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2019年3月17日日曜日

統一地方選へわたしの決意:山川ひろしさん(加古川)


住民の立場に立つ議員を加古川から

党加古川市県政対策委員長 山川ひろし

私は、通算五期二十年の加古川市議を二〇一〇年に引退するまで、阪神・淡路大震災の救援活動、「解同」条例の制定阻止、S産業事件など行政との癒着や不公正行政の追及、神鋼ばいじんデータ改ざん追及など環境活動、学童保育所拡充運動、ラブホテル規制条例制定、コミュニティバス導入などの住民要求実現に取り組んできました。
市議引退後は、加古川生活と健康を守る会を立ち上げ、事務局長となり、神戸医療生協未来支部運営委員・支部長のほか、住民運動を進め、活動してきました。
*
そうした中で、県政のあり方を市民の暮らしを守るものに変える必要を実感してきました。昨年四月からの「国保の都道府県化」など今まで以上に県政が大きく関わるのは明らかで、住民の立場に立つ日本共産党の議席は加古川市にどうしても必要だと痛感しています。
今回の県議選は、県政・県議会へ住民の願いを届けるとともに、安倍政権退陣をめざす大事なたたかいとなります。また、消費税一〇%への増税中止、高すぎる国保料引き下げ、三十五人学級全学年実施など市民の願いを県政に届ける議席を実現するためのたたかいとなります。
私は、今後の日本の政治、兵庫県政のあり方において、大切な県議選はじめ統一地方選・参院選の一連のたたかいの勝利に向け全力を尽くす決意です。どうぞ、よろしくお願いします。

推薦します!

第2はとのさと保育園園長
井沢孝典さん

ためされずみの山川さんで

いま、保育料の無償化が打ち出されていますが、待機児童が多く親が翻弄される可能性や、保育料の高いゼロ、一、二歳児は有料で、三、四、五歳児が無料。しかも給食費は有料に。財源が消費税とは低所得者により重い負担をかけます。ためされずみの山川ひろしさんで政治を変えたい。

(兵庫民報2019年3月17日付)

県予算特別委員会:災害対策・医療・地域経済など


兵庫県議会の予算特別委員会では、部局審査が行われ、日本共産党の庄本えつこ議員が、連日、質疑を行っています。

被災者の生活再建への支援

企画県民部では、昨年の災害で被害を受けた住民への住宅再建支援について質疑。庄本議員は、「台風二十一号で尼崎市では、半壊十九軒、一部損壊千三百十六軒の被害住宅のうち、県独自の被災者生活再建支援金が給付されたのが、半壊九軒、一部損壊で二十六軒のみ。一部損壊の損壊割合が一〇%以上などと厳しく、ほとんどが支援を受けられない」と告発。「損壊割合が低くても、補修には同等のお金がかかる。生活再建支援というなら損壊割合が低くても支援を」と訴えました。
答弁で県当局が「一部損壊は、自助の範囲」だとしたのに対し、庄本議員は、阪神・淡路大震災で被災住宅調査にあたった神戸大の平山洋介教授が「近年多発する災害を超高齢化がより深刻なものにしている。一部損壊でも暮らしへの影響は大きい。一部損壊修繕費の支援を検討するべきだ」と指摘していることを紹介し、重ねて、支援を求めました。

子ども医療費、補聴器、国保

健康福祉部審査で、庄本えつこ議員は、所得制限のない子どもの医療費無料化(六十億円)、加齢性難聴者への補聴器購入補助制度(十五億円)、国保の子どもの均等割減免制度(四十一億円)の創設などを、予算額も示させて、実現を求めました。
庄本議員は、これらの予算額は、不要不急の事業を見直し、必要な施策に重点配分するという立場をとれば「十分捻出できる」とし、県の決断を求めました。
県当局は答弁で、子どもの医療費について、「受益負担のバランス」などを理由に、無料化に背を向けました。加齢性難聴者の補聴器購入補助については、「国に、しっかりと要請する」としつつ、県独自の制度も、「他の支援策とのかかわりを見ながら慎重に検討したい」と否定はしませんでした。
国保の子どもの均等割減免については、「国の動向をみながらだが、今のところ県としては検討していない」と答弁。庄本議員は、「国保料引き下げのため、子育て支援策としても提起した。前向きに検討を」と再度求めました。

