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2019年3月31日日曜日

くらしに希望を:日本共産党兵庫県議団が予算議会で討論

県営住宅戸数削減、消費税増税に伴う利用料など引き上げに反対


三月十八日、庄本えつこ県議は日本共産党県議団を代表し、本議会で二〇一九年度兵庫県一般会計予算案など全四十九議案中二十三議案に対し、反対討論を行いました。
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日本共産党県議団は、予算案に対し、①消費税一〇%への増税が前提②社会保障費を抑制し、国保料の引き上げを伴うこと③産業政策では、大企業有利な産業立地補助が中心④農業政策は、大規模化・法人化促進に偏重⑤大阪湾岸西伸部整備など不要不急の高速道路事業⑥教員定数の削減などを理由に反対を主張しました。
日本共産党県議団が提案した予算組み替え案のように不要不急の公共事業、産業立地補助金などの予算を削減し、国保の子どもの均等割り減免や加齢性難聴者補聴器補助、子どもの医療費無料化、教員定数増などに予算を振り向けるべきだとしました。
二〇一九年度県営住宅事業特別会計予算については、宝塚市内の小林住宅が宝塚御所の前住宅に、明石市内の明石金ヶ崎住宅が長坂寺住宅に、それぞれ建て替えに伴い集約化し・管理戸数を削減することも含まれていると指摘して反対しました。震災復興借り上げ住宅の住み替えについてもきめ細かな対応と希望者全員の継続入居を求めました。
また使用料及び手数料徴収条例等の一部を改正する条例について、消費税一〇%への増税に伴い、兵庫県民会館・阪神淡路大震災記念人と防災未来センター・工業技術センター・農林水産技術総合センター・明石公園第一野球場・文化体育館多目的ホールの利用料、道路占有料、水道用水給水料金、西播磨総合リハビリテーションセンター・県立病院の特別室の室料及び診断書・証明書など文書料金―などをひきあげるもので、容認できないと反対しました。

地元業者も直接受注できる防災・減災型公共事業を


三月二十日、県議会最終日、いそみ恵子県議は日本共産党県議団を代表して、二〇一八年度一般会計の繰越し予算議案などに対し、反対討論を行いました。
日本共産党県議団は、今回の繰越し予算には、東播磨南北道路、浜坂道路、園田西武庫線など不要不急の高規格道路関連事業が含まれているとし反対しました。
東播磨南北道路は、南工区の七五%は、高架区間であり、特殊技術が必要であり、県内企業は受注できず、県外の大企業が受注していると指摘。浜坂道路も同様だとしたうえで、「不要不急の大型公共工事ではなく、地元建設業者も直接受注できる防災・減災型公共工事を中心に行うべきです。河川整備率五九%、土砂災害警戒区域の整備率二六%と、遅れている減災・防災・老朽化対応型の公共工事こそ必要です」と述べました。
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「損害賠償請求控訴事件に係る出訴」について反対しました。
この議案は、兵庫県警が重度の知的障害者への取り調べの際に、本人の同意のない違法なDNA採取があったとする訴訟で、兵庫県が敗訴したことをうけ、県として控訴するというものです。
日本共産党県議団は、「裁判の判決文において、警察によるDNAの採取について、『(原告が)プライバシー及び遺伝情報という抽象概念の内容及び価値を理解する能力を欠いていたことは明らか』であり、違法な捜査と言わざるを得ないと断じており、障害者に対する合理的配慮が欠け、違法性があったことを指摘しています。この判断は、妥当であり、県は、判決を受け入れ、原告を控訴すべきではありません」と指摘し、反対を主張しました。

