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2019年8月4日日曜日

“安倍改憲”にとどめを:兵庫革新懇+兵庫憲法共同センターが全県交流会議


〝戦争する国にする安倍壊憲〟を阻止するための兵庫革新懇+兵庫憲法共同センター「全県交流会議」が半年ごとに開催されてきましたが、改憲勢力が三分の二を割った参議院選挙から間もない七月二十七日は、次のたたかい、特に改憲への安倍政権の意図を〝完全粉砕〟するため、兵庫県内の共同のたたかいをどのように発展させるかを集中討論しました。
各地域センター、革新懇、民主団体、日本共産党、九条の会や一般市民などの三十二人が参加しました。
和田進・神戸大学名誉教授の講演〝参院選の結果と今後の課題〟、津川知久・兵庫憲法共同センター代表の運動提起を受け、討議し、宮田靜則・兵庫革新懇事務局長がまとめを行いました。
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和田氏は講演で、参院選の三争点(「改憲勢力三分の二確保か」「自公で過半数確保か」「野党共闘の成果は」)の結果を詳しく解明し、今後の政治日程で重視すべき時期も解説。
戦争法施行以降の危険な政府・米軍・自衛隊の十六の事例を指摘。繰り返されるトランプ・安倍両氏による〝安保不公平発言〟について詳しく経過を説明し、「日米軍事同盟の解消」を正面に据えた議論の必要性があると強調しました。
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津川氏は運動提起で、アベノミクス破綻・消費税増税強行・年金や最低賃金など問題はいっぱいで「改憲は優先課題ではない」が国民的な合意とも言える状況だと指摘し――
①三千万署名は安倍暴走を打ち破る土台の活動とし、②様々な諸要求実現の運動と結びつけ、③総選挙(衆議院選挙)を展望し地域から政治的共同の体制をつくる、④秋の臨時国会で憲法審査会を動かさないために全力をあげる
―の四項目を提案しました。
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宮田氏は討論を次のようにまとめました――
一つ目に、複数区だった兵庫県では選挙結果についてモヤモヤ感も出されましたが、和田氏の講演・津川氏の運動提起での説明のように、全国の一人区で十三項目の野党共同政策を全面に掲げてたたかい、それにより投票率も上がり、無党派結集にも貢献した――この前進の事例に確信を持つことができました。兵庫県でも各地域ごとの野党共同の懸命な努力が討論で紹介されました。これらはその基礎に三千万署名運動があってこその結果です。四項目の運動提起をあらためて確認しましょう。秋の臨時国会での憲法審査会を動かさないのが直面する山場です。
二つ目は、参議院の複数区での県下の共同では、幾つかの困難も具体的に出されました。これを克服しながら次の衆議院選挙勝利へ備えましょう。兵庫県内の十二区の一つひとつで大きく共同を広げるための様々な協議を具体的に行う努力をしましょう。
三つ目は、秋に革新懇の全国集会を兵庫県で開催します。全国的な運動の実態を学び合って私たちも前進できるよう頑張りましょう。

(兵庫民報2019年8月4日付)

山下よしき「〝希望〟は届く」

連載エッセイ17

参院選最終盤、マンションに向かって語りかけるように演説していると、学校帰りの子どもたちが公園の遊具に乗ったまま聞きはじめました。
途中から「そうだ」の声があがり、大きくうなずく姿も。とうとう最後まで私の演説を聞いてくれました。
宣伝カーを降りてお礼に向かうと、子どもたちも遊具から降りて近づいてきます。十人ほどでしょうか。一人の少年が「サインください」というと、「ぼくも」「わたしも」と小さな列ができました。
チラシの余白にサインしながら、何年生か聞くと「四年生です」。話は分かったか聞くと「はい、わかりました」。どこが分かったか聞くと「ぼくのお兄ちゃんは高校生なんですけど、家でお母さんがこれからお金がたくさんいるって言っています」。
なるほど。演説のなかで、日本の大学の授業料は高すぎること、ヨーロッパでは基本的に無償となっていること、日本共産党は、すみやかに半額にし、段階的に「ゼロ円」めざすことを紹介しましたが、ちゃんと理解して合いの手を入れてくれていたのです。
選挙戦で私たちが語った〝希望〟は、子どもたちにも伝わる力をもっています。
サインには私の名前とともに「子どもたちは未来です」と添えました。
子どもたちに、戦争のない未来を手渡すのは、私たち大人の責任です。
近畿、全国のみなさんの猛奮闘のおかげで四選を果たすことができました。誠実に、果敢に、希望の実現をめざし奮闘したいと思います。
(日本共産党参院議員・党副委員長)