奨学金返済支援制度充実、買い物支援

産業労働部審査で庄本議員は、県内中小企業で働きながら奨学金を返済している若者の支援制度について、当局提案では来年度、同様の制度をもつ京都と連携するとしているものの、兵庫県の補助は一人あたり上限が六万円なのに対し京都府は九万円であることをあげ、「相互連携というなら京都並みに」と迫りました。
商店街活性化、買い物難民支援を目的に新規施策として車購入などへ補助する移動販売支援制度について庄本議員は、尼崎市内でも、切実に求められている地域の実情を紹介し、「商店街や商工会議所などある程度のグループが対象とあるが、八百屋、肉屋など地域の小売り店舗は活用できないのか」と質問。
県当局は、「八百屋、肉屋など二店舗、三店舗がグループをつくって申請すれば活用できる」と小売店への適用をみとめました。

尼崎南警察西分庁舎

公安委員会では、尼崎中央署、西署を統合した尼崎南警察署の新庁舎が完成する二〇二一年に西分庁舎を閉鎖する計画をとりあげ、地域住民の「交番という形でも残してほしい」という要望を伝えました。当局は「検討したい」と答弁しました。

高潮、津波対策、園田西武庫線

県土整備部審査で庄本議員は、台風二十一号で浸水被害を受けた尼崎市丸島の武庫川下流浄化センター周辺について、現在の護岸高が設計高さより八十センチメートル沈んだまま放置されていたことや、津波逆流対策として神崎川などの堤防高の測定が不十分であることを指摘。測定点をふやし、定期的な測定が必要と指摘しました。
園田西武庫線藻川工区の自転車通行空間について庄本議員は、安全面からも土地収用の面からも、自転車通行はやめるべきだと主張。地元合意のない工事を絶対にすすめるべきではないとしました。

(兵庫民報2019年3月17日付)

川西市:核兵器禁止条約の署名と批准を求める意見書提出を求める請願が委員会で賛成多数 

川西市議会三月定例会に、新日本婦人の会・川西支部から「核兵器禁止条約の日本政府の署名と批准を求める意見書採択についての請願」が提出され、三月五日開催の総務生活常任委員会(八名)審査において、賛成五、反対二で、国への意見書提出を決定しました。
「本市は、市民の総意として核兵器のない世界の創造を願い、平成元年に非核平和都市を宣言しています。よって当市議会は、国に対し、核兵器禁止条約に早急に署名、批准するよう、ここに強く求めます」という文言をいれた「核兵器禁止条約への署名と批准を求める意見書(案)」を作成。二十六日の最終本会議にかけられます。請願の採択は高砂市、宝塚市に続き県下で三番目となります。
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委員会では、新日本婦人の会・川西支部から竹村恭子さんが「国際法史上初めて核兵器を違法なものとした核兵器禁止条約が、二〇一七年七月の国連会議で百二十二カ国の賛成で採択。全国で三百五十の自治体から国に対して署名、批准するように意見書があがっている。非核平和都市を宣言している川西市としても意見を提出してほしい」と趣旨説明をしました。
日本共産党議員団は、吉岡けんじ・黒田みち議員が請願の紹介議員になり、北野のり子議員が委員会で、「非核平和都市宣言をして三十周年、川西市から意見書をあげましょう」と採択を主張しました。
賛成の委員からは、「請願趣旨と同じ考えだ。地域に生きる者として盤石の平和を唱えるべきだ」。自民党会派の議員からも「国の方針は理解した上で、非核平和都市宣言をした市として賛成する」と発言がありました。
公明党議員は、「真に廃止するには『保有国』の参加が必要だが、一カ国も参加していない。我が国は橋渡しをする現実的な役割を果たすことが必要」と意見を述べ、無所属議員と二人反対しました。
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川西市ではこの間、日本共産党議員団の提案で、平和首長会議への参加、歴代の市長・議長・教育長などが署名、市役所一階ロビーに「ヒバクシャ国際署名」用紙を置いています。引き続き平和への取り組みを市民の皆さんとともに継続していきます。
―黒田みち(川西市議)

