせ、安全保障上必要だとの価値観を覆した――やICANの「核兵器にお金を貸すなキャンペーン」――核兵器産業からのダイベストメント(投資引き上げ)を大銀行に働きかける――などの例を紹介しました。
とりわけ、被爆者自身が生きているかぎり続く被爆の苦しみの実態を語り続け、核兵器の特異な非人道性を明らかにしていることの重要性を強調。海外向けメッセージ動画〝HIBAKUSYA〟が完成したことも紹介しました。
署名については、全国千七百二十四市町村のうち千百七十三市町村長、二十都道府県知事が署名、個人署名は千五十一万七千八百七十二人分(九月二十日現在)にのぼっていることを報告。署名活動のなかでの対話の広がりの大切さを指摘しました。
さらに、被爆者と若者が交流し、語り合う「ヒバクシャと出会うカフェ」、神戸大学大学院生らが作成した全国会議員、都道府県知事、市町村長の立場を調べられる「核兵器Yes or No!? 議員ウォッチ2019」、広島女学院中学高等学校の生徒らがとりくんだ地図と証言を組み合わせて広島原爆の実相をウェブやARアプリ伝える「ヒロシマ・アーカイブ」など若者たちのとりくみも紹介しました。
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議員ウォッチ |
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ヒロシマ・アーカイブ |
つどい後半では各団体の取り組みが報告され、交流しました。
(兵庫民報2019年11月3日付)