(兵庫民報2019年8月4日付)

神戸市都市空間向上計画:「地域切り捨て」計画撤回を

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詳細な区域図は→ http://www.city.kobe.lg.jp/information/project/urban/toshikukan/kuikizu_kakudai.html

市民意見募集8月8日まで

「人口減」を口実に、「よりコンパクトなまちづくりを行っていく」として、神戸市の住宅地で、鉄道駅から徒歩二十分以上はなれたところを、「居住誘導区域外」に指定し、切り捨てる「都市空間向上計画」。六月二十七日に、神戸市は「計画(素案)」を発表し、区域を線引きする区域図(地図)をホームページに公表。市民意見募集が始まっています。

説明会でも住民不在の姿勢際立つ

この「計画(素案)」に対する神戸市の説明会が、七月八日から七月十六日まで行われました。しかし、神戸市は広報紙には説明会の日時と場所だけをのせ、計画の中身にはまったく触れていませんでした。
日本共産党神戸市会議員団は、ホームページに公表された地図を基に、各地域がどう区分けされるかを明らかにした『神戸市会報告』を緊急に発行し、新聞各紙に折り込みました。
その結果、市の説明会には、のべ三百人を超える住民が押し寄せ抗議の声を上げました。
「同じように住んで税金を払っているのに、町内に線を引いて扱いを差別するやり方だ」
「区域指定されると民間の商店や病院などがやっていけなくなり撤退する」
「西区・美穂が丘でスーパーが撤退した。神戸市は自ら開発した団地なのに、民間の事と言って責任ある対応をしない」
「垂水区・舞多聞など現在開発をしている地域が(居住誘導区域から)外れている」
「若い世代が多く住んでいる北区・上津台が、居住誘導区域外に設定されている」
「なぜ神戸市自身がチラシなどを配布して説明会の告知をしないのか」
「東灘区・渦森台から来た。高いローンで家を買ったのに、地価が下がったら(市は)責任が取れるのか」
―など、住民の怒りが爆発しました。
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これに対し神戸市は説明会においても「計画(素案)」の問題点をひた隠しにしています。初日の東灘区の説明会には、「計画(素案)」本文すら持参しておらず、その後の説明会でも、住民が一番知りたがっている区域図を印刷して配布することを拒み続けました。
法律(都市再生特別措置法)には、「居住誘導区域外」で、住宅開発をする場合「事前届出」が義務付けられ、計画に対し行政から「調整」や「勧告」による「居住誘導区域」への変更の斡旋が行われることが明記されています。しかし、神戸市の担当者は「届出」は「住宅開発の動向を把握するためのもの」としか説明せず、住民が不利益になることを意図的に隠しています。
一方「居住誘導区域」内も、利用客の多い鉄道駅前は規制緩和して、高層ビルやマンションを誘致。区役所や基幹病院を集約し、さらに過密化が進むことが懸念されます。
土砂災害や水害・津波リスクが高い地域については、「長期的には」「対策工事ではなく移転を促進する」として駅に近くても「居住誘導区域外」に位置づけるなど、住民の居住権を著しく阻害する計画になっています。
にもかかわらず神戸市は、「(計画発表後の地価に関しては)まだ正式に決まったわけではないので、私たちには責任も何もない」「個別具体的なことを聞きたければ、八月一日までの区役所等でひらかれる相談会に来ればいい」と答えるなど、住民不在でおしすすめようとしています。
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この「計画(素案)」に対する市民意見募集(パブリックコメント)が、七月九日から八月八日まで行われています。(応募はこちらから→ http://www.city.kobe.lg.jp/information/project/urban/toshikukan/soan_iken.html