(兵庫民報2019年3月17日付)

姫路市:「自衛隊への名簿提供直ちにやめよ」日本共産党・谷川市議が代表質問で追及

姫路市議会本会議(三月四日)で日本共産党市議団を代表して谷川まゆみ議員が質問に立ち、市長の基本姿勢についての質問のなかで、自衛官募集適齢者名簿の提供の問題を取り上げました。
安倍首相が九条改憲の理由として「名簿提供に自治体の六割が協力していない」と発言して改めて問題になっていますが、姫路市では、二〇一三年五月に市長と自衛隊兵庫地方協力本部長とで自衛官募集適齢者情報に関する協定を結び、毎年、大学と高校の卒業にあたる年齢の市民の氏名、住所、性別、生年月日の四情報を本人や家族の承諾もなく、当初、紙と電子媒体で、現在は電子媒体で、自衛隊に提供し続けており、ことし二月八日にも一万千二百三人の四情報が電子媒体によって自衛隊に提供されています。
日本共産党が質問で取り上げるのは四回目です。
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今回の質問で谷川議員は――
①協定書締結にあたって個人情報の保護など庁内でどのような議論がなされたのか――
②自衛隊法施行令は情報提供について防衛相が要請できるとあるだけで、自治体が応じる義務はないのに、市の判断で名簿を提供できるとした法的根拠はなにか――と問い、
③多くの市民が自分の個人情報が自衛隊に提供されていることを認知していないことについて昨年の質問への答弁で市民局長が「『広報ひめじ』を通じて、より詳しく知らせる」としていたが、昨年四月の「広報ひめじ」には小さな枠に自衛隊からのお知らせという形で、市から名簿の提供を受けていると掲載されているだけであり、市民への説明責任を果たしているとはいえない――と批判しました。


また、④提供するCDにはコピーガードがかけられているか⑤憲法九条への自衛隊明記で募集への自治体の協力は進むと考えるのか――と問い、
⑥電子媒体での名簿提供はわずか十四自治体しかなく、わざわざ協定書まで作成し、個人情報を市民の知らぬまに提供する権利が市にあるのか、姫路市長の責任は重大だとして、名簿提供を直ちにやめるよう迫りました。
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答弁で市民局長は①②の名簿提供の根拠については、自衛隊法と同法施行令を基づくことなどを述べるだけで、義務がないのに市の判断で提供できるとした根拠を示しませんでした。④のCDについてはコピーガードをかけていないことを認めました。⑥については国政における議論であり、今後の推移を見守るとしました。
③情報提供の本人通知については対象者が多数であることを理由に、市の「公告」「広報ひめじ」「市ホームページ」で行い、掲載内容は工夫すると答えました。
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再質問で谷川議員は、二〇一五年第三回定例会でこの問題を取り上げた時、姫路市の他、南あわじ市、伊丹市、朝来市、洲本市も電子媒体で提供し、宝塚市も紙媒体で提供していたが、現在、県内で名簿提供を行っているのは姫路市だけ、全国の中核市五十四市中でも電子媒体による提供は姫路市だけとなっている状況をあげ、「名簿提供は閲覧の拡大解釈ではないか」との専門家の見解も紹介し、姫路市は個人情報を軽視し、個人の人権の尊重を保障する憲法十三条に違反していると批判しました。