日米地位協定の抜本改定を求める意見書の採択を主張


三月二十日、県議会本会議で入江次郎県議は日本共産党県議団を代表して、請願に対する討論を行いました。
日本共産党県議団は、▽核兵器禁止条約の批准を求める意見書提出▽幼児教育無料化・待機児童解消を求める意見書、最低賃金の引き上げを求める意見書▽若者の雇用改善を求める意見書▽後期高齢者医療費窓口一割負担の継続を求める意見書▽給食無償化のための財政支援に対する請願について、採択を主張しました。
また、委員会で結論をださないとされていた日米地位協定の抜本改定を求める意見書提出についても、採択すべきとしました。
日米地位協定は一九六〇年に締結されてから、日本政府が改定を提起したことがなく、在日米軍基地のある他国と比較しても異常なほど不平等なものとなっていると述べました。「全国知事会は昨年、日米地位協定の抜本改定を含む『米軍基地負担に関する提言』を全会一致で採択。提言では、米軍機の低空飛行訓練等についての実態調査、訓練ルートや訓練時期の事前情報の提供、米軍への国内法の適用など、日米地位協定の抜本的見直し、基地の整理・縮小・返還の促進を求めている」と紹介。先月、沖縄で新基地建設の賛否を問う県民投票が行われ、投票総数の七割という圧倒的多数の県民が新基地建設反対の意思を示したことも主張しました。
兵庫県議会も、二〇〇三年に「日米地位協定の見直しを求める意見書」を全会一致で採択していると指摘し、「全国知事会や兵庫県議会の総意、沖縄県民の思いを重く受け止め、日米地位協定の抜本改定に取りくむよう、国に意見書を提出することを求める本請願の採決を強く求める」と主張しました。

(兵庫民報2019年3月31日付)

「消費税増税とめられる」「国保は値上げじゃなく値下げして」宣伝・対話で反響

商店で対話する元県議の宮田静則さん(中)

「消費税増税は止められる」「国保料は値上げではなく大幅値下げこそ」という日本共産党の宣伝・対話が兵庫県内各地で共感をひろげています。
各地で配布している赤旗号外は、「これからの審判で消費税増税は止められる」「消費税に頼らない別の道があります」と訴え。民報号外は、「国保料の値下げは止められる」「サラリーマン並みに引き下げられる」と提案しています。
尼崎市内では、杭瀬商店街で消費税増税中止署名も持って五十軒の商店と対話。アミング潮江商店街では二十七軒と対話。商店の主人は「子どもが二人いて、国保料が高すぎる」と怒ります。全国知事会も要求する一兆円の公費投入で「協会けんぽ」並みにという提案を紹介すると「ぜひ実現してほしい」と対話が盛り上げりました(写真)。
「社会保障のためには増税がしかたないのでは」という人にも「財源は、大儲けしている大企業に応分の負担で」と話すと「その通りやね」と共感も。党尼崎地区委員会には「中央商店街で赤旗新聞の見本紙をもらいました、購読します。消費税署名も返信封筒で送ります」という電話が寄せられています。
神戸市内の対話のなかで「税金の使い方悪いね。国保料高いし。共産党が大きくならないと平和も暮らしも守れないんやね」、西宮市内でも「生活も切り詰めないと国保料の支払いがたいへんです。大幅値下げをぜひ実現してほしい」などの共感の声が寄せられています。

(兵庫民報2019年3月31日付)

市民の足を守ってほしい3月議会に市民から請願・陳情

三月に行われた神戸市議会の常任委員会に対して、神戸の交通問題連絡会が「電車・バスで通学する高校生への定期代の助成等を求める請願」を、市民の足を守る東灘区の会が「市バス19、39、31、38系統の増便等を求める陳情」を提出しました。