これまでも「計画(考え方案)」「計画(考え方修正案)」と過去二回の市民意見募集には多数の反対意見がよせられ、神戸市は内容や名称の見直しや、日程の先延ばしが迫られるなどして、神戸市の計画どおりすすんでいません。
日本共産党市議団は、圧倒的な住民の反対の声で計画撤回に追い込もうと呼びかけています。

日本共産党の対案:住民の困難に寄り添い、暮らしに希望もてる地域づくりを

いま神戸市のまちづくりに必要なことは、街を開発した神戸市の責任として、①地域から撤退した民間にかわり、新たな病院や商業施設、バス路線の誘致に積極的にとりくむこと、②高齢化を迎えている地域には、保育教育施設や生活利便施設を積極的に配置し、若い世代がすみよいまちづくりを応援すること、③防災上課題のある地域には横浜市のように公費助成により防災工事をすすめ不安解消すること、④駅前地域でのマンションの乱立による過密地域では住宅立地規制の強化をすること―などです。
神戸市は、三宮駅前の道路を封鎖する一方で五千億円の湾岸道路を建設し、千億円以上かけて豪華な市役所建て替えや三宮への文化ホール移転を行おうとしています。こうした一極集中のムダな公共事業をやめ、九区すべての地域でバランスのとれたまちづくりにこそ予算を配分すべきです。
日本共産党神戸市会議員団は、地域に住み続けたいと願うみなさんと協力して、未来の世代に禍根をのこす「計画」の撤回と、「人口減少社会」に向き合った責任ある街づくりに全力をつくします。

(兵庫民報2019年8月4日付)

ノーモアヒバクシャ近畿訴訟・傍聴記:20190725

「内部被ばく」について分かりやすく解明

副島圀義

七月二十四日は大阪地裁、二十五日は同高裁、と弁論が続きました。地裁では三人の原告について結審。高裁は一審敗訴の苑田朔爾さんの第一回弁論でした。

地裁で原告Oさんは「八月になると国の偉い人は『戦争犠牲者、被爆者に寄り添って』といつも言うが空々しい」「七十六歳になった私が、なぜ国を相手に訴訟しなければならないのか? いままで生き、経験してきたことからして、私の発病に原爆が強く影響していることは間違いない」「戦争も原爆もぜったいにあってはならない。生きている限りこのことを訴えていきたい」と陳述。
高裁で苑田さんは「一審判決の『健康に影響を及ぼすような被ばくをしたとは認められない』とはまったく納得できない」「福島事故の時のような『危険・立ち入り禁止』の表示も、除染もないなか、爆心地近くの浦上川で水浴びもした。三十歳まで生きられぬと思いながら生きてきた。友人たちも同じような不安、苦しみを共有してきた。被爆者を距離や病名で線引きしないで欲しい」と訴えました。

高裁で濱本由弁護士はスライドをつかって「内部被ばく」について解明しました。
「爆発直後のガンマ線、中性子線の、瞬間的で強烈な直接被ばくとともに、誘導放射能、放射性降下物などの作用をしっかり認識しなければならない」
「核分裂生成物、誘導放射化物質、核爆発しなかったウランやプルトニウムが、拡散し、降下した」
「半径二十~三十キロメートルの原子雲の下では『黒い雨』だけでなく、乾いた放射性微粒子も大量に降り注いだ」
「人々は放射性微粒子を含む大気、粉塵、食物、水を摂取。体内に取り込まれた放射性微粒子が放出するアルファ線、ベータ線は極短距離を継続的に被ばくさせ細胞、遺伝子を傷つけた」
―等々「黒い雨を浴びたかどうか」だけで内部被ばくの影響を否定することの誤りを説得力をもって主張しました。
集団訴訟から「ノーモア訴訟」に至る教訓を踏まえ、原点に立ち返っての解明でした。

