今回の予算案は、十一年間の行財政構造改革に区切りをつけ、新たな行財政運営方針に基づく編成だとしていますが、従来の不要不急の公共事業を推進しながら、県民サービスを切り縮める内容となっています。
歳入:税収の27・8%が消費税
歳入では、県税等は八千二百九十五億円(前年比三・一%増)となっています。
県税等の増は、十月から予定される消費税一〇%増税に対する地方消費税の伸び、企業の業績を反映した法人事業税の増が反映され、過去最高となるとされますが、個人県民税はほぼ横ばいなど、県民の所得などは、好転していません。
予算案では県税の中で地方消費税がしめる割合を二七・八%とするなど、地方消費税の占める割合が年々高まっています。
これ以上の増税は、県民の暮らしと営業をいっそう深刻にするものです。
県税収入については、消費税増税を前提とするのではなく、割合が引き下がっている法人税収を引き上げる手立てを検討する必要があります。
歳出:借金のつけ、新行革で県民に
歳出では、社会保障関係費は、消費税一〇%増と引き換えにした幼児教育無償化予算などが加わる一方、安倍政権の自然増抑制策や高齢者医療費負担増などが盛り込まれ、前年比四・五%増程度に抑えられています。*
投資的事業費では、高潮対策十カ年計画や山地防災・土砂災害対策計画の拡充など、防災・減災対策が盛り込まれる一方で、大阪湾岸道路西伸部工事支援、西伸部海上橋への展望施設設置調査、播磨臨海地域道路計画調査費などの大型高速道路推進ほか、不要不急の事業予算は確保しています。
神戸市と一体となり三宮再開発を行うとともに県庁耐震化の建替えとあわせて、外資系超高級ホテル誘致などが検討される元町山手地区再整備の基本計画策定も予算化。大企業に有利な産業立地促進補助等には、約十六億円を計上。
ゼネコン・大企業に手厚い予算となっています。
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新たな行財政運営方針にもとづき、抑制方針が提起されている人件費については、児童・生徒数の減少にともない教職員定数が百七十三人減らされる予算となっており、教職員の多忙化にいっそう拍車をかけるものとなっています。
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県債(借金)は公共事業増等に伴い千二百三十八億円、前年比二九・八%増となっています。
新しい行財政運営方針を示す理由となっている震災関連県債残額は、二〇一九年度末で、三千二百二十六億円となりますが、残っている借金は、災害復旧のためではなく、そのほとんどが国直轄等による大型公共事業費の借金です。この借金のつけを県民に負担させることは、認められません。
「創造的復興」として大型公共事業をすすめてきたことによる借金を、新たな行財政運営方針として、県民におしつけるのではなく、県民の安定した雇用や暮らし、待機児童対策や子どもの医療費の無料化など子育て施策の充実、国保料、介護料の引き下げや、福祉医療費の助成充実、防災・減災対策の抜本的強化などに、予算をふりむけるべきです。
県民要求が反映した主な事業
▽県東部阪神地域リハビリセンターの設置▽高潮緊急対策
高橋川、宮川、南芦屋浜、西宮浜、甲子園浜、鳴尾、鳴尾浜、丸島
▽兵庫県高潮十箇年計画の策定
▽第一子を含めた三歳未満の保育料軽減事業の拡充
▽私立高校授業料軽減補助の拡充
▽スクールソーシャルワーカー全市町への配置
▽全県立学校への学校業務支援員の配置
▽鉄道駅舎ホームドア設置促進事業
〈整備予定〉JR神戸駅・明石駅・西明石駅/阪急神戸三宮駅/阪神神戸三宮駅
▽エレベーター、多機能トイレ等公共交通バリアフリー化の促進
〈整備予定〉JR福崎駅/阪急花隈駅・園田駅/阪神住吉駅/神戸高速西元町駅・大開駅/山陽大塩駅/神鉄長田駅・花山駅・大池駅
ねりき恵子日本共産党県議団長の談話
今回の予算案では、県民の運動や議会論戦などによって、県民の要求を一定反映した事業もあります。しかし暮らしが大変ななか、消費税一〇%増税が前提とされ、全体として不要不急の高速道路予算、大企業に有利な産業立地促進補助等は温存しながら、国と一体に、社会保障は抑制し、教職員数は削減するなど、県民の暮らし充実に対し逆立ちした予算です。
県議団は、県民要求実現に向け議会論戦で力を尽くす決意です。
(兵庫民報2019年2月24日付)