高校学区拡大でますます高額に通学費用助成の拡充を

兵庫県による高校学区変更に伴い神戸市は三学区だったものが、淡路島と合わさり一学区となりました。そのため、本来ならば自宅近くの高校に通える子どもたちが、通学するためにバスや電車を乗り継がなければならず、定期代も高額となっています。
日本共産党神戸市議団の議会論戦や住民の運動がみのり昨年九月から北神急行を利用して通学する高校生を対象に、その負担を軽減するため通学費の一部を助成する制度がはじまりました。
神戸の交通問題連絡会は、高い通学費の根底には兵庫県の学区拡大の弊害があると厳しく指摘するとともに、昨年から通学費助成の拡充を求める署名活動を始め、既に二千三百八十四人の署名を神戸市に提出しています。神戸電鉄沿いのある地域四千世帯に封筒を添えて配布したところ百十二人から返信があり、「私の孫も高額定期を払っている。税金の使い道をかえてでも実施していただきたい」などの声も同時に寄せられています。
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神戸の交通問題連絡会事務局の岡崎史典さんは、「電車・バスで通学する高校生への定期代の助成等を求める請願」を審査する三月十四日の都市防災委員会で「北区に引っ越してきたあるお母さんは、北区から高校が減る一方、本当に神戸電鉄の運賃が高くて困っている。長田区に通う北区の高校生からは、一か月四万円の負担で親に申し訳ないという声がでている。兵庫県には通学定期代金に係る貸与制度があるが、多額の借金をさせるような事態は、機会均等という教育の原則からも外れる」と陳述。神戸市と兵庫県の全ての高校生の通学定期に助成や無償化するための予算措置を求めました。
神戸市住宅都市局長は「長距離を移動する場合やバスも含め複数の路線を乗り継いだ場合に、通学費が高額になっていると感じられるが、まずは、アンケートなどで実態把握に努めたい」などと答弁しました。
日本共産党は「実態把握や分析するのも大事だが、現に困っている方がいるのだから一刻も早く、助成を拡充すべきだ」と請願の採択を主張しました。
一方、自民党は「学区編成は二次志望までかけるので、長距離通学にはなりにくい。今すぐ結論を出すのではなく、まずは調査してから」などと主張。公明党とこうべ市民連合、日本維新の会も「まずはアンケートの結果がでてから」などとして請願については「結論を出さない」とともに「継続審査を申し出ない」ことを主張し、請願を「審議未了」にしました。

市バスは減便でなく充実を

三月十三日の企業建設委員会では「市バス19、39、31、38系統は通勤・通学時間帯は増便し、その他の時間帯については少なくとも減便前の回復をすること。また、始発を繰り上げ、土日祝においては終発を延長すること」「渦森会館前へのバス停の設置」を求める陳情が審査され、陳情者からは「減便によって渦森台・鴨子ヶ原・住吉山手の住民はじめ東灘区民が困っています。私たちの税金ですから、くらしのために必要な路線は、補助金も活用して、減らさず充実してほしい」との要望が出されました。
日本共産党は「住み良い街づくりを進めるためには、二十二便もの減便を元に戻すとともに、交通局としても住民の声を直接聞いて充実すべき」として陳情の採択を求めました。
また「渦森会館前のバス停設置のために住民とともに調査すべきだ」と求め、神戸市の自動車部長は「設置が可能かどうか警察と協議し、その回答を待って相談させていただきたい」と答弁しました。
他の会派からも「陳情は不採択にするが神戸市に努力してバス停をつくると返事することが大事だ」との意見がでました。
しかし、自民党は「(減便は)交通局の経営判断ということだから了としたい」、公明党は「減便は致し方ない」などとし、日本維新の会やこうべ市民連合、共創・国民民主が同調し、いずれも「不採択」を主張し、陳情は不採択となりました。

(兵庫民報2019年3月31日付)