また、「市ホームページ」の自衛官募集ページ(http://www.city.himeji.lg.jp/s30/2212103/_34840.html)からリンクされている文書(注:この文書の内容は、この質問の後、リンクではなく募集ページ上に記載されています)も対象者の人数が記されているだけであり、姫路市の説明責任は全く果たされてないと指摘し、名簿提供は市長の独断でなされるべきではなく、直ちにやめるよう重ねて強く求めました。

(兵庫民報2019年3月17日付)

神戸で志位委員長招き演説会:兵庫から日本共産党躍進を

日本共産党の躍進と本気の共闘で国民のための政治取り戻そう


日本共産党兵庫県委員会は三月八日、神戸文化ホールに志位和夫委員長を迎え、統一地方選挙・参院選での党躍進をめざす演説会を開きました。

未来の社会を考える仲間たちの久一さんら

最初に「未来の社会を考える仲間たち」の久一千春さんら共同代表三人が登壇し、「政治が変われば暮らしも変わります。国民みんなのための政治を取り戻すため、野党は本気で共闘してほしい。私たちもいっしょにがんばります」と呼びかけました。
統一地方選予定候補が舞台に勢ぞろいし、ねりき恵子県議団長、森本真神戸市議団長、野口あけみ西宮市議団長が代表して決意を表明しました。
参院選比例予定候補の山下よしき参院議員・副委員長、兵庫選挙区予定候補の金田峰生氏もそれぞれ決意を訴えました。

志位委員長

志位委員長は「選挙で決着をつけ安倍政治を終わらせよう」と訴え、とくに消費税については「一〇%への増税は今からでも止めることができる」と強調しました。
地方選については、①住民の福祉を守る自治体本来の姿をとりもどす②国保保険料の大幅値下げ③国政にもの申す――ことを強調し、それを共産党に託してほしいと訴えました。

(兵庫民報2019年3月17日付)

尼崎革新懇が第16回総会


尼崎革新懇が第十六回総会を三月九日、小田公民館で開催しました。
田中祥晃代表世話人が開会挨拶し、「ウソと強権政治ばかりの安倍政権はもう許されない」「十月に神戸で開催される『地域、職場・青年革新懇全国交流会2019 in 兵庫』を大成功させ、尼崎革新懇を大きくしよう」と訴えました。
事務局から、会員を百五十人以上にふやすこと、全国交流会成功のため協力―などの取り組みの提起、財政報告などが行われ、土谷洋男代表世話人が新役員を提案――それぞれ承認されました。
*
総会に先立って、神戸女学院大学教授の石川康宏氏が〝安倍改憲ストップ たたかいの展望〟と題して記念講演しました。
―林徹二(尼崎革新懇事務局長)

(兵庫民報2019年3月17日付)

「福島原発事故を忘れない」メモリアル集会


「原発をなくし自然エネルギーを推進する兵庫の会(原発なくす兵庫の会)」は福島原発事故から八年を前に、メモリアル集会を三月十日、神戸市勤労会館で開催し、約七十人が参加しました。
神戸新聞論説委員室の藤井洋一氏を招き、「若狭湾で事故が起これば」どのような避難計画が策定されているか、世界の原発の状況、廃炉に向けての問題などについての講演を聞きました。
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藤井氏(写真)は、
▽事故が起これば原発から三十キロ圏内の住民が、神戸市や西宮市など大阪湾・瀬戸内地域の公共施設に避難してくるが、受け入れ側の認知度が充分ではなく相当の混乱を招くことになる。そうならないためには日常から相互の交流が必要で、「非日常」を常に想定していることが重要だ。
▽ドイツなどが「脱原発」にむけて大きく舵を切る一方で、新たに原発を利用しようとする国もあり、中には「核の平和利用」に留まらない国も見られ、核拡散の問題も含まれている。
▽廃炉については、原発立地自治体の雇用や補助金、廃炉の費用負担、中間貯蔵施設場所の選定など様々な問題があるが、まずは原発稼働停止・廃炉の方針を掲げることが解決の端緒となり世論の形成につながっていく。
―などを指摘しました。
質疑応答では、避難計画について、「三十万人もの避難者が本当に計画通り避難できるのか?」「受け入れ自治体の対応はできていないのでは?」などの質問が出されました。福島原発事故で兵庫県に避難している人は「八年たっても、もとの生活には戻れていません、家族がそろって暮らせる日がいつ来るのか不安な毎日です」と語りました。
*

