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2019年5月19日日曜日

県民の願いを省庁へ(上)

――金田峰生氏と日本共産党県・市議団が省庁要請


五月十三・十四日、金田峰生日本共産党国会議員団兵庫事務所長、党県議団、姫路・伊丹の市議団などが上京し、省庁要請・聞き取りを行いました。山下よしき、大門みきし参院議員、こくた恵二、清水ただし衆院議員が同席しました。

防衛省:オスプレイ配備撤回を

防衛省には、四月一日にオスプレイが大阪国際空港に緊急着陸した問題で、オスプレイの飛行中止・配備撤回、緊急着陸への具体的原因と対処内容を日本政府の責任で確認できるまで離陸・飛行認をめないことなどを申し入れました。
県議らは「緊急着陸とともに、この間、三田や氷ノ山など県内でもオスプレイ飛行が目撃されている。危険なオスプレイを県内の上空に飛ばさせることは認められない」と指摘しました。
緊急着陸したオスプレイが翌日には、点検を終え、〝安全が確認されて出立した〟とする防衛省の担当者に対し、金田氏は「確認と言っても、二十メートル程度離れたところからの目視と聞いている。とても安全を確認したとはいえない。緊急着陸にした原因もいまだ不明瞭なもとで、出立させるべきではないし、このまま、オスプレイを飛行させるわけにはいかない」と主張しました。
同席した山下氏は、「何かあるたびに、注意をうながしたというだけでは、何ら改善されず、事故が繰り返されているし、目撃などもさらに広がっている。言うだけで全部アメリカまかせ。これ以上こういう状況が続くのは我慢ならない。オスプレイ配備は撤回させるしかない」と強く求めました。

厚生労働省:補聴器購入補助制度を

厚生労働省には、加齢性難聴者への補聴器購入補助制度の創設を求めました。
この問題は、日本共産党県議団の提案により昨年十二月、兵庫県議会で全会一致で意見書を採択。三月には、大門氏が国会でもとりあげました。
要請に対し、厚労省担当者は「現在、難聴が認知症の危険因子となり、補聴器が、認知症の予防効果があるかどうか、研究を開始している」と答えました。
県議らから、「非常に要望が強く、障害者団体などからも意見書採択が喜ばれた」「ひきこもりがちの高齢のご夫婦などから相談会で相談が寄せられる」「研究会を立ち上げたということであれば、ぜひ前向きな制度設計につなげてほしい」と要望しました。
金田氏は、「私の母も、難聴で『好きなテレビが見られない』という。聞こえを補う補聴器は、心の健康を保ち、人間が人間らしく生きていくために必要。早急に具体化していただきたい」と要請しました。
大門氏は「安倍内閣が、高齢者の社会的参加を求めているときに、雇用、労働において耳は決定的だと思う。麻生財務大臣は『厚労省から何も提案がない』といっている。加齢性難聴者対策を、厚労省が提起することは大事な課題だ」と述べました。
これに対し担当者は、「いまは、子どもの難聴に対する対応が中心になっているが、難聴者全体でどうするか、省内でも検討が必要と考えている」と答えました。

内閣府:被災者支援拡充を

内閣府に対しては、被災者支援の拡充を求めました。
昨年の台風21号などの被害について県議らは、「床上浸水して畳の入れ替え、ガスコンロの買い替えなどで八十万円かかったけど、損壊割合が満たさず、県の制度も適用されなかったのが実態」「床下浸水でも、室外機が壊れ、掃除などで五十万円もかかったが、何の補償もなかった」「被災者の多くは年金二人暮らし」など実態を紹介し、被災者生活再建支援制度の適用範囲を、一部損壊、床上・床下浸水まで拡大することを求めました。
内閣府担当者は、「全国知事会からも、半壊までは支援対象にすべきとの提言をうけ、検討するための調査をはじめている。大きな被害は国で、一部損壊などは、地方自治体が支援というようなあり方が必要ではと考えている」となどと回答しました。
金田氏は、「被災判定と被害額は、必ずしも比例していない。一部損壊、床上、床下含め、国が責任もちつつ、各自治体と協力して対応する姿勢が必要ではないか」と指摘しました。
山下氏は、「検討開始したといっても、どういうスケジュールですすめるのか。今日の話でもあったように、一部損壊であっても、高齢世帯などで大変な状況におかれていることが浮き彫りになった。そこも視野に入れて、検討すべきだ」と重ねて求めました。