借り上げ住宅裁判:実質的判断示さず最高裁が上告棄却

神戸市がURからの借り上げ期間(二十年)の満了を理由に、借り上げ住宅入居者に退去を求めていた裁判のうち、神戸市兵庫区のキャナルタウンウエストにすむNさん(81)について最高裁第三小法廷は三月十九日、Nさんの上告を棄却する決定を下しました。
一審の神戸地裁は、Nさんの生活状況を確認することなく三回で審理を打ち切り、鍵渡しを行う転居の十日前の入居許可時に入居許可書に「借り上げ期間および借り上げ期間満了後の明け渡し義務」が記載してあることから、この時点で借り上げ住宅に入居するかどうか選択できるとして、神戸市の請求を認めました。
二審の大阪高裁は、Nさんの生活状況について法廷でのビデオ再生で確認し、「借り上げ期間および借り上げ期間満了後の明け渡し義務」の通知についても、入居が決定した時に通知することが望ましいとしながらも、結局、一審の判断を維持。Nさんが最高裁に上告していました。
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今回の最高裁決定について、Nさんの代理人を務める借上復興住宅弁護団は三月二十二日に声明を発表しました。この声明では――
Nさんは現在も歩行障害のため、室内外を問わず、歩行器で移動しており、介護を受けながら必死に在宅生活を送っている。
公営住宅法が、憲法二十五条を受けて「健康で文化的な生活」のために、住宅困難者に公営住宅を提供することを目的としていることからも、Nさんの生活状況を踏まえた慎重な判断がなされるべきであったが、最高裁は、記録到着後一カ月しかたたないうちに、決定にいたっており、拙速かつ杜撰な審理をしたというほかない。
何ら実質的な判断を示さない門前払いの決定をした最高裁は、憲法で託された違憲審査権を放棄したに等しく、裁判を受ける権利すら踏みにじるものであり、到底、法の番人とは言いがたい。
神戸市の誤った強制退去の政策に追随するばかりでなく、一九九六年改正公営住宅法で新設された借り上げ公営住宅の法理論や司法審査基準すらしめそうとしないものであり、人権の最後の砦としての司法の職責を果たさない拙速な決定と言わざるをえない。
――と厳しく批判しています。
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この決定を下した最高裁第三小法廷の裁判官は、宮崎裕子(裁判長)、山崎敏充、戸倉三郎、林景一の四氏。

(兵庫民報2019年3月31日付)

新温泉風力発電について岩渕参院議員が追及

住民合意ない事業は中止を

質問する岩渕議員(左)

新温泉町に計画されている大規模な風力発電施設について三月二十日の参院経済産業委員会で日本共産党の岩渕友参院議員は、住民合意のない集中立地事業は中止を、と迫りました。

新温泉町清正公園から事業予定地のごく一部を望む

この事業は湯村温泉の東、標高四百メートル程度の低山がつらなる千九百六十七ヘクタール(町面積の八%)の地域の尾根尾根に、一基あたり出力が四千五百キロワット、高さ百五十メートル(風車の直径百三十メートル)の風力発電機を二十一基建設する計画です。
(→仮称新温泉風力発電事業 環境影響評価方法書
事業者である「合同会社NWE―09インベストメント」には従業員がおらず、実質的には「日本風力エネルギー株式会社」が事業を実施し、その大部分は他社との委託契約等により行われる予定。「日本風力エネルギー株式会社」は同様の形態で九件(新温泉町の他、大分、佐賀、和歌山〈二件〉、鳥取〈二件〉、島根、鹿児島)併行して環境アセス手続きを行っています。環境アセス手続きでの環境大臣意見書も、一般的な事業形態とは異なり「求められる環境配慮等が適切に実施されない」懸念を示しています。
岩渕議員は、土砂災害、低周波、騒音、生態系への影響など住民が非常に心配していること、事業者が地元説明会で、開発ステージを通過した案件は百%建設を開始・建設完了百%の実績があるとの資料を配布する一方、但馬牛への影響を心配する声やイノシシ・シカによる農業被害が増える懸念に真摯にこたえていない実態や、町議会が昨年六月、全会一致で採択した、地元住民の不安を解消し理解を得ることができなければ「現状では反対せざるとえない状況」との意見書を示し、FIT(省エネ固定買取制度)事業認定に当たって、地元住民・自治体の合意を義務化するべきではないかと提起し、新温泉町の事業については認定取り消しを求めました。
また、説明会で、地元の雇用がどれぐらい増えるかとの質問に、草刈りで一人あるかどうかと事業者が答えたこともあげ、岩渕議員は、この計画自体が地域との共生、地域活性化と相いれないと指摘し、認定取り消しをと迫りました。
これに対し、世耕弘成経産相は、「認定取り消しは法令違反が確認された場合」と繰り返す一方、地域住民の理解を得ながら事業をすすめていくことが重要だと認めました。
また、福島県いわき市遠野町に計画中の巨大風力発電施設立地計画(三十五基)について、遠野地区全域で八割を超える反対署名が集まっていることを示し、住民合意のない事業は中止して、地域主体の再生エネルギー事業こそ推進すべきだと主張しました。