集会は、野党共同提案の「原発ゼロ基本法」の早期実現を求めてアピールを確認しました。
参加者からは、「いま、若狭湾で事故が起これば、どのように対応しなければならないか、講師の話や避難者の方の話から日頃から考えていくことが大切だと改めて考えさせられた」などの感想が寄せられています。
―岡崎史典

(兵庫民報2019年3月17日付)

「アスベスト尼崎の会」が第14回総会

国・加害企業の責任の明確化と被害者救済に全力


いわゆる「クボタショック」から十四年目を迎え、クボタが認めただけで五百五十人の中皮腫や肺がんなどの犠牲が出ている中、「アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会」(船越正信会長)は三月九日、尼崎市立小田地区会館で第十四回総会を開催、六十一人が参加しました。
開会に先立ち、冒頭に、毎年アスベストが原因と言われる中皮腫の死亡が四十人前後となっており、アスベスト被害犠牲者の冥福を祈って全員で黙禱しました。
総会では、船越会長が「尼崎の会は常駐体制をとり、昨年は十三件の相談に対応してきた。相談の中で、中皮腫との臨床病理診断が出ているにもかかわらず、その判断に対して環境再生保全機構が異を唱えて不認定となった事例も。特に肺がんの方の救済が困難となっている。生前の診断に加えて、亡くなってからの病理診断が、救済の上で非常に重要になっている」と認定事例を紹介するとともに「全国各地の建設アスベスト訴訟の完全勝利を実現して、国と企業の責任で、すべての被害者に労災並みの保障をしていく被害者救済基金の設立をさせていく必要がある」と訴えました。
顧問弁護団の和田信也、菊田大介両弁護士が、「建設アスベスト訴訟は国に対して十連勝、建材メーカーの責任、一人親方の賠償責任も認めてきており、尼崎から始まった加害責任の追及は発展していっている。大学のアスベストに関する講義の関心も高く、風化させない取り組みが重要」と強調しました。
昨年の活動のまとめと今後の運動方針を提案した粕川實則事務局長は、「クボタショックの翌年につくられた『石綿健康被害救済法』は国が責任を認めた賠償制度ではなく、給付金も極めて低く、申請に対する認定率も低水準。『制度はつくったが、救済はしない』ものになっている。全国平均の十倍の中皮腫死亡者が出ている尼崎、五百五十人を超えるクボタによるアスベスト被害の犠牲者。アスベスト被害の風化を許さず、被害者の掘り起こしと救済の援助に継続して取り組み、深刻な被害実態を全国に発信しよう」と提起しました。
まとめと運動方針案、決算・予算案を全員一致で確認しました。
来賓挨拶した庄本えつこ県議、高橋しょうご県議予定候補は「被害者の完全救済のために、みなさんとともに政治を動かしていく」と決意を語りました。

(兵庫民報2019年3月17日付)

実質削減続く年金、消費税10%増税など論外

関根敏克(年金者組合兵庫県本部)

今、高齢者の年金は物価の上昇に見合うどころか、実質は削減されています。過去七年間でも物価は五・三%上昇したにもかかわらず、年金は〇・八%下がっています。
今年の四月からの年金は昨年、物価が一・〇%上がったのに〇・一%の増となるだけです。物価が一%上がったなら年金も一%上がらなくては年金の価値は低くなります。
なぜ、こんなことになるのか。「マクロ経済スライド」調整が二〇一五年度以来、四年ぶりに発動され、さらに二〇一六年十二月の「年金カット法」で導入された「キャリーオーバー」制度もあわせて発動されたからです。「物価が上がろうが、ただただ年金は下げる」というこれらの制度は廃止すべきです。ちなみに年金者組合が二〇一二年に実施した女性の生活実態調査でも年金の月額は「五万円~十万円」が三一%、四万円以下が一六%で実に四七%が十万円以下でした。
高齢者がこんな低年金でぎりぎりの生活を余儀なくされているのに、一律に年金を下げ続ける政府に「どこを削れ」というのかと怒り心頭です。また、年をとれば医者通いも増えます。医療保険料と窓口負担増に不安がつのるばかりです。消費税一〇%など論外です。軍事費を削って社会保障に回してほしいと思うばかりです。