(兵庫民報2019年5月19日付)

西宮市:ひぐち光冬「要求実現に全力投球!」

がんばります! 日本共産党の新人議員


この度、西宮市議会議員選挙で初当選させていただきました、ひぐち光冬(35歳)です。
私は前市議の上田さち子さんの後継者として今回の選挙戦に臨み、その戦いの中で上田さんはじめ、支部や支援者の皆さんが自分のできることを精一杯やってくださいました。そんなみなさんのおかげで見事バトンタッチを成功させることができて、本当に感無量です。
私はこのみんなで勝ち取った勝利に感動すると同時に、共産党の支え合う姿に〝日本の未来〟を見た気がしました。まさにこの共産党のあり方こそが、今の日本に求められているものではないかと…。
というのも、今の安倍自公政権や維新は「生産性(儲け)」を優先させる政党であり、したがって彼らのつくる社会の下では「生産性のない人=価値がない」となり、どんどん排除されていく傾向にあります。
しかし、生産性だけで人間の価値を量るなんてそもそも間違っているし、生産性があろうがなかろうが一人ひとりの人間を尊重するのが人類の進むべき道のはずです。
そういう意味で今回の選挙では、その本来あるべき姿が実践されていたように思うのです。例えば、あまり動けない人を排除してしまうのではなく、ビラ折りや電話かけなどで活躍してもらいました。まさに〝全員野球〟で戦ったのです。この姿こそが今の日本に求められているものであり、世界中に拡げていくべき姿ではないでしょうか。
これから議員として、この〝共産党の姿〟を広めるべく奮闘してきたいと思います。
(西宮市議の任期は6月11日から)

(兵庫民報2019年5月19日付)

芦屋市:川島あゆみ「芦屋浜40年の議席のバトン」

がんばります! 日本共産党の新人議員

左から川島さん、森市議、田中元市議
四月二十一日の統一地方選挙で、芦屋市議会議員に初当選した川島あゆみです。現職の森しずか市議からのバトンタッチを無事に果たせた事が、何よりの大きな喜びです。
私が生活相談等を担当するエリアは芦屋浜・南芦屋浜が中心です。

あゆみ橋を渡って芦屋浜から南芦屋浜へ

特に芦屋浜は街開きから四十年を迎えていますが、それまでに田中えみこ元市議(七期二十八年)、森しずか市議(三期十二年)がしっかりと日本共産党の議席を守ってきた地域です。私がまさかその三代目になるとは思ってもみませんでした。
ちなみに選挙中は「母、娘、孫です(笑)」を何度も口にし、女性が三代続くということを地域の皆さんにPRしました。
さて、私自身は石川県出身で、学生時代を三重で過ごしました。大学の研究で芦屋浜の高層住宅と縁があり、芦屋市役所ヘ建築職として入庁。去年の十二月末までは都市計画課等で勤務しました。
芦屋が地元でもなく、約三カ月という短い準備期間、しかも選挙本番は表事務所無しという厳しい条件の中でたたかうことに。森議員と相談し「表事務所が無いなら、選挙カーは目立つ場所に置こう」などと工夫をしました。支部の皆さんと力を合わせ、また党以外の方も応援に駆けつけて下さるなど、苦しい中でも、力を与えられた選挙戦でした。
芦屋市はイメージ通り富裕層の多い地域だと思います。私も以前の仕事を通して「お金がある所にはあるんだ」と感じることが何度もありました。
しかし一方で、高齢化も進み、芦屋市内でも少ない年金で生活されている方が多くいらっしゃいます。地域をまわって、特に阪神・淡路大震災で復興住宅に移られた方が高齢化していると感じました。
行政はいま、地域のブランド化や駅前再開発、屋外広告物条例など、目に見える施策に力を入れています。一方で、本当に困っている人の立場に立てているのかと疑問に思うこともありました。
やはり今の芦屋市議会には、日本共産党の三議席が必要です。
これから四年間、初心を忘れずに頑張ります!

