子どもの医療費中学三年まで無償化、高すぎる国保料引き下げなど
三月十三日の兵庫県議会予算特別委員会で総括質疑が行われ、日本共産党兵庫県議団が十九年連続となる予算組み替え動議を行い、提案説明に庄本えつこ議員がたちました。
はじめに庄本議員は、知事提案の予算案を批判。国民の消費も県民の実質賃金も引きあがらず、暮らしがたいへんとなっているなか、消費税一〇%への増税を前提とし、さらに、阪神・淡路大震災後に「創造的復興」として空港や港、高速道路など大型公共事業を促進してきた借金返済のために、県「行革」を引き継ぐ「行財政運営方針」のもと、社会保障を抑制、医療・福祉を削り、人件費を抑制し深刻な長時間・過密労働で苦しむ教職員を削減するなど、県民の暮らし、福祉、教育を切り捨てるものとなっていると指摘しました。
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その上で庄本議員は党県議団提案の予算組み替え案について説明。ムダ・過大・不要不急な事業――一般会計の約一・八%、三百六十三億円――を削減。百十六億円を県民の福祉や教育、暮らしなどを充実させる予算につけかえ、二百億円の借金を減らすとの概要を説明しました。
庄本議員は、増額分として、子どもの医療費を中学校三年生まで無償化するととともに、高すぎる国民健康保険料を引き下げるための子どもの均等割減免、加齢性難聴者補聴器購入補助、小六までの少人数学級拡充、大学生の給付制奨学金の県制度創設など、福祉、子育て、教育などに重点配分するとしました。
また、中小企業に直接支援する施策として、住宅店舗リフォーム助成事業、長時間労働是正支援事業などを新設するほか、兵庫型奨学金返済支援制度の拡充なども盛り込みました。農業は、中山間地の小規模家族経営を支援するサポート事業を新設し、予算を計上。石炭火力発電規制の条例策定など、脱石炭、原発をすすめる施策とともに、再生可能エネルギーを普及させるための予算配分も行っています。
削減する事業として大阪湾岸西伸部整備費など高速道路関連予算、但馬・神戸など空港関連予算、大企業呼び込み型で破綻している産業立地補助金、同和事業、マイナンバー関連などを提案。不要不急の事業を見直せば、県民要求実現のための財源を確保することができるとしました。
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討論では、他会派からは、「不要不急な事業を削減し、福祉、教育などに重点配分するという趣旨に賛同できる部分はある」などとしつつ、自民、公明、県民連合、維新などが組み替え動議に反対し、提案は、否決されました。
《県予算組み替えの主な内容》単位は千円(1,000=100万円、1,000,000=10億円)
1.医療・福祉分野の支援を強める
◦国民健康保険料の15歳未満の子どもの均等割減免(新)1,232,100◦「行革」で廃止された老人医療費助成制度復活(新)450,000
◦重度障害者児医療費助成〈世帯合算をやめる〉(拡)86,000
◦難病医療費の非課税者の無料継続(拡)35,000
◦加齢性難聴者補聴器購入補助〈1人4万円を10000人に補助〉(新)400,000
◦看護師学生就学資金貸付金の復活(新)18,000
2.子育て・教育への支援
◦こどもの医療費通院・入院とも中学3年生まで無償化(拡)6,168,100◦「第3次行革プラン」で行われた母子家庭等医療費給付事業助成の所得制限と一部負担金増額を元に戻す(拡)169,000
◦待機児童対策・保育士確保のための保育士等処遇改善の予算増(拡)90,000
◦県独自の大学生向け給付制奨学金を創設する(新)396,000
◦35人学級を小学校6年生まで実施(拡)1,115,000
◦私立高校の経常費補助単価カットをやめる(拡)31,468
◦朝鮮学校の振興費補助の削減をやめる(拡)27,000
3.地元中小企業、小規模農家支援
◦ワークライフバランス推進企業支援費(新)200,000◦「過労死ゼロひょうご」促進事業費(新)1,000
◦兵庫型奨学金返済支援制度(拡)45,000
◦中小企業での正社員転換・処遇改善支援事業(拡)100,000
◦中小企業振興会議費(新)1,000
◦店舗・住宅リフォーム助成制度(新)120,000
◦小規模農家公的サポートモデル事業(新)50,000
◦バス対策事業費(拡)5,745
4.脱石炭・原発――環境・防災対策、ユニバーサルデザイン
◦石炭火力発電規制の条例策定のための調査費(新)1,000◦住宅用太陽光発電設備設置補助の復活(新)75,000
◦自然エネルギー地域ポテンシャル調査事業費(新)6,000
◦民間住宅の耐震化の促進(拡)500,000
◦バリアフリー事業の拡充(拡)100,000
◦シカ有害捕獲予算の増額(拡)5,596
◦狩猟期イノシシ捕獲事業費(拡)5,000
5.不要・不急の事業の見直し、県民合意のない事業を見直す(概数)
①産業立地促進補助を削減△1,570,000②不要・不急の公共事業等の削減
◦神戸空港、但馬空港など空港関連△950,000
◦道路関連の事業△10,900,000
◦大規模森林基幹道△166,000
◦国が負担すべき国直轄の公共事業等△9,300,000
③問題のある事業や県民合意のない事業など
◦関西広域連合の分担金△316,000
◦警察の報償費の削減△45,000
◦不公正な同和行政が残っている事業を削除△393,000
◦マイナンバーや住民基本台帳ネットワーク関連△1,485,000
④議員の海外渡航費の見直し
◦友好都市訪問の公式行事のみとし、人数も限定するなど簡素化する△2,750
(兵庫民報2019年3月24日付)