(兵庫民報2019年3月17日付)

3.8国際女性デー

兵庫県集会:LGBTの人が生きやすい社会が女性が生きやすい社会


二〇一九年3・8国際女性デー兵庫県集会を三月八日、神戸市勤労会館で開催しました。
今年は、女性差別撤廃条約から四十年の節目の年に当たります。国会議員による、セクハラへの擁護やLGBTの人への攻撃が多発し、「#MeToo」運動の広がりをはじめとした、女性差別への鋭い目が向けられた二〇一八年を受けて、性差別と憲法を主題とした講演を企画。「LGBTのこと そして人権――誰もが生きやすい社会へ」を演題に、大阪のなんもり法律事務所の南和行弁護士が講演しました(写真)。
南さんは、「LGBT」という言葉の解説から講演を始め、同性愛者であることを打ち明けた母が拒否から応援者になり、支えてくれているという南さん自身の状況をはさみながら、「男女不平等があることが先鋭的に出てきているのがLGBTです」と語りました。「〝普通〟という誤解の中で、同性愛者であるという〝変わらない事実〟を社会が否定しているのです。だれもが〝ありのまま〟に同じように尊重されるということが、憲法の十三条、十四条にかかれています」と強調しました。
参加者は「〝法律がない=権利がない〟のではない」ということを胸に刻みました。
講演後は、文化行事。平和のピアニスト池辺幸恵さんによるピアノ演奏。数々の賞を受賞された池辺さんの熱い思いと豊かな演奏に引きつけられた時間でした。運動交流では、「教育現場の実態」と「消費税増税で中小企業の実態は」が報告されました。
「この選挙を絶好の機会として参政権を行使しよう」と呼びかけたアピールを採択して閉会しました。
―中村治子(兵庫県母親大会連絡会)

西宮集会:「大坂夏の陣図屏風」から平和と憲法守る思い受け継ぐ


第四十五回国際女性デー西宮集会を三月八日、西宮市役所東館で開き、六十三名が参加しました。
西宮さくらんぼ合唱団と女声コーラスこぶしのリードでみんなで歌い、明るく元気に幕を開けました。
お話は元大阪城天守閣館長の渡辺武さん。「戦国のゲルニカ(大坂夏の陣図屏風)は語る」と題し、「戦前美化と平和憲法改悪の策動が強められている今、この歴史の逆行をくい止めなければ日本とアジアの未来に明るい展望は開けない――そんな思いを持って、風化させてはならない戦争の歴史的な体験を四百年前の先人達が残してくれた貴重な美術作品・重要文化財「大坂夏の陣図屏風」の画面紹介を通して、皆さんとともに考えたい」と提起しました。
「屏風」は、元和元年(一六一五年)五月七日午後、落城直前の大坂城とその周辺の有様を西側上空から東を鳥瞰、活写しています。右隻は主に大坂城南一帯での徳川・豊臣両軍の対戦場面。左隻は主に城北一帯での戦災の実態描写です。戦争の実相を克明に生々しく描いています。
この屏風がどうして作られたのかについて渡辺さんは、戦勝した徳川を礼賛するものではなく、戦国時代最後の戦争を描くことで戦争を打ち止めにしたいとの思いをこめ、繊細極まりないタッチでこまかく豊かに描写していると指摘。「ナチスの無差別爆撃を告発したピカソの作品『ゲルニカ』に匹敵する戦争告発の超大作だ」と強調しました。
夏の陣後二百五十年間天下泰平の長い「戦後」が続きました。今、終戦から七十四年、戦争をしてはならないとの「戦国のゲルニカ」からのメッセージを受け止めて、改憲させるのか否か、一人一人が考え、行動していくことの重要性を渡辺さんは訴えました。
参加者からは「学問が知的なおもしろさだけではなく、今の生活に結びついていること、歴史を知ることの大切さ、必要性を感じました」などの感想が寄せられました。
―渡辺玲子(西宮母親大会連絡会)