(芦屋市議の任期は6月11日から)

(兵庫民報2019年5月19日付)

党兵庫県文化後援会が学習会:統一地方選挙の教訓生かし参院選の勝利を


「統一地方選挙の結果と参院選について」をテーマにした兵庫県文化後援会の学習講演会を五月十二日、神戸市の兵庫勤労市民センターで開催しました。
段野太一文化後援会会長の挨拶に続いて、金田峰生参院選挙区予定候補者が挨拶し、安倍政権は憲法九条の改悪を日程にのぼせようとしているが憲法は九条だけでなく二十五条の「文化的生活の保障」を維持し発展させることが重要であることを指摘、文化を重視している日本共産党の勝利躍進を訴えました。
「統一地方選挙の結果と参院選挙について」は党県委員会の小林明男常任委員が報告を行いました。
小林氏は当日開催された日本共産党第六回中央委員会総会への志位和夫委員長の報告の骨子を紹介しながら、兵庫県内の統一地方選挙の結果について豊富な経験と事例に基づいて解明し、議席の面では一部後退という残念な結果もあるが学ぶべき多くの教訓があるとして、政治論戦の内容や組織活動の経験、教訓を報告しました。
野党共闘の前進と日本共産党の勝利躍進を同時にやり遂げるためには知恵と力が必要であり、参院選の勝利をめざし、地域職場で奮闘していくことの重要性を訴えました。
討論では、維新の党の評価や議席を減らした選挙区などについて、他党の動向や有権者の意識変化などよく見て、教訓を生かすことが大切ではないか、などが話し合われ、参加者からは「情勢の捉え方がよくわかった」「楽しかった」などの感想が寄せられました。
―堤隆二(同後援会)

(兵庫民報2019年5月19日付)

3000万署名・須磨が学習会:憲法の命運左右する参院選、野党共闘勝利で改憲阻止を


「安倍9条改憲NO!3000万署名・須磨」は、神戸大学名誉教授の二宮厚美さんを講師に招き、学習会を五月十一日、新長田勤労市民センターで開きました。
二宮さんは、安倍改憲ノーの運動に勝算あり、今は九回裏にさしかかって八対二で護憲派が上回り、勝利目前だと述べた上で、しかし、安倍政権は次の参議院選挙で勝ち、二〇二一年に延ばしてでも改憲を実現したいとの強い執念をもっていると指摘。三千万署名による改憲阻止の勢力が改憲スケジュールを遅らせており、参院選で全国三十二の一人区で野党の統一候補を出せば、改憲勢力に参院三分の二を占めさせることを許さず、改憲発議を阻止できる……と、七月の参院選が憲法の命運を左右し、野党共闘の重要性を強調しました。
―三好正子(「安倍9条改憲NO!3000万署名・須磨」代表)

(兵庫民報2019年5月19日付)