弁護団からは「一般の行政訴訟では二割程度の勝訴率だが、原爆症では九割近い。判決を待たずに国が引っ込める例も少なくない。原爆症認定審査のひどさを示している。禁止条約に参加しようとしないことに通じる」との厳しい指摘とともに「原告の訴えは『被爆体験を世界の人々に知らせる』意義をもっている」とも強調されたことでした。

(兵庫民報2019年8月4日付)

神戸映サ8月例会:『デスティニー・イン・ザ・ウォー』――どんな時代にもヒーローとヒロインはいる――


一九四一年、日本はハワイの真珠湾を攻撃、太平洋戦争に突入。その半年後の一九四二年四月にアメリカ軍はまさかの日本本土空襲を実行する。日本国内では日本軍の戦果が国中にあふれていた時期だ。空襲を指揮したドーリットル中佐からドーリットル作戦と名付けられた空襲だったが爆撃機の大半は中国、今の浙江省の山中に燃料切れのために墜落。この映画『デスティニー・イン・ザ・ウォー』は墜落し、負傷した米軍パイロットを助ける浙江省山村の未亡人とパイロット、二人の間に流れる思いと彼女たち家族を日本軍から助け見守る村民の思いを、中国古代から養蚕業の中心地の一つで現在も養蚕業が盛んな浙江省の山村風景、その中で営まれる養蚕の暮らしを取り入れながら描いた作品。
監督はスウェーデン人で、かつてスウェーデンからデンマークに移民した親子の人生を映画『ペレ』で描き一九八八年カンヌ映画祭で最高の栄誉パルムドール賞を受賞したビレ・アウグスト。
なお八月十日(土)の二回目上映終了後、映画に関する講演があります。
―松本正憲(神戸映サ)


『デスティニー・イン・ザ・ウォー』〔原題:烽火芳菲〕(中国/2017年/97分)

8月9日(金)①11時②14時③19時、10日(土)①11時②13時 ③16時15 分④18時15 分、神戸アートビレッジセンター2階ホール/講演:10日15時〜16時「シャングリラからTOKYOへ!:映画で描かれたドーリットル作戦」永田喜嗣(抗日映画研究家)/会員:前売1,100円・当日1,200円、一般:前売1,300円・当日1,700円、シニア・障がい者・大学生以下:1,300円/Tel. 078‐371‐8550、e-mail: kcc1950@kobe-eisa.com、@kobeeisa

(兵庫民報2019年8月4日付)

ひなたぽっころりん〈643〉


(兵庫民報2019年8月4日付)

観感楽学

台風は大型化し、前線がもたらす雨は半端ない。降るたびに数十年に一度の大雨、かつて体験したことがない豪雨などといわれ、地域全体に避難命令が出ることも珍しくなくなった▼先ごろの大雨で九州では市全域に避難命令が出されたが、避難したのはわずか六%程度だったとか。避難所はプライバシーがさらされ、安心できる場所ではない。というのが大半の声だった▼NHKの報道によると、イタリアなどの被災者対策は被災後数日の間に空調設備や電化製品、さらにはバス・トイレまで完備したテントが世帯ごとに用意される。一週間以上も放置すると国に処罰されるとのことだった。阪神・淡路大震災や東日本大震災など未曽有の被害を経験してきた日本の場合、避難所は学校の体育館や公民館などで雑魚寝、仮設住宅はただ雨露をしのぐだけの、およそ文化的とは言えない「住宅」で良しとされている▼被災者の住まいは最低限のものにすべきという発想、UR住宅などは贅沢という差別感が根深く存在している。「住まいは人権」といわれながら、諸外国に比べ極めて遅れていることにもっと目をむけ、災害対策の充実と予算の増額を求めるべき時だと思う。(D)

(兵庫民報2019年8月4日付)