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2019年12月1日日曜日

ノーモアヒバクシャ近畿訴訟・傍聴記:3人の訴えすべて退ける:大阪地裁が不当判決

十一月二十二日、大阪地裁は、三人の訴えをすべて退ける最悪の判決を出しました。

「心筋梗塞が被爆によるものだ」と訴えていた高橋一有さんについては「被ばく線量を具体的・定量的に認めることはできない」「高血圧や加齢が原因と考えても不自然ではない」から、と切り捨てました。
厚労省が自ら「却下処分を取り消して、原爆症と認定」はしたものの、審査基準が変わるたびに申請しなおしても却下し、ついには裁判に訴えざるを得なくなるまで被爆者を苦しめておきながら、最後に態度を変えた際にも一言の謝罪もなく「認定通知」を送り付けるだけ。こんな不誠実・不当な対応は許せないと国家賠償を請求したお二人に対しては「厚労大臣は、認定審査会の意見に従っただけ」「長期間を要したとは言えない」との判決。

「核兵器の非人道性、戦争の違法性」を直視しようとしない安倍政権筆頭の「流れ」が司法にも影響を及ぼした――判決の内容などの報告を聞いて痛感しました。
「国をあげての戦争で被害を受けても、すべての国民は我慢せよ」という態度を前提に「原爆放射能による健康被害が他の戦争被害とは異なる特殊の被害だから、(例外中の例外として)援護する」。この態度が、多少とも改まるか、と思われた時期もありましたが、安倍政権の下でふたたびひどくなってきたと感じています。
七十四年前の被爆当時、まだ幼かった被爆者に「あなたの被ばく線量〇・〇〇〇〇五六グレイでしかなかった。そんな線量で心筋梗塞になるはずがない」と言える感覚の恐ろしさ。「必要な時には核兵器を使う核抑止論」にしがみつく「指導者」たち同様、核兵器の非人道性を直視しようとしない発想でしょうか。

「裁判は法律の枠内でしかたたかえない。『援護法』の抜本的改正をめざしつつ原爆症認定の幅を少しづつ広げる一環として裁判をしてきた。個々の判決がどうあろうとも、『原爆被害に対して国は責任をとれ』『核兵器を廃絶せよ』この二つの大目標にむかってたたかいつづけよう」――藤原精吾弁護団長は報告集会の締めくくりに、こう呼びかけました。

(兵庫民報2019年12月1日付)

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