「10月消費税10%ストップ!兵庫県ネットワーク」学習会:増税中止要求に勝算あり

十月の消費税増税阻止に向け運動の契機としようと、「十月消費税一〇%ストップ!兵庫県ネットワーク」は五月九日に神戸市内で学習会を開催。「消費増税中止要求に勝算あり!」と題して神戸大学名誉教授の二宮厚美さんが講演し、医師・歯科医師、市民など約百人が参加しました。
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二宮さんは、七月の参議院選挙で野党が一人区で共闘する構えのなか、消費税増税が争点になれば、政権にとって非常に厳しいと見て、安倍政権は世論を伺っている状態であるとしました。
消費税について最低生活費非課税原則を侵害する憲法違反の税制であり、そもそも認められないと断じました。増税対策についても、政府は増収額五・八兆円を上回る六兆円をつぎ込んでいるが、実質消費税率の複雑化で混乱が予想され、さらにキャッシュレス決済が求められることやインボイス導入により、中小事業者の営業を脅かすと問題点を指摘しました。
消費税増税を中止するには、七月の参議院選挙に向けて、普段新聞などに触れることが少ない若い世代に、きょう学んだような消費税の問題点を発信するなど、安倍改憲ノー・消費税増税中止で一致していくこと、安倍政権の補完勢力である維新の正体を広く知らしめることが重要だと訴えました。
*
加盟団体から、兵庫県農民運動連合会の田中信一郎事務局長、兵庫県労働組合総連合の土井直樹事務局、兵庫県商工団体連合会の村上健次副会長、兵庫県保険医協会の川西敏雄副理事長が発言し、増税で生活・営業が脅かされると、消費税増税の中止を口々に求めましたた。
兵庫県保険医協会の西山裕康理事長が開会挨拶。
日本共産党国会議員団兵庫事務所長の金田峰生氏と立憲民主党の桜井周衆議院議員(秘書)が参加し、新社会党の粟原富夫神戸市会議員がメッセージを寄せました。
今後の行動提起として、新日本婦人の会兵庫県本部の岸本友代会長が、毎月第四土曜日に行う街頭宣伝への参加やSNSを使った情報発信を行うことなどを呼びかけました。
―前川蛍(兵庫県保険医協会)

(兵庫民報2019年5月19日付)

兵庫県原水協が総会と記念講演

草の根の運動と政治変える運動が重要

兵庫県原水協は二〇一九年度第一回理事会(総会)と記念講演を五月十一日、神戸市内で開催しました。
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午前に、今年の四月二十九日から五月十日までニューヨークで行われたNPT再検討会議の第三回準備委員会に参加した川田忠明日本原水協全国担当常任理事が「被爆七十五年・NPT再検討会議へ運動の展望と課題―再検討会議第三回準備委員会をうけて」と題して記念講演し、TPNW(核兵器禁止条約)をめぐる情勢を詳しく解明しました。
―核兵器保有国とその同盟国が強く反発・干渉する中で、条約の批准は二十三カ国(発効は五十カ国)に達した。二〇一八年に行われた国連総会では、「核軍縮のための条件づくりが先だ」という米英仏中ロが共同声明を出したのに反して、「TPNWへの署名・批准を訴える決議」が五十三カ国の共同提案で賛成百二十二、反対四十一、棄権十六で採択された。
―TPNWを焦点にしたくない五大国とNPTの補完の役割を積極的に認める非保有国との激しい論戦を経て、保有国に軍縮をせまる国際社会の多数の声が議長勧告に反映された。
―朝鮮半島情勢の変化などに、大きな可能性への戸口がある―などを報告。川田氏は、核兵器の非人道性の告発と核兵器廃絶の世論をひろげるために、被爆者国際署名など草の根の運動と核保有国と同盟国の政治を変える運動、とりわけ日本の運動の重要な役割を強調しました。
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昼食休憩の後、第一回理事会(総会)が行われました。
和田進代表理事の開会挨拶と黙禱の後、梶本修史事務局長から「二〇一八年度の運動経過と二〇一九年度運動方針案」「県原水協会則改定案」が提案され、討論に入りました。
▽被団協と一緒に団体申し入れをして、教職員組合(連合)から九百五十五筆の署名がおくられてくるなど、三年で六千四百筆、人口比率でいうと一番多い。全市議が署名した(芦屋原水協)、▽独自ののぼりやパッチワーク・刺し子など署名行動を工夫(灘区)▽首長署名に努力(高砂市長がまだ)、地域の行事で三桁の署名を集めた(加印)▽医生協中心に世界大会への参加にこだわっている(尼崎)▽六四年から毎月六・九にこだわってきた。ピースフェスタを十五回開催、新社会党なども一緒にやってきた。必ず被爆者体験を語ることをお願いし、原爆展もしてきた(明石)▽洲本と南あわじの市長がまだしていないが働きかけている(淡路)▽篠山で原水協を結成へ。丹波市で「国への意見書」が九対十で否決されたが引き続き出す予定(丹波)▽兵庫労連では新しく専従になった二十代後半の若い世代が発言しました。
最後に事務局長からまとめの発言が行われ、原水協運動の三つの目的(核戦争阻止、核兵器廃絶、被爆者援護連帯)のために、①被爆者国際署名五十五万筆の達成②国民平和大行進の成功③二〇一九年世界大会(長崎)に二百人の代表派遣④非核「神戸方式」を守り全国に広げる⑤ノーモアヒバクシャ訴訟の勝利、被爆者援護連帯⑥原発ゼロ・自然エネルギーへの転換めざすとりくみ⑦憲法改悪に反対し民主主義を守るたたかい⑧二〇二〇年ビキニデーの成功⑨県らしい国際連帯の活動⑩原水協の組織・財政活動の強化――などの提案と財政報告、新役員の提案を拍手で採択。閉会挨拶を津川知久代表理事が行いました。

