学校過密地域すべてにこそマンション規制すべきだ
神戸市定例市議会本会議が六月二十四日に開かれ、日本共産党議員団を代表して味口としゆき議員が議案質疑に立ち、神戸市の「マンション規制条例(案)」の問題点や待機児童解消について、久元喜造市長の姿勢をただしました。
神戸市は、三宮駅周辺エリアのタワーマンションの建設を二〇二〇年度から規制するとする条例施行を提案。その理由は、三宮・都心部は、住宅建設を禁止することで、オフィスや商業施設を優先的に集中させたいためとしています。
一方で、垂水駅前の再開発にあたっては、マンションの制限を逆に緩和する提案(現行四〇〇%の容積率を四五〇%に)を行っています。
都心や駅前には過密、郊外は切り捨てる「都市空間向上計画」を先取りした条例案となっています。
味口議員は、「三宮を商業・業務機能に純化させるという市長の理想より、市民の住環境を考えるべきではないか」として見解を求めました。
油井副市長は「都心の活力とにぎわいを創出するためには一定の定住の人口が必要で、多様な都市機能と居住機能とのバランスのとれた都心づくりを目指したい」と答弁しました。
味口議員は「三宮の駅周辺の過密問題は以前から問題になっている。今回逆に、規制を緩和する垂水中央東地区には過密や保育所問題はないのか」と指摘。三宮一極集中の商業業務機能を中心にものを考えるのではなく、本当に困っている市民のくらしや教育、子育てにこそ配慮した「マンション規制条例」にするべきとしました。
待機児童解消に、保育士の賃上げと遊休地活用を急げ
味口議員は、「待機児童対策緊急プロジェクト(三つの公園を活用保育施設の整備)など」について質問。三つの公園だけを活用するというのは非常に限定的であり、灘区の旧桜ヶ丘保育所跡地など遊休の市有地の活用をもっとスピードアップさせる必要があるとしました。
また、味口議員は、保育人材確保の問題では、賃金が他業種と比べて平均十万円安い実態を指摘。神戸の今の保育士処遇改善策の予算は、京都市が行っていることのわずか八分の一であることをしめし、予算の増額を求めました。
寺﨑副市長は「恒久財源を活用した処遇改善は、本来国の責任で行うもの」などと答弁しました。
窮した市長が「共産党独裁ならば」と的外れな答弁
味口議員に、「待機児童も過密の問題があるのに、なぜ規制緩和するのか?」と、三宮駅前と垂水駅間の対応の矛盾を突かれ、窮した久元市長が、驚くべき発言をしはじめました。
久元市長は〝共産党独裁国家ならできるでしょうが〟と、旧ソ連の問題を取り上げ、クレムリン広場をつくるために教会などを破壊したと言い始めました。この発言は、質問とも全く関係のない、日本共産党をおとしめることだけを目的とした「不穏当発言」です。
味口議員は、即座に抗議し、発言の撤回を求めるとともに、日本共産党綱領では、ソ連型社会は日本共産党が目指す未来社会とまったく関係ないこと、また、旧ソ連の誤りは絶対に再現させてはならないと、その轍を踏まないことを銘記していると、議場で堂々と述べました。
後日ひらかれた議会運営委員会でも問題になり、日本共産党は、議会として抗議し市長に撤回表明を求めることを主張。共産党以外の会派も、市長の発言は「非常に不穏当な発言」「発言の内容も正しくない」ので撤回すべきと賛同がありました。
「内容も正しくない」とされたのは、〝クレムリン広場は十五・六世紀頃にはできあがっており、共産党が教会を潰してつくったという発言自体が事実と違っている〟というもので、〝神戸市の市長として恥ずかしい発言である〟と厳しく批判がなされました。
しかし、自民・公明・維新・市民連合などが「共産党と市長との問題」だとして、議会として撤回要求を退けました。
(兵庫民報2019年7月7日付)