(兵庫民報2019年3月17日付)

『笑う故郷』:神戸映画サークル協議会4月例会

あなたの固定観念を炙りだす

アルゼンチン出身のノーベル賞作家が四十年ぶりの故郷で、濃密な人間関係に呑み込まれていくブラックコメディ『笑う故郷』。
ユニークなのは、そうした作家と町民の双方の立場から、異なる楽しみ方ができる点だ。
作家の視点では、閉鎖的な地域社会に舞い戻った芸術家がしがらみや偽善を否定して自分の価値観を貫いた結果、驚きと恐怖の体験記として楽しめる。一方、町民の視点は、地域社会に貢献すべきセレブなのに世間知らずのゲス野郎に対する痛快な復讐劇として楽しめる。
権威に対する人間のおもねり、反発や嫉妬が、笑いになる。作家ダニエルがもっとも忌みきらうことを、故郷では演じ続けざるを得ない。人間の内面をきちんと描き作家自身も皮肉を交えて描かれる。その意味で邦題『笑う故郷』には深い意味があるようだ。
物事の善悪も人生の悲喜劇も、表裏一体の関係にあるに過ぎず「現実など存在しない。あるのは解釈だけだ」に象徴されるようなラストは混とんとして作家の個性が光る。
あなたはこの作品で笑えるだろうか。どの皮肉がおかしくて、そして心に突き刺さるだろうか。その毒をもって私たち自身の持っている固定観念を炙り出す映画にはめったに出会えない。
―桑田葉子(神戸映画サークル協議会)

映画『笑う故郷』

(2016年/アルゼンチン・スペイン/117分)/4月19日(金)①11時②14時③19時、20日(土)①11時②14時、18時/神戸アートビレッジセンターKAVCホール/一般当日1,700円(前売1,300円)、シニア・障がい者・大学生以下1,300円/☎078‐371‐8550、URL http://kobe-eisa.com/

(兵庫民報2019年3月17日付)

映画公式ページ(初公開時のものですので上映劇場などは古い情報です)
http://www.pan-dora.co.jp/waraukokyo/

観感楽学

三月十一日は東日本大震災・福島原発事故八周年。そして十八日は非核「神戸方式」四十四周年記念日。一週間に二つの日が並ぶのは偶然だが、原子力にかかかわる核兵器、原発の意味を考える絶好の機会だ▼終戦直後、神戸港は米軍に占拠され米軍基地とされた。神戸市民の粘り強い闘いで全面返還させるのは一九七四年六月。同年八月二十八日、原子力実験船「むつ」は臨界実験に成功するが、直後の九月一日に放射能漏れ事故を起こす。原子炉修理のために原子炉を製造した三菱重工神戸造船所のある神戸港に寄港することが決まる▼たちまち神戸市民の強い反対の声が湧き、神戸市会は「原子力船『むつ』の神戸港入港に反対に関する決議」を全会一致で採択し(九月二十四日)断念に追い込んだ。この「むつ騒動」の最中にラロック発言が公表された(米議会証言が九月十日、公表十月六日)▼「日本に行く米軍艦は核兵器を降ろさない」との証言は、非核三原則が国是のはずの日本中に衝撃を与え、核兵器持ち込み拒否の非核「神戸方式」を誕生させた▼闘えば米軍基地を撤去させ、原子力船も米軍艦も拒否する。この力を地方選挙・参院選でも示したいものだ。(K)

(兵庫民報2019年3月17日付)