(兵庫民報2019年5月19日付)

西宮市借上復興住宅追い出し裁判の控訴にあたって

西宮市の借り上げ復興市営住宅シティハイツ西宮北口について、URからの借り上げ期間二十年の満了を理由に入居者に退去を求める市の主張を認めた神戸地裁尼崎支部(河田充規裁判長)の判決に対し、訴えられた入居者七世帯全員が五月八日に控訴しました。これにあたって借上復興住宅弁護団が発表した声明を紹介します。

二〇一九年五月八日 借上復興住宅弁護団弁護団長 佐伯雄三

本日、当弁護団は、本年四月二十四日に神戸市地方裁判所尼崎支部第二民事部(河田充規裁判長)が言い渡した西宮市の借上げ復興住宅である「シティハイツ西宮北口」の入居者全員に退去を求める判決に対し、控訴した。
本件訴訟は、一九九五年の阪神・淡路大震災で住宅を失った被災者に対し、西宮市がURから集合住宅を借り上げ、入居を決定した際に、借上期間や明渡しの必要があることを説明せず、復興住宅として入居事業を推進したにもかかわらず、入居者に対し、一律に退去を求め、提訴した事件である。
先日の判決は、公営住宅の入居者は、入居の際にあずかり知らなかった契約条件が、入居後に設定されたとしても従わなければならないなどとしている点で、公営住宅法の解釈を誤っただけではなく、不当に公営住宅に入居する者を差別した点で極めて問題がある。また、入居申込案内書というパンフレットに「借上期間について記載があった」と指摘しているが、当時のパンフレットには、入居者の借上期間満了時の明渡し義務について明記されておらず、借上期間を確認すれば、入居者が借上期間満了時の転居を予測できたという結論は全く承服できない。
阪神・淡路大震災の当時、入居者らは、車中生活や避難所などでの生活を余儀なくされていた。また、借上げ復興住宅とは、阪神・淡路大震災において初めて導入したものであり、当時の被災者らからすれば、西宮市職員から丁寧に説明されなければ、期限付きの復興住宅があろうことなど夢にも思わなかったのである。そのような入居者らが、避難所などで復興住宅の間取り部分以外の入居申込案内書の全ページをくまなく精読し、借上期間があるとの記載から借上期間満了時の転居義務を法律家と同じように容易に想像できたと三名の裁判官が考えられたのであれば、それはあまりにも、当時の震災の実態を知らないものと言わざるを得ず、当時の状況について思いを致さなかった点については猛省を促したい。
本件は、単なる公営住宅の退去の是非を超えて、入居者らの転居時の健康リスクやわが国の今後の復興住宅の在り方など極めて重要な問題を抱えている。さらに、同種の訴訟が、本件とは別に、現在、大阪高裁に三事件、神戸地裁本庁に四件、係属している。
弁護団は、「健康で文化的な生活」を守るために公営住宅があり、借上復興住宅の継続入居を認めることこそが、すべての市民が被災した際の「健康で文化的な生活」を守る闘いであることを深く自覚し、引き続き全力で闘う次第である。

