早朝追悼のつどいと市民追悼式
諏訪山ビーナステラスでは、阪神・淡路大震災被災者ネットワーク、ボランティアグループ「すまいる」、NPO法人Earthなどでつくる実行委員会による「早朝追悼のつどい」が行われ、地震発生時刻五時四十六分の黙禱、松平晃氏のトランペット演奏、石原顕正氏らアースの僧侶の読経のなか参加者一人ひとりによる「神戸・希望の鐘」点鐘で犠牲者を追悼しました。
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十時からは神戸市勤労会館で市民追悼式が開かれました。
アースの僧侶の声明と川村旭芳氏の筑前琵琶による音楽法要が行われました。参加者も「神戸希望の鐘」をついて追悼しました。
石原氏は主催者挨拶のなかで、七回忌を前に行政が追悼行事をとりやめたことから市民の手で続けようと安田秋成氏を実行委員長に岡部眞紀子氏らと実行委員会をつくって始めたなどの経緯を紹介。早朝追悼集会は実行委員が高齢に達したことなどから今年で最後としたものの、市民追悼式は今後も続けていくことを明らかにしました。
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安田氏は取材にこたえ、「なぜ、現代の神戸で六千数百人もの方々が亡くならなければならなかったのか。自己責任でしょうか。鎮魂とともに大災害が二度と起こらないようにと取り組んできた。そのなかで被災者生活再建支援法を確立できたことを誇りに思う。さらに拡充をやりとげたい」と語っています。
復興県民会議メモリアル集会
阪神・淡路大震災救援・復興兵庫県民会議は、四県の水害被災地の代表らを迎えて神戸市内でメモリアル集会を開き、兵庫県内外から二百人以上が参加しました。
兵庫県商工団体連合会の磯谷吉夫会長が主催者挨拶。営んでいた飲食店舗と自宅が全半壊し、無我夢中の二十四年だったと振り返り、県民会議が支えとなったとのべ、被災者の連帯したたたかいを強調しました。
全国災対連の住江憲勇代表世話人、日本共産党の山下よしき副委員長・参院議員が挨拶。阪神・淡路大震災の救援・復興のたたかいを契機につくられた被災者支援制度の拡充をよびかけました。
県民会議の岩田伸彦事務局長は、大震災の課題にふれ、借り上げ復興公営住宅の継続入居、災害援護資金の返済免除など全力で被災者を支えていくと強調しました。
ひょうご震災復興借り上げ住宅協議会の段野太一運営委員は、神戸市、西宮市が「提訴」し、借り上げ住宅の入居者を追い出そうとする暴挙を批判。支援をよびかけました。
県民会議の畦布和隆代表委員をコーディネーターにシンポジウムを行いました。昨年の西日本豪雨被害にあった岡山県倉敷市真備町について須増伸子・日本共産党県議が、広島県呉市を奥田和夫・党市議が、愛媛県宇和島市吉田町を県農民組合の吉田泰臣事務局長が報告。四年前の鬼怒川水害にあった茨城県常総市を「被害者の会」の染谷修司氏が報告しました。四氏は、被害の実態や被害を広げた要因、復旧・復興にむけた課題や被災者のとりくみなどを紹介しました。
兵庫労連の成山太志議長が閉会挨拶。参加者にお礼をのべるとともに、自然災害が多発するもとで被災者に寄り添う政治の重要性を強調しました。
長田メモリアルのつどい
長田区では、震災復興長田の会が主催する「ひと、まち、くらし長田1・17メモリアルのつどい」が開催され、八十人が参加しました。
二組に分かれて、新長田再開発地域などを歩くメモリアルウオーク。
再開発地域の大正筋商店街のお茶屋の商店主は、「震災で生かされた命。まちが元気になるようにがんばりたい。私たちの震災の経験を東日本の被災地・南三陸町の商店街と交流しながら伝えていきたい」と語り、商店街では正午の黙禱や震災パネル展をはじめ南三陸からのつみれ汁の接待、物産展などを取り組んでいます。
震災当日の火曜日が定休日で火災をまぬがれた丸五市場の鶏肉店の店主は、「店が残ったことは財産です。昨年百年を迎えました。空き店舗は増えていますが、アジアナイト屋台のとりくみなど地域のみなさんとがんばっています」と語ってくれました。
参加者からは「まちの商店街のみなさんは、にぎわいを取り戻したいと一生懸命がんばっている姿がよくわかりました。大規模なビル群ではなく、身の丈に合った復興が大事」「震災から二十四年経っても、苦労している被災者がいる。災害に遭ってもすぐに立ち直れる施策が必要」などの声が聞かれました。
ウオークの後、ふたば学舎で、松平晃さんのトランペット演奏、昨年の豪雨によりまち全体が水没した岡山県倉敷市真備町の現状について、須増伸子日本共産党岡山県議から原因と現状について報告があり、参加者の交流を行いました。
―森本真(神戸市議)
(兵庫民報2019年1月27日付)