(兵庫民報2019年3月31日付)

補聴器購入に補助制度を:大門議員が兵庫県議会意見書を示し要求

――麻生財務相「やらなければならない問題」と答弁

日本共産党の大門実紀史参院議員は三月二十日の参院財政金融委員会で、加齢に伴い難聴となった人が補聴器を購入する際の補助制度の創設を求め、麻生太郎財務省は「やらなければならない問題」と答えました。
大門議員は、兵庫県議会が昨年末、全会一致で採択し、衆参両院と政府にたいし提出した、公的補助制度創設を求める意見書を紹介しながら、加齢性難聴は日常生活を不便にし、コミュニケーションを困難にするなど生活の質を落とす、うつ病や認知症の原因になるとも考えられていること、そして、補聴器の価格は片耳でも三万~二十万、保険適用がないため全額自己負担となっており、特に低所得の高齢者にとっては切実な問題になっていると指摘。
一千四百三十万人と推定される日本の難聴者のうち補聴器をつけているのが一四・四%で、アメリカ三〇・二%、ドイツ三六・九%、フランス四一・〇%、イギリス四七・六%と欧米諸国と比べ極端に低いこと、少ない第一の理由が一台平均十五万円と補聴器が高額であることを資料で示しました。


現行の補助制度は七十デシベル以上(耳元で大声で話すと聞き取れる程度)で障害者手帳が交付される人にだけが対象となっています。大門議員は、世界保健機構では①四十一デシベル(基本的には聞こえるが、音域などにより時々聞き取れない程度)以上に補聴器を付けることを奨励していること②その段階でほうっておくと認識できない音が増え、難聴がさらにひどくなる―としていることを紹介。日本では医師による治療の一環として補聴器を購入した場合の医療費控除について、六十歳ぐらいで働き、所得が二、三百万円の人が三十万円の補聴器を購入しても控除額は二万円にしかならないこともあげました。
その上で大門議員は、諸外国では障害ではなく医療のカテゴリーで補助制度を作っており、厚生労働省全体で補助制度を検討することが必要であり、研究・検討に入ること、財務省も真摯に検討することを求めました。
これに対し、麻生太郎財務省は「(補助制度は)やらなければならない問題だ」と答えました。
さらに大門議員は、補聴器が高額であることに関連して補聴器メーカーのような社会的有用性のある企業に対して税制支援を強めていくこと、すでに助成を始めている自治体を交付税措置で応援することなど、高齢化対策としても重要であり、政府全体で考えていくよう提起。麻生財務相は「研究開発減税など物づくりの研究開発支援での税制処置は積極的に活用してもよいと感じている」答えました。

(兵庫民報2019年3月31日付)

ひなたぽっころりん〈637〉

(兵庫民報2019年3月31日付)

観感楽学

厚生労働省の提案する「地域医療に従事する医師の時間外労働の上限」という記事を読み、テレビでは医師の働く現場の異常さを伝える番組を見て、楽な仕事だとは思っていませんが、お医者さんの労働条件がこんなにも悪いことを知りました。地域や病院で状況は変わるのかもしれませんが、医師は働きづめで、これでは医師の方が病気になるのではと心配になるぐらいでした▼私がソフト会社に勤めていたころは当たりまえのように残業をしていました。当時、あるプロジェクトで過労死がありました。その日のうちには帰れない日が続くようなプロジェクトだったそうです▼体力的に限界だったのでしょう。無断欠勤が続いたため調べると自宅のコタツの中で亡くなられていたそうです。過労死が発生した直後はさすがに問題になり、スケジュールの変更や健康管理の強化など環境改善が行われたそうですが、数カ月後にはもとの状態に戻っていたそうです。もう二十年以上も前の話ですが酷い話です▼お医者さんは平均的に高収入だとは思いますが、賃金収入の高い低いの問題ではないと思います。普通に働けば暮らせる世の中を切に願います。(ふ)

(兵庫民報2019年3月31日付)