(兵庫民報2019年5月19日付)

淡路島出身・島田邦二郎の「自由民権」憲法構想を学ぶ

治安維持法国賠同盟淡路支部結成準備会など


治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟・淡路学習講演会が十一日、洲本市総合福祉会館で行われ、用意していた資料がなくなる五十人以上の参加者がありました。
同淡路支部結成準備会と大阪民衆史研究会の共催で行われた講演会は、「淡路島出身・島田邦二郎の『自由民権』の憲法構想を学び顕彰する集い」として行われました。
映画監督で南あわじ市出身・大阪民衆史研究会会員の島田耕さんは、淡路島とのかかわりや、曾祖父の弟である邦二郎について語り、「淡路島での縁を感じる」と講演会開催へのお礼を述べました。
高島千代・関西学院大学法学部教授は、島田邦二郎の経歴や、論考「立憲政体改革の急務」の内容を紹介し、自由民権運動の思想的エッセンスを引き継ぎ、「どう立ち向かうのか考える」ことが必要なこと、「先人たちがいたことにもっと誇りを」と語りました。
田中隆夫・国賠同盟県本部役員は、過去の戦争の実態や、なぜ戦争を始めたのか、たたかいの歴史に学び、希望を語ることが重要であると述べました。
片岡ただし洲本市議が主催者を代表して挨拶を行い、えびす智彦市議は南あわじ市議会での「治安維持法犠牲者国家賠償法の制定を求める意見書」が採択されたことを報告しました。
同淡路支部結成準備会は今年八月に結成総会を行う予定です。
―岡田教夫(党淡路地区委員長)

(兵庫民報2019年5月19日付)

兵庫県AALA連帯委員会総会:中国の「いま」を考える

安井三吉神大名誉教授が講演


兵庫県アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会は五月十二日、神戸市内で総会と「中国の『いま』を考える」学習講演会を開催。七十人が参加しました。
講師の安井三吉神戸大学名誉教授は、日本人の中国観の重層性にも触れながら中国の近現代史を説明。二〇二一年に迎える中国共産党創立百周年、二〇四九年の中華人民共和国建国百周年という「二つの百年」に向けた「中国の夢」などについて解説し、アメリカに対抗して「強国」をめざす中国の世界観やグローバル構想などを明らかにしました。
参加者からは「今回初めて歴史的にも詳しく学べて面白かった」「尖閣諸島の問題では、琉球王国を日本の領土にしたことは知っていたが、中国(清)と日本との間での取り決めなど知らなかったので驚いた」「中国問題についての学習意欲が高まった」などの感想が出されました。
*
なお、学習講演会に先立って開かれた兵庫県AALA第三十八回定期総会では、この一年間の活動を振り返り、二〇一九年度活動方針を採択。新役員を選出しました。
―井村弘子(同委員会事務局長)

(兵庫民報2019年5月19日付)

科学者会議兵庫支部が総会・フォーラム:福島第一原発事故から8年


日本科学者会議兵庫支部が年次総会と市民フォーラムを五月十一日、神戸市勤労会館で開きました。
フォーラムは「福島原発事故からの八年余を問う」を主題に公開で行われ、後藤隆雄さん(会員・元神戸大学)と原発賠償関西訴訟原告の加藤裕子さんが報告しました。
後藤さんは、チェルノブイリ原発事故(一九八六年)と福島第一原発事故を比較。チェルノブイリ被災者保護法により発生から三十年以上経過した現在も年間五ミリシーベルト以上を義務的移住地域としていることなどと比べ、地域解除を急ぐ日本政府の施策を批判しました。
加藤さんは、福島市では事故発生直後から当時十歳の長女は小学校に登校、自身も水や食料を得るため屋外の長蛇の列に並ぶなどしたことにより被曝。関西へ避難したものの、「避難を選択したのは間違いではなかったか」など悩んだこと、現在も避難元では毎時〇・二〇マイクロシーベルトの放射線量があり、目の前の空き地には袋入りの除染土が山積みにされていること、「避難の権利」「ふつうの暮らしを取り戻す」「安心の未来を紡ぐ」ため訴訟原告となったことなどを報告。
「声を伝える場を継続的につくってほしい」「放射線被害に関心をもってほしい」「無料健診・仕事づくり・安定した住まいを」「全国の原発賠償訴訟の傍聴を」「身近な避難者に手を差し伸べてほしい」と訴えました。
また、自身の経験を日本語、英語、韓国語で訴える本を五月下旬に出版する予定であることも紹介しました。
*
総会では、民主主義の回復、平和と安全な生活、災害復興、原発ゼロ、明日への確かな希望を求める人々の期待にこたえることを念頭におき活動をすすめることなどの方針を決めました。

(兵庫民報2019年5月19日付)

神戸映画サークル協議会6月例会『29歳問題』

すべての世代の観客の心に寄り添う香港からの贈り物


『29歳問題』は、三十歳を目前としたふたりの女性の生活や心の内を描いた作品です。
公開されるやいなや、香港で大ヒットし、その感動は本国のみならず、世界の映画祭で好評を博しました。
二〇〇五年、香港。化粧品会社に勤めるクリスティ。スーツを着てさっそうと歩く姿は、まさに都会のキャリアウーマン。イケメンの恋人がいるし、女子会を楽しむ女友達もいます。
最近、彼女は尊敬する女性社長に仕事ぶりを認められ、昇進が確定。新たなステージにあがろうとします。でも、望んできたはずなのに、なんだか心は憂鬱。
仕事の責任は増して、ストレスはたまる一方だし、認知症の父の事も心配です。最近は彼氏ともすれ違い。
そんな時、自宅のマンションが水漏れになり、パリに旅行するティンロの部屋を間借りすることに。見も知らずの同い年のふたりは、部屋を通じて繋がります。
二十九歳のふたりの女性を通して、人は表面に見えるだけがその人ではないということ、誰もが日々の喜怒哀楽を心に刻みながら、大小様々の決断を繰り返し、人生を生きてゆくという事をやさしく伝えてくれる作品です。
―宮下暢子(神戸映画サークル協議会)

映画『29歳問題』

2017年香港、111分/6月21日(金)①11時②14時③19時/22日(土)①11時②14時③18時/神戸アートビレッジセンター KAVCホール/一般当日1,700円(前売1,300円)、シニア・障がい者・大学生以下1,300円/Tel. 078‐371‐8550

(兵庫民報2019年5月19日付)

観感楽学

原水爆禁止世界大会をニューヨークで開催する――なんとも衝撃的なニュースが飛び込んできた。被爆七十五年の二〇二〇年NPT再検討会議に合わせて行うとのことだ▼今年のビキニデー集会で、米平和運動リーダーのジョセフ・ガーソン氏が構想を語っていた。核兵器禁止条約を採択させた運動を次の段階に進めるために何が必要か?▼日本の世界大会の基本理念―核戦争阻止、核兵器全面禁止・廃絶、被爆者援護・連帯の三目標での共同が原水爆禁止運動を育てた。これを世界の運動の共通認識にすることがカギだと言う▼特にガーソン氏は、被爆者の役割に着目してきた。彼の住むボストンに被爆者を招き、証言を聞いたことがアメリカの運動の質を変えたと言う。阪神・淡路大震災の被災被爆者を慰問し、「被爆したにもかかわらず、平和を訴えることで世界を励ましたように、地震に負けずに立ち上がる姿を見せて世界を励まして」と語りかけた▼核兵器禁止条約には「被爆者にもたらされた容認しがたい苦難と損害に留意」することが明記されている。被爆者の思いに応える世論と運動こそが核兵器禁止から廃絶への次のステージに進む力だということだ。(K)

(兵庫民報2019年5月19日付)